ヘロヘロとモモンガと愉快な仲間たち   作:火焔+

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11. 新・カルネ村

 

 村人のパワーレベリングと村の大改造、そしてピンクや青、白のショーツを見ない日は無い控えめに言って素晴らしい日々を送り、カルネ村の復興(?)が一段落ついた。

 

 

「本当によかったのですか? 他の場所に建設する事もできましたが……」

 

 モモンガさんは村長に尋ねる。

 それほどにカルネ村は変貌を遂げていたからだ。

 

「はい、寧ろ嬉しいくらいです。先祖から受け継いだ村が発展していく様をこの目で見れて。」

 

 村長が言うには辛い事があったとはいえ村を捨てる事は出来ない。

 だが、村が良い方向に変わっていくのは嬉しいとのことだ。

 

 

 

 若いなぁ……。

 ふと、元の世界でプログラマーだった頃を思い出す。

 いつからだろうな。変化する事の中に良い変化じゃなく、悪い変化が混ざりだしたのは。

 良い変化より悪い変化の方が多くなって保守的になりだしたのは……。

 

 転職のきっかけとなった同僚の自殺した時の記憶がフラッシュバックする。

 自分の身体がやつれて健康診断の結果がイエローシグナルを超えてレッドシグナルになりだしたことも……。

 

 それでもカルネ村の人みたいに、いきなりスレイン法国の偽騎士に襲われて殺されるよりかはマシだったのかもしれない。

 それなのに彼らは笑顔を取り戻している。

 

 

 ―――― 強い人たちだ ――――

 

 

 俺も強くなれるだろうか?

 身体だけは強くなっても心は元の世界にいた頃と変わらない。

 少しずつでも身体に応じた心の強さが持てればいいな。

 

 

 

 

 っと、少ししんみりし過ぎたか。

 モモンガさんの功績の話に戻ろうか。

 

 ここ1~2ヶ月での村の発展は凄まじいものだった。

 まず、村の中央に大きな広場ができた。

 直径20mくらいの円形でレンガの大きさに整えられた石材が敷き詰められている。

 村の集会場といった用途で使われるのだろう。立ち寄った行商人が露天販売出来る様にもなっている。

 これだけでも村としては立派なものだ。

 

 

 もちろんこれだけではない。

 次に作ったのは領主の館(マナーハウス)だ。

 

 カルネ村にももちろん領主は居る。

 だが領主は基本的に大都市エ・ランテルに住んでいて、年貢を取り立てに来る時だけやってくるらしい。

 

 金あるんだから村に住むより都市に住んで居たいでしょ?

 という都合で他の村でも領主が村に住む事は少ないそうだ。まぁ、安全面も考えると確かに妥当だとは感じる。

 

 今までは税を徴収しにきた時は村長の家に泊まっていたらしいのだが、この機に領主の館を建てることにした。

 カルネ村の領主は村長の話を聞く限り良い人らしく。今回の事件があったため、今年の税は免除という事をしてくれたそうだ。

 働く者の状況に応じて柔軟に対処してくれるのだから確かに優秀なのだろう。

 広場から少し離れた所に3階建て石造の館がドンと建っている。

 内装もナザリックの生産系NPCが一晩でやってくれました位の華美さはないが落ち着いた感じはある。

 エ・ランテルの本邸より良い物にするわけにもいかないしね。

 

 いざという時に篭城する屋敷なので堅牢さもそこそこにある。

 流石に死の騎士(デス・ナイト)のシールドチャージは素材的に無理があって防げないけど……

 

 

 その次は教会だ。

 実はカルネ村にも教会はあったらしい。一回り大きな木の家だったから全然分からなかった

 ずっとちょっと金持ちの家かと思ってた……

 

 教会は石造でWEBで探すと出て来そうな縦長の建物になっている。

 追加で四大神のモチーフが描かれたステンドグラスがモモンガさんから寄贈された。

 

 俺もステンドグラスは初めてみたから結構興奮したよ。

 昔の世界はああいうのが見ようと思えば幾らでも見れたんだなと感慨深いものがあった。

 

 教会の隣には学び小屋、つまり学校が併設されている。

 もちろんココではユリが教鞭をとって、村の子ども達……だけじゃなく、四則演算なども出来ない大人たちも時間を見つけて授業を受けに来ている。

 ユリはいつも忙しそうだが、充実した雰囲気で毎日を過ごしている。

 教会でアンデッドが生者に勉強を教えているという違和感バリバリの光景だけど、知らない人が見れば優しくて厳しい美人なシスターが教鞭を持っているように見えなくも無い。服装も白と黒を基調としたメイド服だからシスター服に見えなくも無いしね。

 

 俺の目の前でだけやたらと突風が吹くのは仕方ないし、正直パブロフの犬並みに期待してる!!

 ユリはルプスレギナとは違い恥じらいが強く、青色のショーツが見えて0.2秒以内に隠してしまう。

 

 

 おそろしく短いパンチラ。オレでなきゃ見逃しちゃうね。

 

 

 プレアデス達にまでこんなことして、フウマ達は怒られないのかなと思い俺も一緒にユリに謝りに行った事があった。

 そのとき、途中でルプスレギナに会って

 

「ユリ姉がヘロヘロ様にパンツ見て欲しいなんていえる筈もないっすし、だからってやめて欲しいともいえる筈無いっす。

 フウマたちとユリ姉と私で相談して決めた事ですので、お嫌じゃなければこのままにしてもらえると嬉しいっす」

 

 なんかこう……忠誠心の方向性がぶっ飛んでる気がしないでもないけど、パンツが見える未来と見えない未来を天秤にかけた結果、俺は踵を返す事にした。

 

 

 

 すまん、また脱線したようだ。

 そういうわけで、領主の館、石畳の広場、その周囲に教会、宿屋、酒場などが建造されて、広場から四方に伸びるメインストリートは全て石畳。

 その周囲に村人たちの民家が立ち並んでいる。住人の好みに併せて木造、石造どちらもある。

 

 そして石畳のメインストリートを外側に向かって歩いていくと周囲を取り囲む木造の防壁と門、石造の物見櫓に辿り着く。

 門を出ると一面に農地が広がっている。

 死の騎士(デス・ナイト)が牛馬の様に開墾したお陰で以前のカルネ村の10倍の農地面積になっている。

 スライムも雑草捕食に役に立ったよ!!

 

 ここから更に石畳の道を進んで行くと農地の終わりが見えてくる。そこには害獣避けの木の柵が立てられていて、ここがカルネ村の端となる。

 

 余談だがメインストリートから外れた所に家畜小屋があったりもする。

 

 

 

 よくもまぁ、ココまで作ったものだ。

 

「いやぁ、デミウルゴスのお陰ですよ。

 ほら、周辺探索の任務のついでに他の村の様子も調査してくれてたんですよ。

 そのお陰で領主の館とか、教会とかそれっぽいのが建てられましたしね。」

 

 なるほど、デミウルゴスプロデュースだったのか。

 

「最近、パンドラズ・アクターと仲がいいみたいでして、時折一緒に報告しに来てくれるんですよ。

 そのお陰で上手い事村の施設についての情報が得られましたし。」

 

 パンドラズ・アクターも一枚噛んでたか。

 モモンガさんもオレも一般市民だったのだから、どんな施設が必要なのか分かるはずもない。

 だけど知者二人の提案ならば納得のいく結果だ。

 

「流石に農地10倍は広くないですか?」

 

「そうですか?ヘロヘロさんのパワーレベリングのお陰で10倍でも少ないくらいですよ。

 足りなかったら、随時追加していく予定ですし。」

 

 

 う~ん、Lv25~30くらいでそこまでやれるかなぁ……

 

 

 




やれるんだよなぁ……
Lv25~Lv30(難度75~90)って、スペックだけだとオリハルコン~アダマンタイト級の冒険者に匹敵するんだよね。

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