黎斗は風鳴翼達を残して先陣を切るようにフィーネへと駆け出していき、チェーンソーモードのバグヴァイザーでフィーネの振り回す結晶の鞭を切り裂いて、前へ前へと歩みを止めることなく突き進んでいく。
「フイィィィネエェエェエ!!!」
「死に損ないの化け物が!!」
フィーネは黎斗の振り下ろしたバグヴァイザーを掴んで止め、突き刺すように結晶の鞭を黎斗の腹部と胸部に叩き付けながら瓦礫に向かって放り投げた。
「ハァ…ハァ……!貴様らは私の計画には邪魔なんだ!!あの方へと近付くためにッ!」
瓦礫を突き破って向かってくる黎斗を前にして自問自答を繰り返すフィーネの後ろには真っ赤なワイシャツを纏った男が立っていた。
「待ちな、了子…」
「まだ、その名で呼ぶか…ッ」
「ああ、何度でも呼んでやる」
忌々しいと口にするフィーネを無視するようにフィーネの眼前へと歩み寄り、見下ろす形で立ち塞がる。
「了子、櫻井了子…俺が惚れた女の名前だッ!!今からテメーを了子から引き剥がしてやる!!」
「くうぅぅっ…それだ!その分かったような顔が…私の邪魔をするんだ!!消えろ、消えてしまえ!お前など私の前から消え失せろおおぉぉ!!」
フィーネは錯乱したように結晶の鞭を振り落ろし、弦十郎の肩や脇腹を削り取る。だが、弦十郎はフィーネの攻撃を受け続けながらもライダーガシャットのスイッチを押し込んだ。
『
「変身…!」
『ガシャット!!』
バグルドライバーのスロットにガシャットを差し込み。上部のスイッチを押し込んでファイティングポーズを取る。
『バグル・アップ!!』
俺の目の前にライダーの肖像を持つエネルギーパネルが現れる。
『ワン!!ツー!!ワン!!ツー!!』
『エンター・ザ・ハート!!!』
『ビートアップ・グルーヴィー!!!』
エネルギーパネルを突き通ると丈の長い外套をバグスターバックルで押さえ付けた真っ赤な装甲を纏う。その髪は怒髪したように逆立っており、両の拳にはガントレットらしき装甲が着いていた。
「俺の燃える魂で了子を助ける!!」
フィーネの振るう結晶の鞭を殴り潰しながらフィーネに向かって走り出す。
「死ね!死ね!!死ねえぇぇぇ!!!」
最早、形振りなど構わずに弦十郎を殺そうと十数本まで増やした結晶の鞭を弦十郎に叩き付ける。しかし、受け流しも回避もせずに殴り潰して進んでくる。自身の攻撃は効いていない、これほど恐怖することはない。幾ら強い攻撃を放とうと怯むことなく近付いてくるのだ。
バキャンッ!!という音と共に弦十郎の纏っていた頭部装甲の一部が砕け、仮面の奥では血の滴り落ちる中身が見えた。
「…了子……」
弦十郎はフィーネの眼前へと迫っていた。最早、打つ手なし。そんなことを考えながらフィーネは諦めたような表情を浮かべていたが、弦十郎は左腰のホルダーから取り出したゲームラベルや装飾の施されていないブランク状態のライダーガシャットをフィーネの左胸に突き刺した。
次の瞬間、フィーネの金色に染まっていた筈の髪が普段と変わらない茶色へと変わり、纏っていた装甲は機能停止したように色を失っていた。
「叔父様…一体なにを?」
「…綺乃君に聞かされた一種の大博打だ。黎斗君の行っていたガシャット製作からアイデアを得たそうだが…」
変身を解除した弦十郎の手には見知らぬ桃色のライダーガシャットが握られていた。
弦十郎はバグルドライバーにガシャットを差し込んでバグのような霧を噴出させた。黎斗は驚きながらも弦十郎の言っていた博打の意味を理解した。
『
「な、なんだ…。なんだ、これは!?」
先程まで戦っていたフィーネは純白のスカプラリオを纏っており、その手には名称の無い真っ白な本を握っていた。
『
檀綺乃の助言を聞いて風鳴弦十郎の覚悟と共に作り出されたミステリーアクションホラーゲーム。数多くの時間を飛び越えて世界の危機を救っていき、世界を平和へと導くゲーム。エンディグはクリアされていないため不明である。