かの悪党はヒーローへ   作:bbbb.

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二十五話

《二回戦第一試合!今回の体育祭両者トップクラスの成績!みぃどぉりぃやぁ!VSとぉどぉろぉきぃ!まさしく両雄並び立ち…今!スタァートッ!!!》

 

マイクの合図と同時に轟が氷結攻撃を仕掛けるも、指を犠牲にしてそれを迎え撃つ緑谷。氷結攻撃を防がれた轟だがなおも氷結を出し続ける。そのたびに指を犠牲にして氷結を砕く緑谷だったが、気付けば早くも右手の親指以外の指は全滅していた。それでも轟の攻撃の手は緩まず、ついには左腕をも個性によって壊してしまった緑谷。しかし轟は緑谷のその渾身の一撃も自身の背後に氷を生み出すことで場外負けになるのを防いでいた。そして轟がトドメを刺そうと氷結攻撃を緑谷に浴びせたが、

 

 バリバリバリバリバリバリッッッッッッ!!!

 

再び防がれる轟の攻撃。轟を含めA組の生徒達が驚いて緑谷を見る。どうやら壊れた指で個性を発動させたらしい。そして緑谷は痛々しいまでに変色した右手の指を握りしめ、

 

 「全力でかかって来い!!」

 

大きな声で轟に宣言した。轟は再び緑谷に接近を試みる。しかし、

 

 (鈍ってんな…明らかに)

 

轟の動きに違和感を覚えた垣根は同時に轟の右半身に注目する。

 

 (右半身に霜が降りてる…なるほど、()を使い続けるとアイツ自身の身体にも影響が出ちまうってことか。だが恐らくそれは()にも言えることだ。つまり今左を使えばヤツの体温は上がり、身体は元に戻る。なのにアイツは使わない…)

 「舐めてやがるなあの野郎」

 

垣根は静かに呟く。

 

 「ん?どうしたの?ていと君?」

 「いや、何でもねえよ。」

 

垣根は誤魔化しながら答えると再び戦いに目を向ける。状況は先ほどとは異なり、轟が緑谷に押されていた。いや、緑谷の両手は既にボロボロなので押しているという表現は適切では無いかもしれないが、それでもダメージを与えているのは緑谷の方だ。何か轟に訴えるように叫びながらその拳をたたき込む緑谷。そして、

 

 「君の!力じゃないか!」

 

緑谷が轟に言い放つ。すると、

 

 ブォォォォォォォォォ!!!

 

轟の身体からすさまじい量の炎が一気に放出された。

 

 《こ、これはーーーーー!!》

 

マイクが驚いたように声を上げる。いや、マイクだけでは無い。A組の生徒や会場の観客も皆目の前の光景に目を奪われる。緑谷と轟は二人は数秒の間何か話していたが、それが終わるや否や同時に攻撃態勢に入る。轟が炎を出しながら大氷塊を緑谷にぶつけるも、足での個性発動によって超跳躍を可能にした緑谷はそれをかわし、轟との距離を一気に詰めながら渾身の一撃を放つ。それに対し、緑谷が向かってくるのを目で捕らえた轟もまた、今度は炎を全開にして緑谷の攻撃を迎え撃つ。そして、

 

 ドゴォォォォォォォォォン!!!

 

二人の大技が激突し、会場にすさまじい衝撃が走る。爆風が収まると、フィールドにはなんとか止まっている轟、そして場外で気を失っている緑谷の姿があった。

 

 「み、緑谷君場外。轟君三回戦進出!!」

 

こうして轟の勝利が決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二回戦第二試合。塩崎VS飯田は飯田が超加速で塩崎の後ろに回り込み、そのまま塩崎を場外に押し出した飯田の勝利に終わった。そして二回戦第三試合。垣根VS常闇。両者がマイクのアナウンスの中フィールドに入場し向かい合う。

 

 (ダークシャドウの弱点は既に垣根に知られている。垣根の個性は『作製』。もし何か光る物体でも作られたら厄介だ。そうなる前に勝負を決める!)

 

常闇が心の中で呟く。そして、

 

 「それでは二回戦第二試合、開始!」

 

ミッドナイトの合図と共に常闇が仕掛ける。

 

 「ダークシャドウ!」

 「アイヨ!」

 

常闇の体から出現したダークシャドウが垣根に襲いかかる。

 

 「オラァ!」

 

 ズガンッ!

 

ダークシャドウの大きな手が地面を抉る。咄嗟にバックステップで躱す垣根。

 

 「フッ…」

 「!」

 

常闇は不敵な笑みを浮かべている垣根に気付き、思わず体を硬くする。

 

 「開始直後の速攻。当然だよな。俺に個性のこと知られてる以上、長期戦は不利になるだけだ」

 「……」

 

次々と攻撃を繰り出していくダークシャドウだが、垣根は涼しげな表情で躱していく。

 

 「しっかし、中々いい個性じゃねぇか。攻防を一体で担える中・遠距離型個性。俺と似てるな」

 「…戦闘中にこうも喋るとは、随分と余裕だな」

 「余裕?あぁ、あるぜ。なんせ…」

 

そこまで言うと垣根は足を止める。気付けば垣根は、フィールドの瀬戸際まで追い詰められていた。そして、

 

 「コレデシマイダァァァ!!!」

 

ダークシャドウが叫びながら、その右手を振るう。もはや直撃は必須。そんな危機的な状況だというのに、垣根は不敵な笑みを崩すことなく、先ほどの言葉の続きを紡ぎ出す。

 

 「なんせ、お前の個性は弱点が明確すぎる」

 

そう言うと同時に、突如垣根の左手の中に小さな白い塊が生み出される。そして、迫り来るダークシャドウに対し、垣根はその創造物を放り投げた。すると、、

 

 ピカッ!!!

 

垣根が放り投げた創造物から眩い光が発せられ、フィールド全体を包み込む。

 

 「ガァァァァァァァッ…!?」

 

ダークシャドウは悲鳴を上げ苦しみ出す。ダークシャドウの弱点は光。光に当てられてしまうと、一気に弱体化してしまう。

 

 「くっ…!?光…!?眩しい…!」

 

垣根達から距離が離れている常闇でさえ、目を覆わねばならない光量。そんな光を至近距離で浴びてしまったダークシャドウは、

 

 「ガァァァ……キュウン」

 「ダークシャドウ!!…はっ!?」

 

当然戦闘不能となる。慌ててダークシャドウに声をかける常闇だが、同時に自身の目の前まで既に距離を詰めている垣根の存在に気が付く。光に視界を奪われ、気付くのが遅れてしまったのだ。急いで体勢を立て直そうとした常闇だが、

 

 「遅ぇよ」

 

 ドゴッ!

 

常闇の腹部に掌底を叩き込む垣根。

 

 「カハッ……!?」

 

まともに喰らった常闇は思わず呻き声を上げ、その場で膝をつく。さらに、肩にドンッ!と軽く蹴りを入れられた常闇はその勢いで仰向けに倒れた。そして、

 

 「まだやるか?」

 「くっ…!参った…」

 

喉元に手を添えられてしまった常闇は、悔しさを滲ませながらそう宣言する。

 

 「常闇君降参!垣根君三回戦進出!」

 《決まったァァァァ!!!勝ったのは垣根帝督だァァ!!またも翼を出さずに勝利ィ!それにしてもアイツ、近接もいけんのかァ!?》

 《状況に応じた素早く的確な状況判断。派手な個性に目がいきがちだが、垣根の強さの本質はむしろそっちにある》

 《おぉ~?珍しいな。お前がそこまで褒めるとは》

 

マイクと相澤の声が響く中、スタンドの切島達もフィールドに立つ垣根を見つめる。

 

 「凄ェ…!翼を使わなくともこんなに強ぇのかよ…」

 「遠距離だけじゃねぇのかアイツ…」

 「実力は本物だね」

 

口々に垣根の噂がされる中、垣根は黙って踵を返す。こうして垣根の準決勝進出が決まった。

 

 そして二回戦第四試合は爆豪VS切島の試合が行われた。切島は一回戦で鉄哲と引き分けに終わったが、その後の腕相撲対決で見事鉄哲に勝利し、二回戦進出を決めていたのだ。そして爆豪と切島の試合は序盤は切島が自身の頑丈さを発揮し、爆豪を追い詰めていったが、時間が経つにつれその堅牢さに綻びが出始め、最後は爆豪の猛攻に耐えられなくなり切島はダウンした。結果、爆豪が三回戦進出を決めた。これですべての二回戦の試合が終わり、三回戦のカードが確定した。

 

準決勝の対戦カードは

 第一試合・轟VS飯田

 

 第二試合・垣根VS爆豪




未元物質でスタングレネードとか作れるんですかね?
どこまで作れるか分からん…

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