妄想が止まらずに書いてしまいました。
他作品もしっかり執筆しているのでご安心を。
それでは、どうぞ
「ひっぐ…。うぇ~ん……」
夜遅くに、町外れにある山の中を一人の少女が歩いていた。
それも泣きながらだ。
彼女の名前は
何故なら彼女は家を追い出されたのだ。
齢10歳で、だ。
その理由は突然現れた謎の少年。
自らを
彼女は当然意味が分からなく、真面な思考ができない状態で両親から突然の勘当をされ、泣きながら出て行ったからだ。
彼女が歩いている山はよく自分が遊んでいた場所で、ここに来ると何故か心が落ち着くのだ。
高度は五十メートルもないのですぐに頂上に着き、その付近にあった自分が座れるぐらいの岩を発見して、彼女はそこに座った。
頂上は少しの岩しかなく、木々は道中にしかないので、視界を遮るものはない。
ふと、泣くのをやめ空を見上げる。
そこに広がっていたのは星の海。
まだ春なので天の川ほどではないが、それでもかなり綺麗に見えた。
彼女はなんでこんな事になったんだろうと考える。
悪いことはしたことがない。
寧ろ、正義のヒーローに憧れ、困っている人を助けたり、他人をイジめるいじめっ子達を成敗したり、ゴミを拾ったりと…………かなりの善行を積んでいた。
だが、彼女は自分を責めていた。
自分が悪い子だったから?
自分がお母さんとお父さんの言うことを聞かないいけない子だったから?
学校の成績がよくない頭の悪い子だったから?
…………彼女は優しすぎた。
そのせいで誰かのせいにする事などなく、寧ろ自分を攻め込むほどに。
恐らく、彼女が真面目に育っていたなら、正義感や優しい心を持つ彼女ならば弁護士になっていただろう。
だが、ここでIFの話をしても意味が無く。
彼女は放心しながら夜空を見つめ続けていた。
そんな風に辺りが静寂に包まれていた時、突如として謎の音が聞こえ始めた。
ぐちょり、ぐじゅり………ブモォ!
彼女はその音に何も驚くことなく、そちらを見る。
そこには全身傷だらけの醜い化け物がいた。
顔は牛で体は巨漢。
まるでギリシャ神話に伝わるミノタウロスのようなものがそこに這いつくばりながらこちらを見ていた。
いつもの彼女なら発狂していたはずだが、既に絶望しきってる彼女は……………ほほ笑んだ。
迎えが来たのかな…。
失うものがない彼女の心は、既にぼろぼろでいつでも死ぬ覚悟はできていた。
だから、その異形に勝てないのは見た瞬間から悟り、死を受け入れた。
一方、ミノタウロスの方は歓喜していた。
このミノタウロスは“はぐれ悪魔”と呼ばれる主人殺しという大罪を犯した者の一人で、ランクはAだ。
彼にとって人間は餌でしかなく、そこをわかり合えなかった主人を彼は殺したのだ。
そんな彼の好物は女児の肉だ。
女児の肉は柔らかく舌触りも良いらしく、自分が逃げた先で見つけられたのは僥倖だと思ったからだ。
しかも少女は騒ぐことも助けを呼ぶこともなくこちらを見ていたので最高の状況と思った。
ちなみにこのミノタウロス、偶然にも他の悪魔の眷属に見つからないように逃げてる最中にとんでもない大物と出くわして、そいつから必死に逃げたのである。
だから、逃げ切るためにも、目の前の少女を喰らい体力を回復させようと立ち上がり、猛ダッシュで少女に手を伸ばした瞬間。後一寸と言ったところで彼は吹き飛ばされ、絶命した。
少女は、目の前で倒れたミノタウロスが死んだことに気づかず、ただ倒れただけのように見えたので、少し死ねなかったことを残念がった。
だが、今度は誰かなと思い、ミノタウロスが吹き飛ばされた方向とは反対のほうからビームみたいなのが見えたので、そちらを見る。
そこにいたのはスーツを来たハンサムなおじさんだった。
前髪辺りだけが金髪でそこ以外は黒髪という、不思議な人で少なくとも日本人じゃないなと少女は思った。
そのおじさんは彼女の方に気付くと、こちらに走って来ては心配そうに話し掛けてきた。
「よお、大丈夫か?お嬢ちゃん。怪我とかはしてないか?」
「……………ありが……とう…?」
彼女は何故心配されたのか分からなかったが、礼を言った方が良いと思い、そう返したが………あまり実感が湧かなく疑問形になってしまった。
すると、おじさんは少し笑い、再び話し掛ける。
「ハッハッハ!なんで疑問形なんだよ。……いや、それはいいか。んな事よりお嬢ちゃん、こんな時間にどうしてここにいるんだ?親御さんが心配してるだろう?」
おじさんは少女について何も知らない。
だが、彼女は本来帰るべき場所を失ったのだ。
だから、自分でも聞いたことの無いような声が聞こえた。
「お家はない………。追い出されたの………。もう私に帰る場所なんて………ない………グスッ」
自分とは思えないほどの弱々しい声だった。
しかも話してる最中に感情が戻ってきて涙目になってしまった。
おじさんは何かを察したのか、彼女に優しく話し掛ける。
「お嬢ちゃん、ならおじさんに話してみてくれないか?お前さんの悩みを解決できるかもしれない」
彼女はその言葉に大きな反応を示し、もしかしたらこの人ならと思い、ポツリポツリと話し始めた。
話が終わると、おじさんは彼女にある提案を持ち出した。
「なら、お嬢ちゃん。うちに来ないか?」
「あなたの…………家…?」
「おう。行く当てなんてないんだろ?実はなおじさん金持ちなんだよ。お前さんが1人増えたところで何も問題ないんだ。それに俺ならお前さんを強くできる」
“強くできる”という言葉に彼女は内心で繰り返す。
自分が強くなれたら、お母さんとお父さんを元に戻せるのかな…?
彼女はおじさんにそう聞くと、こう返してきた。
「勿論だ。お前さんが強くなれば両親を取り戻せるかもしれない。両親を取り戻すまででも構わないが俺はお前を強くしよう。さて……………どうする?」
彼女からしたらそれは一縷の希望だった。
おじさんは彼と関係者である可能性は少なからずあるが、ここで彼の提案に乗らなければ、自分は野垂れ死ぬのは分かり切っていた。
もしかしたら、付いていった先で酷い目に遭うかもしれない。
けれど、これは絶望しかない自分にとって唯一の希望なのだ。
彼女は決断する。
「よろしく……………お願い…します」
「そうかい。なら、行くぞ」
「え?ちょ、は?」
彼女が頭を下げておじさんが快く承諾したはは良いものの、彼の言葉が終わると同時に地面が光り出し、光が治まったと思ったら、景色が変わりどこかの屋敷であろう部屋の中にいたのだ。
何も知らない少女からしたら、訳が分からなく困惑するのは当然だろう。
その様子を見ていたおじさんは彼女に向かい合い、口を開く。
「ようこそ、お嬢ちゃん、
ここに奇怪な運命が産声を上げた。
赤は家族を愛し、白は家族を憎む
獅子は忠誠を誓い、黒狗は全てを護る。
堕ちた天使がいずれ世界を制し、純白の天使は罪を犯し、汚れた悪魔は愚行を繰り返す。
これは人の物語でも人外達の物語でもない。
これは龍達が織り成す希望の物語だ。