私自身が不思議とスラスラと書けたことに驚いてたりします。
それではどうぞ。
冥界に存在する堕天使の組織、
「一瀬えええええええええ!!何処だあああああああああ!!??どこに居るんだああああああ!?」
「落ち着けアザゼル!?ゴミ箱を漁っても一瀬は出てこないぞ!」
「一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬一瀬いちせいちせいちせいちせいちせいちせいちせいちせいちせいちせいちせイチセイチセイチセイチセイチセイチセイチセイチセイチセイチセイチセイチセイチセイチセ…………」
『ひぃ…!!誰かヴァーリを眠らせてくれ!さっきから壊れたレコードのように一瀬の名前を繰り返しで喋ってるせいで、俺が精神崩壊しそうだ!!一瀬ええええええ無事でいてくれえええええ!!』
「心配なのは大いに分かるけど………凄いカオス………」
「落ち着けと言っても無駄なんだろうな」
「呼ばれてやって来たは良いんですけど…………これ、どういう状況ですか……?」
とんでもないことが起こっていた。
その理由は、一瀬が行方不明になったからで、神の子を見張る者の中でも一瀬の存在を知る者はほとんど狂乱状態だった。
特にアザゼルとヴァーリがヤバかった。
アザゼルは土を掘ったりゴミ箱を漁ったり全ての部下に捜索命令を出そうとしたり……普段の彼なら絶対に有り得ないことだった。
コカビエルですら外部に連絡させないことでしか抑えられ無い状況でいた。
そしてヴァーリは部屋の片隅で体育座りしながら、親から虐待を受けていたときよりも黒いオーラが漏れて延々と一瀬の名前を呟いていた。
それを
二天龍がここまで恐れる程にヴァーリはヤバかった。
そして、それ程混乱はしていなかった、伝えに来たオリバーは逆に冷静になっていき、偶々アザゼルの部屋にいたバラキエルは呆れ、最近やって来た十三種しか無い
実はこう見えても時間は一時間以上経っており、一部の部下に神器保有者が一名行方不明になったと言うことで詮索はしてるものの一切の音沙汰なしで段々と不安に呵まされ、アザゼルとヴァーリが壊れ始めていた。
自ら探したいが、仮にも組織のトップがそんな事すれば、ただでさえ部下にも存在を隠してるのにそのせいで他勢力にも一瀬の存在がだんだんと広がってしまう。
ヴァーリも同様で、アザゼルの懐刀であるヴァーリが動けばアザゼルと、同じ状況になってしまう。
そんな動けない状況でもし一瀬が…………と考えてくウチにネジが何処か行った。
オリバーやバラキエルも確かに心配ではあるが、アザゼルとヴァーリにはとにかく落ち着いて欲しかった。
そうしなければ真面目に会話することも適わないからである。
だが、そんな時に彼らの部屋に一つの魔法陣が現れた。
誰も見たことの無い文字が羅列されており、壊れかけていたアザゼルがやっと正常に戻って、その文字を見つめる。
だが、
「馬鹿な…!古代ルーン文字だと……!?」
古代ルーン文字。
それは一般に知られるルーン文字とは違い、ケルト神話勢力の中でも一部の者しか知らないと言われているもの。
だが、それを自由自在に扱う人物をアザゼルは一人だけ知っていた。
その名前を言おうとしたとき、魔法陣が突一層輝き、風が部屋の中に入り込む。
全員が腕で顔を防ぐも光のせいで目が開けられない。
そんな中、一人の女性の声が聞こえる。
「久しいな、総督殿。妾が会いに来てやったぞ」
ケルト神話に登場する異界の国、“影の国”。
そこを統べる唯一無二の女王………その名を
「何の用だ?スカアハ」
「そう警戒するな。同盟関係を結んでる我らの仲じゃないか」
ケルト神話が出した、かの大英雄クー・フーリンの師匠にしてケルト神話勢力の中でも唯一、主神ルーに手傷を負わせることが出来る存在である。
深紫色の長髪に紅蓮の瞳。
百人中百人が彼女を美女と言うであろう蠱惑的に美しい女性で、その身は女王の威厳を示すように己の髪と同じ、深紫色のドレスで包んでいた。
その後ろには黒い短髪に蒼い目と獰猛な顔つき、首からマントを着ているが、その下から見える上半身は裸で、その見える顔に少しの、上半身には無数のルーン文字が描かれており、下半身には狼の皮でできたパンツを履いている。
そして、何より特徴的な紅い槍。
ケルト神話が代表する伝説の武具の一つ、“ゲイ・ボルグ”。
それだけで、その正体は嫌でも分かる。
その槍を持つ者は世界でもたった一人。
ケルト神話どころか世界にもその名を誇れる大英雄クー・フーリンその人だ。
アザゼルが警戒したのは、スカアハが何故そいつを連れてきたかということ。
スカアハはその問いに応える。
「何、ルーからの頼み事でな」
「ルー?主神がワザワザお前にまで頼んで来るとは………何かあったのか?」
ルー。
ケルト神話最強の神で、クー・フーリンの実の父であり、その強さは世界でも一桁に迫る程である。
そんな大物がいくら同盟を結んだからって、格下であるはずの自分に頼み事をするとは、アザゼルは露ほども思いもしなかったからだ。
「まあ、そこまで大事では無いのだがな。そもそも私じゃ無くても良かったわけだ。目的はこいつをここに連れてくる事だけが目的よ」
「………そいつはお前らの大切な秘蔵っ子だろ?何があった?」
「未来を見れる魔眼を持つ知り合いがいてな。その者が、ここに我らの負の遺産がやって来ると言ったのだ。ルーはその情報を聞き、念の為と同盟の証と言うことでセタンタをここに置こうと考えたのだ」
アザゼルは考える。
ケルト神話が言う負の遺産……。
邪神か…?
否、それらはだいたいルーによって滅ぼされている。
なら、怪物か?
グリードやコインヘンという神でも苦戦する化け物はいたが………そこまで来てアザゼルは答えに辿り着いた。
その答えは
「
「如何にも」
その名は邪龍最凶としても有名で、数ある邪龍の中でも筆頭格の存在だ。
邪龍特有の戦闘狂の性格のせいで数々神が彼の痛い目を見せられたという。
ケルト神話は気が付けばクロウ・クルワッハは姿を消していて、今も捜索は続けられていたらしい。
それが、堕天使に何の用だ………!?
「だが、どういう事だ…?」
「それは分からぬよ。だから、こうしてセタンタを連れてきたのでは無いか」
セタンタというのはクー・フーリンの幼名である。
スカアハは短い此方の方が気に入っているため、いつも其方で呼んでいる。
その本人であるクー・フーリンは先程から黙ってはいるが、どこか不満そうだった。
自分より強い人には仕方なく許しているが、それ以外の者には許してはいないのは簡単に察していた。
次にアザゼルが何故スカアハがここに来たのか理由を聞こうとしたとき、先にスカアハが口を開いた。
「ところで、先程から部屋の隅にてイチセと繰り返し呟いてる白龍皇は何があった?」
どうやら、ヴァーリがずっと体育座りなのが気になっていたらしい。
ヴァーリ…………かなりの重症である。
「悪いな。そいつと仲の良い奴が行方不明になって心配すぎてあーなった。いつもならもう少し落ち着いてるんだがな…………すまんな」
「(お前さんもさっきまで同じじゃったやけぇ!!離すんじゃバラキエルうううう!!)」
「(すまない。今はダメだ。後で解放するからオトナシクしてくれ。本当に頼むから!!)」
コカビエルが我慢の限界だった。
さっきまであれ程狂乱していた奴が急に冷静になったことに、理解はしてるが納得できなかった。
コカビエルは今にも特大の光の槍を撃ち出そうとしていたので、バラキエルが必死に抑えていた。
バラキエルの心労は止まらない。
「俺ここにいて良かったんですかね………」
「大丈夫だと思いますよ。遅かれ速かれ伝わってここに来ることになってたと思うので」
鳶雄は自分がこんな大事そうな話を聞いても大丈夫かと不安に呟くも隣にいたオリバーから問題なしと返された。
寧ろ不安だったのはオリバーの方だった。
彼は各神話勢力どころか己の組織にすら極力バレないように隠されていた神滅具保有者なのだから。
既にこの場には神滅具保有者が三人もいるが、全員がまだ戦闘経験が浅い者ばかりだ。
ヴァーリは戦闘経験はこの中で一番あるものの、大英雄であるクー・フーリンに比べたら軍人と生まれたての子犬ぐらいの差がある。
今すぐにでもこの場を去りたいが、下手な行動を起こせば神滅具保有者全員が一瞬で殺されるかもしれないのだ。
いくら同盟を結んだるからと言って殺されないとは誰も言っていない。
それに、彼らは原作には出てこないキャラクターでどんな力を持っているか一切不明なのだ。
そもそもケルト神話自体出て来たのはバロールの名前とクロム・クルワッハぐらいなのと主神であるルーが上位10位程の強さを持ってることしか情報がない。
オリバーは少しでも彼らがどんな力を持っているのかを見極めようと、この場に残る道を選んだ。
だが、そんな時に一人のノックもせずに男堕天使が入ってきた。
「失礼します!アザゼル様、大変です」
「あ?なんだ?」
アザゼルがその男堕天使に若干殺気を放ちながらも、その内容を聞こうとした。
恐らくそれは、無礼を働いた事への注意なのだろう。
男はそれを理解はしてるし、部屋にいる見知らない人達は誰なのかと疑問に思うが、今はそれどころじゃないとアザゼルにその内容を伝える。
「アジ・ダハーカとアポプスを名乗る者がアザゼル様に面会を求めてます!!」
だが、その内容はこの場にいる全員の空気を凍らせるのに充分だった。