ヘロヘロとモモンガと愉快な仲間たち   作:火焔+

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07. モモンガのカルネ村大改造

 

 ヘロヘロがエンリともう一人の村娘のパワーレベリングをしている最中、モモンガは村の復興作業とゴーレムがどれくらい役に立つのかを確認していた。

 

「やっぱり土木作業専用という感じがするな。アルベドはどう思う?」

 

 モモンガは隣に控えるアルベドに問いを投げかける。

 アルベドは黒い鎧を装備しておらず、ナザリックと同じ真っ白なドレスを着用している。

 本来であればフル装備でいたいところだが、ハンゾウたち隠密が周囲を警戒しているのと、武装をしていると村人にいらぬ警戒心を与えるとモモンガに注意されたからだ。

 

「わたくしもモモンガ様と同じ考えです。

 敢えて細かい作業が出来る様にお創りにならないのは、アンデッドの需要を残しておく為ですね?」

 

 るし★ふぁーの作ったゴーレムの中には『レメゲトンの悪魔・グレモリー』の様に少女としか見えないような精巧なゴーレムもある。

 だが、そんなものを世に出してしまえば価値観が狂うのもモモンガは理解している。

 モモンガの美的センスや器用さではアヴァターラが限界というのもあるが。

 

「それもあるが、この世界はゴーレムに対しての知識が薄すぎる。

 下手に精巧なゴーレムを作って予想も付かない事が起きても困るからな。」

 

「モモンガ様でも予想が付かないなんて……!!

 世界にそれほどの衝撃を与えてしまうのですね。」

 

 まさか!という驚いた顔を見せるアルベドにモモンガは首を振る。

 

「私に想像が付かない事など山ほどあるさ。

 それほどこの世界は未知に満ちている。まぁ、それを楽しく思う面もあるがな。」

 

 

 ユグドラシルのコンセプトの様に未知を切り開く。

 攻略サイトなど無いこの世界で、長らく忘れていた感情をモモンガは今、感じている。

 未知故に不安に思う事もあれば、その先に何があるだろうかと期待する気持ちもある。

 

 

「お前たちと世界旅行も楽しいかもしれないな。」

 

「その時はお傍に仕えさせて下さいませ。」

 

 アルベドの腰の黒翼がパタパタと動く。

 モモンガはこういうときのアルベドは機嫌がいいと判断している。

 

(よし、働き詰めだと疲れちゃうからな。こういう息抜きもあった方がいいという習慣をみんなに持って貰いたいな)

 

 モモンガは作戦が上手くいったと心の中でガッツポーズして村の事に再度意識を向ける。

 

 

 

「さて、今日は新しい試みをしたいからな。アルベド準備は出来ているか?」

 

「はい。もちろんで御座います」

 

 アルベドが無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)からプラウと呼ばれる土壌を耕起する農具を取り出す。

 取り出すといっても馬が装着するよりも大きなものであるため、ポンと取り出せるのはアルベドの筋力のお陰といえる。

 土を起こす刃先はオリハルコンで出来ており、フレームなど他の部分は鋼鉄で作られている。

 

「ふむ、やはり鍛冶長はいい仕事をしてくれる。期待以上のものだ、鍛冶長を労ってやらねばな。」

 

「とんでもございません。モモンガ様をはじめとする、至高の御方々の為に尽くすのは当然のこと。」

 

 アルベドは当たり前の様にそう言い放つ。

 モモンガとしてはコレを変えたいところだ。

 

 

「そういうなアルベド。私達の要望に応えてくれる。その成果に対して労いたい、褒美を与えたいというのは上に立つ者として当然のことなのだ。

つまり、私がそうしたいと思うのだ。我がままかも知れないがこの気持ちを受け取ってはもらえないかな?」

 

 モモンガがそういうとアルベドは嬉しいような困ったような表情を浮かべる。

 

「モモンガ様……。いけずに御座います。そんな事を言われて喜ばない者はこの世に存在しません。

 

 畏まりました。鍛冶長にはモモンガ様に御目通りが叶う様、場を整えさせて頂きます。

 どうか、御身のお言葉で鍛冶長に至高のひと時をお与え下さいませ。」

 

 あまりに仰々しい言葉を並べるアルベドに、モモンガは一歩は前に進めたかな?と自分に及第点をつける。

 

 

 

「あぁ、楽しみにしているよアルベド。

 さて、次は私の番だな。【中位アンデッド創造】冥界に囚われし暴虐なる騎士の魂よ、禁忌の鎧を纏いて我が眼前に顕現せよ!死の騎士(デス・ナイト)!!」

 

 

「ウガアアアァァァァ!!!!」

 

 

 中位アンデッド創造のスキルにより、召喚された死の騎士(デス・ナイト)はモモンガの指示により農機具のプラウの装着部を自分に取り付ける。

 そう、モモンガがやりたいのはアンデッドとスライムによる農場経営だ。しかも大規模プランテーション。

 死の騎士(デス・ナイト)をトラクターとして扱い農耕地を耕す。

 死者の大魔法使い(エルダーリッチ)達で種を播いて、萌芽の粘体(スプラウト・スライム)が雑草の捕食とドルイド系の魔法で植物の成長を行う。

 もちろん、農場を作る許可も取ってある。

 

 

 今はテストなので死の騎士(デス・ナイト)一体だが、数を揃えればそれだけ大きな農場に出来る。

 幸い、トブの大森林のモンスターや獣で下級アンデッドなら作成できるし、オーガ辺りなら死の騎士(デス・ナイト)も作成できる。

 まさに宝の山だ。

 

 

(我ながら完璧なアイデアだ!

 出来た作物をエクスチェンジ・ボックスに投げ込めば只で金が手に入る!

 作物がダメでも、売り払って換金できるものに換えればいい。)

 

 

 

 はずだった――――

 

 

 

死の騎士(デス・ナイト)は良かったんだ……。そこから先がダメだった……)

 

 モモンガは気落ちしながら状況を振り返る。

 死者の大魔法使い(エルダーリッチ)は種を認識できなかった。かろうじて指定の場所に何かを置くという行為なら出来たから種付けは何とかできた。

 だがスライムは完全にダメだった。植物成長魔法は地点を指定すれば行使できた。しかし植物の違いを認識できないから雑草毎食べてしまったのだ……。

 

(まさか、生産系クラスが必要そうな行為は出来ないとはな……)

 

 自分も死の支配者(オーバーロード)になっている時だと種を認識できなかった。

 人の姿を取ると、この世界の人間として扱われるのか種を認識する事が出来た。

 

(どうも、俺達はユグドラシルのシステムに縛られている可能性があるな)

 

 折角死の騎士(デス・ナイト)が耕してくれた畑をどうしようかと考えていると――――

 

 

「なるほど、シモベたちの実験と村人とアンデッドの共生実験を行っておられるのですね!

 しかも、村人のレベルを上げるという行為をここでも活かす御つもりだったとは……

 流石はモモンガ様です!」

 

 アルベドがモモンガのミスを都合よく解釈してモモンガを称える。

 しかも機嫌よく腰の羽が揺れる

 

「ん? んん……まぁ、そうだな。よく分かったな、偉いぞアルベド!」

 

 モモンガとしても失敗を隠したいという気持ちに駆られてしまい、アルベドの勘違いを正さずに失敗を誤魔化してしまう。

 

(ん?そうか!! 死の騎士(デス・ナイト)をトラクターとして、種付けまでは死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が行って、それ以降の生育~収穫を村人が行えば上手い事分業が出来る!

 たしか、ヘロヘロさんが鍛えている村娘の一人がドルイド志望だった筈だ。

 村人たちと一つの作物を育てる事で、アンデッドへの忌避感を少しずつでも取り除けるかもしれない!)

 

 完全なアンデッド&スライム農業はかなり遠のいたが、これはこれで使えそうなアイデアだとモモンガは思う。

 

 

「うむ。農業の方は上手く行きそうだな。

 さて、次の作業は――――」

 

「申し訳ございませんモモンガ様。そちらはまだ素材が届いておりません。」

 

「いや、謝る事はないぞアルベド。予定を急遽変更してしまったからな。」

 

 

 

 モモンガは先週の事を思い出す――――前に

 

 

 

「モモンガさまぁ~~。お待たせしましたぁ~。」

 

「モモンガ様、石材、集まりました。」

 

 エントマとシズが雪女郎(フロスト・ヴァージン)に連れられて、上位転移(グレーター・テレポーテーション)によってカルネ村に現れた。

 二人の手には無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)が握られており、それにはアゼルリシア山脈の石材が入っていると安易に予想できる。

 

「丁度良かったぞ!エントマ、シズ。雪女郎(フロスト・ヴァージン)もいいタイミングで二人を連れてきたな。」

 

 そう、次にやりたかった事は村の主要道路の舗装と石造りの建物の建造だった。

 これから起こり得る事を考えれば、村人の能力や採取される素材に対して村そのものが貧弱すぎる。

 アンバランスな感覚は人に警戒心を与えるが、それ相応の家に住んでいれば多少のごまかしにはなるだろう。

 

「エントマ、シズこのあたりに石材を放出してくれ。

 アルベド、追加で持ってきたゴーレムをここに。」

 

(村づくりなんて、楽しそうだよな~~。先ずは広場からだな!)

 

 

 俺ばっかり楽しい事しててゴメンねと、心の中でヘロヘロに謝りつつもワクワクが止まらないモモンガはアルベドとゴーレムを伴って、村の広場へと向かっていく。

 

 

 




【中位アンデッド創造】の口上なんていらないけど、なんとなく書いてみたかっただけです。多分もう書かないです。
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