ヘロヘロとモモンガと愉快な仲間たち   作:火焔+

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こっからようやく、15禁らしくなるぞ!


02-村民皆ガセフ計画
01. エンリ強化計画


 

「村人の強化は誰からやるか決めてます?

 試金石みたいなものですし、ヘロヘロさんはアテはありますか?

 それに村の復興もありますし、手伝ってくれますかね?」

 

 一人はアテがある。

 両親を失って幼い妹と二人暮らしの女の子。

 名前はエンリ。

 

 村があんな状況で助け合うなんて難しいはず。

 家族二人で行き抜くために、きっと力を欲しがってくれるはずだ。

 

「ええ。一人心当たりがあります。

 というか村人と余り喋ってないので、その娘しかアテはないですけど」

 

「俺も村長夫妻としか話してないのでアテがなくて……

 そうだ、ゴーレムやアンデッドを労働力として提供して、浮いた時間を強化に宛てて貰うとかどうでしょう?」

 

 なるほど、24時間働けるから労働力としては十分かも。

 復興の手助けをすれば、村人も協力的になるかもしれない。

 

「いいですね!それ。会話のきっかけにもなりそうですし。」

 

「じゃあヘロヘロさんが村人強化を、俺が村の復興をメインにやりましょうか。」

 

「そうですね。その娘がダメだったら村長に相談してみます。

 じゃあ、明日から早速始めましょうか。

 復興なんて一日でも早いほうがいいですからね。」

 

 

 

■■■ カルネ村 エモット宅 ■■■

 

(これからどうしよう……)

 

 エンリ・エモットは家主を失った家で4人がけのテーブルに備えつけられているイスに座り、これからの事に悩んでいた。

 妹のネム・エモットは疲れて既に眠っている。

 だが、エンリはこれからどうやって生きていけばいいか分からなくて不安で眠れない。

 

(蓄えは少しあるけど、私だけじゃ畑を維持できない……

 村も復興で大変だから、私達の――――ネムの面倒を見てもらうだけでも難しいよね……)

 

 村には120人程の住人いたが、騎士に1/3ほど殺されてしまい80名くらいしか居ない。

 しかも妻や家族を守るために村の男たちの多くが犠牲になった。

 復興に加えて村の畑を維持していくだけでも困難なのに、親を亡くした子ども達の面倒までは無理だろう。

 

「はぁ……どうすれば……」

 

(この角笛、マジックアイテムって言ってたけど、そんな高価なもの使えないし、売るなんてトンでもないし……はぁ……)

 

 机に突っ伏したエンリは今日の疲れがピークに達したのか、そのまま意識を失うように眠った。

 

 

 

■■■ 翌朝 カルネ村 ■■■

 

 俺はユリと隠密の護衛を連れてカルネ村にやってきた。

 モモンガさんはゴーレムを作らなくてはならないため明日からカルネ村に来ることになっている。

 俺には守護者たちに一人で外に出るのは危険だからということで、ユリとレベル80の隠密であるハンゾウが護衛に就いていた。

 

 俺は子供か……とは思ったけど、命のやり取りが本当にある世界だから守護者たちの心配も分かる。

 

「確かここがエンリの家だったはず。」

 

 俺はノックしたが誰も出る気配が無い。

 もしかしてもう出かけているのか、ここに居るのは辛くて他の家にいるのか。

 そう考えて辺りを見渡すと、井戸があったはずの方向からエンリが木の桶で水を運んでこちらへやってきた。

 

「ヘロヘロ様? 昨夜村を離れたんじゃ……?」

 

「昨日は色々あってね。

 少し村の復興を手伝ってからエ・ランテルに向かおうと思ってさ。」

 

 変な仮面にローブだからこそ俺だと分かったのだろう。

 中身は古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)じゃなくて人間になっているから仮面を外しても問題はない。

 

「初めまして、私はユリ・アルファと申します。

 ヘロヘロ様の従者をしております」

 

 ユリが自己紹介をして深々とお辞儀をした。

 

「わ、わたしはエンリ・エモットっていいます!

 はじめまして、アルファさん。」

 

「ユリで結構です。皆そう呼びますので、エモットさんもそうしてくださると助かります。」

 

「は、はい。でしたら私もエンリと呼んで下さい!」

 

 わたわたと慌ててエンリも頭を下げる。

 

 

 

「今日はエンリに用があって来たんだけど大丈夫かな?」

 

「は、はい!散らかった家ですけど、上がってください!」

 

 家の扉を空けようとしてバランスを崩し、水桶がエンリの手から離れる。

 

「あぁ!」

 

「おっと危ない。」

 

 宙を舞う水桶をキャッチして水をぶちまける大惨事を回避する。

 Lv100の俺からすれば宙を舞う桶など止まっているに等しい。

 

「あ、ありがとうございます。

 それじゃ、あがってください。」

 

 

 

 俺はエンリの家に上がり、進められた4人がけのテーブルのイスに座る。

 ユリは俺の後ろに立ったままだ。

 エンリはユリにもイスを勧めたが、護衛だから座る事は出来ないといって断ったのだ。

 どうやら妹のネムは居ないらしい。どこかへ出かけているのだろうか?

 まぁ、事が事だし今は居ないほうが丁度いいかもしれない。

 

「えっと……今日はどのような御用でしょうか?」

 

「単刀直入で悪いんだけどさ、強くなる気ない?」

 

「ヘロヘロ様、それは些か端的過ぎるかと。

 エンリさん、確実に強くなれるかは分かりませんが、上手くいけば自分や妹さんを護れる位には強くなれます。

 貴女にとっては少し厳しい修行になるかもしれませんが、やってみる価値はあると思います。

 如何でしょうか?」

 

 ユリの的確なサポートでエンリは理解してくれたようだ。

 

「とても嬉しい話なんですが、どうして私なのでしょうか?」

 

 旨い話には裏があるというし警戒するのも当然だろう。

 

「この村ではエンリと村長夫妻くらいしか、ちゃんと話をしてないからね。

 村長に戦わせるのもどうかと思うし、エンリはきっと大変だろうと思ってさ。

 どう? 折角だしやってみない?

 

 あぁ、身の危険は心配しなくていいよ。俺もユリも付いてるし、エンリに装備できるくらいの武器・防具もある程度は用意してるし。」

 

 

 

 エンリは少し考えた後――――

 

「お願いします。ネムを護れる様になりたいです。」

 

 ネムをダシにした感はあるが、ちゃんと結果を出せれば結果オーライだろう。

 さて、次は――――

 

「よかった、ありがとう。

 それじゃエンリの進みたい方向性を決めないとね。」

 

「方向性?」

 

「例えば敵を倒す物理アタッカー、魔法アタッカー、敵から仲間を護るタンク、仲間を癒すヒーラー、周囲を偵察するレンジャー。

 もう少し細分化できるけど大きく分けるとこんな感じかな?

 因みに役割を説明すると――――」

 

 一通り役割を説明して、後はエンリの心の任せるだけだ。

 

「ヘロヘロ様は確か……」

 

「物理アタッカーのモンクだよ。確か一度だけ騎士を殴ったときに見せたっけ。

 因みにユリもモンクだよ。

 後、前も言ったけど様は付けなくてもいいよ。」

 

 ユリはニコリと笑ってファイティングポーズをとった。

 

 

「私も修行僧(モンク)になりたいです!」

 

 エンリは悩みもせず、初めから決めていたかのように答えた。

 表情は真剣で気分で決めたわけじゃないという事はわかる。

 

「理由を聞いても?

 俺はてっきりタンク職でもやるのかと思ったよ。」

 

 ネムを護るためにタンクを選ぶかと思った。

 アタッカーの居ないタンクはキツイからお勧めはしないと説得するつもりではいたけど。

 

「ヘロヘロさ……んとモモンガ様に助けて貰ったときを思い出したんです。

 私もああなりたいって……。

 ヘロヘロさんみたいになれないことは分かってます。でも、近づける様に努力はしたくて……

 ダメでしょうか……?」

 

 エンリは上目遣いで俺を見つめる。

 本人は意図していないのだろうが、これはドキっとするな。

 

「覚悟があるなら問題ないさ。

 それに俺の昔使ってた武具が使えるだろうし、今日から訓練できるな。」

 

 ミスリルくらいなら初期レベルのステータスでも装備できる。

 実際一般メイドたちはミスリルをあしらったメイド服を着用しているし。

 

「え? 今日からですか?」

 

「ん? 不味いなら日を改めるけど?」

 

 やっぱり、いきなり今日からは厳しかったかな?

 

「いえ、それはいいんですけど……。

 私はどうすればいいんでしょうか?」

 

「あ、それは今から説明するよ。こっちを先に言うべきだったね。」

 

 ユグドラシルの方法でレベルアップできるなら、ひたすら敵を倒すのが一番早い。

 料理や錬金、調薬、鍛冶などでも生産系の経験値は上がるが、生産系の職種を取るわけじゃないなら、戦闘系クラスの解禁は戦った方が条件も満たしやすい。

 例えば【シングルブロウ】敵を100体一撃で倒すとか、低位のクラスレベル以外にも特殊条件があったりする。

 条件が全く同じかは分からないけれど・

 

「う~ん、体の内側にそういう感覚が分かるって言うのが難しいですね……」

 

 エンリはクラス取得やクラスレベルの上げ方が旨く掴めない様だ。

 俺もこの世界ではLv100から始めたから、今までのスキル使用や魔法使用の感覚を考えるとこんな感じとしか言いようが無い……

 

「寝るときの感覚って感じかなぁ。夢の中で自分の進む方向を決める様な。」

 

 ま、とりあえずいくらかモンスターを倒してみよう。

 そのときに感覚が分かるかもしれないし。

 

 

 

■■■■■ トブの大森林 入り口 ■■■■■

 

 俺は森の中に入ると、ミスリル素材で神聖属性の装備をエンリに渡した。

 

(白いキラキラしたエフェクトがかかっているけど、こんな感じだったっけか?

 まぁ、初心者時代に作ったデータ量も少ない武器だし覚えているわけ無いか。)

 

 ランク的には「中級」でショボイ事この上ない。

 今日はこれで我慢してもらってナザリックに帰ったら一般メイドのメイド服に神聖属性をつけて、

 武器もミスリルで「上級」ランクの武器を作ってもらおう。

 「上級」程度のデータクリスタルなら捨てる程あったはず。

 Lv100にもなれば「上級」なんかデータ容量が少なすぎて使えないから宝物殿に捨ててた記憶がある。

 

「凄くキラキラしてて綺麗ですね。

 え……? 私の体にフィットして……もしかして、魔法の装備ですか!?」

 

 エンリはデータクリスタルで強化した魔法の装備に驚いているようだ。

 俺達からすれば、強化してない外装なんて入れ物にしか過ぎないのだが、この世界ではどうにも違うようだ。

 ちゃんとした金属なのだから、外装自体にも防御力が設定されているのかもしれない。

 そうすると、魔法の装備は俺達の価値に比べて一段階高いのかも。

 

「気後れするなら、借りてるって思えば気が楽になる。

 これから訓練ででてくるモンスターはスケルトン。その装備なら傷一つ付かないから気にせず使っていい。

 俺には弱すぎて使う機会はもう無い装備だしね。」

 

「は、はい……」

 

 まだ気後れしているみたいだけど、戦闘開始したらそんな事考えてる余裕もなくなるだろう。

 俺はシャルティアに連絡を取ってゲートを開いてもらう

 

 

「さて、スケルトン1000体からスタートしよう!」

 

 俺の掛け声と共に大量のスケルトンがゲートからやってくる。

 

 

 

「え……1000……体?」

 

 

 

「大丈夫、大丈夫。10秒で1体倒せば3時間かからないから!

 さぁ、エンリと戦えスケルトン共!」

 

 

 

「ええ――――!!!」

 

 

 

 





―――― System Message ――――
『エンリ・エモット』にユグドラシル式レベルアップが解放されました。


ということで、現地でもユグドラシルのようにレベルアップできる様になりました。
そういう強化方法があると知る事が条件です
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