その圧倒的な力にフォルドは奈落の底へと叩き落とされた。
以上
暗転した視界の中、フォルドは足音を聞いて目を開いた。
「……うっ…うう……。」
フォルドは痛みを堪えながら体を起こし、包帯を巻かれた傷口のところを押さえる。既に治療されているらしく、フォルドが目覚めた場所は誰かの家だった。そして奥には男女二人が何か話していた。フォルドは起き上がろうとしたが
「うっ……!?」
まだ完全には癒えていなかった。
「あ、まだ動いちゃだめです!リンファ、鎮痛剤持ってきて!!」
「あ、はい!」
向こうにいた一人の青年がフォルドのうめき声を聞いて慌ててフォルドの方へ駆けつけた。そして後にリンファと呼ばれた少女が水と鎮痛剤を持ってきた。
「…すまない。」
フォルドは謝ると、渡された鎮痛剤を飲んだ。
ちょうどその時に向こうのドアが開き、そこから一人の女性がやってきた。その女性はグラマラスな体格に赤いチャイナドレスを身に纏い、眼鏡をかけている。
「あら、目覚めたようね。傷の具合はどう?」
「ああ…多少はまだ痛みます」
フォルドは女性にそう返事をした。
「ところで貴方の名前は?」
「…フォルド=ケンウェイです。」
フォルドは自分の名前を名乗る。
「私はライチ=フェイ=リンよ。」
「私はリンファといいます!」
「僕はシュン=アカツキです。」
ライチ、リンファ、シュンも自身の名前を名乗った。
「ライチさん、その頭の上にいるパンダは何ですか?」
「この子はラオチュウよ。」
「(え?ピカt…おっと、それ以上いけないな。)」
変なことを呟きながらも納得したフォルド。
「よろしく…ところで俺はどうしてここに?」
「私が歩いてたときに貴方が倒れていたからこの家まで運んだのよ。」
「そうですか。」
ライチの答えにフォルドはとりあえず納得した。
「にしても僕も驚きました。」
「何が?」
「あの高さから落ちてなおもよくご無事でいたことがですよ。」
「うん…。」
フォルドは少し暗そうな表情で返事をした。先程フォルドはデュークに変身したジンに負けてここに落ちてきたのだからである。
「あ、すみません。」
フォルドの気持ちを暗くしてしまったシュンは謝罪する。
「いいよいいよ、気にすんなって。」
フォルドは明るい表情になって返事をした。そのとき
「ヤッホー、乳の人~!」
「あれ?…タオ?」
突然ドアを開けてタオがやってきた。そしてタオは後ろからライチの胸を揉み始めた。
「コラ、タオ!!//」
「おお~、さすが乳の人、いつもでっかいニャス!」
ライチは恥ずかしそうに言うがタオは構わず揉み続ける。フォルドはその様子を見て一つ気になる点を見つけた。
「(タオも胸がでかいけどな)」
そう、タオの胸もライチと同じくらいの巨乳であったことである。
「タオ、離れて、もう!!」
ライチは強引にタオを引き離した。するとタオはフォルドを見ると
「おお~、白フードの人ニャス。傷は治ったニャスか?」
「いや、まだ治t「ダ~イブニャス!!」イダダダダダダダッ!!何すんだお前は!!?」
フォルドはタオにのしかかられたために怒号を発する。するとライチがタオを掴む。
「やめなさいタオ!この人はまだ傷が治ってないの!ゆっくり休ませないと。」
「は~い。」
タオはフォルドの側に近づくとこう言った。
「タオはいい人と同じように一緒にいたいニャス!」
「(もしかしてラグナもここに運ばれてたのか?)」
「看病して早く白フードの人と一緒に
遊びたいニャス!」
「そうか…。」
タオはそう言うとはしゃぎながら小さく走り回る。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
3日後、フォルドは歩けるくらいまで傷が治ったが、それでもまだ痛みがひいた訳ではない。
テーブルにはフォルド、シュン、リンファ、ライチ、タオの五人が座っていた。ライチが紅茶を五人分のカップに注いで、レモン一切れを五人分添えた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
フォルドはさっそくレモンティーの入ったカップを持つ。しかし突然、フォルドの脳にジンとの戦いがフラッシュバックしてきたのだ。その瞬間フォルドはすぐさまカップから手を離し、頭を押さえてぶるぶる震え始めた。
「フォルドさん…?」
「どうしたんですか?」
「フォルド君、何かあったの?」
「ん?どうしたニャスか?」
四人はフォルドの様子を見た。フォルドはジン=キサラギに怯えているのだ。それはデュークのモチーフといえるレモンを見てもフォルドには同じ恐怖だと感じ取ってしまうのだ。
フォルドはしばらくして震えるのをやめると、顔を上げる。
「すみません…レモンは無理です…。」
「ああ、そうなのね。」
フォルドはレモンが苦手になってしまったのだ。
ティータイムの後、フォルド達は家の外に出た。
「ここはどこなんだ?」
「ここはタオの村ニャス。」
「え?」
フォルドは謎めいた。
「ここはタオの出身地でもあるカカ族の村なのよ。この世界が魔素で覆われてからはこの村の上に階層都市が出来て、空が遮られたのよ。」
「だから昼夜問わずこんなに暗いのか。」
フォルドはそんなことを言う。
「ば、化け物ーー!!」
「「「「「!?」」」」」
突然悲鳴が聞こえたのだ。フォルドは鷹の目で悲鳴が聞こえた場所を探る。
「あっちだ!」
フォルド達は急いで示した場所へ向かった。そこには
『『グギャアア!!』』
『ゴアアアアア!!』
「インベス!」
そこには初級インベス二体と龍を模したセイリュウインベスがいた。
フォルドは戦極ドライバーとメロンロックシードを取り出すが、傷がまだ完治していないためにその場でひざまづく。
「無茶です!その身体で戦ってはダメです!」
「でも…俺がやらないと…。」
シュンの制止を受けても、変身しようとするフォルド。するとシュンは
「ここは僕に任せて下さい。」
「え?」
シュンは前に出た。
「シュン!?」
「シュンさんダメですよ!」
「パーカーの人?」
シュンはポケットからある物を取り出した。フォルドはそれを見て驚いた。
「戦極ドライバー!?」
それは、フォルドと同じ戦極ドライバーだった。シュンは緑色のフェイスプレートがある戦極ドライバーを装着すると、ブドウロックシードを取り出す。
「変身!」
シュンは叫ぶと、ブドウLSを開錠した。
『ブドウ』
するとシュンの頭上に巨大ぶどうが現れた。シュンはブドウLSを戦極ドライバーに装着させると、再び閉錠した。
『ロックオン!』
するとドライバーから銅鑼と二胡による中華風の待機音が鳴る。そしてカッティングブレードを倒してカバーを展開した。
『ハイ~!ブドウアームズ!龍・砲・ハッ・ハッ・ハッ!』
その瞬間巨大ぶどうが落下してシュンの頭を覆う。それと同時にシュンの身体に緑色の中華風ライドウェアが纏われた。頭にはフェイスプレートに描かれている中華の兜みたいな頭部が装着され、その上から複眼である龍眼が装着される。
そして巨大ぶどうが鎧の形に展開して、水飛沫のエフェクトと共にアームズウェポン・ブドウ龍砲が装備され、シュンはアーマードライダー龍玄に変身した。
後編に続く。
遅くなってすみません。