学校の帰り道、小町にドーナツを買ってくるよう頼まれていたのを思い出し、珍しく寄り道をしていた。もう真冬と言っても過言じゃないこの季節、ドーナツ屋に入ると店内の暖かい空気が冷えきった俺の体を少し温めてくれた。そのまま店内に入り、ドーナツを2人分とホットコーヒーを購入し店内で少し休憩をしていた。
「あれー?比企谷君じゃ〜ん!久しぶり」
席に座って間もなくすると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。そう、雪ノ下陽乃だ。雪ノ下さんは自分のトレーを持ってきて、わざわざ俺の隣に座ってきた。
「うっす」
「もぉ〜久しぶりの再開なんだし、もっと嬉しそうにしてよ〜」
隣に座ってほっぺたをうにうにしてくる。
嬉しいわけがない…なんでわざわざこんな疲れる人の相手をしなければならないんだ
「んじゃ俺はもう帰るので」
俺は飲みかけのコーヒーを一気に口に含みその場を去ろうとした。面倒事はごめんだし、遅くなると小町に心配されるしな。うん、小町を安心させるためにお兄ちゃんは早く帰るのだ
「あ、小町ちゃんから返信きた うちの兄の事好きにしてくださっていいですよ!だって〜どうしちゃおうかな?」
小町ちゃんどうして悪魔………魔王と契約してるのかしら?
「はぁ……なんの用ですか?」
「用なんてないよ、私もたまたまここに寄っただけだから」
大学の帰りか何かだろうか…つーか何これ…雪ノ下さんめっちゃいい匂いするんだけど…こんな至近距離で話す事無かったから知らなかった…この香りすげぇ落ち着く…
きっとこれは雪ノ下さんが付けてる香水なのだろう、決して雪ノ下さんから出ているフェロモンとかそういうのではなく、ただ俺好みの香水をたまたま付けているのだ と自分に思い込ませた。
俺の席はカウンター席の端で雪ノ下さんはその隣に座っている。そして雪ノ下さんは肩肘ついてこちらに目を向けて話をしているので距離がものすごく近い、いやもう何かの間違いでキスできちゃいそうな程近い距離だった
「ちょっと愚痴聞いてもらえる?」
「雪ノ下さんが…愚痴ですか?」
「なに?私だって愚痴の一つや二つくらいあるわよ」
裏では色々ありそうだけど、この人が表で人の愚痴を言うのは少し意外だった
「それでね、その勘違い男を振ったらさ…君に釣り合うのはこの世で俺しかいないとか言ってきたわけ」
「それは、また痛い奴ですね」
「どこかに比企谷君のような面白い子いないのかな?」
俺みたいなやつが他にも居たらこの世の中どんだけ腐ってるんだよ
「ごめんね、長々と愚痴聞かせちゃって 少しストレス解消できたかも」
「苦労が耐えないんですね」
この人は雪ノ下家の長女という地位もあるせいで日頃からプレッシャーを掛けられて生きている、それに加えその美貌…ほとんどの男は彼女を放って置かないだろう
「もう慣れたよ、それじゃ私先に帰るから」
そう言って雪ノ下さんがその場で椅子を引き立ち上がると、後ろから歩いてきてた高校生?の肩とぶつかり転けそうになった
「あ、危ない!」
なんとか彼女の腕を掴み俺が下敷きになる事で雪ノ下さんは地面に転ける事は無かった
「す、すみません!大丈夫ですか?話しに夢中で前ちゃんと見てませんでした!」
言い訳とかいいから助けろよ…こちとら椅子に横腹打ってそれかつ地面に叩きつけられてそれどころじゃ無いんだよ
「んっ?んんん〜〜〜〜!!??」
一瞬何か柔かいものが唇な触れた気がしたが、気の所為だろうか
俺が目を開けると陽乃さんの顔は目の前にありそしてばっちりと俺と雪ノ下さんの唇が触れ合っていた
すぐに雪ノ下さんが俺の上から降り、顔を赤らめていた
さっきの高校生は陽乃さんが大丈夫という事をいい 心配しながらもこちらから去っていった
「ご、ごめんね」
「い、いえさっきのはふ、不可抗力ですし」
まさか俺の初めてがこういう形で無くなるとは思ってもみなかった
多分これが終わりの始まりだったのだろう
もしこれが回避する事ができたのなら
あんな未来にはならなかった