かの悪党はヒーローへ   作:bbbb.

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ふーむ・・・やっぱり木原一族級のサポートが無いと未元体は無理ですかね?


三十六話

 

 「……」

 

 カツカツカツと靴底を鳴らしながら爆豪は無言で歩いて行く。その後ろをついて行く垣根だったがとうとう爆豪に声をかける。

 

 「おい爆豪。このまま行けばヤツにぶち当たる。何か策でもあんのかよ」

 「……」

 「オイオイ無視はねぇだろ爆豪君よ。俺達は同じチームだぜ?」

 「……」

 「おい聞いてん…」

 「ついて来んな!!」

 

爆豪が歩みを止めること無く垣根に怒鳴り散らす。どうやら垣根の言うことは全く聞く気はないらしい。

 

 「別に俺だって好きでテメェのストーキングしてるわけじゃねえよ。さっきも言ったろ?俺達はチームなんだとよ。『協力』ってのが大事らしいぜ?」

 「…テメェの力なんざ借りねぇ。俺一人の力でオールマイトをぶっ倒す!だからついてくんじゃねぇメルヘン野郎!」

 「はぁ?倒す?オールマイトを?お前が?一人で?オイオイオイ、今は冗談を言ってる場合じゃねえんだが」

 「…ッ!?」

 「お前な、ちょっとは大人になれって。テメェ程度で倒せるようなヤツじゃないことくらい分かんだろ?馬鹿じゃねぇんだからよ」

 「うるせぇなァ!!終盤まで翻弄すればオールマイトだって疲弊する!そこを俺がぶっ潰すんだよ!!分かったらとっとと失せろ!!」

 「んなもん疲弊する前にテメェが潰されて終わるに決まってんだろ。ったくマジで単細胞だなお前」

 

垣根が呆れるように言うと、突然爆豪が自身の右腕を垣根目掛けて振るう。

 

 「おっと」

 

バックステップすることでそれを回避する垣根。爆豪は、まるで親の敵でも見るかのように垣根を睨み付け、

 

 「これ以上喋んな…ッ!!ちょっと調子が良いからって調子乗ってんじゃねぇブッ殺すぞ!!!」

 

吐き捨てるかのようにそう言うと再び歩き始めた。

 

 (ハァ…やっぱダメだな。慣れねえことはするもんじゃねぇ。あの様子じゃ期待できそうにねぇし、俺がやるしかねぇか)

 

ため息をつきながら垣根が歩き出した瞬間、

 

 ゴォォォォォォ!!!!!

 

轟音を響かせ、前方から巨大な風圧が凄まじいスピードで迫る。あまりの衝撃に辺り一帯が吹き飛ばされ、ビル群は半壊し、信号機や歩道橋などは跡形も無く消し飛ばされた。爆豪はその風圧を受け後ろに吹っ飛ばされたが何とか踏みとどまり、垣根は咄嗟に翼でガードして凌ぐ。そして舞い上がる土煙の中から、カツカツカツという足音と野太い声が聞こえる。

 

 「街への被害などクソ食らえだ!」

 (何だ…この…威圧感は!?)

 (拳圧だけで街が粉々かよ。イカレてやがるな第一位)

 

オールマイトは二人の前に姿を現し、右足で地面を強く踏みつけると、再度かなりの風圧が二人を襲う。

 

 「試験だなどと考えていると痛い目見るぞ。私は(ヴィラン)だヒーローよ。真心込めてかかって来い!」

 

ゆっくりこちらに向かってくるオールマイト。そのオールマイトをギリギリまで引きつけると、爆豪は左手を前にかざし、

 

 「閃光弾(スタングレネード)!」

 

爆豪の左手が眩く輝き、オールマイトの視界を奪う。

 

 「かかって来いだと?オールマイト!言われねぇでも、ハナから…ゴッ!?」

 

オールマイトが目を覆った隙を突いて飛びかかる爆豪だったが突然言葉が途切れる。オールマイトが爆豪の顔面を掴んだからだ。すると、顔を掴まれた状態のまま、爆豪はオールマイトに爆破の連打を繰り出した。だが、

 

 「あ痛たたたたたたたたたたたたたたっ!」

 

オールマイトには全く効いていない。そしてオールマイトは爆豪の顔を掴んだまま思いっきり地面に叩きつける。

 

 「か、は……っ!!」

 「そんな弱連打じゃちょい痛いだけだがな。そして…」

 「……」

 「君も君だ垣根少年。仲間がやられるのを黙ってみているのかい?」

 

一瞬で垣根の目の前に移動したオールマイトはその拳を垣根に振り下ろす。だが垣根は少しも動じることなく、翼でそれを受け止める。

 

 ブォォォォォォォォン!!

 

翼と拳がぶつかった瞬間、衝撃波が発生する。

 

 「硬いねぇその翼」

 「そりゃどうも」

 「…ッ!?」

 

とっさにその場を離れるオールマイト。次の瞬間、オールマイトがいた場所に二本の槍が交差するように地面から伸びていた。

 

 「危ない危ない。油断も隙も無いね全く…ん?」

 

オールマイトが視線をずらすと、こちらに歩いて向かってくる爆豪の姿が見える。まだオールマイトを倒すことを諦めていないようだ。

 

 「おい引っ込んでろくたばり損ない。テメェのレベルが通用する所じゃねえんだよ」

 「うるせェ…引っ込むのはテメェの方だ!勝つんだよ!俺は…ヒーローなんだから!」

 「テメェいい加減に…」

 「取り敢えず!君にはコイツをプレゼントだ!」

 

二人の会話中にオールマイトが空から車を垣根に投げつける。垣根は翼で車を粉砕するも、

 

 ボォォォォォン!!

 

ガソリンが引火し爆発を起こす。そのまま地面に着地したオールマイトは爆豪に迫ると、鳩尾に強烈な一発をたたき込む。

 

 「がは……っ!?」

 

モロに喰らった爆豪はうめき声と共に後ろまで吹っ飛び、空中で胃の中身を全てぶちまけながら地面に倒れ込んだ。

 

 「まぁ無理に仲良くしろとは言わないけどさ、君たちは今敵と対峙しているわけだぜ?だったらここは好き嫌い関係なく、協力してこの状況を打開していくもんなんじゃないのかい?君に今足りない部分はまさにそういう所だよ。もったいないんだ君は!力は十分あるのに!」

 「黙れオールマイト…俺は、俺の力でアンタを倒す…!!アイツじゃねぇ…俺が、トップだ!!!」

 「そっか…後悔はないようにな」

 

低い声と共にゆっくりと右腕を振り上げるオールマイト。そしてその右腕が爆豪に振り下ろされようとしたその時、

 

 「!?」

 

 ズガァァァァァァァァァン!!!

 

派手な音を立てながらオールマイトが立っていた場所にナニカが激突する。直前に察知したオールマイトは即座にその場を離れたため、直撃を回避。土煙が晴れると、先ほどまで自分が立っていた場所に白い翼が深々と突き刺さっているのが見える。その翼が地面から引き抜かれ、ゆっくりと空に昇っていく。オールマイトが空を見上げると、十五メートルはあろうかという巨大な六枚の翼を携えながら浮かんでいる垣根の姿があった。両者睨み合う中、垣根が右腕を前に出し、クイッと手のひらを動かす。すると空中に白い鳥居の様なモノが突如として現れ、そのまま地上目掛けて落下し、爆豪に直撃した。

 

 「ご、は……っ!?」

 

完全に不意を突かれた爆豪は地面に叩きつけられ、その鳥居は爆豪を地面に固定するかのように地面に深々と突き刺さる。

 

 「…何すんだテメェ!!!」

 

爆豪は必死に抜け出そうと身体をよじりながら垣根に怒鳴り散らすも、

 

 「寝てろ」

 

垣根は冷めた声音で言い放ち、今度はオールマイトの方へ向き直る。

 

 「…何の真似だい?垣根少年」

 「別に。足手まといを片づけただけだが?」

 「ハァ…全く、何で君たちはそうなっちゃうかなぁ…それで?まさか君一人で私を突破すると?」

 「ま、そういうことになるな」

 「ほぅ…安く見られたもんだな私も」

 

オールマイトは脅しをかけるかのように低い声を出すが垣根は全く動じない。

 

 (重りをつけた状態であのパワー…全速力で突っ切って強引にゴールしようかとも思ったが、残念ながら追いつかれない保証はねぇな。やっぱここで闘り合うしかねぇ。だが…)

 

垣根は不敵に笑いながらオールマイトを見据えると、

 

 「良い機会だ。見せてもらうぜNo.1。平和の象徴の実力ってヤツをよ!!」

 

力強く言い放った垣根は一斉に六枚の翼をオールマイトに向けて放つ。一方でオールマイトは後ろに跳躍することでそれらを躱した。標的を見失った六枚の翼は、

 

 ズガァァァァァァァン!!!

 

爆裂音と共にコンクリートの大地に炸裂し、いとも容易く崩壊させる。オールマイトはそのまま背後のビルを足場にしすると今度は一気に垣根との距離を詰め、その拳を垣根に叩きつける。すかさず垣根は翼で防御するもオールマイトの攻撃は止まらない。

 

 「一度でダメでもこれならどうかな?」

 

 ドドドドドドドッッ!!!

 

目にもとまらぬ速さで拳のラッシュをたたき込んでいくオールマイト。最強の(パワー)による連続攻撃は垣根の翼の羽根をどんどん削り取っていく。すると突如翼の羽根が槍の形に変化し、

 

 ズバッッッ!!!

 

ゼロ距離からオールマイトに一斉に放たれる。

 

 「くっ…」

 

とっさに身体をひねることでなんとか直撃は免れたが、いくつかのかすり傷を負ってしまうオールマイト。オールマイトは再び地上に着地し、垣根の方を見上げる。先ほど削り取った羽根の分はすっかり再生し、涼しい顔してオールマイトを見下ろしていた。

 

 「あんだけ削ったのにもう再生したのか。とんでもない速さだな」

 

オールマイトが垣根の翼について驚いていると垣根が不意に左手を前に出す。そして、

 

 「潰れとけ」

 

そう言った途端、

 

 ゴッッッッ!!!

 

突如オールマイトの身体に謎の負荷がかかる。

 

 「んお…!?何だこの圧力は…!?」

 

オールマイトの身体にかかる圧力はどんどん大きくなっていき、オールマイトは片膝をつく。だが、

 

 「何のこれしき!!!」

 「!?」

 

野太い声を上げると、

 

 ダッッッ!!!

 

勢いよくは前方に駆け出した。自力であの重圧から逃れたのだ。そして再び垣根の元へ跳躍すると回し蹴りを放つも、とっさに回避する垣根。攻撃が当たらずまたもや地面に着地するオールマイト。すると、

 

 ズシンッ!

 

鈍い音を立て、何かが地面に落ちる。オールマイトが足下を見ると、地面に自分の足に付けていた重りが転がっていた。先ほど垣根の攻撃による負荷とオールマイトが踏ん張った際の力に耐えきれず重りが壊れてしまったのだろう。どうしようかとオールマイトが考えていると、垣根の声が聞こえる。

 

 「流石に驚いたぜ。まさかアレを自力で抜け出すとはな。どんな身体してんだよ」

 「驚いたのはこっちの方さ。何だい?あのエゲつない攻撃は。マジで潰れるかと思ったよ。おかげで重りも壊れちゃったし」

 「別に俺は構わねえぜ?重りなんか無くてもよ。第一、予想外の事態なんてのは常に起こりうるもんだ。それを含めて対処し、社会を守るのがヒーローなんだろ?オールマイト先生」

 「…ああそうだな。よく分かってきたじゃないか垣根少年。では、試験は続行ってことでいいかね?」

 「あぁ」

 

垣根はオールマイトの問いに答えると同時に二枚の翼をオールマイトに向けて放つ。またもや跳躍で躱すオールマイトだったが、

 

 「!?」

 

地面に着地する寸前に今度は残りの四枚の翼がオールマイトを襲いにかかる。咄嗟に腕をクロスし、防御の姿勢を取るオールマイトだったが、

 

 「くっ…!?」

 

重い衝撃がオールマイトを襲い、ガードしきれずに一気に後方まで吹っ飛ばされてしまうオールマイト。そして十五メートル級の四枚の翼はそのままオールマイトを既に半壊していたビルへと叩きつけた。

 

 ドシンッッッ!!

 

派手な激突音を聞きながら、垣根は翼を自分の下に戻し様子を見る。すると土煙の中から一つの影が勢いよく飛び出し、一気にこちらに向かってくる。その正体はオールマイト以外あり得ない。垣根はニヤリと笑いながら再び翼を振るう。

 

 「オラァァ!!」

 「ふん!!」

 

純白の翼と最強の拳が激突する。その瞬間、

 

 ブォォォォォォォン!!

 

巨大な衝撃波(ソニックブーム)が発生し、辺りのビル群を一斉になぎ払う。辺りはすっかり荒野と化すも、尚も攻撃の手を緩めない二人。互いの攻撃がぶつかるごとに大気が揺らぐ。そしてついには、オールマイトの腕についていた重りも度重なる衝撃に耐えられず、壊れ落ちてしまう。この異常な光景を、モニター室にいる生徒達はただ圧倒されながらモニター越しで見つめていた。

 

 「垣根ちゃん…本当に凄いわ…!」

 「相手はあのオールマイト先生だぞ!?どうなってるんだ…!?」

 「次元が違いますわ…!!」

 「…アイツ、今まで全然本気じゃなかったんだな。これを見るとよく分かるぜ」

 

一緒に見ていたリカバリーガールでさえ、信じられないといった表情を浮かべている。

 

 「信じられない…あのオールマイトと互角に渡り合える子が一年にいるなんて…あたしゃ夢でも見てんのかね。垣根帝督。入試や体育祭を見たときから優秀な子だとは思ってはいたが、まさかこれほどとは…」

 

垣根帝督という存在がいかに規格外か、改めて実感する生徒達。そしてそれは爆豪にも当てはまる。地に伏しながら目の前で行われている規格外の戦闘を呆然と見つめる爆豪。自分が一番でなければ気が済まない。彼はそういう人間だった。その負けん気故にここまでの力を手に入れることが出来たのだ。だが、だからこそ垣根が気にくわなかった。入試成績でも体育祭でも垣根には及ばなかったという事実が爆豪の自尊心に傷を付けた。この試験でオールマイトを倒すことが出来れば垣根の上を行ける。そう思っていたのに結果はこのざまだ。認めたくはない。こんなことを認めるのならば死んだ方がマシだと思うくらい認めたくなかったが、それでも心のどこかで気付いてしまう。垣根の方が『上』だと。

 

 「くっそォ…!!!」

 

爆豪は歯を食いしばりながら悔しそうに呟く。一方その垣根は、数十にも及ぶオールマイトとの打ち合いを終え、一息ついていた。辺りは瓦礫の山。二人の放つ攻撃の余波に建物が耐えきれなかったのだ。最後は垣根の六枚の翼がオールマイトをガードごと吹っ飛ばし、打ち合いは小休止を迎えている。これだけ辺りをめちゃくちゃにしたため、減点は免れないなと考えつつ、垣根は爆豪の方を振り向く。

 

 (そろそろかな)

 

垣根は心の中で呟きながら、爆豪の下へ移動し着地する。そして鳥居の拘束を解き、爆豪を見下ろしながら話しかけた。

 

 「頭は冷えたかよ」

 「…何しに来た?」

 「決まってんだろ?作戦会議ってヤツだ」

 「あァ!?」

 「この試験はアイツに手錠をかけるか出口にたどり着くかしねえと合格出来ねぇ。前者はほぼ無理だとして、俺かお前かどっちかが出口にたどり着かなきゃならねえ訳だ」

 「……」

 「だからお前がゴールしろ」

 「!?」

 

爆豪は驚いた様子で垣根を見る。垣根が爆豪にゴールを託すというのだ。

 

 「…ゴールするっつってもオールマイトをどうにかしなきゃ邪魔されて終わりだろうがァ」

 「まぁそこら辺は俺が何とかする。お前は何も考えず黙って人間砲弾してればいい」

 「はァ?人間砲弾?何言ってんだテメェ…」

 「ほら、両手についてるそれだソレ」

 

垣根はそう言いながら爆豪の両手の方を示す。爆豪の両手には超火力の爆破を撃つための籠手があった。それを見て数秒考えた爆豪だがやがて垣根の言っている意味が分かったのか驚いた様子で垣根を見る。

 

 「まさかテメェ…!?」

 「ああそうだ。それを二つ同時にぶっ放して一気にゴールまで飛んでいけ。」

 「はァ!?馬鹿かテメェは!!そんなんでオールマイトを出し抜けるわけねぇだろ!!大体、テメェがオールマイトの重りぶっ壊したせいで更に速くなってんだぞ!?追いつかれる可能性だってある!それに籠手は引き金を引かなきゃ発動できねえ。だから二つ同時にぶっ放すのは無理だ」

 「大丈夫だ。それも俺のサポートで何とかする」

 

そう言うと垣根は自身の翼から二本の白い糸を垂れ流し、籠手の引き金に結びつける。

 

 「これで俺が引き金を引けば二つ同時に撃てるだろ?」

 「!?」

 「じゃあ俺がアイツを引きつけてる間に…」

 「作戦会議は終わったかい?」

 

垣根が最後まで言い終わる前に土煙の中からオールマイトが姿を現す。

 

 「さあ!残り時間は少ないぞ!どうするお二人さん?」

 「爆豪…」

 「……ッ!?」

 

歯ぎしりしながら必死に葛藤している爆豪。勝つためには仕方ないと思う一方で垣根の指示に従うのも気にくわない。数秒間身体を震わせながら考えていた爆豪だが、

 

 「あーーーーーー!!!」

 

突然叫び声を上げ、

 

 ボンッ!!

 

顔の前で両手を合わせながら爆発させる。そして、

 

 「…今回限りだメルヘン野郎!」

 

今度は落ち着いた声音で呟くと、いきなりオールマイトの方へ走り出した。

 

 (何だ?今度は体力を温存した爆豪少年が来るのか?)

 

オールマイトが怪訝に思っていると、突如爆豪の背後で轟ッ!!と音を立てながら一気に飛翔していく垣根の姿が見える。

 

 (なるほど!爆豪少年を囮に垣根少年が空からゴールを目指すって作戦か!あまり高く飛ばれると私でも手が出せなくなる。なので優先順位としてはまず…)

 

オールマイトは膝を思いっきり曲げて力をためた後、一気にその力を開放することで天高く跳躍し、一瞬で垣根の目の前に現れる。

 

 「垣根少年からだ!!」

 

オールマイトが垣根の目の前に再度立ち塞がる。垣根はそれを確認すると小さく笑いながら糸を引っ張った。すると、

 

 

 ドガァァァァァァァァァァァァァン!!!

 

地上でものすごい爆発音が鳴り響いた。オールマイトが地上を見ると、爆豪の身体が凄まじい速さで射出されていくのを視認する。オールマイトは一瞬で何が起きたのか悟り、垣根に回し蹴りを放つ。それを翼で防御する垣根だったが、オールマイトは翼を足場にし近くのビルへ飛び移ると、全身のバネの力を両足に集約させ、

 

 ビュンッッッ!!!

 

大きな風切り音と共に勢いよくその身体を射出させた。オールマイトは音速を軽く超越し、前を飛んでいる爆豪に迫っていく。そしてあっという間に爆豪のすぐ隣に躍り出ると拳を構え、

 

 「良い策だったが惜しかったね!」

 

笑いながらそう言うと、オールマイトは超高速で移動している中、爆豪の顔面目掛けて拳を振り抜いた。だが、

 

 轟ッ!!!

 

 「…っ!?」

 

凄まじい風圧と共に爆豪の姿が突然目の前から消え、オールマイトの拳は空を切る。オールマイトは状況把握のためにその場で止まり、前方を見るとここより遙か向こうに爆豪の身体が空を舞っている光景が見えた。そして爆豪は次第に地面に着地した。

 

 (何が起きたのだ…突然もの凄い風が吹いて…ハッ!まさか!?)

 

オールマイトが理解するのと同時にその頭上を大きな影が通り過ぎ、オールマイトの目の前に着地した。

 

 「垣根少年…君の仕業か。」

 「へっ」

 「私が爆豪少年に攻撃する瞬間、爆豪少年に烈風を当てることで更に加速させたって訳かい…」

 「ま、そーゆうこったな。割と一か八かだったが結果オーライだ」

 「全く、なんて子だ…」

 

オールマイトは目の前の少年に驚愕する。ほんの僅かでもタイミングをミスれば終わり。しかもあんなに高速で動いている中でという条件付き。そんな難易度MAXの所業をこの少年は顔色一つ変えずに平然とやってのけたのだ。驚かないわけがない。

 

 「さて、立場が逆になったなオールマイト。アイツがゴールするまでの間、今度は俺がアンタを食い止める番だ」

 「フッ、そうだな。ここからは、ちょっと先生も本気で行かないとかな」

 「いいねぇ。来いよ第一位」

 

垣根の言葉と共に背中の翼が音も無く伸びていく。二十メートルは優に超えるくらいまで翼が伸びると、垣根はそれらの翼に力を込めていく。

 

 「いやいや流石に…デカすぎやしないか?」

 

苦笑いを浮かべながら翼を見上げるオールマイト。六枚の翼が弓のようにしなっていく。オールマイトも目の色を変え、どっしりと前に踏み込むと右手をグッと引き込み力をためていく。再び拳圧を放つ気でいるようだ。対して垣根は特大の烈風攻撃の準備を整える。拳圧か、烈風か。どちらが勝ってもおかしくはないが、ただ一つ言えるのは両者の技がぶつかればとんでもない被害が生まれるということだ。その光景を見ているモニター室の生徒達は慌てたように騒ぎ出した。

 

 「マズいよこれは!!演習場が吹き飛んじゃう!!!」

 「まだ爆豪君はゴールしないのか!?急ぐんだ爆豪君!!!」

 「ひぇーーーー!!!」

 「…ッ!?爆豪…!!」

 

手に汗握る思いでモニターを見つめる生徒達。そしてついに両者の技が放たれようとしたその時、

 

 《垣根・爆豪チーム、条件達成!一年A組期末テスト、演習試験の全演習終了》

 

試験終了を知らせるアナウンスが響き、二人は直前で技を止める。そしてオールマイトが垣根に声をかけた。

 

 「おめでとう垣根少年。君たちの勝ちだ」

 

垣根は黙ってオールマイトを見つめていたがそのまま踵を返して歩き出した。

 

これにて期末試験、終了。

 

 

 

 

 

 

 




僕はかっちゃん大好きですよ?ただやっぱり垣根とオールマイトの戦闘描きたいなぁと思いまして・・・ゴメンかっちゃん。
爆豪勝己:オリジン、めっちゃ好きですし・・・

まぁ取り敢えず期末試験は終わりですね。オールマイト戦は頑張って考えたので、楽しんでいただければなと思います!
あと私は見てないんですが、期末試験の後にちょうど映画の話があるらしいですね。映画もやろうかなぁ
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