かの悪党はヒーローへ   作:bbbb.

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とあるIFで今開催されてるアイドルイベントやったんですけど垣根君ノリノリで草


六十六話

 「インターン組は補習だよね?」

 「あぁ!」

 「ゴメンね!」

 「謝らなくていいよ。文化祭の方はこっちでやっとくから」

 

 下駄箱で尾白と別れる緑谷・切島・垣根。緑谷と切島が尾白に手を振る中、明らかに納得できないという様子で垣根が口を開いた。

 

 「なぁ?なんで俺も補習を受けなきゃならねぇんだ?」

 「いいじゃねぇか。俺達あのインターンを乗り切った仲だろ?だったらこのまま一緒に補習も乗り切ろうぜ!」

 「いや知らねぇし。クソ時間の無駄なんだが」

 「それに相澤先生からも言われてるからよ!『垣根がサボらないよう必ず連れてこい』ってな。お前一回目の補習サボったから目付けられてんだよ」

 「…あの野郎、いっつも合理的合理的言ってるくせに何でこういう時は融通効かねぇんだよ」

 「『決まりには従え』だってさ」

 「チッ」

 

忌々しそうに舌打ちをする垣根。この補習があるせいでインターン組は文化祭の準備にあまり関われていない。文化祭の出し物が決まったのもインターン組が補習を行なっている最中だったので、インターン組は後から知らされることとなった。A組は文化祭で生演奏とダンスを行なう。まだ具体的には何も決まってないが、体育館を借りてド派手なやつをやるつもりらしい。企画について今日具体的に話し合うらしいが、インターン組は本日も補習のため途中参加となる。

 

 「ま、今日で補習最後だしよ、気張っていこうぜ」

 「うん!そうだね!」

 「ハァ…面倒くせぇ……」

 

気合いを入れる切島や緑谷とは対照的に垣根は心底ダルそうな様子を見せながらも二人と共に補習へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は午後19時30分。やっと最後の補習が終わり、垣根達補習組は寮へと帰還した。

 

 「うぃーっす」

 「遅くなってゴメン」

 「補習今日でようやく穴埋まりました。本格参加するよ~!」

 「ケロー!」

 

寮のロビーで話し合っていたクラスメイト達と合流した垣根達は早速話を聞く。

 

 「なるほど。音楽はニューレイヴ系のクラブロックに決まったのね」

 「耳郎がベースで八百万がキーボードってのは分かるんだけど…」

 「爆豪君がドラムっていうのはなんていうか…」

 「クソ笑える」

 「んだとォ!?もういっぺん言ってみろやメルヘン野郎!!」

 「まぁまぁ落ち着いて」

 「それで肝心のボーカルは誰が担当するの?」

 「いやまだ決まってなくて…」

 「えっ?歌は耳郎ちゃんじゃないの?」

 「えぇぇ!?」

 

麗日の言葉を受け、驚きの声を上げる耳郎。するとそこへボーカルへ名乗りを上げる者達がいた。

 

 「ボーカルならオイラがやる!モテる!」

 「おう!楽器はできねぇけど歌なら自信あんぜ!」

 「切島君はジャンルが違くない?」

 「#&%$*@#&%$」

 「がなってるだけじゃない?」

 

峰田と切島に冷静に突っ込みを入れていく麗日。すると葉隠も麗日と同じように耳郎のボーカルを提言しだした。

 

 「私もお茶子ちゃんと同じで耳郎ちゃんだと思うんだよ!前に部屋で教えてくれた時 歌もすっごくカッコよかったんだから!」

 「ちょっと、ハードル上げないでよ。やりづら…」

 「いいからいいから!」

 

耳郎は葉隠に強引に押され、マイクの前に立たされた。

 

 「オイラたちの魂の叫びを差し置いてどんなもんだよコラァ!」

 「耳郎の歌 聴いてみてぇな。いっちょ頼むぜ!」

 

全員が見守る中、耳郎は静かに歌い出した。その美声に思わず聞き入ってしまうクラスメイト達。ハスキー気味の綺麗な高音で歌われるその調べはこの場にいる全ての者の心を魅了した。耳郎が歌い終わり、遠慮がちに皆を見渡した途端、歓喜の声が上がった。

 

 「耳が幸せ!」

 「ハスキーセクシーボイス!」

 「でしょでしょ!」

 「よし!では満場一致で決定だ!」

 「じゃあそれはそれで…で!あとギター!2か3本欲しい!」

 「ウェーイ!やりてぇ!楽器弾けるとかカッケェ!」

 「やらせろ!」

 「やりてぇじゃねぇんだよ。殺る気あんのか!?」

 「あるある!超ある!ギターこそバンドの華だろう!?」

 「んんっ…!キャラデザのせいで手が届かねぇよォォォォ!」

 

峰田がメタ的なセリフと共に放り出したギターを拾い上げ、渋い音を奏でる者がいた。

 

 「なんて切ねぇ音 出しやがる…!」

 「弾けるのか!?なぜ黙ってた!?」

 「Fコードで一度手放した身ゆえ。峰田、お前が諦めるならば俺がお前の分まで爪弾く」

 

こうして峰田の代わりに常闇が弾くこととなった。残る最後のギターを切島は手元に抱え上げながら呟く。

 「俺だと弦切りそう…お!そうだ垣根、お前弾いてみろよ。なんか似合いそうだし」

 「あぁ?」

 

切島から強引にギターを渡された垣根は顔をしかめながらも、現に指をかけ、さらっと音を奏でる。それを見た切島は「おおー!」と感嘆の声を上げた。

 

 「お前弾けんじゃねぇか!やってた経験あんのか!?」

 「昔ちょっと触ったことある程度だ。ガッツリはやってねぇよ」

 「いや、充分だよ!お願いしていいかな?」

 「…ま、他にやる奴いねーならいいぜ」

 「ありがと!」

 

垣根に承諾され、嬉しそうな表情を見せる耳郎。するとそこへ芦戸が近づいてきて垣根の話しかけた。

 

 「垣根ギターやんの?」

 「ああ。そうらしいな」

 「あーそっか…」

 「…なんだよ。言いたいことあんならはっきり言え」

 

垣根が何か言いたげな芦戸に向き直る。少し迷っていた素振りを見せていた芦戸だったが、やがて口を開く。

 

 「えっとね~、さっき話し合ったんだけど切島と垣根には演出を担当してほしなぁ~って!」

 「演出?」

 「そうそう!例えばよくライブで火花とかテープとかミラーボールで盛り上げてるでしょ!空間作りで欠かせないのが演出!夢の国のパレードみたいなやつの参加一体型バージョンをやりたい!」

 「おぉ!なんかおもしろそうだな!な?垣根!」

 「参加一体型…」

 「うん!えっとね、例えば例えば!麗日が轟と切島を浮かしとくでしょ!でね!轟の氷を切島がゴリゴリ削るの!で垣根が飛んでるとこに落とせばスターダストみたく光がキラキラ舞い落ちるんだよ!ズバリ!チーム”スノーマンズ”!」

 「おお!すげぇおもしろそう!やろうぜ垣根!」

 「ふざけんな。やるわけねぇだろ」

 

芦戸の提案を即却下する垣根。垣根に却下された芦戸は驚きの声を上げた。

 

 「ええええ!?なんでーー!やろーよー!」

 「そうだぜ垣根!俺達ですっげぇ演出見せてやろうぜ!」

 「あのなぁ…お前はまだしも、俺は完全に見世物じゃねぇか。なんで俺がそんなことやらなきゃいけねぇんだよ」

 「だってぇー、垣根の羽すっごく綺麗なんだもん!絶対映えるし絶対女子ウケするよ〜!ね、やろ?」

 「こんだけ芦戸が頼んでんだ!引き受けてやるのが漢ってもんだろ!」

 「もんだろもんだろー!!」

 「お前らなぁ」

 

しつこく頼んでくる切島と芦戸に辟易しつつも、垣根はある出来事を思い出す。

 

 (そういや、学園都市にいたときも似たようなことがあったな……)

 

あれはピンセット事件の少し前。いつものエージェントから突然連絡が来た垣根は仕事の話かと思い話を聞くと、大覇星祭の選手宣誓をやらないかと勧誘されたのだ。当然垣根は一蹴したがエージェントも中々しつこく垣根に食らいつき、しまいにはお前の能力はお子様向けのビジュアルだと言われる始末。流石に垣根がブチ切れたので相手も手を引いたが、まさかこの世界に来ても似たような目に遭うとは思いもしなかった。

 

 (メルヘンっぽいっつー自覚はあるが、そんなにか……?)

 

垣根が自身の能力のビジュアルについて思い詰めていると、横から緑谷も話に入ってきた。

 

 「でも、垣根君の個性が映えるっていうのは本当だと思うよ」

 「……そうか緑谷。お前も俺をコケにするのか」

 「えっ!?ち、違うよ!そういう意味じゃなくて。ただ、エリちゃんが……」

 「エリ?」

 「う、うん、エリちゃんがね、この前の戦いの時、垣根君の翼を見て『綺麗』って言ってたんだ」

 「…………」

 「だから、垣根君の個性が見られたらエリちゃんもきっと喜ぶんじゃないかな?」

 

緑谷の言葉を聞き、垣根は思わず口を閉じる。すると瀬呂が何か良い案が思いついたかのようにニヤリと笑いながら垣根に話しかけた。

 

 「まぁそうは言っても本番中垣根はギター弾いてる訳だし?流石にいくら垣根といえど、ギター兼演出なんて超高度な芸当は無理じゃねぇかぁ?」

 「」ピクッ

 「まーこればっかりは仕方ねーよなー。しょうがねぇ。ここはいっちょ爆豪にでも頼んでみるか。あいつの器用さならなんとか出来そうだしな~」チラッ

 「…おい、誰が無理だって?おもしれぇ、やってやるよ。お前らの常識は俺に通用しねぇってことを分からせてやる」

 (コイツも爆豪と一緒でチョレーー!)

 

こうして瀬呂の安っぽい挑発にまんまと乗せられた垣根は演出にも参加することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして深夜1時を回った頃…

 

 「よぉぉぉし!これで全役割決定だ!」

 

目を血走らせながら飯田が絶叫する。長い話し合いの末、ようやく全員の役職が決まったのだ。

 

 「バンド隊!」

 

バンド隊は耳郎・爆豪・上鳴・八百万・常闇・垣根の六人。

 

 「演出隊!」

 

演出隊は垣根・口田・切島・瀬呂・轟の五人。

 

 「ダンス隊!」

 

ダンス隊は飯田・芦戸・緑谷・麗日・蛙吹・葉隠・尾白・砂藤・障子・峰田の10人。

 

 「皆!明日から忙しくなるぞぉぉ!!!」

 「「おーー!!!」」

 

深夜のロビーにA組生徒の雄叫びが響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウチらはひたすら…」

 「殺る気で練習!」

 

 翌日のパート分けが決まったその日の午後からA組生徒達は毎日練習に励んでいた。バンド隊は勿論ひたすら曲の練習。皆で合わせながら何度も演奏を繰り返す。音楽経験のある爆豪や八百万とは違い、ギターの上鳴・常闇・垣根は耳郎の指導を受けながら練習していった。耳郎の指導は凄く分かりやすく丁寧なもので、初めは全くの素人だった上鳴も一週間でコード進行までたどり着いていた。垣根もその耳郎のアドバイスの恩恵を受けてた一人で、元々のセンスも相まってかぐんぐんとその腕を上げていき、今ではほぼ完璧に曲を弾きこなせるようになった。

 

 「おいテメェ、リズム狂うから変なアレンジ入れんなって何回言えば分かんだよタコ」

 「知るかボケ!テメェが俺に合わせろやカス!!」

 「ふざけんなよ三下。次勝手なアレンジ入れたら殺すぞ」

 「上等だメルヘン野郎!!クソと一緒に埋めてやるよォ!!」

 「ちょっとお前ら落ち着けって」

 

一日の練習が終わり、ロビーで休憩していたバンド隊。すると早速ギターの垣根とドラムの爆豪が喧嘩を始めたので、上鳴はその仲裁に入る、練習中でもこの二人はよく揉めていてその度に今のように上鳴が二人の仲裁に入っていた。しかし、そんな上鳴にも喧嘩の火の粉が飛び火する。

 

 「うるせェアホ面!!大体テメェ走りすぎなんだよ!俺に続けや!」

 「いやお前が勝手にアレンジすっから混乱すんだよ!」

 「だァからァ!俺に合わせろっつってんだろ!!!」

 「無茶言うなってお前ぇ…」

 「まぁまぁ皆さん少し気を落ち着けましょう」

 

人数分のカップに紅茶を入れて運んできた八百万が爆豪達を諫めると、一人一人にカップを配る。

 

 「お!今日のお茶いい香り!」

 「耳郎さん分かりますの!?お母様から仕送りで頂いた幻の紅茶”ゴールドティップスインペリアル”ですの!皆さんも召し上がってくださいまし!」

 

耳郎から香りを褒められた八百万は目を輝かせ、嬉しそうな様子で紅茶を紹介する。紅茶が運ばれると垣根達も席に着き、幻の紅茶とやらを口に運んだ。

 

 「おぉ!うめぇ!!な?爆豪」

 「ケッ!」

 「闇の祭典…」

 「ゴールドティップスインペリアルか…中々だな」

 

先ほどまでの喧々とした雰囲気はすっかりと消え去り、垣根達はゴールドティップスインペリアルを堪能していた。それを見た耳郎はこっそりと八百万に言葉をかける。

 

 「ヤオモモまじナイス!」

 「?」

 

耳郎の言葉の意味を測りかねた八百万は不思議そうな顔で首をかしげていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は過ぎ、文化祭前日。A組生徒達は下校時間を過ぎても体育館閉館ギリギリまで最終確認をしていた。その中には垣根の姿もあった。垣根は曲の後半で演奏を抜けだし、客の邪魔にならない程度に会場内を飛び回りながら場を盛り上げる。なので飛ぶタイミングなどを轟達と確認していた。しかしその最中に生活指導のハウンドドッグに見つかり、生徒達は追い出されるように体育館を後にした。

 いよいよ明日は文化祭当日だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最初は垣根は演出隊だけにしようと思ったんですけど、本編の映像見たらやっぱギターやらせたいなと思って入れちゃいました()
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