堕天使に拾われた赤龍帝と白龍皇   作:花びら

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あっぶねーー!!
何とか間に合った!
あ、どうも花びらです。
今日FGOにてギル祭が開催され、レオニダスがあとちょっとでクリアできずに挫折していたところです。
 それでは、どうぞ。


指導・堕天使の幹部

 

 「ハァ……ハァ……ハァ……後……どのくらい……?」

 『後二キロと言った所だな。しかし、途中途中休みがあるとは言え、よく十キロも走らせるな』

 

 兵藤一瀬は今、神の子を見張る者(グリゴリ)の専用修練場にいた。

 一瀬は今日から始まったコカビエルとの個人レッスンで、その一つ目である十キロランニングをさせられていた。

 まだ子供ということで途中休んでは良いが、十秒以上立ち止まってはいけないというルールでそれを今行っている。

 しかし、それは今までスポーツをやってた者ならまだしも、遊びで走り回ったことしかない少女にはかなりキツいものだ。

 その証拠に一瀬は今、吐き気が酷かった。

 

 『それはそうだろう。人外ならまだしも、人間である上に子供のお前にはこの距離はキツいだろう。全く、コカビエル奴はスパルタだな』

 「良い…ハァ……んだよ…。強く………はぁ……なれるなら………はぁ……このぐらい、耐えてみせるよ…ハァ…ハァ」

 『……その心意気は認めるが、お前はまだ子供なんだ。あまり気負いすぎるなよ』

 「わかっ………はぁ……てる…ハァ」

 

 だが、一瀬はこのトレーニングを平然と受け入れていた。

 ドライグはそれを少し異常だと感じていた。

 この少女はほんの少し前に裏の世界に入ってきたばかりだ。

 異形の存在である堕天使や神滅具(ロンギヌス)を受け入れるのは早いとは思わないが、何でもかんでも受け入れすぎだと思っていた。

 そんな少女にコカビエルが教えた今日のトレーニング一覧は、何も鍛えていない子供に少しキツいものだ。

 ランニング十キロ、腕立て伏せ百回、腹筋百回、スクワット百回、体幹トレーニング1時間など、他にも色々とあり、この中で大きな休憩は昼食しかなく、夕食の時間までに終わる予定ということ。

 ドライグも宿主が強くなれることは嬉しいが、子供のうちからこれは厳しいのではないないか?と疑問に思ったが、どうやらコカビエルは限界までやらせて一瀬の基礎能力を調べるつもりのようだ。

 ドライグはそれなりの数の宿主を経験してきたが、ドライグが宿主を鍛えることもあったが、それは夢の中で模擬戦をするか、自己鍛錬してる最中にアドバイスをする程度だったので、こういう基礎トレーニングに関してはコカビエルよりも上手くできず、あまり文句は言えなかった。

 だが、これは限界を知るためのトレーニングだ。

 限界だと思ったら途中でリタイアしても良いのだ。

 が、一瀬にその選択肢はなく、ゴールするという目標しか見えてなかった。

 ドライグはここまで純粋だともはや病気だと思う反面、これは仕方ないと考えてることもあった。

 その理由は彼女がここにいる理由だ。

 彼女は親を謎の存在から奪われたのだ。

 そんな彼女は強くなって家族を取り戻すためにここにいる。

 恐らく、今も家族を思ってこのトレーニングに励んでいるのだろう。

 事実、ドライグの予想は当たっていた。

 彼女の心は常に家族を思っていた。

 家族を取り戻して、またいつか同じ食卓で笑い合える日が来ることが彼女の今の夢であり目標でもあったからだ。

 彼女がまず、このトレーニングを始める前に教わったのが、人間である自分の身体能力を何倍にしようとも人外に勝てないと言うことだ。

 なら、どうするか?

 答えは簡単、体を鍛えれば良い。

 2の2倍と3の2倍で差があるように、1でも増えて倍にしていった時の力は大きい。

 だから彼女はやる気が出てトレーニングを受け入れてるのだ。

 これがテストだと教えられても彼女はゴールに辿り着くまで、止める気は全くなかった。

 

 

 彼女がゴールするのに掛かった時間は79分36秒。

 平均より約十分程遅いが、彼女と同年代の女子からしたら速いほうである。

 平均は約70分で、これを出すのに使われたほとんどの記録は大人の女性であるため、見る人が見れば彼女をスカウトするだろう。

 そもそも走り切ることが凄いことなのだから。

 同年代で走りきるのは男子の中でも優秀な人だけなため、これだけ言えば彼女の凄さが分かるはずだ。

 だが、これは神器に目覚めた影響と言っても良いだろう。

 神器使いは基本的に人外と戦うためにポテンシャルが少し上がるようになってるのだ。

 それでも人外達には及ばないものの、鍛えれば技術や魔力で人外と渡り合えるために、常に己を鍛える必要があるのだ。

 それを理解してるであろう、今体力ギリギリのせいで倒れてる少女を観察する男。

 名をコカビエル。

 アザゼルやバラキエルが彼女を鍛え上げられないため、その代理人として彼が一瀬を育てることになったのだ。

 何故、原作でも主人公を育てていたアザゼルが彼女を育てないのか。

 読者方は不思議であるはず。

 その理由はアザゼルは一瀬から全てを奪った存在を詳しく調べるつもりだからだ。

 昨日放ったばかりの調査隊からはまだ連絡はないものの、アザゼルはかなり危険視していた。

 本能で否定しきれない『一誠が二人目の赤龍帝である可能性』があるため、いつでも気を引き締めないといけない。

 仮に、もしそうだった場合、裏に誰かいるのは間違いないだろう。

 そして、その誰かが強大な何かということも。

 何せ、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を創り出し、どこの馬の骨とも知らぬやつに神滅具(ロンギヌス)与えるような存在だ。

 寧ろ警戒しない方がおかしい。

 もし、一誠と言う奴が、裏にいる人物に守られていたら迂闊に手を出せない。

 そうじゃ無かったとしても死んだときに厄介な何かが埋め込まれていたら、かなり危険だ。

 例え、一誠が赤龍帝じゃなかったとしても、他の神話勢力からの刺客かもしれないので、今、一誠を調べると同時に他の神話勢力へ偵察へ行ってる部隊もいる。

 その情報を纏めるために、一瀬とは食事の時やちょっとした休憩時間でしか会えないのだ。

 コカビエルはその事情も含めて全てを理解した上で一瀬の育成を承った。

 だが、コカビエルも少し思うところがあった。

 

 (神器に目覚めた影響で身体能力は少し上がってるようだが、完走できたのはそれが原因ではないな。………家族への思いか。復讐ではなく、夢としてそれを原動力として無理矢理に体を動かしているようだ。ひとまず、トレーニングは一通りやらせて、後はアザゼルと要相談だな)

 

 コカビエルが危惧したのは自己犠牲の精神だ。

 アザゼルから聞いた限りではかなり優しい心の持ち主で家族思いなのは聞いていたが、おそらくは一誠の介入によって根底が変わってしまったのだろう。

 元々は誰かを助けるという優しい心は、自分がどうなってでも家族を助けようという復讐に近いが負の感情が一切ないという歪な心になっているのだろう。

 そんな一瀬は、今も必死に立ち上がろうとしているが、ドライグがゆっくり休めと言っても一切やめる気配はない。

 コカビエルは見かねて、彼女に声を掛ける。

 

 「一瀬、休める時には休め、でないと体を壊しかねんぞ」

 「それ……でも…立ち上………がらなきゃ。強く、なれたせんから」

 『相棒、その気持ちは分かるが、今はゆっくりしろ。何もお前の家族が今すぐに死ぬという訳じゃ無いだろ?時間はまだたっぷりあるから、安心しろ』

 「……はい」

 

 少女は渋々承諾した感じでゆっくりと休み始める。

 コカビエルは溜息を吐いたが、それは現状にではなく、ヴァーリとはまた違う厄介な奴が来たからだと考えたからだ。

 ヴァーリは戦闘狂にして家族を嫌っており、一瀬は戦闘を好まず家族を愛している。

 何もかもが正反対で、しかもお互いが対を為す二天龍と来た。

 アザゼルは気が合うかもしれないと言っていたが、本当に合うのかと心配になってきた。

 まさか、昔あれだけ戦争をしたがっていた自分が、子育てにこうも悩む日が来るとは思わなかった。

 塾に通う人間や堕ちてきた者たちに通う神器所有者ですら、ここまでじゃない。

 サタナエルの者達は話が別だが、これからの一瀬の成長にコカビエルは頭を悩ますのであった。

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