かの悪党はヒーローへ   作:bbbb.

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九話

 雄英高校ヒーロー科の入学試験が終わり、一週間が過ぎた。実技試験の後、受験生はバスで雄英高校まで運ばれ、そこで解散となった。入試の結果は一週間後くらいに手紙で通達すると言っていたので、今日か明日くらいには結果が分かるだろう。入試が終わって家に帰宅するとグラントリノは居間でテレビを見ていた。垣根が帰ってきたのをみても、「…帰ったか。手洗って来いよ」と声をかけるだけで試験については何も聞かなかった。垣根としても色々聞かれるのも面倒だったのでありがたかったのだが。次の日からはまた普通に学校に通った。卒業式は3月10日なのでまだ学校はある。ぶっちゃけもう行かなくても良いのだが、家にいてもやることはないので何となく学校に行っているという感じだ。朝起きて、学校に通い、授業を受け、下校する。そんないつも通りの平和な日々を過ごしていた。

 

 そして現在、垣根は下校の最中であった。家に向かって歩きながら垣根は一週間前の実技試験のことを思い出していた。あの時、巨大敵が女子生徒を攻撃しようとした時、なぜ自分はあんな庇うような真似をしたのか?巨大敵が現れ、その力を見て、僅かながら興味を持ったのは確かだ。あの力は果たして俺の『未元物質』を貫けるのか。学園都市時代ではどんな攻撃も通さなかったが、こちらの世界でも同じような結果になるとは限らない。垣根としては自分の能力が実戦レベルで前と今ではどれほど差があるのか知る必要があった。そのための実験道具としてあの巨大敵はちょうど良かったのだ。結果は垣根の予想を裏切る形にはならなかったが。だが、それにしてもそれは彼女を助けた理由にはなっていない。巨大敵を相手にするだけだったら彼女が巨大敵に潰された後でもできたはずである。彼女に死なれては困る理由が何かあるのならば別だが、そんなものも特にない。彼女を助けたところで自分に益もない。ならば一体なぜ助けたのか。いくら考えても釈然とする答えは得られなかった。気付いたら彼女の前に立っていた、あの時の状況を説明するのに最も適した言葉だった。

 

 (それこそまるで、ヒーローみたいだな)

 

垣根は心の中で自嘲気味に笑っていると、気づけば家に着いていた。ドアを開け、家の中に入るとグラントリノが丸テーブルに座っていた。グラントリノは垣根が帰ってきたことに気づき、

 

 「さっき郵便受けの中を覗いたらこんなんが入っておった」

 

そう言いながら一通の手紙を見せる。手紙を手に取り裏面を見ると、右下に「雄英高等学校」という文字が書かれていた。

 

 (入試の結果か。そういや、そろそろだったな)

 「…俺は席を外した方がいいか?」

 「いや、別にいいだろ」

 

気遣いを見せるグラントリノに構わず垣根はその場で手紙を開けだした。

 

 「お、おい!?」

 

垣根があまりにも躊躇いなく開封するのを見て、グラントリノは慌てた素振りを見せる。

 

(なんでテメエが慌ててんだよ…)

 

と呆れる垣根だが構わず開けると、中からメダルのようなものが出てきた。垣根が訝しげにそれを見ていると、メダルから急に映像が映し出され、そして

 

 『私が投影された!!!!!!』

 

と、叫ぶ黄色いスーツを着た超ムキムキのおっさんが現れた。

 

 「…は?」

 

訳が分からずポカンとしている垣根を他所に、マッチョな男は構わず続けた。

 

 『HAHAHA!!なんで私が投影されたのかって?実は今年度から雄英で教師として働くことになってね!!』

 

意気揚々と喋り続ける謎の男。垣根はグラントリノの方を見て、

 

 「誰だコイツ」

 

と尋ねる。グラントリノは眉間に手を当て、やれやれといった様子で

 

 「俊典…」

 

と小さく呟いた。

 

 (俊典…?どっかで聞いたことあるような…?)

 「そいつは八木俊典。ほら、前話しただろ?オールマイトって呼ばれとるヒーローだ」

 「あぁ、コイツが」

 

この家に来たばかりの時にグラントリノとの話に出たヒーローのことかと垣根は納得した。アメコミに出てきそうなヤツだなと垣根が感じていると、目の前のオールマイトの映像が再び話し始めた。

 

 『それじゃあ結果について話そう!!まずは筆記試験についてだが、なんと500/500!!!満点だ!スゴいぜこれは!今回は勿論、歴代で見てもトップの成績だ!まったく、どんな脳みそしてるんだ!!次に実技試験。こっちもスゲェぜ~、なんと敵P80!!これも今回の受験者の中でトップだ!これだけでももう君は合格ラインを余裕で超えている。だがしかし!!!まだまだ君にはポイントが加算されるぜぇ~、それは救助P!!』

 「救助P?」

 『先日の入試にて我々が見ていたのは敵Pのみにあらず!我々雄英が見ていたもう一つの基礎能力。それは他人を助けるために自らの身を犠牲にする心意気!!素晴らしいよ、垣根少年!!救助P58!!!つまり合計138P!!!!堂々たる一位通過だ!』

 『さあ来いよ、垣根少年!!ここが君のヒーローアカデミアだ!!』

 

最後にそう言い残して映像は消えた。数秒間、居間には沈黙が訪れた。

 

 「まぁ、どうやら受かったらしい」

 

垣根が気まずそうにしながらも、事の概要をとても大雑把にグラントリノに伝える。

 

 「…そうらしいな」

 

グラントリノもそれに答える。さらに、

 

 「何はともあれ、これで高校が決まったな。一件落着だ。ふぅ~、それにしても俊典め、こんな悪趣味なビデオを送ってくるとは。今度会ったらたっぷりしごいてやる…」

 

と最後の方はオールマイトが可哀想な目に遭う未来しか見えないような言葉を呟きながら、いつものように夕飯の準備に取りかかるグラントリノ。垣根も特に浮かれた様子も無かった。

 

 (なんてことはねえ。ただ進学先が決まっただけだ)

 

本番はこれからだ、と垣根はかえって気を引き締めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――その日の夕飯はいつもより豪華な気がした。




オールマイトのキャラ、こんなかんじかなあって感じで書いてみました。

垣根って白垣根もいいですけど、やっぱり自分はチンピラでイキッてる垣根の方が好きなんすよね。
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