かの悪党はヒーローへ   作:bbbb.

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八十二話

 

 

 ――――――蛇腔病院崩壊より少し前。

 

 郡衙山荘ではヒーローと敵達との壮絶な戦いが繰り広げられていた。ヒーロー側の奇襲を受けた敵側は序盤こそ不意を突かれ浮き足立っていたが、次第に体勢を立て直し今や互角の戦いをしつつある。中でも特に厄介な敵が、『氷操』の個性を使う外典と『ストレス』の個性を持つリ・デストロだ。外典の『氷操』は近場の氷を自在に操る異能で、氷を操り大規模は範囲攻撃を繰り出すことでヒーロー達を蹂躙している。一方のリ・デストロはストレスを体内に溜め込むことでそれらをパワーへと変換する。ストレスを溜め込めば溜め込むほどリ・デストロの身体は大きく強靱なものになっていき、その圧倒的力でヒーロー達をなぎ払っていた。

 

 (見たことねぇ奴らだが、存外手間取りそうだな)

 

暴れ回る外典やリ・デストロを未元体が観察していると、

 

 「氷の山、崩します!!」

 「ここで仕留める!」

 

セメントスとエッジショットが二人の前に踊り出る。セメントスはコンクリートを操り外典の氷に対抗、エッジショットは身体を細くし高い機動力でリ・デストロを攪乱させていった。

 

 「氷嚢にしてやる!」

 「くっ…!?」 

 

近くにいたMt.レディをはじめ、他のヒーロー達も二人に加勢し、彼らの動きを制限した。

 

 (中々やるじゃねぇか。ここは任せても良さそうだな)

 

ヒーロー達の様子を見て大丈夫そうだと判断した未元体は山荘の中へと進んでいく。山荘は先ほどセメントスが個性によってその壁を破壊したため、中の様子が剥き出しになり誰でも入れる状態になっていた。

 

 「レディに続け!がんがん捕らえろ!」

 

Mt.レディ達に感化され、自分達も勢いづこうとしたヒーロー達。しかし、

 

 「ぐあッ……!!」

 「う……っ!!」

 

突如数人のヒーローがもだえながらその場に倒れ込む。何事かと振り返った他のヒーロー達の目の前を、黄色い服のコスチュームをしたヒーローが駆け抜け、彼らの頸動脈にナイフで切りつけていく。切られたヒーロー達は先ほどと同様、短い悲鳴とあげながら地面へと倒れ込む。黄色いヒーローはなおも動きを止めず、今度は前方にいた一人の人物へと狙いを定めると、一気にスピードを上げ迫っていった。

 

 『あ?』

 

異変を感じ振り返った未元体。しかし既に回避不能な間合いまで接近した黄色いヒーローは、白い首目掛けて勢いよくナイフを振り抜いた。

 

 ザシュッ!!

 

ナイフが首を切りつける音と感触が手に伝わる。殺った。黄色いヒーローは間違いなくそう確信した。しかし、

 

 『痛ってぇな』

 「!?」

 

自身の背後から無機質な声音の声が聞こえ、黄色いヒーローは思わず目を見開きながら振り返ると、そこにはたった今切りつけたハズの白い人間が平然とこちらを見据えている姿があった。確かに頸動脈を切りつけたというのに、何事もなかったかのようにその場に立っている。黄色いヒーローは困惑しながら白い人間を見つめていると、

 

 ドロッ…

 

突如黄色いヒーローの顔や身体が泥のように溶け始めた。一瞬驚いた素振りを見せた未元体だが、泥が剥がれ落ち露わになったその顔を見た未元体は納得した表情を浮かべた。

 

 『あぁなるほど。テメェの変装だったか。トガヒミコ』

 「……」

 『どうしたよ、そんな目ぇ血走らせながら睨みやがって。だがちょうどいい。俺もお前達敵連合を探しててな。やっと会えたぜ。まずはお前からだ』

 

未元体がそう言い放ち、トガの方へ歩み出そうとしたその時、

 

 ゴゴゴゴゴッッッ!!

 

突如、山荘全体に地響きのような振動が響き渡る。山荘内外にいる全ての人間が揺れを感知し、驚きながらも警戒心を高めていると、

 

 ドォォォォォォォォンッッッ!!

 

凄まじい音と共に山荘内の地面が砕け散り、地中から巨大な腕が出現した。

 

 『なんだ…?』

 

唐突に出現した巨腕を未元体が驚きの表情で見つめていると、地中からさらに巨大な上半身が姿を現した。上半身だけでも10メートルはあろうかという程の巨躯。未元体含めヒーロー達が呆気にとられて目の前の巨人を見つめていると、その巨人がトガや他の敵連合のメンバーを掴み取り自身の背中に乗せていった。

 

 『なっ…!?』

 

未元体が声を漏らした直後、ズドォォォォォン!!と更なる轟音を鳴らしながらその巨人が地上に立った。完全に立ち上がった巨人を見上げた未元体は改めてその身体の大きさを実感する。全長約25メートル程の巨躯でその身体は岩石のような筋肉で覆われていた。巨人はしばらくぼんやりと彼方を見つめていだったが、次の瞬間、

 

 ダンッッッ!!

 

強大な地響きと共に猛スピードで駆け出した。

 

 「「!?」」

 

誰もが驚きながら見つめる中、ドスン!ドスン!ドスン!と大地を響かせながらその巨人はMt.レディのいる方向へと駆け出し、瞬く間に二人の距離がゼロとなる。そして、

 

 ドパンッッッッッッ!!!

 

郡衙山荘にて二人の巨人が激突した。

 

 「主よ…主よ!」

 「こ…このおぉ~っ!」

 

Mt.レディが全力で巨人の身体を押し戻そうとしているが、それでも巨人の足は止まらない。巨人の圧倒的なパワーにレディはみるみる森の中へと後退させられてしまう。未元体は空へと飛び上がると、目を細めながら巨人の背中をじっと見つめた。

 

 (あの巨人…ホークスの報告にあったギガントマキアって奴だな。確か『災害歩行(ディザスターウォーカー)』とか呼ばれてたか。しかしどういうことだ?アイツは動かねえっつってたが…)

 (それにコイツの進行方向…さっき本体(オリジナル)から同期された情報によると、この先には覚醒した死柄木がいる。死柄木が覚醒した直後にギガントマキアの覚醒。偶然か?いや、にしてはタイミングが良すぎる。間違いない。コイツは死柄木の元へ向かっている)

 『…だとしたらマズいな。こいつと死柄木が揃ったら流石に面倒だ。その前に始末するしかねぇ』

 

 轟ッ!

 

轟音と共に翼をはためかせ、ギガントマキアへ迫る未元体。しかし、

 

 ブンッッッ!!!

 

風切り音と共に巨大な拳が未元体目掛けて振るわれる。咄嗟に躱した未元体は体勢を立て直すと、未元体の行く手を塞ぐもう一体の巨大な敵に向き直った。

 

 「実に不愉快!救世主たる解放者に君たち一体何をした!?」

 

ストレスをパワーに変え、巨大化したリ・デストロの叫びが戦場に轟いた。

 

 「チッ、テメェら雑魚に構ってる暇はねぇんだがな」

 

未元体が舌打ちをしながら苛立ちを露わにすると、さらにそこへ外典も現れる。そして、

 

 「ギガントマキアに続け!解放戦士たちよ!これより解放を!革命を始めよう!」

 

リ・デストロの叫びと共に敵達が一斉にヒーロー達に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――蛇腔病院一帯。

 

 

 

 死柄木による大規模な崩壊が収まった後、垣根は蛇腔病院の麓の町の上空を飛行していた。死柄木の崩壊は蛇腔病院だけでなく、麓の町にまで広がり街中のあらゆる建造物を塵へと化していた。もはや壊滅状態の町中を垣根は空から見渡し、救急隊を見つけると彼らの側に着地した。救急隊の人達も人を抱えた垣根の存在に気付くと、彼の側に駆け寄った。

 

 「こいつを頼む」

 「は、はい!」

 

慌てた様子で垣根からミルコを受け取る救急隊。彼らがミルコを担架に乗せている間、垣根は思考を巡らせる。

 

 (死柄木の崩壊…直接触れたものだけでなく、触れ合う物全てを崩壊させる力。なるほど。木原があそこまで言うだけはある。破壊力という一点だけ見れば確かに超能力者(レベル5)級だ。俺の未元体もアレに触れた個体は全滅した。つまり、奴の個性は俺の未元物質すら崩壊させる)

 

とその時、垣根のインカムからエンデヴァーの声が聞こえた。

 

 「全体通信!こちらエンデヴァー!病院跡地にて死柄木と交戦中!地に触れずとも動ける者はすぐに包囲網を…」

 

 ボウッッッッッ!!

 

エンデヴァーの通信中に、先ほどまで蛇腔病院があった場所で炎が巻き起こる。恐らくあの場所で今エンデヴァーと死柄木が戦っているのだろう。垣根はその方角を見上げながら再び頭を回転させる。

 

 (今の死柄木は手ぇ抜いて勝てるほど甘くねぇ。最優先で潰さなきゃならねぇ、が…)

 

そこまで考えると、垣根は自身の視線を北東の方角へと向ける。

 

 (災害歩行(ディザスターウォーカー)、ギガントマキアがこっちに向かってやがる。Mt.レディを圧倒するあのパワー…恐らく郡衙山荘(あっち)のヒーロー共じゃ相手にならねぇ。それにマキアの進行方向にはアイツらもいる)

 

郡衙山荘後方にて待機している雄英1年の生徒達の顔を思い浮かべた垣根は思わず舌打ちを鳴らす。

 

 (未元体の数を増やせるのは本体である俺だけ。今あっち側の未元体は山荘と後方部隊に一体ずつしか置いてねぇ。山荘にいる方が足止めくらってる以上、対処出来るのは一体だけだ。一体じゃアレは止められねぇ。それなりの数で対処する必要がある、が…)

 

それなりの数といっても、垣根が一度に操れる未元体の数は無限ではない。ただ創り出すだけならまだしも、ハイエンドや死柄木、そしてギガントマキアに対抗できるレベルの未元体を生み出すとなると、制御の難易度が格段に跳ね上がる。そのため、今の垣根では50体が限度だ。さらに数を増やそうとすると、個体のスペックが落ちたり或いは垣根自身の個性が暴走してしまう可能性がある。死柄木とギガントマキア、どちらも手を抜いて良い相手でないが故に、垣根は戦力の割り振り方に頭を悩ませていた。しばらく無言で考えていた垣根だったが、やがて意を決したように顔を上げる。

 

 (仕方ねぇ。事態が事態だ。割り振りだとか悠長な事は言ってられねぇ。50体全てギガントマキアに回す)

 

すると、垣根は早速生き残っている未元体にここへ集結するよう指示を流し、同時に再び未元体の創造を開始する。そして1分後、集結した個体も含め50体もの未元体を創造し終えた垣根は、今度は担架で救急車に運ばれていくミルコの下まで歩み寄ると、彼女の耳からインカムを外した。

 

 「……ッ」

 「借りるぜ」

 「かき…ね…」

 「そこでゆっくり休んでろ…心配すんな。後は俺がなんとかする」

 「……」

 

何か言いたげな様子のミルコだったが、垣根は彼女が口を開く前に背を向ける。そして未元体の内の一体にそのインカムを放ってよこすと、その場の全ての未元体の脳に一斉に指示を飛ばした。

 

 「ギガントマキアを止めろ」

 

垣根から指示を受けた未元体達はその場で一斉に翼を広げると、ギガントマキアが迫っている方角へと飛び立った。それを見送った垣根は、今度は自分の翼をはためかせ蛇腔病院跡地へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――エッジショット班 後衛部隊。

 

 

 「うわぁ!」

 

 イヤホンジャックを地面に刺し、索敵を行なっていた耳郎が突然素っ頓狂な声を上げる。

 

 「どうした!?耳郎ジャック!」

 

郡衙山荘から戻ってきた上鳴が怪訝そうに尋ねると、

 

 「ヤバイ…」

 「えっ?」

 「なんかめっちゃデカイのが動き出してる!」

 

耳郎が真剣な声音で呟いた。一同が見守る中、耳郎は索敵を続ける。

 

 「なんかめっちゃデカイのが動き出してる!」

 「だからそのデカイのってなに?」

 「わかんないけど…」

 

耳郎が曖昧に答えると、障子が自身の複製腕を木の上まで伸ばし目視にて確認しようと試みた。

 

 「見えるか?」

 「いや…まだ遠い」

 「優勢だったんじゃないの…?」

 「先程の定時連絡では作戦は予定通り進んでいるはずでしたが…」

 

芦戸と八百万が不安げな様子で呟く。すると、

 

 「おい白垣根ェ!そっちからなんか見えたか?」

 

先ほどから空中で静止し、彼方を見つめる未元体を見上げながら上鳴が問いかけた。

 

 『……』

 

しかし未元体は、上鳴の質問には答えずただじっとギガントマキアが迫り来る方角を見つめていた。

 

 (まずいな。あの様子じゃあと5分もすればギガントマキアがここに辿り着く。ちょうど本体(オリジナル)が人手を寄越したとはいえ、到着にはまだ時間がかかる。それまでここがもつか…?)

 

未元体は心の中で呟く。他の未元体との共同視界や各地に散らばらせた未元物質製の偵察用生物兵器からの情報によって、未元体は既にギガントマキアの姿を視界に捕らえていた。Mt.レディを筆頭に、各ヒーロー達が必死にギガントマキアを止めようとしている姿も確認済みだが、残念ながらほとんど意味を成していない。ギガントマキアの規格外さを目の当たりにした未元体はふと自身の手元を見つめた。

 

 (所詮は分身体。本体(オリジナル)程の力は無い。おまけに山荘側の俺は足止め喰らってるこの状況…さて、増援が来るまでどうやってアレを抑えるかね)

 

未元体が残された少ない時間でギガントマキアを止めるための策を考えていると、突如遙か前方で蒼炎が空中で煌めく。未元体が再び顔を上げると、うっすらではあるが既にギガントマキアがここからでも見える距離にまで迫っている。Mt.レディを投げ飛ばしたことにより、ギガントマキアの走行スピードはさらに上がっていた。

 

 『チッ!考える時間もくれねぇってか』

 

未元体が忌々しそうに呟く。すると、

 

 「聞こえるかしら…クリエティ…」

 「ミッドナイト先生!?」

 

突然、未元体のインカムにミッドナイトからの通信が入る。八百万の返答もインカムから聞こえたので、恐らく他の生徒達にも聞こえているだろう。未元体は耳を傾け、ミッドナイトの言葉の続きを待った。

 

 「状況は…わかってるね?」

 「えぇ。耳郎さんの音と障子さんの目で」

 「力押しでは…誰も止められない。眠らせたい…」

 「えっ!?」

 

弱々しく発せられたミッドナイトの言葉に八百万は驚きながら反応するも、ミッドナイトは構わず続ける。

 

 「法律違反になっちゃうけど事態が事態よ…麻酔で眠らせるの」

 「何を仰っているのですか先生!」

 「ヒーローに麻酔を渡してその場を離れなさい…!難しければ…すぐ退避を…!あなたの判断に委ねます」

 「先生?ミッドナイト先生!?」

 

八百万が必死に呼びかけるも、ミッドナイトの言葉がそれ以上発せられることはなかった。どうやらミッドナイトが通信を切ったようだ。

 

 「何だよこの通信…」

 「ヤオモモに委ねる?」

 「眠らせるって何で先生が自分でやらねんだよ…」

 

ミッドナイトの通信に困惑する生徒達。八百万も今の通信内容を必死に頭の中で整理していた。

 

 (麻酔を創造してヒーローに渡す?でもヒーローは前衛の援護に…だとすると避難?どっちにしろ逃げろと…口調からして先生は負傷している。それでも逃げろと。それほどの相手だと…あぁ…先生!)

 

思わず頭を抱える八百万。すると、

 

 ドォォォォォン!!

 

すぐ近くから聞こえる爆発音。その場にいる全員が、一刻の猶予もない状況であることを悟る。

 

 「どうする!?ヤオモモ!」

 「俺たちこのまま尻尾巻いて逃げんのか!?」

 「なにもしないまま!」

 「ミッナイ先生置いて!」

 「……っ!」

 

上鳴達の声を聞きつつ、なお八百万が思考を決めあぐねていると、そこへ今まで空中にいた未元体がゆっくり地面に降り立った。

 

 「垣根さん!」

 

八百万は思わず未元体に声をかける。未元体はゆっくりと八百万の方へ振り向くと、無感情な表情で彼女を見つめた。

 

 「垣根さん…私…」

 『…委ねられたのはお前だろ』

 「えっ?」

 『ならお前が決めろ。これはお前の仕事だ』

 「…!」

 

八百万は一瞬目を丸くしながらも力強く「はいっ!」と返事をし、真剣な表情で生徒達に向き直った。

 

 「イヤホンジャック!テンタコル!音の位置から距離とここへの到達時間を!巨人の大きさを目算でいいのでお伝え下さい!マッドマンあなたの力もお貸し下さい!皆さん動く準備を!」

 

八百万が矢継ぎ早に指示を出し、生徒達も指示に従って動いていく。

 

 「つかもう見えてるし!速いよこっちに来るまで1分もかかんない!……音が変わった!減速した!少し」

 「敵の全長約25メートル。Mt.レディより大きい!」

 

耳郎と障子の報告を聞いた八百万は、麻酔液の入った瓶をいくつも創造し始める。そして、

 

 「雄英に入学してから1年。どの先生からも敵に背を見せるヒーローになれと教わったことはございません」

 

ギガントマキアが迫り来る方角を睨めつけながら、八百万は力強く言い放つ。

 

 「ったりめ~だ!」

 「うん!」

 「決まってるだろそんなこと!」

 

八百万の言葉に切島達が同調すると、八百万は創造した麻酔液入りの小瓶を手に取った。

 

 「私は戦います!?皆さんは…」

 「言うな!ヤボだぜ。コス着て外出りゃヒーローなんだ!」

 

上鳴の言葉を聞き、静かに頷いた八百万は今度は未元体に話しかける。

 

 「垣根さん。お願いがあります」

 『?』

 「垣根さんにはミッドナイト先生の救援に行ってもらいたいのです」

 『あ?』

 

八百万の意外な言葉に思わず聞き返す未元体。生徒達も驚いた表情で八百万を見つめる中、八百万は言葉を続けた。

 

 「通信時の様子からして、ミッドナイト先生は現在負傷している可能性が高いと思われます。そんな状態のまま、もしこの森の中で敵に見つかれば先生の身が危険です」

 『…それで?』

 「この場で最も機動力とスピードに長けた垣根さんならば、ミッドナイト先生をお救いできるかもしれません」

 『おいおい、このだだっ広い森の中からミッドナイトを探して助けろってのか?』

 「垣根さんの個性ならばミッドナイト先生を見つけることも容易いと思います。違いますか?」

 『…まぁ、そうだな』

 「でしたら、どうかお願いします。この状況でミッドナイト先生をお救い出来るのは垣根さんしかいません」

 『かもな。だがギガントマキアはどうする?まさか、俺抜きでアレを止めるつもりか?』

 「…はい。ここは私たちで食い止めます」

 『…本気か?』

 「はい」

 

八百万の迷いなき返答に思わず口を閉ざす未元体。数秒間黙って見つめ合う未元体と八百万だったが、やがて未元体が小さく笑いながら呟いた。

 

 『ま、決めろっつったのは俺だしな。いいぜ。引き受けてやる』

 「垣根さん…!ありがとうございます!」

 

垣根の返事に八百万はパッと顔を輝かせながら礼を言うと、皆の前に出て声高らかに宣言した。

 

 「垣根さんはミッドナイト先生の救出に!私たちは全員、ここで迎え撃ちます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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