檀綺乃は天羽奏の放ったキメワザを知っていたため驚いていなかったが、アリーヤ・マキシマと老年の女性は顎が外れんばかりに口を開いて驚愕していた。当然と言えば当然の反応だ。
檀綺乃は驚愕している二人の目を盗んでバグルドライバーⅡをソルティ・バグスターへと向けてドライバーの中へとソルティを吸収して二人から飛び退くように離れた。
「アリーヤ・マキシマ。君の野望は潰えた」
「ぐうぅぅっ」
「さあ、君達の持っているライダーガシャットを渡して貰おうか?」
「致し方無いッ!!」
アリーヤ・マキシマはバグルドライバーに酷似したドライバーを自身の胸に押し付け、ドライバー内に充満していたバグスターウィルスを浴びせるように流し込んだ。
「マキシマ、そんなことをすれば!?」
「フフッ、フフフッ、どうかね?最強のバグスターと対峙した感想は?」
アリーヤ・マキシマの姿は仮面ライダークロニクルのラスボスとして考案されていた『ゲムデウス』と瓜二つだった。違うとすれば色が赤いというところだろうか。檀綺乃は老年の女性を抱き上げてゲムデウスから離れるために両開きの扉を蹴破った。
「彼女は…アリーヤは…どうなるんですか?」
「彼女は…仮面ライダー達の手で攻略されなければ助かる見込みは無いに等しい」
「…そんな…」
青ざめる老年の女性を抱えながら甲板に飛び降りて黎斗達の元へと向かう途中、バグスター化した船員達と擦れ違いながらも攻撃へと行動を移すことは出来なかった。
檀綺乃の持つバグルドライバーⅡにはバグスターウィルス切除機能は搭載されていないのだ。切除機能を持つのは黎斗達の使用しているゲーマドライバーだけである。
この騒動に気付いていたのか。黎斗達は防御力の高いレベル1フォームで一塊になっていた。
「黎斗、彼等を!」
「ブウゥゥゥン!!!」
黎斗は奇声と共にバグスター化した船員を殴り飛ばしていき、彼等の体内に充満していたバグスターウィルスを沈静化及び除去した。
「おば様、お怪我は!?」
「私は平気だ。それよりも彼女を頼む」
「「マム!?」」
暁切歌と月読調は老年の女性へと駆け寄っていき、必死に呼び掛けている。彼女は死んでいる訳ではない。ちょっとしたショックで気を失っているだけだ。彼女達を見回すと負傷している者が居る。
立花響、セレナ・カデンツァヴナ・イヴ、マリア・カデンツァヴナ・イヴの三人だ。激しい戦闘を繰り広げていたからな。
「アタシは戦略的撤退を提案する」
「私も撤退には賛成します」
雪音クリスと月読調は撤退することを提案してきた。しかし、この状況では撤退することすら不可能に近いぞ?なにか、窮地を脱する手はないか?