ヘロヘロがエンリと共にトブの大森林へ行っている最中、モモンガはアルベドと共に村長宅へ来ていた。
外にはウッドゴーレムが10体整列している。
「ヘロヘロ様からは伺っていましたが、本当によろしいのでしょうか?」
「あれしきの事、問題ない。あれらにはこの村の者の命令を聞く様に調整してある。」
村長の言葉に対してモモンガはウッドゴーレム位大したことはないという雰囲気を出して、村長が受け取りやすいように気遣う。
本当に大したことではないのだ。
木材はトブの大森林で伐採したものだし、何よりゴーレム作成の仕様が変わっていた事が大きい。
ゴーレムのコアを作成せずとも【下位ゴーレム作成】のスキルで作成する事が出来たのだ。
確かに【アンデッド創造】【スライム製造】の仕様が変わり、死骸を媒介にする事で永続的に残り続ける事が出来る。
破壊されるまで永続的に消えないというのはゴーレムの特権だったのに、それが失われたのだ。
ゴーレムクラフターは涙目モノだろう。そこに救いがあった。
この世界での【下位ゴーレム作成】は原料となる素材より少し上位の素材を混ぜる事でコアが不要になったのだ。
外にあるウッドゴーレムには少量の石材がコアの代わりとして存在している。
つまりナザリックは、るし★ふぁーに変身したパンドラズ・アクターのMPを少量消費しただけで実質ノーコストでゴーレムを作成した。
(これは嬉しい誤算だった。間違いなく売れるな。)
モモンガはゴーレム作成の仕様変更を知ったとき大いに喜んだ。
この世界では、この世界でもというべきか。アンデッドは生者に嫌われている。
幸いな事に英雄と呼ばれる存在の中にネクロマンサーが存在するため、使役されているアンデッドには忌避感が弱い。
だが、エ・ランテル近くのカッツェ平野でアンデッドが日常的に発生するため、アンデッドは敵であるという空気が強い。
だがゴーレムはどうか?
ゴーレムは元々術者によって創られるモノ。それ故に同胞が作った安心感と何より生者を憎まない。そこが強みだ。
ただ、この世界ではゴーレムを作る技術が低く、多額の資金を必要とするらしいと村長に教わった。
ウッドゴーレムくらいなら誰でも造れるだろうと思ったが、この仕様はゴーレムクラフト技術を最高レベルに極めた、るし★ふぁーだからこそなのかもしれない。
ならばこの技術は独占しているも同義。
24時間働けるゴーレム。売れないはずが無い。
それに、こういう生物以外の手を借りる事に慣れればアンデッドの需要も高まってくるだろうとモモンガは予測している。
(ゴーレムは力仕事はお任せあれだが、細かな作業や書類仕事など、考える仕事は不得手としている。
そこにアンデッドだ。エルダーリッチの様な知者として設定されているアンデッドはそれらを得意とするし、デスナイトは門番として有用。
そしてソウルイーターなどの騎獣系ならば荷馬車としても使える。スケリトル・ドラゴンも対マジックキャスターの護衛には最適だろう。
そう、アンデッドの方が多様性があるのだ。)
だが、アンデッドは前評判が悪すぎて中々浸透はし辛そうだ。
それ故にゴーレムとスライムが先手切って労働力の素晴らしさを教える。
そして、ある程度同類以外の存在になれて、ゴーレム、スライムの素晴らしさを実感したところで使役されたアンデッドの存在を切り出す。
最初は万人には受け入れられないだろうが、誰か――――例えば商人が手を出してその商人が利益を荒稼ぎし大商人として台頭してくるだろう。
成功例が出れば直ぐだ。アンデッドを雇わなければ下だと思っていたものに追い越される。アンデッドを雇えば上位のものにも渡り合える。
ビジネスチャンスを手に出来るかの瀬戸際でアンデッドだの気にするとは思えないし、気にしていたら追い落とされる。
(完璧だ。アルベドやデミウルゴス、パンドラズ・アクターなどの知者と相談する必要はあるが、大筋は間違ってはいないだろう。っと考えがそれたな。)
「私達ならばゴーレムを容易く作成可能だ。いつかは労働力として格安で派遣してもいいと思っている。
あの10体はフィールドテストの為に持ってきたと思ってくれればいい。
貴方達は村の復興に使えるし我々はゴーレムの能力評価が出来る。互いにとって利益のある話だと思うが?」
モモンガは極力村長に気を使わせないように、こちらにもメリットがあることを強調する。
村長はそれを察したのか、ゴーレムを借用する事をモモンガに願いでることで本件は一応決着が付いた。
(押し売りみたいな形になっちゃったけど、まぁいいよな。先ずは効果を実感して貰わないとな。)
モモンガとしては早いところ復興して貰ってレベルアップの実験に協力してもらいたいと思っている。
彼らの自立というか強化は巡り巡れば自分たちのところにも帰ってくる。
ナザリックの強化と自分達の地盤を固めることに。
「アルベド。お前たちに相談もせず独断で行動してしまったが、問題は無かったかな?」
村長の家を出て、モモンガの後ろを歩くアルベドへと振り返る。
「はい、モモンガ様。一切問題はございません。流石はモモンガ様です。個として強力でほぼ完結している私達には経済という概念が希薄であったため、モモンガ様の慧眼は至高の御方を御纏めになる存在であることを再認識させて下さいます。」
アルベドはヘルムを外した状態であるため美しい顔が露になっている。
興奮し上気したアルベドの頬を見たモモンガは美しさと淫靡さに目を奪われる。
「そ、そうか。それなら良かった。
それでは、ゴーレムの効果確認をしに行こうか。」
モモンガは照れ隠しのように、そそくさとゴーレムのもとへと向かっていった。
しばらくウッドゴーレムの様子を確認していたが結果は上々だ。
細かい事はやはり難しいが力仕事はゴーレム一体で村人数人分の働きを楽にこなす。しかも疲れない飲食不要ときた。
この様子だと明日からは防壁の作成か開墾に取り掛かれるだろう。
そんな様子を見ているモモンガの周りには何人のもの村娘が取り巻きのようにモモンガを囲っていた。
「すごいです!モモンガさん。あんな凄いゴーレムを簡単に操っちゃうなんて!」
「まるで英雄譚に出てくるよう……」
「モモンガさんもカッコイイですよね! 異国の王子様みたい。」
(なんだ? 今の俺、自分史最高のモテ期到来!?)
ヘロヘロから仮面を外しても特に問題にはならなかったと聞いたモモンガは村に着てから、嫉妬マスクをつけてはいなかった。
何故か異様にモテる感覚に戸惑い、それを表情に出さないように必死だった。
村娘達からすれば、自分達の命を救い、しかも復興にまで手を貸してくれて。
さらに王国最強のガゼフと同等の力を持つアンデッドを使役してしかもゴーレムまで操る。
そのうえ、それだけの力を持ちながらも物腰の柔らかい性格。
オマケに異国の顔立ち。
力量も性格も彼女達からすれば史上最高の逸材。
英雄譚に出てくる英雄のような存在なのだ。惚れないはずが無い。
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【モモンガ劇場】
『おうおうおう! 何か女に囲まれて鼻の下を伸ばしている骸骨がいるぞぉ! あ、今は骸骨じゃないか。で、どう思います!?ウルベルトさん。』
メンチを切ったようにオラ付いてくる鳥人のペロロンチーノさんが嫉妬マスクを被って現れた。
『コレはいけませんねぇ、ペロロンチーノさん。モモンガさんは色欲に取り付かれていますよ。正に大罪、大悪党もいいトコです。裁き鉄槌が必要ですね』
そして背後からシルクハットを被った悪魔、ウルベルトさんが……
『ち、ちがうんですよペロロンチーノさん、ウルベルトさん。そんな気があったわけじゃ……』
この状況で違うといっても何の説得力も無い事は分かってるけど、こういう時ってこんな言葉しか出ないんだ……
実際、鼻の下が伸びないように必死だったし。
『モモンガさん!俺達、童貞同盟の仲間じゃないですか!!』
ペロロンチーノさんが嫉妬マスクを床に叩きつけ、涙目で詰め寄ってくる。
『えぇぇぇっ!!! 無課金同盟の仲間でしたけど、そんな同盟締結してませんよ!?』
『同じですよ! 無課金も童貞もどっちも禁欲なんですよ!!』
ペロロンチーノさんは俺の両肩を掴んでガクガクと揺さぶる。
『えぇぇ…………。ペロロンチーノさんって禁欲と一番縁遠い生活してませんでしたっけ?』
どうもペロロンチーノさんも我を忘れているようだ。
『あ゛あ゛ぁ゛~~羨ましい!! 俺もモテたいよ~~~!!』
『そ、そんなガチ泣きされても……。というか3次元だとロリコンじゃないんですね。』
『まぁ……そうですね。おっぱいは小さい方がいいですけど、真性のロリじゃないので。
というか俺に女性を選ぶ選択権なんて!!』
あ、火に油注いじゃった……
ガチ泣きしながら肩を揺さぶる勢いがドンドン強くなる。
後ろではウルベルトさんが口元抑えて笑ってるし!
『モテ男許すまじ!! 陽キャラをこのゲイ・ボウで叩き落してくr……グハァッ!!』
『黙れ、弟』
ペロロンチーノさんの背後からピンク色のスライム、ぶくぶく茶釜さんが鉄拳をペロロンチーノさんの頭に叩き降ろした。
『げぇっ!ね、姉さん! ――――だ、だって!!』
『だってじゃない。そんな女々しい事言ってるからモテ無い事に気が付きなさい。』
『『『グハァ……!!!』』』
ぶくぶく茶釜さんの切れ味の鋭い御言葉に、ペロロンチーノさんだけじゃなく俺とウルベルトさんも大ダメージを受ける。
『モモンガさん。こういう世界だから一人だけを選べというつもりはないけど、泣かせちゃダメよ。』
一撃で瀕死になった二人をズルズルと引き摺ってどこかへ消えていった。
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ふと、冷静さを取り戻したモモンガは振り返ってアルベドを見ると――――
ものすごく優しい笑顔でニコニコしていた。
一瞬で顔が真っ青になったモモンガを見た村娘達は、モモンガとアルベドの空気感を察してモモンガと距離をとる。
「あら? どうかしたの? 貴方達?」
?と首を傾げるアルベドに
「い、いや、その……違うんだ、アルベド。」
モモンガはわたわたと慌てて弁明しようとするが、やっぱり気の聞いた言葉は出ない。
アルベドは奇跡的に察する。モモンガが村娘を侍らせて、アルベドが気を悪くしたかもしれないと思っているのだと。
「モモンガ様、私は気を悪くなどしておりません。
良いではありませんか、モモンガ様は至高なる御方。女の100人や1000人、侍らせて当然でしょう。
貴方達も構わないわよ。自分が愛人、妾であるという自覚さえ持っていれば私は何も言う事はないわ。」
それでも、言葉の真意を測りきれない村娘達はモモンガに近寄るのを躊躇う。
すると、アルベドがモモンガの元へと村娘の背中を押す。
そうしてアルベドの言葉に裏がないと分かると、村娘達はモモンガに積極的にアプローチを始めた。
「アルベドさんは寛大な方ですね。流石はモモンガさんの奥様です!」
「えっ!! あ、いや、アルベドは……その、妻では……」
モモンガとしては設定を書き換えた後ろめたさもあって余り強く否定できないでいた。
「そうよ、私はモモンガ様の正妻。
貴方達がどれだけモモンガ様の子を宿そうとも、しっかり弁えてくれれば何も問題はないわ。」
(くふふっ、モモンガ様は最近、それも人の御姿を取られてから性欲を得たように感じるわ。
胸を揉んで下さったあの日から余り進展が無かったのだけれど、村娘で性欲を取り戻して頂ければ私にも……!!)
モモンガがオーバーロードの時はアルベドを一人の部下としてしか見ていないとアルベドは感じていたが、
モモンガが人の姿を取っているときは女として見られているとアルベドは感じている。
モモンガに押し倒される事を夢見ているアルベドはこれをチャンスだと考えた。
村娘をモモンガに宛がって性欲を高めて貰おうと。そうすれば我慢できなくなったモモンガがいつか自分を襲ってくれると。
(それにカルネ村はモモンガ様、ヘロヘロ様の保護下にある者達。ここで正妻の立場を確立しておけば、私が一歩リードできるわ。
シャルティアが至高の御方の保護下にある者達に危害を加えるなんて出来るはずも無いもの。くふふふふ……)
穏やかな笑みを浮かべるアルベドは今日も絶好調だった。
ペロロンチーノさんの性癖はちょっとマイルドな仮性ロリ(2次元、3Dモデル専門)に。
アルベドは心が童貞なのでモモンガが童貞という事は知りません。
というか至高の御方だから非童貞だと思っています。
なので、モモンガが初めて抱く女は自分がいいという考えは持ってません。
シャルティアだったら、村娘とのやりとりで気が付いたでしょうが。