堕天使に拾われた赤龍帝と白龍皇   作:花びら

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今回は大分やらかした気がする………。
そんな感じで、どうも、花びらです……。
深夜気分で書き上げたは良いものの、もう後戻りできない気がして無理矢理書いてて、遂に出来上がってしまったことに後悔してます……。
 はあ………。
 不作だぁ…………(泣)。
 それでは、どうぞ………。


3年後、会合・各神話の代表と一人の悪魔

 

 とある場所、壁も床も全て真っ黒な空間がそこにはあった。

 何も無いように思えるが、不思議なことに大きな白い円卓と椅子があり、そこには既に複数の者たちが腰を掛けていた。

 これだけなら、何処かの重鎮達による会合に見えるだろう。

 しかし、座っている者たちは全員が人どころかあらゆる生物を超越する存在である“神”と呼ばれる者たちの中でも主神や最高神と呼ばれる、各神話体系の代表達だった。

 ここは先に着いた者から教えていこう。

 

 一人目、「長腕」、「百芸に通じた(サウィルダーナハ)」の異名で有名なケルト神話の主神にして太陽神のルー。

 その容姿は、荒っぽい雰囲気の年若い青年で、橙色の瞳、絹糸のように白い短髪に森と同じで深緑色の中世の狩人のような格好をしている。

 その実力は世界でも一桁に届きうる強さを持っている。

 ちなみに、彼がアザゼルと同盟を結ぼうと思ったのは妹のように可愛がってるスカアハが彼に惚れていたのと、既に昔に()()()()()()だと知っていてアザゼルの性格を個人的に気に入ったという理由である。

 この主神、かなり勝手である。

 

 二人目、五分刈りの頭に丸レンズのサングラスにアロハシャツ、首には数珠というラフな格好をしている筋骨隆々の男。

 アロハの隙間から見える素肌からその身体が鍛え抜かれてる事が分かる。

 彼の名は帝釈天、又の名をインドラ。

 インド神話と仏教に通じる二つの名前がある、恐らく今回集まった者の中で、戦の神であることから最も戦闘狂であろう神だ。

 実際に彼の強さは世界でもトップ5に入るほどである。

 今回の話に彼が乗った理由は昔からウザく感じていた聖書陣営を滅ぼせるチャンスが来たという理由だからだ。

 

 三人目、間違いなくここに揃った神々の中でも有名な神の一柱、名をゼウス。

 その格好は王冠とトーガを身に纏っている中年の男性だが、ギリシア神話の最高神にして天空をも司る神である。

 実力は一桁に惜しくも入れないものの、ルーとそんなに順位は変わらない程である。

 自身の弟であるハーデスがトップ10に入ってるのを気にしてる。

 彼がここに来た理由はアザゼルとは個人的に親交があったために、友との役目を果たそうとしたからである。

 ………彼がいなくなれば、お気に入りの店に行けないという不純な理由もあったりする。

 

 四人目、日本の侍のような薄紫色の着物を纏い、腰には2本の禍々しい刀を差しており、真っ黒な長髪を後ろ髪で纏めている綺麗な顎髭を生やした、垂れ目な黒い瞳を持つ壮年の優男。

 名を天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)と言い、日本神話の“造化三神”という日本神話の中でも最も謎が深き至高神である。

 彼又は彼女らーーーー造化三神と別天津神(ことあまつがみ)という原初の神には性別が存在しないために断定はできないが今後は“彼”とするーーーーは天地開闢の後に姿を隠したと伝えられてきたが、実際には他勢力からの侵攻に目を光らせていた。

 しかし、ある事情のために目を離していた隙に聖書勢力の悪魔と天使が駒王町を占拠し、勝手に領土としていたために三大勢力自体を嫌っていて、本来なら4年前のある日に訪問してきたアザゼルの話を聞く気は無かった。

 しかし、堕天使だけが唯一駒王町に関係してないのと、勝手に好き放題している悪魔と天使を滅ぼさないかということもあって不可侵条約を結んだ。

 

 五人目、白く長い顎髭を生やした方眼鏡をかけた特徴の無い服装をしている老人。

 彼の名はオーディン。

 北欧神話の主神で戦争と死を司っており、それとは別に詩文や魔術にも長けてることでも有名な神だ。

 また、知識を得るためになら己を身を差し出せと言われても喜んで犠牲になるような、知識に貪欲な神としてもよく知られている。

 彼は本来なら和平を好むが、この世界では悪魔がやらかしたせいで悪魔・天使滅すべしと今回参加してきた。

 ちなみに、アザゼルとゼウスとは飲み友で、ゼウスと同じような理由で来ていたりもする。

 

 六人目、赤色と青色の毛が入り乱れた頭髪はぴったりと固めて、切れ長の両眼は右が赤で左が青というオッドアイの紳士服を着た中年男性。

 彼の名前はメフィスト・フェレス。

 『番外の悪魔(エキストラ・デーモン)』という七十二柱にも名前が載っていない悪魔だが、貴族階級の者である。

 こう簡単に言ってはなんだが、彼は悪魔である。

 そう悪魔だ。

 これから滅ぼそうとしている者達と同種族で、ぶっちゃけて言えば何故ここにいることが許されているのかが謎な程だ。

 しかし、その理由は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ためである。

 何故か?

 それは彼が悪魔陣営をとっくに裏切っているのと、強力な神滅具(ロンギヌス)所有者を()()()()()()()()()こと、そして、()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ためだ。

 確かに、ここに集った神々が力を合わせたら悪魔陣営も天使陣営も滅ぼせる。

 しかし、神々は己の勢力の手の内をそう易々と明かしたくは無い。

 その不安を取り除くためにいるのが、メフィスト・フェレスだ。

 実はアザゼル、何人かの悪魔と話をつけており、行動を移す際の内側からの破壊工作と、情報収集を依頼してる。

 しかし、滅ぼした後にその者達は居場所を失うので、メフィストが営んでいる灰色の魔術師(グラウ・ツァオベラー)神の子を見張る者(グリゴリ)が同じ三大勢力とよしみと言うことで協力して保護するためにこうして、長年の付き合いのあるアザゼルの考えに賛同してここにいる。

 

 総勢6名、各勢力の代表が円卓を囲うように座っていた。

 帝釈天がメフィストへ話し掛ける。

 

 「お前さんはここに来てよかったのか?後悔するかもしれないZE?」

 「構いません。初代魔王と相容れなくて冥界を離れた身ですが、今の魔王達とも仲が良いというわけではありません。契約しているにも関わらず、我が部下を乱暴を働く者もいるので……正直に言えば、我慢の限界でした。後悔するかもしれませんが、未来に生まれる希望と比べたら充分です」

 「同意するぜ、メフィスト。俺も自慢の槍をぶち込んでやりてえからな」

 「お主の槍一つであいつら壊滅せんかの?儂のグングニルよりヤバいのが四つもぶち込まれるとか……………あっちに同情するわい」

 

 帝釈天は同じ悪魔で実は裏切るのではないかと疑ってたために今の質問をしたが、彼が答えてる時の瞳の奥には怒りの感情が隠れていたのが見えたのだ。

 彼はそれで今の問答に満足したが、ルーがその意見に賛同し、その内容にオーディンが呆れながらツッコんでいた。

 帝釈天は、軽いなこいつらと内心で小さくツッコんでいたが、恐らく彼らの下っ端が見れば卒倒するような光景なのは間違いないので帝釈天の思ってることは間違ってなかったりする。

 なんせ、自分が信仰してる神が異教の神と険悪な空気にならずに普通に話しているのだ。

 逆に何も思わない者がいる方がおかしい。

 そして、そこに他の面子も混ざってくる。

 

 「これからどうなるんだろうな?」

 「そのための会議でござろう?しかし、アザゼル殿は遅いな。何をモタモタしてるのやら……」

 

 ゼウスが今後をぼやき、天之御中主神がアザゼルがこの場にいないことに呆れる。

 まあ、これほどの大物達を待たせているアザゼルがある意味大物であるが………。

 しかし、その声が聞こえたかのように、アザゼルはその場に現れた。

 後ろにとんでもない奴を連れて……。

 

 「待たせてしまい申し訳ない。突然の来訪者に遅れてしまった」

 「リゼヴィム・リヴァン・ルシファーだ。今回勝手ながらこの会議に参ったことに謝罪させていただきたい」

 『!!』

 

 聖書での名を“リリン”。

 初代魔王の実の息子で、悪魔陣営の中でも三人しかいないと言われる超越者と言われる者の一人だ。

 ちなみに、他の二人は現魔王である。

 突然の大物に驚く一同だったが、雰囲気は不思議と落ち着いたものだった。

 だが、最初に突っかかったのは帝釈天だ。

 

 「よお、アザゼル。俺らを待たせた割にとんでもない奴を連れてきたなぁ?まさかとは思うが、そいつもなのか?」

 「そうだ。こいつが自らこの場に参加したいと言ってきてな。検査した結果、何も仕込んでいないことから何か仕出かすつもりはないと判断したのと、この場にいる者達のみに話したいことがあるとのことで連れてきた」

 「今、総督殿が話したとおりだ。私は今まで部下のユーグリットと共にとある事に時間を費やしてきたが………その事について話したい」

 

 リゼヴィムは普段、巫山戯てるという言葉をそのまま体現したような人物だが、本気や真面目な時だけは本来の口調……………冷徹で威厳のある口調になり、嘘のように性格が真逆になる。

 むしろアザゼルにとってはこっちのほうが聞き慣れてたために、巫山戯てる時は誰だこいつ?となっていたのである。

 オーディンとゼウス、ルーやメフィストはアザゼルの性格を熟知しており、彼が言っていることは本当なのだろうと思い、平和を目指している彼がワザワザ自分達に害を齎すような人物をここに寄越すなど有り得ないと考えていたために疑問の念を抱かなかった。

 それよりもリゼヴィムが話したいことの方が気になっていた。

 ……何故なら途轍もなく嫌な予感がするからだ。

 しかし、納得していない者もいるわけで………主に帝釈天と天之御中主神なのだが、他の主神達が話を聞いてからでも遅くは無いことと、この場から逃げられないしそもそもこの場で喧嘩を売るような命知らずでは無いはずだと宥めることで、何とか収まった。

 それを確認したアザゼルが切り出す。

 

 「今回集まって貰ったのは1年後にまで迫った計画の確認、悪魔領土の分割、今後のテロ組織への対策など、色々と話すことがあっての事だが………その前にリゼヴィムから報告を第一優先としたい。リゼヴィム、頼んだ」

 

 その言葉に気を引き締める一同。

 リゼヴィムはアザゼルから促され、それに頷き一同に一歩前へと出て話し出す。

 

 「このような機会を与えて頂き感謝致します。今回私がここに来たのは、私が昔から危惧していたことであり、現悪魔政府に見つからないように隠密にしてきた事についてお話ししたいと思ったからです。まずはこちらをご覧ください」

 

 リゼヴィムがとある方向へ見るように一同を促すと、空中にとある画像が映っていた。

 それは聖書に描かれていた一枚の頁。

 そこにあったのは

 

 「“獣”…!」

 「そういうことか…」

 「ここに描かれているのは、“黙示録の皇獣(アポカリプティック・ビースト)666(トライヘキサ)。私がここに参ったのに大いに関係してあるからです」

 

 天之御中主神が驚き、帝釈天が何かに納得した。

 リゼヴィムの表情が少し険しくなり、その正体を語る。

 通称黙示録の獣。

 不吉な数字としてもよく知られる666の語源となったもの。

 真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)グレートレッドと並べられて黙示録に語られる存在で、同等に戦えることが出来るのはグレートレッドだけとも言われている。

 しかし、何故ここでその存在が出て来たのか。

 ここにいる者達はそれを理解できないほどの阿呆では無い。

 リゼヴィムが口を開く。

 

 「私は魔王政府に属していたときからこの存在を探していましたが、反乱軍に敗れても私は辞めませんでした。しかし、約百年ほど前に見つけた…………見つけてしまったのです」

 

 一同はやはりかと納得はしていたが、その反面で最悪を想定していた。

 リゼヴィムは続けて話す。

 簡単に纏めると、リゼヴィムは父が“獣”を使って他勢力へ仕向けようとする計画を立てていて、死ぬまでも見付からなかったというのに何故存在があやふやな“獣”がいると確信していたのかに疑問を持ったという。

 だが、幸いにも大戦時に父は死んだのでこっそりとその計画書を盗んだという。

 反魔王勢力との戦争で自分以外にほとんどの仲間が死に行く中、計画書だけは絶対に渡してはいけないと思い、計画書のデータを全て消去して冥界から離れて身を隠した。

 計画書も燃やしたかったがトライヘキサ発見の鍵が見付かるかもしれないもずっと保管してたらしい。

 そして、世界の果てにて自分は愚か神ですらも下手すれば滅ぼされかねない程の凶悪な封印が幾千幾万と掛けられていた“獣”を発見したという。

 今は“こちら側”の悪魔達に周辺を警護させて、最悪の想定にも供えて“最悪な罠”を仕掛けてるともいう。

 現魔王のアジュカ・ベルゼブブが出てこない限り。

 

 「私が仕掛けた罠時間稼ぎはできますが、他の者達では手も足もでないでしょう」

 「なるほどのぉ。お主は儂らにアジュカ・ベルゼブブの動きに警戒しろと言うんじゃな?」

 「……ええ。彼は覇軍の方程式(カンカラー・フォーミュラ)という厄介な能力を持ってる上に、技術面でもかなりのやり手で……………恐らく“獣”の封印を解く先駆者になるのは彼でしょうから」

 

 オーディンがリゼヴィムの言外に言ってることを察した。

 悪魔勢力にそういうことに精通している者もいる。

 舐めてると足元を掬われるぞ、と。

 確かに、そうだ。

 自分が見下した相手に舐めて返り討ちに遭った神など腐るほどおり、この中にはそう言う者はいないが部下にはいるため、誰も何も言い返せなかった。

 リゼヴィムは更に続ける。

 

 「私共は現魔王政府が滅ぶまではそこを動くわけにも行きません。今回は総督殿に無理を言って自ら説明したく参りましたが、私は戦争時に関わることができないことをご了承ください。我々は神の子を見張る者に厄介になる予定ですが、あまり表に出ることはありません。それでは、私はこれで失礼します」

 

 そう言い終わった瞬間、彼は転移でどこかへと去って行った。

 それに帝釈天がぼやく。

 

 「んだよ。少し聞きたいことがあったのにな。まあ、機会は幾らでもあるから良いか。HAHAHA!」

 「拙者も話したいことがあったのだが………。また次回とするでござる」

 「それはすまない。あいつもあいつで手一杯なんだ。昔から臆病な性格でな、魔王政府の頃から変わってないんだ」

 「難儀じゃのぉ」

 「軽いな爺さん」

 「何であのクソ野郎共ーーーー初代魔王ーーーーからリゼヴィム君は生まれたんだろうね?遺伝子が仕事してないよ」

 「さあな?本当は親じゃなかったりしてな」

 

 リゼヴィムが勝手に去ったことに不満はあったが問題は何もなく。

 少ししてから、悪魔・天使計画の確認と修正が行われるようになった……。

 

 

 

 悪魔は知らない。

 神々が己を滅ぼそうとしていることを。

 天使は知らない。

 神々を導いているのが黒翼の総督であることを。

 悪魔と天使は知らずに神々の怒り買っていることに見て見ぬふりをしてきた代償を身を以て支払うときが来るとは思いもせずに………。

 しかし、時は残酷にも滅びへと進んでいく。

 

 

 


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