鉄血のオルフェンズ 二度と咲かない鉄の華   作:抹茶ほうじ

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※二度と咲かないあとがき※

※※※ 注 意 ※※※

ここには「二度と咲かない鉄の華」のネタバレしかありません。

よろしければ作品本編を先にお読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〇きっかけ

 この作品を書くきっかけは本編を見終わった感想でした。

 一言でいえば「鉄華団助かりすぎじゃね?」というもの。

 この中には「犯罪者集団がお咎めなしで助かって平和に暮らすっておかしいよね」との成分も多分も含まれていました。

 

 映画『俺たちに明日はない』に代表されるアメリカン・ニューシネマ形式の物語は反社会的な若者たちが刹那的に世の中を謳歌するも最終的には体制側に鎮圧されて悲劇的結末を迎えるのがひとつのテンプレです。

 最後に救われない結末だからこそ途中までの無軌道な行動が許される、そういったお約束を欠いたオチで受け付けなかったのも否定できません。

 ボニーとクライドは機関銃で蜂の巣にされたからこそアンチ・ヒーローとして輝いた部分は大きかったと思いますので(元ネタが史実というのもありますが)。

 

 そして団員助かりすぎ問題で一番気になったのは「三日月とアトラの子が印象薄くなってしまってる」点。

 激動の世を経て未来に繋がった希望の象徴としてもっと持ち上げれそうだった暁が、団員が助かりすぎのせいで『残った一要素』でしか無くなっている、救われてるキャラが多過ぎてオマケでしかなくなってる、そう思ったのです。

 であれば君ならどうする、というアンサーがこの作品。

 

 「アトラと暁だけ助かる」ルート。

 

 感想欄でアニメの元案「全滅ルート」っぽい作品かなと指摘されましたが少々違ったのです。

 他者の共感を得ず力で世に打って出た者たちはより大きな力に敗れ死に絶えるものの、過程で生まれた無垢な子供は残された。

 失われたものが多いほどに残ったものの印象が増す、これがベターだったのではないかしら? と考えました。

 

 この方針の下、2人が助かったカタルシスを出す分、アニメでは命を拾ったキャラの多くには真逆の結果を与えることになりましたが、そこは可能な限り本編の設定や描写を踏まえつつ無理のない『※有り得る展開』を描写することで補填しました。

 ※一部除く、というかクーデリア除く

 

〇あらすじに書かれてる『彼ら』とは?

 一見すると鉄華団のことを示してるように見せかけて、中身を読むとその他大勢含む。

 新江・プロトを始めとする「マクギリス・ファリド事件」の影響を大小受ける人々をも指していました。

 もとより大事件、当事者だけが影響を被って済む問題ではありません。

 そして鉄華団を助けるために無茶をした人々もヤバい橋を渡っているのでバレればどうなるか、これも『彼ら』に含まれる者の先行きを左右した結末として描くことに。

 

〇ともあれ

 筆者的には出来得る限りの作中設定や描写を拾いつつ脳内シミュレートを駆使してのIFに仕上げたつもりの作品。

 では各話の要点などを徒然と。

 

******

 

●三度目は無い、彼はそう思ったのだ

 記念すべき1話。

 一言でいえば「マクギリスが抜擢したんだから新江・プロトってもっと有能じゃね?」回。

 

 そうでなくとも判明している拠点を攻めるなら事前情報はもっとしっかり集めるはずです。

 300年以上も少数精鋭で地球圏の平和を守り続けたギャラルホルンが無能なわけありません(組織全体レベルで。個人レベルでは無能もいること請け合い)。

 

 その結果、早々に判明するトンネルの存在。

 鉄華団の目には映ってギャラルホルンは気付けない不自然さを埋めていきます。

 実質1話目で鉄華団(基地組)は詰みました。

 

 仮に事前にトンネルが発覚していなくとも攻め落とした後に基地跡の調査は行うでしょうし、そこで死体の数が極端に少なかったりトンネルがバレれば脱走は結局発覚、宇宙港の封鎖がされての徹底捜査が行われてアニメ本編のようにはならない、というのが脳内問答の結論です。

 救済ルートの方針は分かりますが、流石にギャラルホルンを無能にしすぎだったと思います。

 

●確かに道は違えていた

 クーデリア排斥回。

 作中で書いたようにノブリスは「鉄華団と縁切らないと援助やめる」と言っていたわけですが、本編では何故かオルガ達との接触に気付くも放置していた不自然さを取り払いました。

 テロ幇助が発覚すればクーデリアの聖女イメージなどは地に堕ちます。結果「あの女はもう使えないな」との判断で聖母ククビータ誕生となりました、既婚者かどうかは知りません。

 

 これも作中で書いた事ですが、理想とした火星の未来を実現するためにアリウム・ギョウジャンを切るなら鉄華団も切らないとただの公私混同です。

 むしろ「口だけでは役に立たない」と評されたアリウムよりも実害ある鉄華団との関係を早く切らないといけないくらい。

 彼女の公的立場に共感していた勢からすれば先に期待を裏切ったのはクーデリアという形だったので、損切りされたのでした。

 

 ちなみにクーデリアの私的箇所、愛する三日月と彼の家族を断ち切れなかった“女”の部分は後々のエピソードで使うことにしました。

 

●そういえば、と男は思い出す

 ラスタルが鉄華団とテイワズの繋がりが切れてない事に気付き、色々仕掛ける回。

 

 そもそもマクマードを通じてオルガがラスタルに連絡取れるのがおかしいのです。

 そこに気を回せば両者の関係が見えてきますし、鉄華団とクーデリアのコネを考慮してアドモス商会で何を画策していたかの予想も出来る。

 独自の地球航路を有するテイワズと、クリュセを支配するアーブラウのトップとのコネを持ってるのですから実に分かり易い。

 鉄華団団員ひとりひとりの命には興味がなくとも、彼らを支援しそうな大物はラスタルにとって邪魔な者ばかり。

 上手く使えば迂闊な連中を追い落とす材料にできると活用するのでした。

 

 他人の陰謀を上手く利用する、優秀な大人の話。

 対して大物2人の破滅ルートがここで解放されました。本当に「救済ルートだから気付かれない」補正がなければ迂闊な手助けだったと思います。

 

●ちょび髭問答

 個人的に割と好きな話。

 一言でいえば「鉄華団を見限った大人の見地」回。

 

 トド・ミルコネン。

 鉄華団を裏切るもバレて粛清されるただの薄汚い大人かと思いきや最後まで生き残り、モンターク商会のトップに収まる美味しいキャラ。

 そんな彼から見て「鉄華団がどんなに駄目な企業なのか」をツッコミ入れさせた話。

 駄目さ加減については作中で書いた通りです。

 

 そのついでにツッコミを入れたのは「不自然すぎるデクスターの行動」。

 「社長に黙って」「会社資産の2割を」「別口座に移していた」奇行に筋道ある回答をつけようとすると横領しか思いつきませんでした。

 元々無理矢理鉄華団の仲間にされたキャラでしたので、そちらでも辻褄があう結果に。

 仮にデクスターに横領ムーブをさせず資金を用意するなら、マルバがCGS時代に横領していた会社の資産を隠し口座から取り戻した等でも良かったと思います。

 正直無茶ぶりが過ぎます、会社の金を黙って2割プールしてたとか。

 

 実際は突然鉄華団を救済するルートに変更したシワ寄せの犠牲者だと思いますが(メタ)。

 

●王手を打つ者、留める者

 「鉄華団、脱出口の前で待ち構えられる」回と「イオク様、出撃禁止」回。

 

 前者は特に言うことはありません。着実に鉄華団の逃げ道が塞がれていくだけの描写です。

 1話でトンネルが見つかった時点で避けられない事態。

 

 後者は「どう転んでも死ぬ運命」の鉄華団に対比させた筋書きです。

 イオク様、あの場で死ぬ必然性がほとんど無かったですから。

 

 本編のヘイト昇華という脚本の意図は分かるものの、ラフタの仇だったジャスレイも討てなかった昭弘に今更イオク様を殺させても。

 むしろ鉄華団がジャスレイとイオク様の協力関係を知ってるのおかしいよね、との考察の末に昭弘vsイオク様を発生させる必然性完全消失。

 

 せっかく成長の兆しを見せて来た描写を拾って活かすべくイオク様生存ルートとなりました。

 そして彼の生存はアニメ本編と異なりギャラルホルンが極端に民主体制化しないようする後の推移に繋がります。

 

●獣には炎、我が手には鳴らす鐘

 鉄華団掃討戦です。

 アニメ本編では散々「物資足りない、補給できない、修理できない」と訴えていたにもかかわらず普通に戦闘していた鉄華団囮部隊に設定通りの重しを載せることに腐心しました。

 

 阿頼耶識でMSの操縦が上手かろうと、バルバトスがどれほど高いポテンシャルを有していようと、MSは所詮機械です。

 物資不足をモロに受けてまともに戦えるわけがありません。

 そして相手は宇宙世紀でお馴染み、圧倒的物量で攻めることが出来る体制派です。

 

 その結果を反映したお話、ギャラルホルンは安全第一で囮部隊を駆逐しました。

 作中で描写はしませんでしたがバルバトスとグシオンも既に手におえない強敵に成り得なかったため、ダインスレイヴ無しで普通に撃破されました。

 

 ジュリエッタがバルバトスの首を獲る話でその辺りを詳しく書こうと思いましたが、経過こそ違えど結果は変わらない流れだったので1話丸ごとカット。

 結果的に鉄華団はただ討たれる賊感を増すことが出来たかもしれません。

 

●鉄の華は散らず、されど

 脱出組の結末回。

 それぞれ「クリュセ組」「脱出先行組」「囮の生き残り(ユージン)」に視点を分けました。

 

 クリュセ組にはこの後も役目があるので合流できない描写を。

 合流できなかった理由はトンネル出口の待ち伏せ作戦で区画を封鎖していたため、との理由付けもばっちりです。

 彼らはこの後、脱出組全滅の報道を受けて泣く泣く2人だけで地球行を継続します。

 それがラスタルの思惑通りと知らずに。

 

 脱出先行組はトンネル出口の広場でチャド達の迎えを待つつもりでギャラルホルンの包囲を受けました。

 彼らの無駄な抵抗と容赦のない殲滅は作中の通り。

 他人を測る目と自分達が他者からどう見られているかの視点を欠いた結果、彼らに生き残る目は無いものとして演算しました。自然な流れだったと考えます。

 

 最後にユージン。

 彼は団長に次ぐ立場の人間として絶望のままに死ぬ役割を担ってもらいました。

 

 三日月が言った「務めを果たせ」の台詞はアニメ通りですが、この作品では鉄華団の旅立ちではなく終焉を見届ける務めを果たすダブルミーニングのつもりで書きました。

 この結末に鉄華団への憐憫を感じるか、積み重ねた行いに対する当然の報いでしかないと思うかは見方によるかと思います。

 見方のひとつとしてギャラルホルン隊員の会話を付け足しました。正解でも間違いでもない、凶悪犯に何の思い入れもなく現場で治安を担う彼らの率直な意見はこんなものだろうと。

 

●銃弾は日常に消えて

 オリジナルの後日談編第1話、クーデリア射殺回です。

 

 その他の話は可能な限り公平にIFを探ったのですが、この回だけはアリウム・ギョウジャンの事を考えすぎた結果でしょう。

 とはいえ作中で書いたように「アリウム・ギョウジャンに見出された活動家がアリウム・ギョウジャンを見捨てた結果、アリウム・ギョウジャンの妻に殺される」展開は割と気に入っています、因果応報。

 

 ちなみにその他の部分、クーデリアの行いがテロ幇助でしかない点と世間の評価は趣味を入れない脳内シミュレートの結果です。

 民衆が行う反応や裁判への娯楽的興味もアニメ本編で聴衆が掌返しした描写を参考にしたもの。

 だいたいこうなるでしょうね、と。

 

●情によって滅ぶ(1)

 鉄華団救済ルートに舵を取った結果、2人の大物が冷徹な大人から立場を省みない人情家になり果てました(クーデリアを入れれば3人)。

 その片割れ、蒔苗東護ノ介の結末回です。

 

 1期では鉄華団を使い捨てる気満々だった老議員が命の恩人だからとテロ組織残党を匿う展開。

 こんな杜撰な計画、バレたらただじゃすみませんね……という流れを演算しました。ID改竄を通すにはマカナイ派の議員以外にもIDを管理する役所の人間をどれだけ取り込めば可能なのか、仲間に引き入れる算段はつくのか。クーデリアから協力要請されたその場で決められる事ではなかったように思えます。

 というか普通バレますよね、ID改竄自体が重罪なら相当に厳重なシステムが敷かれているはずですし、テロ組織認定された団員の情報を書き換えるとか無理筋が過ぎるかと。

 

 そもそもID設定がドルトコロニー編と齟齬が……とのツッコミどころ満載設定ですが、これも救済ルートに変更した歪み。

 クーデリアさんの大好きな世界の歪みです。

 

●過去は這いずり足首を掴む

 マカナイ破滅からの派生でタカキの逮捕回。

 とはいえ追及されるのはタカキ自身の罪なのでマカナイ悪くない(ラディーチェ殺害を隠蔽指示したのは悪い)。

 ここまで掘り下げなくともマカナイ派の政界追放でタカキの夢、政治家への道は閉ざされたのですが、鉄華団が振りかざしていた『ケジメ』について扱える機会だと思ったのです。

 

 鉄華団は壱番隊の大人2人やアリウム・ギョウジャンを殺したのと同じく、自分達に害した誰かを私刑に処せる権利があると勘違いしてる節がありました。

 その辺りをツッコミ入れて罪を追及する流れに仕立てました。ラディーチェの行為は明らかに背任でしたが、勝手に射殺していいわけもありません。

 タカキの行いは偏った環境で育成された価値観によるものですが、俺は知らなかったで済まないのが法律。早めに鉄華団から離れた事で多少は世間の常識を理解しつつある点も加味し、自問パートからの自供に繋がりました。

 これがライドを代表する他の年少組なら最後まで自分達の正しさを疑うこともなかったのではと考察します。

 

 とタカキの掘り下げをする一方でラディーチェの話題に触れるなら、監査が地球支部の仕事をしている奇妙さに言及せざるを得なくなりました。そもそも何故ラディーチェは鉄華団を裏切ることになったのか。

 外部監査が監査先の仕事を率先して交渉窓口に立つ奇怪さをどうにか理由づける必要が生まれ

 

 ・第3者から見れば鉄華団に買収されたとしか思えない

 ・本当はマクマードからの贔屓命令で手伝わざるを得なかった

 

 と第3者予想・真実の2種類を設定しました。

 どちらも辻褄合わせで本編に設定のない代物ですが。考えれば考えるほど、地球支部の経営実態はおかしいです。何故こうなったのか。

 

 おそらく正解は「脚本の人が監査の仕事を分かってなかった」だと思いますが(メタ)。

 

●情によって滅ぶ(2)

 マクマードとテイワズ破滅回。

 

 名瀬曰く、マクマードは「決して情では動かない」と言われた冷徹な男だったはずですが、ぶっちゃけ鉄華団を超贔屓してました。

 縁切りした連中に手厚い支援とかありえない事態ですしトップがやっていい事ではありません。

 名瀬が鉄華団に頼まれてダインスレイヴを製造依頼していた件と同じく、ジャスレイの「オヤジは鉄華団を贔屓してる」指摘も完全なる事実になってしまった台無し展開パート2。

 

 その辺りを考慮した結果、私情塗れのマクマードは義侠心溢れる若者に落とし前をつけされられて射殺の結果を採りました。

 ジャスレイは巨大組織のナンバー2、カリスマもあった事でしょうし慕う舎弟が鉄華団的行為に及ぶ皮肉が利かせられました。

 

 マクマードは殺されましたが、撃って来たジャスレイの舎弟に関しては男気ある若者は大好きだと思って死んだかもしれませんし、即死なので何も考える時間は無かったかもしれません。

 

●歪んだ波紋は弱者を飲み込む

 何も悪くない弱者が酷い目を見る、楽しくない話です。

 ですが、

 

 ①鉄華団は急成長で同業他社から羨望と嫉妬を向けられている

 ②海賊の親玉曰く、鉄華団を疎んじてる連中は大勢いる

 ③鉄華団は脱走計画に際し、残された関係者がどうなるかについて全然考えてなかった

 ④クッキークラッカの学内での様子(前半と後半の差)

 

 この辺り本編の描写を拾って組み立てると書かざるを得ない話でした。

 「これ火星に残された鉄華団の関係者やその家族は酷い目に合うんだろうな」

 「なのに団員たちは自分達だけ逃げてビスケットの家族がどうなるかとか全く考えてなかったし一緒に逃げるつもりもなかったな」と。

 

 特に②と④は致命的です。

 敵対者はぶっ殺すと息巻いて実行、無駄に敵を作りながら大組織の威光に守ってもらっていた集団が力を失うのです、その後どうなるかは推して知るべし。そして報復が本人たちだけに返るとは限りません。

 報復の余波が所在明らかな桜ファームに降りかかるのは避け得ない展開でした。

 作中ではクッキーとクラッカのその後はあえて描きませんでしたが、1期の鉄華団の活躍を受けて少年兵増加、ヒューマンデブリの需要もアップしたらしい流れに対するアンサーを入れるならここかな、とも思います。

 そして強い者が好きに出来る世界だとこういうのが横行するのでしょう。

 

 余談ですが、ザック・ロウ(リーゼントの新入社員)の親は会社経営者という設定、社会的地位のある彼らも不利益を被ってる可能性は低くないかもしれません。

 

 ちなみに似た環境のタカキ妹・フウカは地球の治安が火星ほど悪くないのでここまで酷い目を見ることはなく、タカキが未成年であることも併せて知ってる人は知っている程度、白い目で見られる範囲で済んでいる想定です。

 やがて出所する兄を出迎える程の関係を続けているかは本編に判断材料がないので考えていません。

 

●赤き道は仇に至り

 真・鉄華団の最期回。

 語るべきはチャドの最期とライドの最期ですが、何気にノブリスの掘り下げもしている点が注目でしょうか。

 

 チャドの顛末を大部分回想で描写する形にしたのは、アニメ本編で彼はライドとほぼ同じ立ち位置だったのに復讐に走らず平和な日常を満喫していたからです。

 彼は復讐を選ばなかったキャラなのでこの作品でも戦わない選択をした結果、マカナイの庇護を受けて平穏に暮らすもマカナイの加護が解け身元がバレて捕まる。

 特に派手なドラマ性もないのでメディア報道とライドの回想で消化しましたが、その影響か感想でチャドの結末についてはどなたも触れない可哀想な結果に。

 チャドの霊圧は消えました、詳細を書いてもただの逃亡犯を捕まえる話になるだけだったので仕方なかったのです。

 

 名前だけなら今回チャド以上に頻発したノブリス。

 “ノブリスが金を出してくれなければ鉄華団は立ち上がることも出来なかったんですけどご存知でしたか?”。

 私の見て回った範囲でこの設定に触れた二次創作は無かったので言及しておきました。恩は感じないけど報復はする、鉄華団がどんな集団かの説明にひと花添えられたかと思います。

 また作中で書いた通り、初期のクーデリアはノブリスからの資金援助を喜んで受けていたように、火星では悪名より慈善家として知られた人物だったのでしょう。

 そんな人物を鉄華団団員が暗殺したのですから、元々団員が全滅しているこの作品では関係ありませんがアニメ本編ではどこまで追及の手が入るのか興味深いです。

 

 本題のライド、これが難題でした。

 アニメでは「なんだか鉄華団の残党らしい幾人かでノブリス襲撃して暗殺成功したらしい」描写が為されました。

 しかし、こう言っては何ですが。

 

 鉄華団の残党、それも年少組らしい彼ら数名にそんな能力ないだろう……というのが率直な脳内シミュレートの結果です。

 

 ノブリスは火星圏随一の大金持ちで裏の社会にも通じた大物中の大物。

 そんな人物にID改竄して何もかもを失った少年兵数人が立ち向かえるか、組織力や武器を揃える資金、諜報能力や計画性があったのかと言われるとノーとの結論以外に成り得ません。

 

 アニメでは過程をすっ飛ばしたからこそあのオチが描けたのだと思いますが、この作品は映像作品ではないので経緯を文章で触れないわけにもいきません。

 その上、この作品内では鉄華団残党はほぼ全滅。ライドと行動を共にする仲間はゼロの状態。これはノブリスの暗殺なんて無理だな……とも思いましたが。

 スタッフ発言の「ラスタルはライド達のノブリス暗殺計画を知ってたけど平和にプラスになるから放置して実行させた(意訳)」設定を拾ってあれこれした結果。

 

 『ラスタルも紛争の火種をバラ撒くノブリス暗殺を示唆、ガラン・モッサのような単身で動くエージェントが外野でノブリスを狙う者達を利用した』形に落ち着きました。

 グラン・メッサーが何者だったかは名前の響きで掴んでいただければと思い作中での描写はカット。こういう工作員があちらこちらに居るのでしょう。

 

 ライドはオルガの敵討ちという本懐を果たしましたが、大人の準備してくれた計画に乗っただけ、誰かの掌の上だったので進み続けることはできませんでしたオチは鉄華団の最期に相応しいと思いますが皆様には如何でしょう。

 彼が満足に逝ったかどうかも読者様諸氏のご想像にお任せしておきます。

 

 ちなみに死刑判決は確定した後も一定期間を置いて執行されるのが常です。

 ライドは「その3」で自分の方が捕まらず進み続けているので正しい的な事を考えていましたが、結果的にはチャドの方が長生きするという皮肉を効かせております。

 

 チャドとライド、この2人は正反対の道を行ったものの、他人の用意してくれた座り心地のいい椅子に座って一時の幸せに浸っただけという点は共通させています。

 

※余談

 『紛争の火種といえばラスタルもガラン・モッサを使ってやってたじゃん』という意見を散見しますが目的が異なります。

 

 ノブリスのは武器を売るため。

 ラスタルのは経済圏が独自軍事路線に走るのを食い止めるため。

 

 「今の経済圏が軍隊なんか持ったら些細な事で衝突するでしょ?」というのを見せつけるためでした。

 だいたいその通りになりました、議長ひとり意識不明な状態で戦闘機墜落事故が起きただけで紛争が始まりましたから。ガランは始まった紛争の戦況を現場で膠着させましたが軍事衝突にゴーサインを出したのは双方の首脳であるはずです。

 

 ちなみにマクギリスはギャラルホルンの信用が落ちたことを利用してSAUには自分達が、アーブラウには鉄華団を軍事顧問に据える形で経済圏の軍事増強に協力していました。

 ガランの言う「恥をかかせて地位も名誉も地に堕とす~」というのはその企てを失敗させて阻止するためだったのですが、その辺りの描写は確かに不足気味だったと思います。

 

●鉄咲かぬ大地に祈る

 祝・完結です。

 アニメ本編のBパートに似せた「その後ナレーション」と、ナレーション担当だったアトラ回。

 「私ならオチをこうします」的な作品で一番重要な箇所ですが途中の内容的にここまで読んでもらえるか、との疑問を抱きつつ書き終えました。

 

 ギャラルホルンのその後は1、2話使って書こうとも思っていたのですが予定以上の長編になってきたのでばっさりカット。

 ガエリオとジュリエッタの病院会話(ガエリオの現役続行で車椅子状態は無し、代わりに妹のお見舞い予定だった)でジュリエッタの鉄華団考やガエリオを「やることだけやって満足して放り出すのか無責任野郎(意訳)」と説得した回想話を想定していました。

 

 前者、鉄華団への見解はアトラさんにお任せする形でまとめることに。ギャラルホルンについては途中途中で暗躍内容を書いていましたしなくても問題ないかなと。

 マカナイ派追放とかアーブラウの危機とかテイワズ崩壊とか工作員グランとか。

 

 ギャラルホルンについては簡単にまとめつつ、メインで書いたのはアトラのその後。

 鉄華団全滅、クーデリア死亡を書きつつアトラの結末を避けていたのはこのオチのため、前述した「アトラと暁だけ助かる」設定のためでした。

 ただ助かっただけでは長々と文章を描けないので、ひとり外の世界に放り出されたアトラの視野が広がり、価値観が変わることで改めて鉄華団について再評価する話をベースに。

 

 そして大半はアトラ視点で進めました。

 ざっくり言ってしまうと社会に馴染んだアトラによる鉄華団考察。

 アトラの結論を現状に照らしつつ語らせた形ですが、簡単に言うと

「あの頃は楽しかったと今でも思ってる」

「けど身内のノリを社会に押し付けるのは無謀だったよね」

「もっと周囲と上手くやるべきだったよね」

 というのが近いかもしれません、と台無しのまとめ。

 なお、ひとりだけ生き残った負い目のようなものを背負っているので幾分内罰的な心情描写に拠っています。

 

 結果的にアトラによる鉄華団の有り方否定になっていますが、アニメ本編でも鉄華団に属していた家族は大事だけど鉄華団という入れ物にこだわっていたのはライド達くらいに見えたのでこういうまとめとなりました。筆者的には妥当なラインかと。

 

 ちなみにタービンズの女連中と仲良くなってたアトラの立場では思わないだろうとシミュレートして書かなかったのですが、上述のジュリエッタによる鉄華団考察だった場合は「ヤクザの仲間入りしたのは致命的でしたね」「どう考えても一生暴力と無縁になれないでしょうに」が加わっていたでしょう。

 筆者的にはこの時点でまっとうな仕事で生きるのは無理だったと思います。

 

 アトラの鉄華団考察は鉄華団に厳しめになってるように見えるかもしれませんが、「他人と上手に付き合えないのが問題」を主眼に置いてますのでトド視点やジュリエッタ視点の解説に比べればまだ優しめに書いたつもりです。

 

******

 

〇書いてみて思ったこと

 筆者的には割と上手く転がせたと思います(自画自賛)。

 

 アニメの感想で「1期賢かったマクギリスが2期で頭が悪くなった」的な物を散見しましたが、こうして色々書いてみると。

 もっとずる賢く立ち回れるはずの大人の頭が悪くされてたなと思いました。救済ルートの無理が相当祟ってるな、と。

 

〇辻褄合わせに苦労した点

 ・地球支部の事務仕事を監査がやってた理由

  是非とも公式見解が知りたいところです。

 

 ・情報収集や組織運営などレジスタンス活動に不可欠要素に絶対向いてないライドにノブリスを討たせる経緯

  そんな緻密にして繊細な計画立てれるなら鉄華団があんな結果に終わらなかったのでは? と思わずには。

 

〇おしまい

 以上で「私なら鉄血をこのようにオチをつけたね!」という二次創作は終わりです。

 

 ここまでお付き合いくださった方に感謝を。

 モチベーションの大半を支えてくださった、頻繁に感想をくださった方々にはさらなる感謝を。

 高低かかわらず評価をくださった方々の心には何かを残せたのだろうなという自己満足を抱きつつ。

 

 また何かの二次創作を書いた場合、お付き合いいただければ幸いです。

 




意見や疑問点などは感想や活動報告の「二度と咲かない鉄の華」予定にレスでもいただければお答えできるかもしれません。
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