今回は話と話の間なのて、かなり短くなっています。1.5ってやつですね。このあとどんな話になるか、まだまだ分からないと思いますが、この話を見ておくと少し予想がつくかも?
そんな訳ですから、閲覧なさって下さると幸いです!
End Phase
「ほう、少年のほうが勝ちましたか。これは予想外の結果になりましたね。案外、あの宍戸という男も大したことはないのかもしれません。どうも私は石橋を叩いて壊す性分が抜けない、買被りがすぎていましたか」
フードを深く被った男は、何やら通常だと見えない存在と話しているのか、それとも通話しているのか。なんにせよ何かの映像を見ながら話していた。
「……などと気を抜いていられないのが困まったものです。彼が今回使ったカードから察するに、恐らくは今までに使用したどのデッキとも異なるものでしょう。将棋で言うところの飛車角金銀落ちどころではない、桂香に歩も半分ばかりいなくなったハンディキャップマッチ。加減に加減を重ねた二軍のベンチウォーマーといったレベル。相手が人畜無害と見るや、随分と舐めた真似をしてくれるものです。なんとかして彼の本気を観察させてもらわねば……」
その画像に映るのは宍戸と遊斗。二人の事をよく観察しているのか、彼は苦笑いをしながらも映像を繰り返し見ている。映像が自分の目的に事足りたのか、それは言うなれば否だ。
「しかし、今回はこちらが手をかけたわけではありませんからね。少しでも情報を得られただけ僥倖と思いましょう。彼の、『《スピード・ワールド》下で通常の魔法を使う』というスタイル……どうやら新ルール以前からもやっていたようですけれども。そういった発想が出来るということはやはり、
指を空中で踊らせる。その指の先にあるのは、彼の考えるいくつかの可能性。その可能性が当たっていると思うのは彼なりの勘なのか、果たしてそれはどういう根拠なのかは、誰も理解できないだろう。
「何よりの大きな収穫は、彼が一見不愛想で保守的に見えて、その実は新しく仲間を囲うような性格だったという事実でしょう。よもやあれだけ手加減してやった相手を、戦力に加えようなどとは考えていないでしょうけれど。武骨そうな顔をしておきながら、弱者を前にすると骨抜きにされる甘さがある。その手緩さの隙をつけば、あるいはこちらも骨を折らずに済むかもしれません。あの少年にも利用価値がないか考えておきましょう」
くつくつと男は笑う。”計画”に遊斗の価値は確実にあるのではないか。ということはしっかり理解出来た。あとはそれをどう利用するか、考えるだけ。それともまだ付随価値を見定めるか? いや、まだ過程段階だ。と次々に思考を重ねていく。
「おや、私が彼と同類だと言うんですか?悪い冗談は辞めてください。過去も現在も、私が仲間なんてものの意識を持ったことはありませんよ。もちろんこれからも未来永劫ね。もっとも、この世界にどれだけの未来が残っているかは甚だ疑問ですが」
男は何を知っているのか、未来すら残っているか分からない。という意味の単語を残している。これから自分の起こす事がどういう意味を齎すのか、彼は知っている。まあ、それだけではないのかもしれないが。
「それにしても、私自身の次に私を理解しているのは、あなただと思っていましたけれどね」
見えない存在に語り掛けるその姿は、正しく道化師。その見えない存在もそれが分かっているから、彼の言葉に対してなにか思うことがあるのかそれとも。
「あちらに居た頃から、私のことは心情に入り込んでまで知っているはずでしょう。いえ、本心ではないのは分かっていますよ。ただ、あなたも随分と人間臭くなったものだと思いましてね。まさか人間に同情して我々の契約を破棄するような真似はしないで下さいよ?」
”契約”……それがどういう意味を持つかは、男も存在も理解している。だからこそ、この先どうなっていくかを考えるのは、存在も男も同じ。ある意味で似ていて、ある意味で……
「……普通こういうことはそちら側が確認するものなのでしょうけれど、どうにもアベコベですね……別にそれが悪いと言うわけではないんですがね……まぁ、貴方には最後まで私に協力して頂きますよ。我が悪魔よ」
そのまま男は静かにその場を去る。あとに残るものは何も無いし、そもそも何も無かったのかもしれない。そう、誰も彼の意図を知らない。知る由もない。
ただ、分かっていることは一つ。既に賽は投げられた__!
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