11月も下旬に差し掛かった頃…
「雄英で預かることになった」
「近いうちにまた会えるどころか!」
「早すぎだろ」
ソファに座るエリを指し示しながら驚きの事実をあっさり言う相澤に緑谷と垣根はツッコミを入れた。そんな垣根達を他所に切島・麗日・蛙吹はエリに早速話しかけていた。
「よっ!」
「わっ!エリちゃんやった!」
「私、妹を思い出しちゃうわ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
「どういった経緯で…?」
ねじれや切島達と楽しそうに話しているエリを見ながら緑谷は相澤に尋ねる。
「いつまでも病院ってわけにはいかないからな」
「!」
相澤はそう答えながら緑谷達に一旦外に出るよう合図する。校舎の外に出た垣根達の前で相澤とミリオが訳を話し始めた。
「エリちゃんは親に捨てられたそうだ。血縁にあたる八斎會組長も長い間 意識不明のままらしく現状寄る辺がない」
「それでね、先生から聞いたかもしれないけどエリちゃんの個性の放出口になってる角」
「はい、縮んでて今は大丈夫って聞きました」
「僅かながらまた伸び始めてるそうなんだ」
「じゃあまたああならないように…」
「そういうことだ。で養護施設じゃなく特別にウチが引き取り先となった。教師寮の空き部屋で監督する。様子を見て強大すぎる力との付き合い方も模索していく。検証すべき事もあるし。まぁ追々だ」
「なるほど。そういうことか」
「相澤先生が大変そう…」
「そこは休学中でありエリちゃんとも仲良しなこの俺がいるのさ!忙しいだろうけどみんなも顔を出してよね」
「「勿論です!!」」
するとミリオの隣にいた天喰がミリオの肩に手を乗せて話す。
「エリちゃんが心も体も安定するようになれば無敵の男復活の日も遠くない」
「そうなれば嬉しいね。あはははっ!」
「早速で悪いが3年、頼めるか?」
「らじゃっす!オセロやろっと!」
「僕らもいいですか!?」
「A組は寮へ戻ってろ。この後来賓がある」
相澤にそう言われた垣根達は一体誰が来るのかと不思議に思いながらも、言われたとおりに寮へと戻った。
◆
「へっちょい!」
「風邪?大丈夫?」
「いや息災。我が粘膜が仕事をしたまで」
「なにそれ?」
A組生徒達は相澤に言われた来賓を迎えるためにロビーで待機していた。常闇が風邪を引いたらしく、麗日が心配するもその独特の返しはいつもとなんら変わりなかった。
「噂されてんじゃね?ファンできたんじゃね!?文化祭の時の”ヤオヨロズー!”や”カキネく~ん!”みたいな!」
「茶化さないでくださいまし!ありがたいことです!」
「上鳴、いくら自分がモテないからって僻むのは良くねぇな」
「僻んでねぇよ!!俺だって本気出せばあんくらい余裕だわ!」
「いや、無理でしょ…」
「常闇君はとっくにおるんやない?だってあのホークスのとこインターン行っとったんやし」
「いいや。ないだろうな。あそこは速すぎるから」
「…?どういう事ていと君?」
「後輩に優しくねぇ捻くれた野郎って事だ」
「へぇ、そうなんや」
「いや、そういう意味ではなくてだな…」
垣根達が雑談していると突然、扉をノックする音がした。
「来たぞみんな!お出迎えだ!」
そう言いながら飯田は扉を開けた。すると、
「煌めく眼でロックオン!」
「猫の手手助けやってくる!」
「どこからともなくやってくる!」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」」
林間学校で幾度となく聞いた口上を名乗りながら、プッシーキャッツが扉の前に立っていた。今日の来賓とは彼らのことだったのである。
「プッシーキャッツ!お久しぶりです!」
「元気そうね!キティたち!」
生徒達が嬉しそうにプッシーキャッツに駆け寄る。すると虎が垣根の姿を見つけると、林間合宿での出来事を謝罪しに来た。
「あの時は守り切ってやれずすまなんだ」
「勘違いすんな。あれは俺のミスだ。あんたらは関係ねぇ」
「ウチら大丈夫っすよ。ねぇ?」
「「にくきゅーまんじゅう!にくきゅーまんじゅう!」」
「どうぞ中へ」
「あぁいいの。お構いなく」
「B組にも行かなアカンし」
どうやらこの後はB組にも訪問する予定らしい。そこへ人数分のお茶を運んできた砂藤がある疑問を口にする。
「しかしまたなんで雄英に?」
「復帰のご挨拶に来たのよ」
「復帰!?」
「それはおめでとうございます!」
「ラグドール復帰したんですか!?個性を奪われて活動を見合わせだったんじゃ…」
「戻ってないよ!アチキは事務仕事で3人をサポートしていくの。OLキャッツ!」
「タルタロスから報告は頂くんだけどね。どんな、どれだけの個性を内に秘めているか未だ追求している状況。現状 何もさせないことがヤツを抑える唯一の方法らしくてね」
「ではなぜこのタイミングで復帰を?」
八百万が疑問を口にする。するとその質問にはマンダレイが答えた。
「今度発表されるんだけど、ヒーロービルボードチャートJP下半期。私たち411位だったんだ」
ヒーロービルボードチャートJP。事件解決数、社会貢献度、国民の支持率などを集計し、毎年2回発表される現役ヒーロー番付。すなわち上位に名を刻んだ者ほど人々に笑顔と平和をもたらしたヒーローなのだ。
「プッシーキャッツは前回32位でした」
「なるほど急落したからか!ファイトっす!」
「違うにゃ!全く活動してなかったにもかかわらず3桁ってどういうことってこと!」
「?」
「支持率の項目が我々突出していた」
「待ってくれてる人たちがいる」
「立ち止まってなんかいられにゃい!」
「そういうことかよ!漢だ!ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」
「うるせぇ…」
プッシーキャッツの話を聞いていた垣根は隣にいた耳郎に話しかける。
「ヒーロービルボードチャートJP…要はヒーローの人気投票みたいなもんか」
「うん。大体そんな感じ」
「そういえば下半期まだ発表されてなかったもんね」
「色々あったからな」
「オールマイトのいないビルボードチャートか。どうなってるんだろう?楽しみだな!」
尾白の言葉を聞いた垣根はチラリと轟の顔を見るも、轟は無表情のままだった。
◆
後日、ヒーロービルボードチャートJP下半期の結果が発表された。オールマイトの引退後、見事一位に輝いたのは轟の父・エンデヴァーだった。だが、社会のエンデヴァーに対する信頼はオールマイトに向けられていた信頼程強いものではなく、エンデヴァーの実力に懐疑的な者もチラホラと見られた。そんな時に九州である事件が起きた。福岡で新型の脳無とおぼしき個体が突然現れ、市街地を襲ったのだ。その場に居合わせたエンデヴァーとホークスがこれを迎え撃つも、戦いの中でエンデヴァーが重傷を負ってしまう。もうダメだと人々が絶望しかけたその時、エンデヴァーが不屈の闘志で立ち上がる。そしてホークスの力を借りながら、己の全てを脳無にぶつけることで見事逆転勝利を収めたのだった。テレビ・ネット中継を通して流されたエンデヴァーの死闘の様子は人々に勇気と希望を与え、エンデヴァーへの信頼が高まる第一歩となった。
だがこの事件が新たな戦いに向けての序章に過ぎないということはまだ誰も気付いていなかった。
文化祭編終わってアニメに追いついちゃった☆