4ヶ月の   作:めもちょう

8 / 48
「青山ごめん」タグの活きるとき!!


八話

『A組 緑谷爆発で猛追――っつーか!!!』

 

 デクっ!? てめぇどんな手を――がっ!!?

 

『抜いたああああー!!!』

 

 抜いたじゃねぇよ!! そのソリみたいにした鉄板で俺の頭打ちやがって!!

 

「デクぁ!!!!!!」

 片手だろうと関係ねぇ! 爆破で地雷を越えていく。

「俺の前を行くんじゃねぇ!!!」

 

 デクの猛追に半分野郎も考えを変えたんだろう。後続が楽になるが、氷で道を作り出した。

 

『元・先頭の二人、足の引っ張り合いをやめ、緑谷を追う!! 共通の敵が現れれば人は争いをやめる!! 争いはなくならないがな!』

『何言ってんだお前』

 

 動力がさっきの爆発だけのデクは、次第に失速して着地する。抜くならそこだ! 俺が勝つ!!!

 抜いたと思ったその時。デクは回転し、ソリにしていた鉄板を地面に向かって振り下ろした。

 

 ――カチッカチカチッカチッ

 

 鉄板でいくつも地雷のスイッチが押された。てめェ、やりやがったな!!

 

『緑谷間髪入れず後続妨害!! なんと地雷原即クリア!!』

 

 覚えてやがれ!!

 

『さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!? いま一番にスタジアムへ帰ってきたその男――緑谷出久の存在を!!』

 

 会場から大歓声が聞こえる。その歓声は、よりにもよって。

 

「また……くそっ……!! くそがっ……!!!」

 

 

 

 ある程度ゴール者が出た頃、そいつもようやく帰ってきた。

 

「やっほー……バクゴー君……」

 

 疲れ切ったヘアバンは右手を挙げてこっちに向かってきた。ヘロヘロで、足取りは重い。こっちだってへらへらぺちゃくる気分じゃねェんだよ。

 

「頭洗ってきやがれ」

「はーい……」

 

 素直に聞き入れたこいつはきれいに振り返ると、来た時と同じ足取りで帰っていく。最初にケガしてからずっと頭血まみれにしてたんか、こいつは。靴も履いてねーじゃねぇか。何してんだ。

 帰ると思ったこいつは、思い出したかのようにくるっと、また俺の方に振り向いた。

 

「ああ……一言、言わせてくれない?」

「あぁ?」

「お疲れ様。次も、頑張ろうね」

「……おー」

 

 それだけを言いに来たんか、お前。律儀なんか、何なのか。

 そういや、聞けばよかったな。あのデカブツの群れを、どう越えたのか。

 

 全員がゴール、もしくはリタイア者が戻って来た頃、ミッドナイトから結果が提示された。分かっちゃいたが、俺は3位だ。俺に宣戦布告した青髪は27位。ヘアバンは42位、最下位だった。

 

「ど、どんまい、青山……」

「美しくないよ……最後の最後で、追い越されるなんて……! それも怪我人に……!」

「お前は頑張った……!」

 

 ヒーロー科のくせして予選落ちしてる奴がいるらしい。ざっこ。

 

「予選通過は上位42名!!! 残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい! まだ見せ場は用意されてるわ!! そして次からいよいよ本選よ!! ここからは取材陣も白熱してくるよ! キバりなさい!!!」

 

 次こそだ。次こそ一位になってやる。

 

「さーて第二種目よ!! 私はもちろん知ってるけど~~……何かしら!!? 言ってるそばから……これよ!!!」

 

 ドラムロールが鳴り終えて、白いホログラムに現れたのは、「騎馬戦」の文字。個人競技じゃないが、どうするんだ。

 

「参加者は2~4人のチームを自由に組んで、騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが……先ほどの結果に従い、各自にP(ポイント)が振り当てられること!」

「入試みてぇなP稼ぎ方式か。分かりやすいぜ」

「つまり組み合わせによって騎馬のPが違ってくると!」

「あんたら私がしゃべってるのにすぐ言うね!!」

 

 怒りの鞭が鳴らされた。いいだろ。理解が早い証拠じゃねぇか。

 

「ええそうよ!! そして与えられるPは、下から5ずつ! 42位が5P、41位が10P……といった具合よ。そして……一位に与えられるPは、1000万!!!!」

 

 ……へぇ?

 

「上位の奴ほど狙われちゃう――下剋上サバイバルよ!!!」

 

 合法的に叩き潰せるってわけだな!!

 

 

「上に行くものにはさらなる受難を。雄英に在籍する以上、何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra!(更に向こうへ) 予選通過一位の緑谷出久くん!! 持ちP 1000万!!」

 

 覚悟しやがれ、デク!!! 

 

 

 

 ゲームの制限時間は15分。振り当てられたPの合計が騎馬のPとなり、騎手はそのP数が書かれた“ハチマキ”を装着。終了までにハチマキを奪い合い、保持Pを競う。ハチマキはマジックテープ式で取りやすくなっている。

 何より重要なのは、ハチマキを取られても、また、騎馬が崩れてもアウトにはならない。つまり、42名からなる騎馬10~12組がずっとフィールドにいるわけだ。

 

「“個性”発動アリの残虐ファイト! でも……あくまで騎馬戦!! 悪質な崩し目的での攻撃などはレッドカード! 一発退場とします! それじゃこれより15分! チーム決めの交渉タイム、スタートよ!」

「15分!!?」

 

 交渉タイムが始まるや否や、俺の周りにはA組の奴らが集まってきた。あ! そういえば!!

 

「てめぇらの“個性”知らねぇ。何だ!?」

「B組ならまだしも!! 周り見てねーんだな!!」

 

 名前も知らねーかもしんねぇ。

 

「おーい! 轟の奴、ソッコーチーム決めやがったぜ! 爆豪!! 俺と組もう!!」

 

 喧しい周囲の外から、一層喧しい声で俺にそう言ってきたのは。赤い髪をワックスで逆立たせている奴。

 

「クソ髪」

「切島だよ覚えろ!!」

 

 おめーの頭とそんな変わんねーぞ!! と文句垂れながら、そいつも俺に立候補してきた。

 

「おめぇどうせ騎手やるだろ!? そんならおめェの爆発に耐えられる前騎馬は誰だ!!?」

「…………根性あるやつ」

「違うけどそう!! 硬化の俺さ!!」

 

 よほどの自信らしいな。

 

「ぜってーブレねぇ馬だ! ()るんだろ!? 緑谷(1000万)……!」

 

 へぇ。分かってんじゃねぇか……!!

 

 

 

 周りの奴らからも個性を聞いて、この騎馬戦で俺と戦えそうな奴らと手を組んだ。半分野郎の氷対策として“酸”の個性、黒目。飛んだ俺を馬に戻す他、汎用的なテープの個性、しょうゆ顔。そして硬化のクソ髪。

 

『よぉーし組み終わったな!!? 準備はいいかなんて訊かねぇぞ!! いくぜ!! 残虐バトルロイヤル、カウントダウン!!』

 

 200、175、170、120。トータル665Pの騎馬だ。足りねぇ足りねぇ。

 

『3!!!』

 

「狙いは」

 

『2!!』

 

「一つだ」

 

『1……!』

 

 

 

『START!』

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。