『A組 緑谷爆発で猛追――っつーか!!!』
デクっ!? てめぇどんな手を――がっ!!?
『抜いたああああー!!!』
抜いたじゃねぇよ!! そのソリみたいにした鉄板で俺の頭打ちやがって!!
「デクぁ!!!!!!」
片手だろうと関係ねぇ! 爆破で地雷を越えていく。
「俺の前を行くんじゃねぇ!!!」
デクの猛追に半分野郎も考えを変えたんだろう。後続が楽になるが、氷で道を作り出した。
『元・先頭の二人、足の引っ張り合いをやめ、緑谷を追う!! 共通の敵が現れれば人は争いをやめる!! 争いはなくならないがな!』
『何言ってんだお前』
動力がさっきの爆発だけのデクは、次第に失速して着地する。抜くならそこだ! 俺が勝つ!!!
抜いたと思ったその時。デクは回転し、ソリにしていた鉄板を地面に向かって振り下ろした。
――カチッカチカチッカチッ
鉄板でいくつも地雷のスイッチが押された。てめェ、やりやがったな!!
『緑谷間髪入れず後続妨害!! なんと地雷原即クリア!!』
覚えてやがれ!!
『さァさァ序盤の展開から誰が予想できた!? いま一番にスタジアムへ帰ってきたその男――緑谷出久の存在を!!』
会場から大歓声が聞こえる。その歓声は、よりにもよって。
「また……くそっ……!! くそがっ……!!!」
ある程度ゴール者が出た頃、そいつもようやく帰ってきた。
「やっほー……バクゴー君……」
疲れ切ったヘアバンは右手を挙げてこっちに向かってきた。ヘロヘロで、足取りは重い。こっちだってへらへらぺちゃくる気分じゃねェんだよ。
「頭洗ってきやがれ」
「はーい……」
素直に聞き入れたこいつはきれいに振り返ると、来た時と同じ足取りで帰っていく。最初にケガしてからずっと頭血まみれにしてたんか、こいつは。靴も履いてねーじゃねぇか。何してんだ。
帰ると思ったこいつは、思い出したかのようにくるっと、また俺の方に振り向いた。
「ああ……一言、言わせてくれない?」
「あぁ?」
「お疲れ様。次も、頑張ろうね」
「……おー」
それだけを言いに来たんか、お前。律儀なんか、何なのか。
そういや、聞けばよかったな。あのデカブツの群れを、どう越えたのか。
全員がゴール、もしくはリタイア者が戻って来た頃、ミッドナイトから結果が提示された。分かっちゃいたが、俺は3位だ。俺に宣戦布告した青髪は27位。ヘアバンは42位、最下位だった。
「ど、どんまい、青山……」
「美しくないよ……最後の最後で、追い越されるなんて……! それも怪我人に……!」
「お前は頑張った……!」
ヒーロー科のくせして予選落ちしてる奴がいるらしい。ざっこ。
「予選通過は上位42名!!! 残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい! まだ見せ場は用意されてるわ!! そして次からいよいよ本選よ!! ここからは取材陣も白熱してくるよ! キバりなさい!!!」
次こそだ。次こそ一位になってやる。
「さーて第二種目よ!! 私はもちろん知ってるけど~~……何かしら!!? 言ってるそばから……これよ!!!」
ドラムロールが鳴り終えて、白いホログラムに現れたのは、「騎馬戦」の文字。個人競技じゃないが、どうするんだ。
「参加者は2~4人のチームを自由に組んで、騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが……先ほどの結果に従い、各自にP(ポイント)が振り当てられること!」
「入試みてぇなP稼ぎ方式か。分かりやすいぜ」
「つまり組み合わせによって騎馬のPが違ってくると!」
「あんたら私がしゃべってるのにすぐ言うね!!」
怒りの鞭が鳴らされた。いいだろ。理解が早い証拠じゃねぇか。
「ええそうよ!! そして与えられるPは、下から5ずつ! 42位が5P、41位が10P……といった具合よ。そして……一位に与えられるPは、1000万!!!!」
……へぇ?
「上位の奴ほど狙われちゃう――下剋上サバイバルよ!!!」
合法的に叩き潰せるってわけだな!!
「上に行くものにはさらなる受難を。雄英に在籍する以上、何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra!(更に向こうへ) 予選通過一位の緑谷出久くん!! 持ちP 1000万!!」
覚悟しやがれ、デク!!!
ゲームの制限時間は15分。振り当てられたPの合計が騎馬のPとなり、騎手はそのP数が書かれた“ハチマキ”を装着。終了までにハチマキを奪い合い、保持Pを競う。ハチマキはマジックテープ式で取りやすくなっている。
何より重要なのは、ハチマキを取られても、また、騎馬が崩れてもアウトにはならない。つまり、42名からなる騎馬10~12組がずっとフィールドにいるわけだ。
「“個性”発動アリの残虐ファイト! でも……あくまで騎馬戦!! 悪質な崩し目的での攻撃などはレッドカード! 一発退場とします! それじゃこれより15分! チーム決めの交渉タイム、スタートよ!」
「15分!!?」
交渉タイムが始まるや否や、俺の周りにはA組の奴らが集まってきた。あ! そういえば!!
「てめぇらの“個性”知らねぇ。何だ!?」
「B組ならまだしも!! 周り見てねーんだな!!」
名前も知らねーかもしんねぇ。
「おーい! 轟の奴、ソッコーチーム決めやがったぜ! 爆豪!! 俺と組もう!!」
喧しい周囲の外から、一層喧しい声で俺にそう言ってきたのは。赤い髪をワックスで逆立たせている奴。
「クソ髪」
「切島だよ覚えろ!!」
おめーの頭とそんな変わんねーぞ!! と文句垂れながら、そいつも俺に立候補してきた。
「おめぇどうせ騎手やるだろ!? そんならおめェの爆発に耐えられる前騎馬は誰だ!!?」
「…………根性あるやつ」
「違うけどそう!! 硬化の俺さ!!」
よほどの自信らしいな。
「ぜってーブレねぇ馬だ!
へぇ。分かってんじゃねぇか……!!
周りの奴らからも個性を聞いて、この騎馬戦で俺と戦えそうな奴らと手を組んだ。半分野郎の氷対策として“酸”の個性、黒目。飛んだ俺を馬に戻す他、汎用的なテープの個性、しょうゆ顔。そして硬化のクソ髪。
『よぉーし組み終わったな!!? 準備はいいかなんて訊かねぇぞ!! いくぜ!! 残虐バトルロイヤル、カウントダウン!!』
200、175、170、120。トータル665Pの騎馬だ。足りねぇ足りねぇ。
『3!!!』
「狙いは」
『2!!』
「一つだ」
『1……!』
『START!』