かの悪党はヒーローへ   作:bbbb.

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六十話

 「オラァァァァァ!!」

 「くっ・・・!?」

 

 怒号と共にミルコの蹴りが大男に炸裂する。ミルコと会敵している大男の敵・活瓶力也はなんとか腕でミルコの蹴りをガードするも、あまりの威力に思わずうめき声を上げる。右足の蹴りを防御されたミルコは間髪入れずに左足を振り抜き、活瓶の顔面を狙うがまたしてもすんでの所で防がれた。すると今度は活瓶の腕を利用し、体をスピンさせながら活瓶のボディ目掛けて勢いよく回し蹴りを放つミルコ。

 

 「ボディががら空きだぜぇぇ!!!」

 「くほっ・・・!?」

 

がら空きになった腹部に鋭い蹴りが直撃し、一瞬意識が飛びかける活瓶。活瓶の体はそのまま後方へと吹っ飛ばされ、地面に仰向けに叩きつけられた。活瓶が目を開き空を見上げると、そこには太陽を背に不敵に笑いながらこちらに飛びかかってくるミルコの姿が目に入る。活瓶に追撃するために空へと飛び上がったミルコは右足を高らかに振り上げると、自由落下に任せて下降し目下の標的へ必殺の一撃を繰り出した。

 

 「月墜蹴(ルナ フォール)!!」

 (やばいやばいやばい!!)

 

本能的に身の危険を感じ取った活瓶はかろうじて身をよじり、直撃を回避する。

 

 ドゴォォォォォォン!!!

 

標的を見失ったミルコの右足はそのまま地面に直撃し、轟音と共にコンクリートを粉々に粉砕した。間一髪でミルコの攻撃を躱した活瓶はすぐさま立ち上がり、ミルコに向かってその巨大なこぶしを振り上げる。だが、

 

 「ごはっ・・・・・!?」

 

突如横腹に重たい衝撃が伝わり、その巨体が宙に舞う。活瓶を吹っ飛ばしたのは六枚の巨大な翼。そしてその持ち主である垣根がミルコの下まで歩み寄ってきた。

 

 「おい垣根、今いいトコなんだから邪魔すんな」

 「んなこと言ってる場合かよ。こんなとこでいつまでもぐずぐずしてると、美味しいところ全部緑谷達(アイツら)に取られちまうぜ?」

 「ん、それは困るな!よし、速攻で終わらせる!」

 「おのれぇぇ・・・!!!」

 

垣根の攻撃を受けた活瓶はミルコ達を睨めつけながら立ち上がろうとした時、ガシッ!っと大きなかぎ爪でその頭部を上から掴まれ再び地に叩きつけられる。

 

 「ごふっ・・・・・・!?」

 「大人しくしていなさい」

 

個性を発動しドラゴンに変身したリューキュウによって地面に押さえつけられる活瓶。少し遅れてお茶子と蛙吹も現場に駆けつけた。全く動く素振りを見せない活瓶を見てリューキュウは周りの警官に合図する。それと同時に警官達が活瓶に近寄り、大きめな拘束具を活瓶に装着させた。

 

 「拘束、完了しました!」

 「インパクトの割に呆気なかったわ・・・」

 「だねぇ。ミルコさん達があっという間に片づけちゃった」

 「活瓶力也。人に触れ、息で活力を吸い取り巨大化します。気を失っている内に隔離させて下さい」

 「はっ!」

 「中も荒れてるよ!急いだ方がいいよ!」

 

リューキュウ達とは少し離れたところで屋敷の方へと指を指しながらねじれが言う。リューキュウもねじれの言葉に頷きながら応える。

 

 「ちょっと遅れたけどナイトアイ達を追うよ」

 「「はいっ!」」

 「よーーーし!私たちも行くぜぇ!遅れんじゃねぇぞ垣根!」

 「こっちのセリフだ」

 

リューキュウやミルコとそのインターン生達が屋敷へ向かっていこうとしたその時、

 

 「えっ・・・?」

 「あらっ・・・?」

 

麗日と蛙吹が突然よろめきながら地面に座り込む。リューキュウは慌てて活瓶の方へ振り返ると一瞬で状況を理解した。

 

 「活力を、吸ってる・・・!?そんな・・・触れてもいないのに!」

 「入中からもらったブースト薬がァ、やっと効いてきた・・・!!」

 

蛙吹や麗日だけでなく、周りの警官達の活力も吸い上げた活瓶はみるみる体を巨大化させていき、自身に付けられていた拘束具をそのパワーで引きちぎると再度臨戦態勢に入った。

 

 「すごく元気が・・・」

 (いけない・・・!)

 「湧いてきたァァ!!!」

 (個性がブーストされてる!!)

 

活瓶が麗日達目掛けて振るった拳をリューキュウは竜化することによって受け止めたが、ブースト薬の効果に驚きを隠せずにいた。ブースト薬によってパワーアップを果たした活瓶は殴打のラッシュをリューキュウに浴びせていく。

 

 (みんな活力を吸われ、立つことすらままならない・・・)

 

へたりこんだ麗日達に攻撃が当たらないよう活瓶の攻撃をいなすリューキュウ。すると突然リューキュウはねじれの名を叫んだ。

 

 「ねじれちゃん!」

 「チャージ満タン!」

 

既に宙に浮かび狙いを定めていたねじれは自身の個性・波動を活瓶に向けて放出するも、ねじれも活力が吸われているのか、ほとんど効いている様子は無かった。

 

 「あ?ハッハッハッハッハ!薬が切れたァ・・・触らせろォ可愛い子ちゃん!」

 「・・・・・・!」

 「なんだァ!?まだ元気そうじゃねぇかこの野郎!!」

 「!」

 

高らかに叫びながら再び活瓶との距離を即座に縮めると、ミルコは自身の右足を活瓶に叩きつけた。だが、

 

 「!」

 「へっ!なんだァ、その程度か?」

 

今度はがっしりと左腕でミルコの攻撃を防いだ活瓶。そしてそのままミルコ目掛けて右腕を豪快に振るう活瓶だったが、ミルコはすかさず後ろへ飛び退くことで回避した。

 

 「おんもしれぇ!!やっぱテメェは私がぶっ飛ばす!!」

 「麗日さん!」

 「!」

 

ミルコと活瓶が再度交戦状態に入ったとほぼ同時に緑谷が屋敷の中から現れ、麗日に声をかける。意識がもうろうとする中、緑谷の方を向く麗日。すると緑谷はあさっての方角を指さしながら言葉を続ける。

 

 「応援を呼びに来た!あっちの十字路の下に目的がいる!プロが戦って足止め中だ!加勢を!」

 「緑谷だぁ?」

 

用件を伝え、自身が指さした方へ走っていく緑谷を見て不審に思う垣根。だがリューキュウとミルコは緑谷の言葉を聞くと素早く動き出す。ミルコが再び活瓶に接近すると、活瓶はミルコ目掛けて右拳を振るう。ミルコは活瓶の拳をギリギリまで引きつけると、一瞬で活瓶のすぐ頭上に跳躍し攻撃を躱した。それを見た活瓶はニヤリと笑い、今度は左腕を振りかぶる。

 

 「空中じゃ避けられねぇぞ!!」

 

頭上のミルコ目掛けて力一杯左腕を振り抜いた活瓶だったが、ミルコは宙でくるりと身をよじりまたもや活瓶の攻撃を躱すと、そのまま素早く活瓶の懐に沈み込む。一瞬で視界から消えたミルコに動揺し、生まれた隙をミルコは見逃さない。

 

 「あんま私を、舐めてんじゃねぇぞコラァァァ!!!」

 

またしてもがら空きになったボディに渾身の右足が突き刺さる。

 

 「ゴホッ・・・・・・!?」

 

凄まじい衝撃と痛みが活瓶の意識を刈り取り、その巨体は後方へ勢いよくバウンドしていく。そして活瓶の体勢が立て直らないうちにリューキュウが活瓶の体に密着し、蛙吹の舌でリューキュウごと縛り上ることで動きを完全に封じた。リューキュウと活瓶の重さを麗日の個性で軽くすると、蛙吹達は緑谷が指した方向へ一斉に向かっていく。一方の垣根は戦況を見ながら先ほどの緑谷について考えていた。何か違和感がある。その違和感の正体について考えていたのだが、そこへミルコの声が聞こえる。

 

 「おい!何してる?さっさと行くぞ!」

 「・・・あぁ、そうだな」

 

まだ思考がまとまっていない垣根だったが、取り敢えず今は現場に急行することが優先だと考え、翼を広げミルコと共に蛙吹達の後を追う。そしてリューキュウは緑谷が示した地点に着くと、再びねじれに指示を出した。

 

 「ねじれちゃん!ありったけを私ごと!」

 「な・・・なんで・・・動けるんだ・・・この・・・女、ども・・・」

 「毎日」

 「言われてるから」

 「さらに向こうへ」

 「「「Plus Ultraって!!!」」」

 

ねじれの渾身の波動によってリューキュウと活瓶の巨体は空中から勢いよく地面へと激突する。

 

 ドゴォォォォォォォン!!!!!

 

二体の巨体の重量に勝てず、コンクリートの地面は派手な音を立てて崩落した。




ミルコ活躍回になっちゃった 
次は垣根君もちゃんと戦います・・・
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