ヘロヘロとモモンガと愉快な仲間たち   作:火焔+

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この世界における星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)の効果を知っているので、どうも強引な導入になってしまうのはご容赦下さい。


09. 鈴木悟の心

 

「そ、そんな事が……い、いや確かにスキルで沈静化するし、何より人を殺す事に――――いや、人に関心が無い。」

 

 モモンガさんも自分が人間だった頃、現実にいた頃と心が変わってきている事に気が付いたようだ。

 アンデッドだと、より変わり易いのかもしれない。

 

「俺もです。人を食料と認識してしまいます。

 村で女が喰いたいって言ったとき、本当は村人が喰いたいって言いかけたんです。」

 

「そうだったんですか……。咄嗟に誤魔化してあんな事を。

 でも、如何しましょう。

 どうやって心を取り戻せば……」

 

 

 

「これに賭けてみようと思います」

 

 俺は超位魔法星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)を1度だけ使用できる課金アイテム北極星の指輪(ポラリス)をモモンガさんに見せる。

 

「こいつの選択肢に賭けてみようかと。」

 

「確か選択肢は200種類超えるはずですよね。だったら私の流れ星の指輪(シューティングスター)の方がチャンスがあるかも知れません。」

 

 あれはモモンガさんがボーナスを全て注ぎ込んでゲットした超・超・超レアアイテムだったはず。

 

「もし、俺が失敗したらお願いできますか?

 じゃあ行きますよ。

 

 ―――― I wish ――――」

 

 

(こ、これは……。魔法の効果が変わってる!!)

 

 俺の頭の中に変化した星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)の仕様が流れ込んでくる。

 こいつは最大500%の経験値を使用して、何でも願いを叶える魔法になったみたいだ。

 

 

(だったら、俺の願いは――――!!!)

 

 

 

 

 

「おぉ!! 成功ですよヘロヘロさん!! 人に戻ってます!」

 

 モモンガさんは星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)が成功した事を我が身の事のように喜んでくれる。

 そうなんだよ、モモンガさんは優しい人なんだ。

 

「ありがとうございます。モモンガさん。

 実はね、こんな事もできるんですよ。」

 

 俺は古き漆黒の粘体(エルダー・ブラック・ウーズ)の姿になると

 

「え? 人間と異形種どちらにもなれるんですか?」

 

「はい。星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)の効果が少し変わっていましてね。」

 

 俺は星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)のこの世界における仕様変更をモモンガさんに説明すると

 

「本当ですか! 効果が大きくなった分、消費も大きくなったんですね。

 でも、人間だけになろうとは思わなかったんですか?」

 

「ええ、万が一Lv1とかになってしまったら、もしくはスライムの種族スキルが使えないLv100だったらと思ったときに、どちらの姿も取れるようにした方がいいかなって。

 人の姿になった時、急速に自分の心が戻ってくる感じがしました。

 だから時折人の姿を取れば、心が侵食される心配はないと思います。」

 

 

 ちなみに、人の姿だとスライム種のスキルは封印状態になって使えなかった。

 デバフスキルの殆どが使えないので、人の姿を取っているときは相当弱くなってるな。

 その辺りの事をモモンガさんに伝えて、モモンガさんは如何するかを聞いてみた。

 

 

「もちろん人にもなれる様にしますよ。

 このままだと、もしギルドメンバーに会ったとき、嬉しいって心を奪われちゃうかも知れませんし。

 それに心が汚染され続けたら、ヘロヘロさんや守護者たちが分からなくなって牙を剥く、そんな気がするんです。」

 

 アンデッドだとそこまで汚染されてしまうのか……。

 

「じゃあ俺も行きますよ!!

 

 ―――― I wish !! ――――」

 

 

 

「おかえりなさい。モモン――――どっちで呼んだらいいですかね?」

 

「モモンガのままでいいですよ。

 OFF会って訳でもありませんしね。」

 

 人の姿に戻ったモモンガさん。

 ん? なんか昔会った時より――――

 

「なんか、カッコ良くなってません?」

 

 げっ!バレたそんな顔をモモンガさんはする。

 そしてブーメランが俺に襲い掛かる。

 

「そ、それを言うならヘロヘロさんだって。」

 

「や、ま、まぁ……折角だし?

 星に願いを(ウィッシュ・アポン・ア・スター)の効果範囲内ならやっておいて損はないかなーって……」

 

「俺もですよ。守護者達やプレアデス達が美形過ぎるのがいけないんです。」

 

 ゲームから産まれたNPC達は、ゲーム基準で作られているので凄く美人なんだよ。

 それに、現地の人たちも結構美的レベルが高いんだよね。

 

「ほら、俺だけ残念だと悔しいじゃん?」

 

 

 

「ところで、人と異形種の切りかえって俺とモモンガさんでちょっと違いますよね。」

 

 俺は半透明の棒人間になった後、透明度が下がっていき人間に変貌していく。

 モモンガさんの場合は骨格が鈴木さんの物に変わって、その後幽霊の様に半透明の肉体が実体化していく感じだ。

 異形種になるときはその逆だ。

 

「モモンガさん変身するとき、スケスケですよね。」

 

「もぉ! 変な事言わないでくださいよ。

 ヘロヘロさんだって、中まで丸見えじゃないですか!」

 

「丸見えって……。知らない人が聞いたら誤解するじゃないですか!」

 

「ヘロヘロさんが先に言ったんですよ。」

 

「「――――ははははっ!!」」

 

 

 

 よかった。

 俺達、人に戻ってこれたんだ。

 

 

「おかえりなさい、モモンガさん。」

 

 

「ただいま、ヘロヘロさん。」

 

 

 

■■■■■■■■■■

 

 隣の女湯に入っていたアルベド

 

 

(モモンガ様とヘロヘロ様が隣のお風呂に――――!!)

 

 アルベドが風呂に入って来たのはモモンガとヘロヘロが人に戻った後だった。

 

 

『モモンガさん――――スケスケですよね。』

 

(え!? モモンガ様がスケスケ!!?? 一体どういうことなの!?)

 

 ヘロヘロの衝撃発言にアルベドが壁に耳をつけて聞き耳を立てる。

 

 

『――――ヘロヘロさんだって、中まで丸見えじゃないですか!』

 

(ヘロヘロ様が中まで丸見え!!??

 一体男湯で何が起こっているの!?)

 

「ハァーッ! ハァーーッ!!」

 

 

 

(あぁ!この壁の先に天国があるのに、どうして私を阻むの!?)

 

 男女を分けるために当然なのだが、アルベドにとっては邪魔でしかない。

 普通は逆なのだが……

 

 興奮で昂ぶっているアルベドの白い肌に赤い液体――――鼻血が滴り落ちる。

 

(どうして! どうしてなのよ!! どうして何も見えないの!!)

 

 壁に頭突きをして、あわよくば壁が壊れないかとアルベドは願うが、それは天に聞き届けられ無かった。

 アインズ・ウール・ゴウンのメンバーや守護者が入るように作られたのだから、タンクのアルベドでは壁の頑丈さを突破できない。

 

 

「何やっているでありんすか……」

 

「ア、アルベド……それはちょっと無いんじゃないかなぁ……」

 

 女湯に入ってきたシャルティアとアウラはアルベドの奇行にドン引きしていた。

 美女が鼻血塗れで壁に頭を打ち付けるという行動は誰が見ても、モモンガが見たら精神安定化が何度か発生しているだろう。

 

「あら、二人共来たのね。」

 

 男湯との壁に耳を当てながらアルベドは返事をする。

 

 

『ハハハ。ヨイデハナイカ』

 

『ヘロヘロサン。オタワムレヲー。アーレー』

 

 ヘロヘロとモモンガの声が聞こえシャルティアはいつの間にかアルベド見たく、男湯の壁に張り付いていた。

 

(恐ろしく速い行動、アタシでなきゃ見逃しちゃうね。)

 

「まさか、今まで……?」

 

 シャルティアは耳を壁に押し当てたままアルベドに問う。

 

「さぁ、どうだったかしら?」

 

「そんな!御方々のステキなお声を逃すなんて……!」

 

 はぐらかすアルベドに前からこういう事が起きていたとシャルティアは察する。

 ヘンタイ二人が男湯の状況を探ろうと聞き耳を立てる。

 

 スタイルが整った非常に美しく鼻血塗れのアルベド

 人形の様に胸以外は理想の体型をしている目が血走ったシャルティア

 

(ハァ……アタシはのんびりしよ)

 

 二人の奇行を尻目にアウラだけ湯船に使ってのんびりしていた。

 

 

 




『ハハハ。ヨイデハナイカ』
『ヘロヘロサン。オタワムレヲー。アーレー』

 アルベドの頭突きでなんとなく察した二人が演技をしているから棒読みな感じです。


●ボツ案
モモンガの人間⇔異形の変化がホラーの場合

「おぉ、人間の感覚が戻ってきますね。」

 モモンガさんの言うとおり骨格が人のソレに変わって行き、筋肉が――――

「うわぁぁああああ!!!! 恐いぃぃぃ!!!」

 筋肉が骨に這いずり回るように絡みつき容を作っていく。
 まるで蛆虫が骨に這うような……。
 そして筋肉が出来上がると何も無かった空洞に目が生まれてくる。
 皮膚が剥ぎ取られた人体模型(生)ができあがった。

「心臓が脈打ってるし!!! 肺が動いてるしっ!!!」

 そして、皮膚が筋肉から滲み出るように現れて筋肉に張り付いてく。
 そうしてモモンガさんは人の形になる。

「懐かしい感覚ですね。懐かしいっていう程時間は経ってませんか。ははは。」

 俺は脳裏に焼きついてしまったホラー現象の所為で素直に喜べないでいる。

「モモンガさん。すみませんが、俺の前では変身しないようにして貰っていいですか……?」

「えぇ~。そんなに恐かったですか?」

「そこに鏡があるので、自分で見てみては?」


 モモンガさんは軽い気持ちで鏡の前に立ち、人から異形に変身しようとする。
 すると瞬く間に皮膚が腐り落ちて行き、俺は目を伏せた

「ぎゃぁぁああ――――!!! 恐いっっ!! あぁ肉が腐り落ちた! あぁ!目が落ちたっ!!」

(説明しないでくれ!!)

 俺は耳を塞いで何も聞こえないように徹した。


「ヤバいですね。凄い恐かったです。4回も沈静化のスキルが発動しちゃいましたし。」

 モモンガさんもげっそりとしていた。
 まぁ、自分の身体だから余計恐ろしいのかもしれないな……。

「モモンガ様!ヘロヘロ様!! 如何されましたか!?」

 風呂に入るときに衣服を脱がしてくれた一般メイドと――――
 アルベドが猛烈な勢いで男風呂に入ってきた。



「「キャーーーーーー!!!」」



 俺とモモンガさんの叫び声が再び浴場内に響いた。


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