堕天使に拾われた赤龍帝と白龍皇   作:花びら

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どうも、花びらです。
訳あって今日から古戦場に参加します。
火が一番弱いけど頑張ります。
それでは、どうぞ。


1年後、邂逅・黄金の獅子王(?)

 ~1年後~

 

 どうも、兵藤一瀬です。

 お久し振りですね。

 ちょっとメタいですけど、読者の方々からしたら一日振りなんですけど、私からしたらかなり長い間経ってるので、一応と思いましての挨拶です。

 この1年間の結果だけを言いますと、コカビエルさんやアザゼルさんのおかげで何とか戦えるようになり、コカビエルさんから一本だけ取れるようになりました。

 ……………その後にボコボコにされるんですけど……。

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)をある程度扱えるようになり、ドライグさんからも誉められました。

 しかし、次のステージである禁手(バランス・ブレイク)には届く気配がありません。

 神滅具(ロンギヌス)である赤龍帝の籠手の禁手は神器(セイクリッド・ギア)よりも強力で、世界でも上から数えたほうが速いほどの強さになれるらしいです。

 実際に歴代の赤龍帝の籠手所持者の一人は、たった一人で悪魔陣営に喧嘩を売って並々ならぬ被害を与えたと言うのです。

 終始捕まること無く、最後にはわざと暴走させて自滅をしたって聞きましたが、アザゼルさんとも知り合いだったらしく、「アイツとはまた酒が呑みてぇな」と呟いていました。

 きっと、優しい人なのだと思います。

 私も、禁手に至って皆を守れるようになりたいです。

 ヴァーリ君もまだ至ってないんだけど、「もう少しで何か掴めそう」だと言ってるのでそんなに時間は掛からないと思っています。

 さて、そんな私ですが、今私は人間界にいます。

 ここ一年間はずっと冥界の中でも神の子を見張る者(グリゴリ)の中でしか生活できなかったので、コカビエルさんから一本取ったご褒美らしいです。

 場所はアメリカのワシントンで、首都らしいんですが他の州と比べて人はいないそうなので丁度良いという理由で来ました。

 元々いた私の国、日本は“奴”がいるのと日本神話の管轄なので迂闊に足を運べないとのことなので、私が行けるのは当分先になりそうです。

 ちなみに、私は英語が喋れないのですが、アザゼルさんの開発した自動翻訳機能のあるチョーカーで、相手の言葉が日本語で聞こえ、私の言う言葉が英語に聞こえるようになっています。

 これ売れば間違いなく億万長者を狙えますが、魔力を用いてるとのことで人間界には出せないらしい。

 まあ、そんなこんなで、今はホワイトハウスが見える通りをアザゼルさんと通ったとき、変な感じを覚えた。

 不気味というか、違和感というか、何とも言えないような不思議な感じだ。

 それをアザゼルさんに伝えると…………

 

 「それは直感か?」

 

 と聞かれたので、気配の感じ方が未だに分からないので、頷きます。

 すると、アザゼルさんが何か考え込み、更に聞いてきます。

 

 「どこからか分かるか?」

 

 そう聞かれたので、辺りを見回して直感が強く感じる方を指差すと、行くぞと言われ、横抱きに抱えられながら私が指差した方向へ連れ去られました。

 途中から人気の無いところで認識阻害の魔法で姿を見えなくしてから空から飛んで行くと、段々と人気が無くなっていき、段々と森が広がっていった。

 だけど、行くにつれて私の直感も強くなっているのが分かります。

 やがて、アザゼルさんが何かに気付き、飛行を止めて地上に降りていきました。

 そこは深い森の中で、人がいなそうな場所なんだけど、私の直感が一際強く反応していました。

 そして、見えたのは一軒家と、先生が「しまった!?」と言ったときにはもう遅く、そこにあったのは元は人の形をしていたであろう肉塊とそこから漏れ出た血の池………でした。

 それを見た瞬間、猛烈に吐き気が私に襲い掛かってきます。

 アザゼルさんはすぐに地上に降りて、その光景が見えないような場所に私を降ろしてくれました。

 私は耐えきれなくなって、草叢の向こう側で……………………。

 事が治まると先生が私の頭を撫でて、何かしてくれたのか気分がかなり軽くなったので、お礼を言います。

 

 「あの、ありがとう……ございます。……一体何が………?」

 「………これは、神器の波動か……!読めた。恐らくこいつらは神器所持者を眷属にしようとしたかはぐれ悪魔かは知らないが悪魔なのは確実だ。だが、交渉が失敗して強行手段に出たが、返り討ち………違うな。人間のもあることから、家族を殺された衝撃で暴走したのなら、納得できる。一瀬、どっちか分かるか」

 「うっ……。あ、はい。たぶんあっちです」

 「よし分かった。目を閉じてろよ」

 

 言われたとおりに目を閉じると、浮遊感を感じ、どこかへ移動するのが分かる。

 …………私は初めて人が死んだのを見たせいなのか、気持ちが落ち着きません。

 いくらアザゼルさんのおかげで気分が悪くなくなったとは言え、やっぱり良いものじゃありません。

 さっき、アザゼルさんが暴走と言ってたけど、私の身近な人が死んだときは……………私も………

 

 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」

 

 唐突に聞こえてくる、轟音とも言える咆哮が聞こえてきた。

 アザゼルさんが小さく、「マジか……」と呟くと、止まったのが分かり、目を開ける。

 そこにいたのは…………………身の丈を余裕で越す程の大きさの黄金の戦斧を片手で振り回す、私と同じくらいであろう金髪の男の子の姿だった。

 目は暴走してるせいなのか目が赤く、血の涙を流していた。

 アザゼルさんが私を背にするように庇うと、男の子はこちらに気が付き、襲い掛かってきた。

 しかし、アザゼルさんはそれよりも速く動き、その男の子にタックルし、どこかへと去って行った………。

 ……………大丈夫かな…?

 

 

 どのくらい経ったのか分からないけど、そんなに時間は掛からずにアザゼルさんが先程の少年を肩に担ぎながら帰ってきた。

 たぶん、先程から激しい音が聞こえてたから二人で戦っていたのだと思う。

 その証拠に、アザゼルさんはさっきとは違って少しボロボロで、担がれてる男の子はもっとボロボロでした。

 日常生活では支障は無いんだろうけど、やっぱり心配になります。

 

 「大丈夫ですか?」

 「おう、大丈夫だ。動けるから気にすんな。…………よかったな、仲間が増えるぞ」

 「??」

 

 アザゼルさんがニカッと笑い、私の頭を撫でてきて謎のことを言います。

 仲間…………?

 あ!

 さっきの斧は神器だったんですね?

 けど、そう言うのはシェムハザや他のコカビエルさん以外の幹部が育てると聞いたので、実際に仲間なんですけど、なんか違うような気がしました。

 ん?

 さっきの男の子は黄金の斧を持っていました。

 神器の中でも斧の形は少ないと聞きましたが…………一つだけ、有名なのがありましたね。

 そしてそれは、アザゼルさんが担いでる男の子が持っていたものと酷似しています………。

 まさか……

 

 「もしかして、さっきのは神滅具の獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)………ですか?」

 「お、よくわかったな。しかし、困ったな」

 「…何がですか?」

 「これで三人目なんだよ。神滅具ってのは一つあるだけで世界の理を壊す。だから各勢力も神滅具所有者を危険視しているんだ。一応辺りには結界を張ってるから主神クラスじゃない限りはバレないだろうが…………一勢力に三人も神滅具所有者がいるって事は、下手すりゃ他勢力と戦争になりかねん」

 

 それって……………私がいるからですか………?

 

 「勘違いすんじゃねえぞ?何もお前のせいじゃない。そもそも、そんなものを聖書の神が創ったせいだ。それに、俺は好きでお前らを保護してんだ。お前が心配することじゃない」

 「でも、私のせいで………皆が……」

 「だから心配することじゃないつってんだろ?何のためにお前を外に出さなかったと思ってる?俺たちはそれを予想して、必死こいて他の勢力にまだ白龍皇だけを保護してるように見せてんだ。それに、他勢力がなんか言ってきたとしても、俺たちは無視できる。なんせ、表向きには保護してないんだからな」

 「ありがとう…………ございます」

 

 私は弱々しい声でお礼を言い、アザゼルさんが戦闘を行ったため同じ所にいるのは危険だからと本部へと転移しようとしたとき、

 

 「おい貴様、そのガキをこちらへ渡せ」

 

 唐突に聞こえた知らない男の声。

 その声が聞こえた方を向くと、知らない人達がいました。

 けど、この雰囲気は前に一度だけ感じたことがあるから、その正体を察しました。

 あれはーーーー

 

 「よお、()()()()()。人攫い紛いのことはやめた方が良いぜ?」

 「っ!……そう言う貴様は堕天使か。何故こんな所にいる?」

 「おいおい、俺らがどこにいようと勝手だろうが。そもそもアメリカも他の神話の管轄だぞ?お前らが人に言えた口じゃ無いだろ?……それに、このガキはお前さんらに良い印象は持ってないだろうな。お前らもさっきの惨状を見たならわかるだろ?」

 

 アザゼルさんが煽るようにーーーー実際に煽ってんだけどーーー悪魔さん達に言うと、悪魔さん達はこちらを凄い形相でこちらを睨んでいる。

 だけど、私はコカビエルさんやバラキエルさんという人達のおかげであまり怖くありません。

 二人とも…………ごめんなさい。

 状況は拮抗して数秒経とうとしたとき、悪魔さん達が動こうと…………その足を止めることになる。

 辺りに濃厚な殺意と魔力が彼らを襲ったのです。

 その原因は……………

 

 「………何をしようとした?」

 

 もちろん、アザゼルさんです。

 跡で教えて貰ったのですが、彼らにだけ殺意が向くようにしてたらしく、魔力はうっかりだったらしいです。

 それでも少しでも気を配ってくれたのはありがたかったです。

 間違いなく、私はそれだけで死んでるでしょうから………。

 悪魔さん達は驚愕の表情を浮かべながら身動きが取れ無くなくなり、中には膝を屈してる人もいました。

 アザゼルさんはその性格のせいで勘違いされやすいですが、堕天使の人達を纏め上げる総督です。

 ならば、必然的に堕天使の中でも最強の座に着いていないと、あの癖の強すぎる堕天使を纏め上げることなんてできるはずがありません。

 このままどうするのかと思いましたが、アザゼルさんは一人の悪魔の胸ぐらを掴んで告げます。

 

 「……よかったな、あいつがいてくれて。アイツがいなかったら俺は、お前らを皆殺しにしていただろう。お前達が今しようとしたのは戦争に発展してもおかしくないことだ。相手が誰なのか、よ~く見極めてから喧嘩を売れ。これ以上、そのきたねぇ面見せんな」

 

 今まで一度も見たこと無い、怖い顔でした。

 あれは、間違いなく怒ったときの顔ですが…………アザゼルさんが怒ったのを私は見たことがありませんでした。

 部下の人達が任務に失敗しても、実験が失敗しても、自身が怪我を負う羽目になっても、アザゼルさんが怒ることは一度もなく、ほとんどは笑ったり呆れたりしていたり、偶に苦悶の表情を浮かべるだけだったので、彼が怒る姿を今まで想像もしなかったのです。

 その姿が今、目の前にあり、何故怒ったのかは………言うまでもありませんが、戦争になりかけたからでしょう。

 今の三大勢力は休戦状態という一時の平和で、まだ確実には終わっていないのです。

 それが今、起こりかけたからあの人は怒ってるんだ。

 アザゼルさんが言った内容は聞こえませんでしたが、恐らく脅迫なのでしょう。

 悪魔さん達は恐怖で動けないのか、唖然として私たちを見ていた。

 アザゼルさんが彼らを睨みながら、私の所へ戻り、本部へ転移する事になった。

 ちなみに、この後アザゼルさんから謝られた。

 確かに怖かったけど、私のために怒ってくれたんですよね?

 なら、気にしてませんよ。

 そう言うと、抱き着かれた。

 1分経っても離れなかったので、ヴァーリ君が蹴りでアザゼルさんを私から離したので、そこからアザゼルさんとヴァーリ君の喧嘩が始まったけど、結局ゲームで決着を付けるんだから…………仲いいですよね。

 あ、あの少年は医務室に運んだので安心してください。

 

 


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