ヘロヘロとモモンガと愉快な仲間たち   作:火焔+

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時系列が分かり辛いと思うので
・ヘロヘロブートキャンプ1日目とモモンガの復興計画が同日
★この話がココ
・エンリと初●●●
・モモンガのカルネ村大改造
・アレから半月

という感じです。



08. 石材が欲しいんだ

 

 カルネ村から帰ってきたある日の夜、モモンガは村の設備やインフラを考えていた。

 

(う~ん。土の道路だと雨が降ったらぬかるみが出来るし何より見た目が良くない!

 石畳の方が見栄えもいいし、何かオシャレな感じあるよな!

 とすると石材はどこから入手すれば――――そうだ!)

 

 モモンガは北にあるアゼルリシア山脈に思い至る。

 

(あそこなら人手も入っていないし、勝手に切り出しても問題ないだろう。

 薬草と違って採掘権とかはありそうだし、重いしで商売には出来ないだろうけど個人で使う分にはいいよね)

 

 普通は個人使用で道路造っちゃうほどには使わないのだが、モモンガは特に気にした様子も無い。

 

(アウラたちにアゼルリシア山脈までの調査を先にお願いしようかな。

 報告では調査中のトブの大森林の南側では低レベルのモンスターしか見つかってないみたいだし、アゼルリシア山脈へ至る経路でモンスターが急に強くなるようだったら今まで通りの探索に戻ってもらおう。)

 

 

 今は午後8時なのでアウラとマーレは第6層の自宅の巨大樹にいるだろう。

 モモンガはセバスとコキュートスに第6層へ来るように伝えて巨大樹へと向かった。

 

(俺の都合で指示を変更するわけだし、こちらから出向くのがスジってもんだよね)

 

 

 

 

■■■■■■■■■■

 

 

「――――というわけで、アウラ、マーレ、セバスには今のようなナザリックから同心円状に探索するのではなく、一度アゼルリシア山脈に至る道を先行で調査して欲しいのだ。」

 

 巨大樹のアウラ、マーレ宅に向かったモモンガは3人に調査方針の変更を伝えた。

 調査隊のリーダーをしているアウラが元気よくモモンガに応える。

 

「わかりました! 今調査している地域はザコばっかなので全然問題ないです!」

 

「うむ!急な変更で悪いが明日から頼むぞ!」

 

「はいっ! やっぱりモモンガ様は凄いです!!」

 

 

(ん……?)

 

 

 何故アウラが自分を称えるのか分からずモモンガは心の中で首を傾げる。

 

「ん? そうか?」

 

「はい! ダミーナザリック建設のための建材ですよね!!

 たくさん使うのは決まってるんですから、今のうちから集めておく必要がありますよね!」

 

 アウラの言葉に確かにそうだとモモンガも心の中で頷く。

 そして、それに思い至ったアウラを褒めようと思ったが――――

 

「すごいです、モモンガ様。それも考慮されて僕たちに大森林の調査を御命じになられたのですね!」

 

 アウラとマーレのキラキラした尊敬の眼差しにモモンガは気付いていなかったという事が出来なくなっていた。

 

 

「そ、そうだぞ! 良く気がついたなアウラ。ダミーナザリックの建造には石材、木材どちらも多く使うだろうからな!

 それとコキュートス、お前には石材を切り出す為のシモベを選出して貰いたい。

 一週間後を目安にある程度のサンプルを私が居るであろうカルネ村に運んできて欲しい。

 嵩張るだろうからな、コレに入れて持ってきてくれ」

 

 モモンガはコキュートスに無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)2つ手渡して、自分の部屋へと戻っていた。

 

 

(子供の前でカッコよく居たい大人ってこんな気持ちなのかなぁ……)

 

 

 正直に言えなかったモモンガは自室に着くまでそんな事を考えていた。

 

 

 

■■■■■■■■■■

 

 モモンガが去った後、巨大樹に残った4人は明日の相談をしていた。

 

「ナルホド、石ヲ切リ出スノデアレバ私ノシモベガ適任ダロウ」

 

 コキュートスのシモベには剣などの武器を所持する蟲系のモンスターが多い。

 自分がトブの大森林調査チームと共に呼ばれた理由を理解した。

 

「そーだね。アタシ達はコキュートスが早く採石できる様に頑張らないとね!!」

 

「そうですねアウラ様。明日からの探索ルートを見直さなければなりませんね。」

 

「そ、そうだね。セバスさん。

 でも、どうしてモモンガ様は方針変更したんだろう?

 ――――あっ! もしかしてだけど……」

 

「どうしたのマーレ? 言ってみなさいよ。」

 

 何かに気が付いた様なマーレは、言い辛そうにしていたがアウラの背中を押され、意を決して言葉にする。

 

「う、うん……。間違ってるかもしれないけど、モモンガ様は僕たちがこのことに気が付いて、モモンガ様に相談して欲しかったって思ったんじゃないかな?」

 

「あっ……そーかも……。モモンガ様、わからない事があったら相談して欲しいって言ってたもんね……」

 

「モモンガ様は我々が気がつけなかったと判断して、今日お呼びになられたのかもしれません」

 

 アウラ、マーレ、セバスはモモンガの意に添えなかった事に気落ちし、雰囲気がどんよりと暗くなる。

 当然モモンガは思い付いただけなのでそんな事はないのだが、それをアウラたちは知らない。

 

 

「イヤ、モモンガ様ハ御優シイ方ダ。今ノ使命ニ注力出来ル様ニ、敢エテ御話ニナラナカッタ可能性モアル。

 採石場ノ件ト併セテ、デミウルゴスニ聞イテ見ヨウト思ウ。

 デミウルゴスナラバ、モモンガ様ノ思惑ガドウデアッタカ分カルヤモシレヌ。」

 

 気落ちしている同僚に自分を重ねたコキュートスは不器用ながらもアウラ達を励まそうとする。

 それを感じ取ったアウラは、頭を振って気持ちを切り替えた。

 

「ありがと、コキュートス!

 そうだね、コキュートスの言うとおりだったら気落ちしていちゃいけないよね。

 モモンガ様のお心遣いを無碍にしてるようなものだもんね!」

 

「そ、そうだね、お姉ちゃん!」

 

「コキュートス様、お手数お掛けしますがよろしくお願いします。」

 

「アア、ソレデハ私ハデミウルゴスノ元ヘ向カウトシヨウ。」

 

 元気を取り戻した同僚達を見たコキュートスは満足して、フシューと冷気を噴出して、デミウルゴスの居る第7階層へと向かった。

 

 

 

■■■■■■■■■■

 

「やぁ、コキュートス。今日は一体何のようかな?」

 

 骨で作られたイスに座って読書をしていたデミウルゴスはコキュートスが訪れたのを察知すると、パタンと本を閉じてコキュートスを出迎えた。

 

「デミウルゴスニ、相談シタイ事ガアル――――」

 

 

 

 コキュートスはモモンガからの新たな使命をデミウルゴスに相談すると考え込むように宝石で出来た瞳を閉じる。

 そして何度か頷いてから目を開き、眼鏡をクイっと持ち上げコキュートスに説明を始める。

 

 

「なるほど……流石は至高の御方。そこまで考えていらっしゃるとは……。

 コキュートス。まず、規模に関してだけれども最初はモモンガ様の求める量のサンプルが手に入れば良いと思います。

 ですが直ぐに多くの石材が必要になると思うので、Lv70以上のシモベを20名程は選出して置くべきだと判断します」

 

「フム……。デミウルゴスノ考エヲ聞イテモ良イカ?」

 

「ええ。モモンガ様のお考えの一端を掴む事が出来ましたので、コキュートスも知っておいたほうが良いでしょう。」

 

 デミウルゴスは立ち上がり手を組んで右手を顎に当てる

 

「先ず、石材の使い道ですが、これはダミーナザリックの為だけではありません。

 きっとアウラに気を使って頂き、そのことしか話さなかったのでしょう。」

 

 先ほどのアウラたちの事を思い出し、モモンガの慈悲深さをコキュートス改めて感じる。

 

「ナルホド。モモンガ様ハ優シイ御方ダカラナ。」

 

 この様にモモンガの与り知らぬ所で評価が上がり、話は先へと進んでいく。

 

 

 

「そうですね。別の使い道はカルネ村のインフラ整備でしょう。」

 

「ン? モモンガ様ハ何故ソノ様ナ事ヲ?」

 

「1つは、ダミーナザリック建造のための先行実験でしょう。

 何分大きなものをお創りになるのです、この世界の物質の強度を調べておく必要がありますからね。

 次に、開拓村建設のパッケージ販売です」

 

 コキュートスはデミウルゴスの突拍子の無い発現に首をかしげる。

 

「慌てないで下さいコキュートス。1つずつ説明しますので。

 以前、直近の目標について話した事は覚えてますね?」

 

・ナザリックのNPC、およびこの世界の存在の強化方法の確認

・ダミーナザリックの建造

・ナザリック周辺の探索

・金策

 

「大雑把ニハ四ツダッタナ?」

 

「ええ、それで構わないでしょう。

 開拓村建設のパッケージ販売は4つ目の金策にあたります。

 ナザリックにとって有用な方の商人や有力者に対する商品はいくつかモモンガ様が考えておられます。

 トブの大森林から取れる薬草や毛皮などの素材換金、ゴーレム、スライム派遣業など。将来的にはアンデッド派遣もありますが。

 

 これらも私達が周辺の草原地帯や小規模な森林地帯など人里近隣や人里を調べた結果からすれば非常に有用なものです。

 ですが、今までのアイデアは売った後は相手に任せるという少しパンチ力に欠ける雰囲気はございました。

 Lv30以上、この世界では個の力に優れる存在ならば、決して難しいものではございません。」

 

「Lv30トイウノハ、ソレ自体コノ世界デハ困難デハナイカ?」

 

「そうですね。ですが、ナザリックの主力商品として些か力不足です。

 モモンガ様はどの様にお考えなのか、私も考えてはいましたがここには至りませんでした。」

 

「ソレホドノ物ナノカ?」

 

「ええ、開拓村建設のパッケージ販売というものの流れはこうです。

 我々の作成した正確な地図から新たに興す村の場所を選択します。

 そしてパンフレットから人数規模を選択し、防壁の有無、街道やマナーハウス、宿屋などの特殊建造物、一般市民の住居の材質を選択します。

 これだけで購入する者がやる事は終わりです。

 

 後は我々が引き継いでゴーレムやアンデッドが新たな開拓村までの道を敷設し、村を建築する。一月もあれば十分でしょう。

 確か鍛冶長がモモンガ様の御命令でプラウという農機具を作っていましたね。畑の開墾もパッケージに含めるのでしょう。

 村に着いたその日から新たな生活を始める事が出来るのです。これは一個人では到底出来ない事です。

 

 そしてノウハウはダミーナザリック建築にも活かされる。

 まさかカルネ村という辺境の開拓村をお救いになられた事に、この様な布石があったとは……

 実際の開拓村で試せば何が必要かが生の声で聞けますからね。」

 

 

 

「マサカ、ソレホドトハ……」

 

「コレで終わりではないよ、コキュートス。

 最初は開拓村で実績を御作りになられるのだろう。そして、その素晴らしさを知った者達はどう考えると思う?」

 

「村ダケニ留マラナイトイウコトカ」

 

「そうです。小都市、中都市、大都市、果ては要塞までナザリック製で満ち溢れるでしょう。」

 

「オオオ……ソレハ素晴ラシイ光景ダ……是非トモ見テミタイ。」

 

「ええ、これならばナザリック主力商品の1つとして十分なものでしょう。」

 

 

 デミウルゴスとコキュートスはモモンガの深遠なる英知の一端に触れて陶酔に浸る。

 もちろんモモンガはそんな事露知らずである。

 

「それと、物資を運ぶ為に転移が使えるシモベが必要でしょう。私の方から貸しましょうか?」

 

「問題無イ。雪女郎(フロスト・ヴァージン)ニモ御方ノ使命ヲ果タス機会ヲ与エテヤリタイ」

 

「そうですね。使命を果たせるチャンスなのです。それを奪うのは酷ですね。」

 

 

 

 

「採石場ノ件ハ理解デキタ。モウ一ツノ件ダガ……」

 

「モモンガ様がアウラ達が気づく事を期待されていたのではないかという件ですね?」

 

「アア。」

 

「私はどちらも正しいと思います。」

 

「ン……?アウラ達ガ気付ク事ト、一ツノ使命ニ注力スル事ハ相反スルノデハナイカ?」

 

「同時にやろうとすれば、そうですね。

 ですが、私達の使命を遂行できる時間は8時間と決められているのは覚えていますね?」

 

「アア。モット働カセテ頂キタイト思ッテイルガ、モモンガ様、ヘロヘロ様両名カラノ勅命ダ。」

 

 モモンガとヘロヘロはナザリックをクリーンな組織とするために、重大な事態が発生した場合を除き、NPCたちの勤務時間は特別な事情を除きAM8:00~PM5:00(昼に1時間の休憩)と決まっていた。

 NPC達は一秒でも長くモモンガとヘロヘロに御仕えし、使命を果たしたいと思っているが至高の御方々に却下されれば引かざる負えない。

 

「8時間以外何もするなと仰られたわけではありませんね?」

 

「ナルホド! 残リノ時間ヲ考エル時間ニ宛テレバ……!」

 

「ご明察ですコキュートス。8時間使命を全うする事に全力を注ぐ。

 残りの16時間を次の日いかに効率よく働くかを考える時間。

 モモンガ様、ヘロヘロ様の使命の更なる意図について考える時間。

 および自己を鍛えて存在するかもしてれない強敵に対して備えておく為に存在したのです。

 事実、モモンガ様は1つの行動でいくつもの結果を残されます」

 

「ヘロヘロ様ハ御自身ノ時間ヲ使イ、我々ニ戦闘訓練ヲ施シテ下サッテイル!!」

 

 自己鍛錬に余念がない意識高い社会人よりも恐ろしい事をいうデミウルゴスと同調するコキュートスをモモンガやヘロヘロが見たら卒倒しただろう。

 

 

 

 そんなつもりじゃなかった!と。

 

 

 

「ありがとうコキュートス、今回の件が無ければ私もこの事には気がつけなかった。視界が晴れるような思いだよ。」

 

「コチラコソダ、デミウルゴス。コレハ皆ニ早ク伝エナケレバ。」

 

「そうだね。私もこの大発見を皆に周知しなければ。」

 

 

 モモンガ、ヘロヘロの8時間労働スタイルはひょんな事から無事定着を果たすが、その実24時間ナザリックのために行動しているということに気が付くのは大分先のことだった。

 

 

 

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