黎斗達は完全聖遺物「デュランダル」輸送を終えた事を報告しに特機部へと戻ってきた。
…壁に設置された時計を見ると午前0時41分を表示しており、この時間では交通機関も動いていない場所や悪漢に襲われる可能性がある。
此処から近いのは私の家だな───。
風鳴翼や天羽奏は泊まりに来たことはあったが、今では泊まることは無くなっている。
立花響は立花洸と共に帰っていったが、雪音クリスの家は少しばかり遠い場所に在る。彼女も泊まることを勧めたら「お願いします!」と嬉々として受け入れてくれた。
ふむ、雪音クリスは黎斗の作ったゲームを見たかったのか?それともゲーム情報を予めに入手しようとしているのか?まあ、そんなことは後で考えるとしよう。
迎えに来ていた九条の車に乗り、風鳴翼達を引き連れて自宅へと向かう。
今、思い出したが。先々週、風鳴翼と天羽奏は来ていたな。あの時は夜通しでゲームをプレイしていた。アイドルとしての自覚や女性としての自覚を持つべきではないか?
「お風呂、行こうぜ!」
「…そうだな。今日は汗を流したからな」
「クリスも一緒に入ろうぜぇ~ッ!」
「ちょ、アタシはゲームをおぉぉ!?」
三人は浴室へと入っていき、黎斗は使っていたライダーガシャットに感じた、不調や不具合を直すために自室に籠ると言っていた。
…社長としての考え方や経営力は教えたが、人との付き合い方は教えていなかったな。
「九条…向こうでは進んでいるか?」
「はい、順調です。あの四人はチームプレイを重視しているようです」
「ふむ、
「気付いてはいませんが…不自然な動きを行っている者は見付けました」
…やはり、アメリカでも不穏な動きがあるようだな。今現在、仮面ライダーとして活動している黎斗達だけでは心許ないな。風鳴翼の影にも表立って行動してもらう必要がありそうだな。
「九条、緒川慎次の導入時期は君に任せる」
「承知しました」
檀綺乃は九条へとライダーガシャットとバグルドライバーを手渡した。十数年前、風鳴弦十郎と櫻井了子の前で変身して以来のガシャットとドライバーである。
アメリカでは『KAMENRIDER-CHRONICLE』をプレイしている人間は少ない。そのため日本よりも死亡者数は倍の数だと聞いている。昔、黎斗を出産する前に立ち寄ったことはあるが…あの時よりも平穏な国になっていることを願うばかりだな。
「ブウゥゥンッ!!」
「ぶ、ぶぅぅん?」
「ブェアァハァッ!!」
「ぶぇあはぁ?」
「ブゥエァーハッハッハッハッハッハッ!!」
「ぶぅえぁははははは?」
濡れた髪をドライヤーで乾かす風鳴翼と天羽奏から離れた所では黎斗の真似を行う雪音クリスを見てしまった。
やはり、黎斗のファンだったんだな。