流石に「帰ってきました!」「わーい!」はモモンガさんと被創造者(ソリュシャンと一般メイドの1/3)以外難しいかと思って。
ソリュシャンと再会した後、彼女はセバスと連絡を取ってプレアデスの面々が俺の元に集合した。
セバスはモモンガさんに連絡を取ってくれたらしく、俺はナザリックへ向かうことになった。
「ソリュシャン、よくやってくれました。貴女の功績はモモンガ様にもご満足頂けるでしょう。」
「いえ、滅相も御座いません。ナザリックのために尽くす事は、わたくし達にとって当然のことです。
それに、ヘロヘロ様の被創造物だからこそ、御目に掛かる事が出来たに過ぎません」
(ソリュシャンは確かに俺が作ったNPCだけど、そういう直感的なものもあるのかな?)
そう思いつつ、そこそこの速度でナザリックへと移動していた。
プレアデスのLvは約50~60だから、速度重視の俺やセバスが全力で走ると置き去りにしてしまう。
ナザリック地下大墳墓の周囲は大分変わっていた。
ナザリックは紫毒の沼地、グレンデラ沼地ではなく草原にある。これもこの異常事態の所為なのかもしれない。
「ヘロヘロ様、モモンガ様は第6階層にいらっしゃいます。
不肖の身ではありますが、このセバス・チャンと功をあげたソリュシャンが御身をモモンガ様の元へご案内します。
貴女達は、引き続き周辺の調査をお願いします。」
「「「「「はっ!」」」」」
ナザリックへ移動中にソリュシャン、セバスにAIでは間違い易い意地悪テストを軽くした所、容易くクリアしたため人間と同等の扱いをすべきだと判断したからだ。
モモンガさんと階層守護者達は第6階層にいるらしい。俺は移動している間に急いでナザリックのNPCの名前などの設定を確認した。
2年も放って置いたのだ。謝る相手の名前を覚えてませんでしたじゃ筋が通らない。
「よくやった!セバス!そしてソリュシャン!!お前達には感謝しても仕切れないぞ!」
第6層へ到着するとモモンガさんの声が聞こえた。
モモンガさんの眼前には階層守護者達が跪いており、声質も尊大な様な感じがしてモモンガさんじゃない雰囲気がする。
「それに……再会できて嬉しいです。ヘロヘロさん。」
こちらを振り向いたモモンガさんは、昨日会ったとおりの優しい雰囲気で話してくれた。
(よかった。モモンガさんの皮を被った別人だったらどうしようかと思った。)
「えぇ、昨日振りですね。モモンガさんもご無事な様で何よりです。」
その言葉を聴いて、守護者達は「え?」っていう雰囲気を醸し出した。
昨日はモモンガさんに愚痴を言うだけで、NPCと会っては居ないからそう思うのも無理はない。
「ヘロヘロさん、確認しなくてはならない事が数多くあります。
モモンガさんは守護者達と話す気が無いようなので、もう用事は済んだのかもしれない。
だが、俺にはやらなければならない事がある。
「わかりました。……ですが、その前にやらなければならないことがあります。」
「やれなければならないこと……?」
「えぇ……。この2年間留守にしていた事についてです。」
俺は階層守護者達の方に向き直る。
純白いドレスに腰から生えた漆黒の羽、金色の瞳に、山羊の様な角を持つ黒髪の美しい女性。守護者統括のアルベド。
ストライプの入った赤色のスーツ、浅黒い肌にオールバックの黒髪。丸い眼鏡の奥には宝石が埋め込まれている。第七階層の階層守護者デミウルゴス。
竜鱗のジャケットを着用した金色のショートヘア、緑と青のオッドアイをもつ闇妖精の双子、第六階層の階層守護者アウラ・ベラ・フィオーラとマーレ・ベロ・フィオーレ。
青白い甲殻を持つ二足歩行の蟲の武人。第五階層の階層守護者コキュートス。
漆黒のドレスに身に纏い、カーディガンやグローブを身に付けているため、白蝋のような肌は殆ど隠れている長い銀髪の真祖。第一~三階層の階層守護者シャルティア・ブラッドフォールン。
それに守護者達の後ろでセバスとソリュシャン含めた8名が俺に視線を向ける。
ゴクリと自分の喉が鳴った様な気がした。
「二年間以上も君たちを置き去りにしてすまない。」
俺は彼らに向かって頭を下げる。
こういうときは言葉を飾らず、真摯に謝るしかない。
きっと罵声の10や20は飛んで来るだろう、それでも謝罪する事としかできない。
これはモモンガさんにもだ。どれ程一人で居たのだろう……そう思うと自然と頭が下がる。
頭の先ではどよめきが起こっている。
「どうか頭を御上げ下さい!ヘロヘロ様!」
大人の女性の戸惑った声が聞こえる。多分、アルベドの声だろう。
「御方がお戻り頂けただけで我々は言葉も御座いません! 何卒、何卒、頭を御上げ下さい!」
耳心地いい優しい紳士の様な声、コキュートス? デミウルゴスだろうか?
悲痛な声を出させてしまっている事に、この謝罪は独りよがりなのかもしれないと思い頭を上げた。
「俺は――――」
俺はどうすればモモンガさんが、守護者達が許してくれるのかわからなかった。
発する言葉を決めかねている間、静寂がこの場を支配する。
そこに、骨の手、モモンガさんの手が俺の前を遮る。
「守護者達よ。ヘロヘロさんはお前達の事を忘れたわけではない。」
本当は忘れていた。
でも、モモンガさんの気遣いを無碍にするなんて事出来る筈もなかった。
もしかしたら、モモンガさんは自分にも、そう言っているかも知れないと思ったからだ。
自分は忘れられたわけじゃない、自分だけ取り残されたわけじゃないって。
「ヘロヘロさんは『ブラックキギョウ』という強大な敵と、此処を去る前からずっと戦い続けていたのだ。ここに戻る時間すら取れずに。
他の皆もそうだ。彼らにも自分たちの戦いがある。だから――――」
確かに転職してからログインする暇すらなかった。だけどモモンガさんは時間を捻出してずっとここに来ていた。
俺も少しだけなら捻出できたかもしれない。でも、疲れたことを理由にログインすらしなかった……。
「モモンガさん程じゃないけど、顔くらいは見せる事ができたかもしれない。だから謝罪を受け入れて欲しい。」
今度は頭を下げない。また、先ほどのようなやり取りになってしまうと思ったからだ。
すると、アルベド達は土下座の様に平伏した。
「ヘロヘロ様! 申し訳御座いません!
強大な敵と戦って居られたにも拘らず、付き従う事すら出来ない自らの力不足を棚に上げ、
私たちは御方に見捨てられてしまったのではと愚かな考えを致しておりました!
どうか、どうか、愚かな我々をお見捨てに成らないで下さい!!」
悲痛なアルベドの声が闘技場に響く。
(お、大げさすぎる……。しかも俺が謝るはずなのに、何で謝られているんだ?)
「み、見捨てるなんて事しないよ。だから頭を上げてくれ。みんな。」
アルベドたちは涙で目を腫らしていた。
もし、NPCが心を持つAIとして作られるようになったらこんな感じなのだろうか……
「君達に何も告げず、消えた俺を……俺達を許してくれるだろうか?」
「許すも何も、御方々に非など御座いません! 私達こそ罰されて当然な存在です!」
アルベド達は悪くないのに……。どうやったらわかって貰えるのだろう……。
そう考えていると、カツッカツッと骨の鳴る音が聞こえた。
多分、モモンガさんはパンパンと手を叩きたかったのだろう。
「皆の者、そこまでだ。互いに思うところはあるだろうが、この件はこれで終わりだ。
――――良いではないか。
我々にはこれからがある。新しい時間を創り出せる。
それでいいではないか?」
モモンガさんはきっと怒ったり、責めたり、そういうことは無かったのだ。
みんなとまた会いたい。それだけだったのだろう。
「アルベドよ、先ほどの指示を実行するのに猶予を与える。少しの間、心の整理が必要だろう? 守護者達もだ。わかったな?」
「「「「「「 はっ!!! 」」」」」」
「さっ、それでは行きましょう、ヘロヘロさん」
「はい、モモンガさん!」
きっと涙が出るのであれば、俺は大泣きしていただろう。
今はスライムであった事に感謝しようと思う。
ちょっとシリアスなのは余り作らない予定です。
個人的には
デミえもん「理解できていない愚か者はいないと思いますが――――」
皆が頷く中――――
モモンガ(…………えっ???)
――――シュゥゥゥゥンン(発光する音)――――
位のノリの方が好きなので。
これによってアルベドの「アインズ・ウール・ゴウン――――下らない」ルートが消えます。
・モモンガがモモンガのままで居る
・モモンガが楽しそう
・モモンガと×××
・アインズ・ウール・ゴウンはモモンガ様以外全員、ナザリックを捨てた訳ではないのかもしれない