ヘロヘロとモモンガと愉快な仲間たち   作:火焔+

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02. ヘロヘロ式ブートキャンプ

「はぁっ! はぁーーーっ! つ、つかれたぁ~~」

 

 4時間以上の時間をかけて1000体のスケルトンを倒し終えたエンリは、疲れてドサっと地面に仰向けで倒れこんだ。

 エンリの服装は茶色の上着とスカートで、上着は何故か胸元が露になって鎖骨の辺りに止め具がある胸を強調した衣服だった。

 胸が小さくても大きくてもどっちでも着れる服なのだろうか

 

 胸もとの白いシャツが呼吸に併せて上下していて、さらに凄い事に

 汗を吸って身体に張り付き、うっすらと透けてさえいる。

 そして、頂上の部分は桜色の……突起が2つ……。

 

(こ、これは! もしかしてエンリがブラをつけていないのか!?

 それとも俺の願望が映した幻覚なのか!

 

 分からないなら前者という事にしよう。その方が俺は嬉しいからな!)

 

 

 

 俺は眼福を続けるためにエンリへ無限の水差し(ピッチャー・オブ・エンドレス・ウォーター)を手渡す。

 

「さ、エンリ、水分を補給したほうが良い。疲れたろ?」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 エンリは無限の水差しで渇きを潤し、喉をならす。

 水の飲む為に顔を上げ、無防備になる胸元を俺はガン見する。

 

 

(控えめに言って最高だ――――)

 

 

「んくっ、んくっ、ふぅ~~。ありがとうございます、ヘロヘロさん。」

 

 飲み終えると同時に視線をエンリの顔に戻す。

 美味そうに水を飲まれると俺も喉が渇くな。

 

 俺は仮面を外して水を飲も――――

 そのとき俺は気が付いてしまう。

 

(間接キスじゃん……! てか、動揺しすぎだろ俺! 小学生じゃないんだぞ……!!

 よし! 気にしないぞ……!!)

 

 俺は決意してエンリが口をつけた無限の水差し(ピッチャー・オブ・エンドレス・ウォーター)で水を飲む。

 

「ぁ……」

 

「どうかしたか……?」

 

 水を飲みつつ少し顔を赤くした様なエンリを見る。

 

「いえ、初めて御顔を見たので……異国の方だったんですね。」

 

 俺と同類(うぶ)かと思ったけどそうでもなかった見たいだ。

 外国人の顔に興味を持ったという感じだろう。

 俺だって欧州系の顔立ちの人と会えば「おぉ」って思うし。

 エンリからすれば、俺の顔はエキゾチックな感覚なのだろう。

 

「そういえばずっと仮面被ってたっけか。

 遠くの生まれだから顔立ちは違うと思うけど、どうかな?」

 

「ステキです……!カッコイイです!」

 

 よかった。異国顔というのでアドバンテージがあるらしい。

 まぁ建前というのもいくらかあるだろうけど。

 

 

 

「それで、強くなった感覚ある?」

 

「う~ん……身体がバキバキで、良くわかんないです。」

 

 休息を挟まないとダメなのだろうか。

 とりあえず結果は明日聞くとしようか。

 

「そうか。じゃあ明日にでも教えて貰えるか?」

 

 そういって、お姫様抱っこでエンリを抱きかかえる。

 一度やって見たかったんだよね。

 

「あわわわっ!! ヘロヘロさん!? 私、お、重いですし」

 

 エンリは顔を真っ赤にするけど、嫌がろうとはせず俺の腕の中で大人しく抱かれている。

 

「ヘロヘロ様が抱きかかえなくても、私が代わりましょうか?」

 

(……!! そいやユリがいた!? さっきのガン見を見られていた!?)

 

 俺はハッと振り返りユリを見ると

 

「?? どうか致しましたか? ヘロヘロ様」

 

 首を傾げるだけでエンリを視姦していたことには気が付いていないらしい。

 そうか、俺の後ろに控えているから俺の視線が何処を向いていたかは分からなかったのだろう。

 

(危なかった……。次は気をつけなければ)

 

「羽みたいに軽いから大した事ないさ。さ、帰ろうか。」

 

 

 

 エンリを連れてエモット宅へ帰ると、ちょうどネムが帰ってきたところだった。

 ネムは村の復興の手伝いをしていたらしい。

 

(しまったな。ネムを一人にさせてしまったかもしれない。)

 

「ユリ。明日からはネムと一緒に居てやってくれ。

 その代わりもう一人隠密を増やすからさ。」

 

「はい、畏まりました。」

 

 ネムは疲れ果てているエンリを心配しているようだ。

 

「お姉ちゃん借りちゃってゴメンね。」

 

 ネムにエンリが強くなるためにトレーニングをしていたと説明したら納得してくれた。

 ものわかりがいい気もするが、元々こういう娘かもしれないし。

 

 俺はエンリをベッドに寝かせてエモット宅を後にした。

 エンリの代わりに手伝いとモモンガさんが明日来る事を伝えて置いたほうがいいともおもったし。

 

 

 

 昨日伺った村長宅へ向かい。

 エンリをヘロヘロ式ブートキャンプに借りる事を伝え、成果が上々であれば村人の希望者にもブートキャンプを実施したい事を伝えた。

 

「願っても無い事です。ですが、昨日と同じなのですが、やはり御恩に対し私達は何もお返しできません……」

 

「構いませんよ。と言いたい所ですが、少しお願いしたい事があるのです。」

 

 俺はトブの大森林で採取した薬草や素材をカルネ村経由で売ってもらいたいこと。

 俺達の存在は隠して欲しい事を伝えた。

 

「なるほど、私達が強者となれば私達が取ってきた素材だと思わせられますからな。

 こちらとしては願ったり叶ったりです。

 何が理由が御有りのようですが、決してそれを聞く事はしません。

 せめてそれくらいの御恩には報いたいのです。」

 

「ありがとうございます。」

 

 素材の売却代金から税金などの経費を差し引き、その利益の8割を俺達が、2割を村の収入として分割する事とした。

 最初、村長には恩人からお金を頂く事なんて出来ないといわれたが

 

「サービスでやっていると最初の間は問題ありませんが、時が経つにつれ気分が滅入るものです。

 ですが報酬が存在する場合、自身の仕事として責任を持ってやり遂げてくれますからね。

 共に末永くやって行くためにはこれが一番いいんですよ。」

 

「何から何まで……。貴方のような方が領主であれば、暮らす領民達は幸せなのでしょうな。

 私達に何か出来る事があれば、何時でも仰って下さい。必ず御力になります。」

 

「ははは。恐縮です。」

 

 よし、デミウルゴスの作戦の1つは何とかなったな。

 

 

 

 村長との話を終えた後、2,3時間村の手伝いをしてナザリックへと帰還した

 手伝いの最中やけに俺の周りに村娘が居たのは、女を食いたい事件の所為だろうか……。

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■

 

「う~ん。ゴーレムの素材は何が良いかなぁ?」

 

 モモンガはパンドラズ・アクターと共に第6層の闘技場でどんなゴーレムを作るか悩んでいた。

 

「あまり根を詰めて考えられなくてもよいのでは?」

 

「といってもなぁ……。ナザリックに相応しい素材にするか……はたまた彼らが調達できる素材のにするか……」

 

 ヒヒイロカネなどの超希少金属、それとも土、木、石などのカルネ村でも素材を調達出来る物質。

 前者は村には高価だし、後者はナザリックにしては品がない。

 そんな事を悩んでいるとアルベドが闘技場にやってきた。

 

「あら、モモンガ様? 闘技場で一体何をされているのですか? パンドラズ・アクターまで」

 

「ん? アルベドか。いや何、ゴーレムの素材をどれにすべきか決めかねていてな。」

 

 アルベドはパタパタと腰の羽を揺らして悩んでいるモモンガの隣に移動する。

 

「おぉぉぉ!! 守護者統括殿! 丁度良い所にいらっしゃいました。」

 

 両手を広げて天を仰ぐパンドラズ・アクターに苦笑いしつつ、アルベドはどういうことかしらと返答した。

 

「守護者統括殿、例えばモモンガ様からペンダントを頂けるとしたらどの素材が嬉しいでしょうか?」

 

「えぇっ!! モモンガ様からプレゼントを頂戴できるのですか!?

 そうですわね、本音を申し上げますと素材には拘りませんわ。

 モモンガ様が私のためにと考えて選んで下さった。その御心が最も嬉しく存じますわ。

 それで、どの様な物を頂けるのでしょうか?」

 

 アルベドははしたないと思いつつも、モモンガが自分にプレゼントを考えてくれているという至福の幸せに羽をバサッバサッと大きく羽ばたかせる。

 

「え……? パンドラズ・アクター? アルベド? え??」

 

「なるほどっ! 守護者統括殿は素材ではなく、相手を思う心が大事だと仰るのですね!」

 

「えっ? あ、申し訳ございません! ゴーレムのお話の最中でしたのに勘違いしてしまいました。

 あぁ……。御身のために働ける事こそ至上の幸福であるにもかかわらず、なんて恥知らずな事を……。」

 

 アルベドの羽がシュンとしたように、力なく項垂れているのを見てモモンガは更に焦る。

 

「えぇ……!? いや、間違ってはないぞ?? そうだな!! アルベドはいつも良くやってくれてい――――」

 

 自分だけ話しについていけないモモンガは困惑して混乱の状態異常にかかりそうに――――

 

 

 ――――シュゥゥゥゥンン――――

 

 

「なるほどな、アルベド。お前のお陰でゴーレムの素材は決まった。

 ナザリックの品を気にするなど、相手のことを考えていない証拠だな。

 よし、当面のゴーレムはウッドゴーレムを使用する事にしよう。」

 

 精神沈静化で冷静さを取り戻したモモンガは、カルネ村の村人でも調達可能な只の木材でゴーレムを作ることを決めた。

 

「アルベド、この功における報酬としてナイトメアミスリルのペンダントを与える事を約束しよう。

 闇夜の輝きを放つ黒がお前の白い肌に良く似合うと思うからな。

 受け取ってもらえるか?」

 

 アルベドは恐る恐るモモンガを伺い

 

「よろしいのでしょうか……?」

 

「もちろんだ。アルベドの助言が無ければ私は恥をかく所だった。

 相応の褒美が与えられて当然だとは思わないか?」

 

「そんな、至高の御方に恥など在り様筈も御座いません。

 モモンガ様から下賜頂き、躊躇うなど許される筈も……あっ」

 

「ならば、アルベドも受け取ってくれるな?」

 

「はい。」

 

 嬉しそうにはにかむアルベドを見てモモンガはプレゼントの約束を出来てよかったと思うのだった。

 同じく功績を上げたパンドラズ・アクターは次回に保留がいいといわれたので、その様にしておいた。

 

 

 

「という惚気話ですか?」

 

「いや、惚気じゃ無くてですね。」

 

(いや、どう考えてもバカップルの惚気だろう……。にしてもモモンガさん結構やり手だなぁ。流石営業職。)

 

「で、その話を俺にしてどうしろと……」

 

「いやぁ、どんなのが良いかなって思って。ペンダントトップをアインズ・ウール・ゴウンのエンブレムなんてどうかな。」

 

「エンブレムなら、モモンガさんのエンブレムの方がいいんじゃないですか?

 アインズ・ウール・ゴウンだと誰が上げたか分からないじゃないですか。」

 

「自分のエンブレムだと『俺の女だぞ!』見たいな感じがして……」

 

「ちょっと重いかもしれませんね。」

 

 彼女の居た事が無い俺達は、結局それっぽいアイデアを出す事が出来ずに無為な時間を過ごすだけになってしまった。

 

 

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