セレナは特定のリズムを刻むようにステップを繰り返しており、立花響は口元を隠すように構えた体勢から身体を左右に揺すっていた。
「シィッ!!」
沈黙を掻き消すようにセレナの放った左ジャブは立花響の右の顳顬を掠めたが、立花響は引き戻されるセレナの左手と同時にセレナの懐へと潜り込み。
「ハァッ!!」
折り畳まれた右腕を押し潰すように
立花響とセレナの二人はジリジリと相手への距離を詰めていき、鏡合わせのようにジャブを放ちながらサークルを作るように左右のフックを叩き込んだ。
「「オオォォォォォォォォォォッ!!!」」
二人は上げていた踵をヘリポートにピッタリと押し付け、左右の拳を相手よりも速く叩き込むようにラッシュを打ち込んだ。腹部を打たれれば則頭部を殴り、顔面を殴られれば腹部を殴り潰し、二人はヘリポート中央で殴り合っていた。乱打殴打を重ねる毎、二人から闘志が噴き出していた。
ラッシュの始まりの時と同じようにサークルを作るようにフックを叩き込んだ瞬間、パワーもスピードも同じだった筈なのに立花響の両足がガクガクと鑪を踏むように震えて───否、立花響だけではなかった。
セレナの両足も立花響と同様にガクガクと痙攣したように震えていたのだ。
ガクンッと立花響の身体が前のめりに倒れそうになった瞬間、最後の踏ん張りと言わんばかりにセレナは右拳を見上げようとしていた立花響の左頬に打ち下ろした。
立花響はヘリポートを弾けるように転がり、キーーンという耳鳴りとぐにゃぐにゃと歪んでいる視界の端に叫んでいる天羽奏達が見えた。立花響は朦朧とする意識を気合いで留めつつ、ブルブルと震える拳をヘリポートに叩き付けながら立ち上がる。
「フゥーーッ、フゥーーッ」
立花響は、両の腕を持ち上げると口元を隠すように構えた。セレナは立花響に対して喩え様の無い恐怖を感じていた。
……いや、彼女は知っている。
古来より日本伝統と呼ばれてきたモノノフ達の魂を支えてきたもの。それは不確定な存在だが、実在していると言えるようなシロモノ。
───『大和魂』───
セレナは理解した。理解してしまった。これはゲーム越しの
立花響はガシャットギアデュアル・ガンマを引き抜いてダイアルを正位置に戻し、神槍セイヴァーへと戻した。セレナも同様にガシャットギアデュアルを引き抜いてダイアルを正位置に戻し、ノックアウトファイターへと戻した。
『キメワザ!!!』
二人は震える手を押さえ付け、ガシャットギアデュアルをギアホルダーへと差し込んだ。
『神槍!!』
『ノックアウト!!』
立花響は右拳にエネルギーを集束させ、セレナは左拳にエネルギーを集束させた。
『『クリティカル!!!』』
「「ハアァァァァァァァァッ!!!」」
二人は踏み込みと同時に突き刺すように左右の拳を相手へと叩き付けた。二人の拳はエネルギーエフェクトを迸らせながら衝突した。
ヘリポートにはぶつかり合う衝撃で生まれた亀裂が刻まれていく最中、僅かに超大型豪華客船が波で揺れた。
『スマイト!!!』
ガゴォンッ!!という音と共にセレナは甲板の転落防止用の鉄柵に叩き付けられた。
『渾身の一撃!!!』
キメワザの決まった時の音と共にブザーアラートが超大型豪華客船に鳴り響いていた。