かの悪党はヒーローへ   作:bbbb.

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短いです


四十八話

 

 神野区での戦いは結論から言えば、ヒーロー側の勝利に終わった。ただその代償は余りに大きなモノだった。それはNo.1ヒーロー・オールマイトの限界の露呈。オールマイトとオールフォーワンの戦いは全国ネットで放送されたが、その際にオールマイトが既に戦える身体ではないことが国民に発覚してしまったのだ。それでも死力を尽くし、持てる力全てを使ってオールフォーワンを撃退せしめたその姿はまさしくNo.1ヒーローの名に恥じない、誇り高き姿であり、日本全体が歓喜に震えた夜であった。しかしこれから先、長年平和の象徴として街の平和を守り続けてきた偉大な存在をこれまで通り頼りにすることは出来なくなってしまった。オールマイトは事実上の引退。平和の象徴は死んだのだと全国民が認識することとなったのだ。

 今回の事件の当事者、垣根はと言うと緑谷達と脱出し、オールマイトの勇姿を駅のパブリックビューイングで見届けた後、警察で事情聴取を受けた。夕方頃までかかった事情聴取後、帰宅した垣根を迎えたのは包帯がぐるぐる巻きの状態のグラントリノだった。グラントリノは帰宅した垣根を一瞥したが、特に何も聞かずいつものようにぶっきらぼうに言った。

 

 「ほれ、早く飯作ってくれ。見ての通り体中痛くてかなわん」

 「・・・へいへい」

 

いつものように食卓を囲い、その日を終えた。長かった林間合宿も本当の意味で終わったんだなと実感する垣根であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、垣根の家にオールマイトと相澤が訪れた。なんでも、今回や今までの敵襲撃を受け、生徒に対する更なる保護強化の必要性を強く実感した雄英高校は本格的な全寮制に切り替えることにしたらしい。今回は生徒の入寮に関する保護者の同意を得に来たというわけだ。垣根とグラントリノ、オールマイトと相澤が対面する形で向き合い、話し合いが行われた。一通り相澤の説明が終わった後、グラントリノが声を発する。

 

 「寮か・・・確かにそっちの方が安全かもしれんな。俺は賛成だが帝督、お前はどうだ?」

 「あ?・・・あぁ、いいんじゃねぇか」

 「?」

 「それと、順序が逆になってしまいましたがグラントリノさん。この度は帝督さんを危険な目に遭わせてしまい、大変申し訳ございませんでした。現場にいながら誘拐を阻止できなかった私の責任です」

 「私からも謝罪させて頂きます。垣根少年、本当にすまなかった」

 

相澤とオールマイトが深々と頭を下げる。するとグラントリノはそれを軽くあしらった。

 

 「あーもういいわいそんな事。色々あったが結果的にコイツは無事だった訳だし、まぁ良しとするわい」

 「し、しかし・・・」

 「大体、自分の身くらい自分で守るのが普通だろうが。この馬鹿息子が!」

 「ってぇ!?」

 

いきなりグラントリノに頭をはたかれ思わず呻く垣根。それを見たオールマイトは相変わらずだなと苦笑する。

 

 「こんのクソジジイ・・・!」

 「まぁしかし、何だ・・・こんなんでも一応ウチの一人息子だからな。しっかり頼んだぞ」

 「「はい!」」

 

グラントリノの言葉に強く返事を返すオールマイトと相澤。一方垣根は先ほどからずっと浮かない表情をしていたので思わずオールマイトが尋ねる。

 

 「垣根少年?さっきから浮かない様子だが何かあったのかい?何か不明点があるとか?」

 「・・・いや、別に何でもねぇよ」

 「そ、そうか・・・」

 

若干の違和感を覚えつつも、それ以上は詮索することはしなかったオールマイト。その後もいくつか両者の間で話し合いが行われたが、数十分後には家庭訪問は終わりとなった。そして数日が経過し、いよいよ入寮日を朝を迎えると垣根は出発の準備をする。グラントリノも垣根を送り出そうと玄関までやって来た。

 

 「忘れ物ないか?後から『送ってくれー』とか言うなよ。面倒くさいし」

 「ねぇよそんなもん」

 

靴紐をしっかり結ぶとスッと立ち上がる垣根。ドアを開けて家を出ようとした時、ふとグラントリノの方へ振り返り一言呟いた。

 

 「あー・・・行ってくる」

 「・・・気をつけてな」

 

グラントリノの言葉を聞くと垣根は家の外へ足を踏み出した。

 

ここから新たな学校生活が始まる

 




林間合宿編終わりです
やっと終わった・・・
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