戦姫絶唱、君達は絶版だ。   作:SUN'S

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第25話『平和な世界へと』

檀綺乃はリディアン音楽院の破損した校門を潜り抜け、そのまま校庭へと歩を進めていると櫻井了子に酷似した女と一糸纏わぬ姿の櫻井了子を抱き締める風鳴弦十郎が見えてきた。黎斗達は校庭の瓦礫や崩壊寸前の校舎の外へと生徒や教員を誘導していた。

 

十数分ほど到着に遅れていただけのはずなんだが、終わってしまうと呆気ないモノだな。そんなことを考えていると櫻井了子に酷似した女が詰め寄ってきた。

 

「貴様の、貴様のせいでえぇぇッ!!」

 

左腰に携えていた剣を引き抜いて斬り掛かろうとしてきた櫻井了子に酷似した女をバグルドライバーⅢで吸い取り、未だに目を覚まさない櫻井了子の顔を覗き込みながら心臓が停止していないかを確かめる。

 

…内側にも外側にも損傷は見当たらない。至って健康な肉体だが、眠るように気を失っているのは不自然だな。

 

「弦十郎、目覚めぬ姫を起こす方法を知っているか?」

 

そう言えばリディアン音楽院は女子校だったな。

 

私の問い掛けた、その言葉を聞いて興味深そうに風鳴弦十郎と櫻井了子に数百人の視線が集束されていき、束のようなモノへと変わっている。

 

「叔父様、チューです。櫻井女史とチューです」

 

「オジサン、チャンスだぜ!」

 

「が、頑張って下さい!」

 

「……アタシはさっさと帰りてぇんだよ……」

 

風鳴弦十郎を後押ししようとする四人と今後の恋愛シミュレーション系統の参考になると思ったのか。黎斗は風鳴弦十郎と櫻井了子の光景や動きをメモしようとしている。

 

ちょっとした優しさだ───。

 

風鳴弦十郎と櫻井了子のキスシーンを見ようとしていた生徒や教員、仮面ライダー達に目視出来ないように風鳴弦十郎に向かって「暗黒」のエナジーアイテムを放り投げる。暗がりの中で存分に愛しき女性の唇を堪能すると良い。

 

「「「「ええぇえええぇ!!!?」」」」

 

残念なことに見ることが出来なかった者達は驚きや悔しさを現すように大きな声で叫んでいた。音楽院の生徒とは言えど声を張り上げて叫べば喉を痛める可能性だってあるだろう…。

 

そこまで見たいものだったのか?

 

そんなことを考えていると九条から「GF部活」の世界配信を行う日に四人と緒川慎次を導入するという報告を受けた。

 

ふむ、数ヵ月ほど先になるな。

 

その前に黎斗達にも後押しを加えておくとしよう。

 

「黎斗、お前も覚悟を決めてはどうだ?」

 

「貴女は、私が覚悟を決めていないと?」

 

「ああ、何時まで好意を寄せている女性から視線を反らすつもりだ?」

 

「なんのことですか?」

 

本当にポーカーフェイスを極めようとしているな。だが、お前の後ろで射殺さんばかりに視線を向けている少女達には気を付けた方が良いぞ。下手を打てば刺されるかもしれないからな。

 

 

 

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