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埠頭に戻った俺達は鬼道と鬼瓦さん、更に影山に呼ばれてやって来ていたらしい響木監督と合流。そして今、瞳子監督が呼んだ救急車に佐久間と源田が運ばれようとしていた
「悪いな、鬼道…久し振りだっていうのに、握手も出来ない」
「構わない」
佐久間の手に自身の手を重ねながら鬼道が言うと、佐久間は鬼道の方を見やると微かに笑いながら告げた
「おかげで目が覚めたよ…でも、嬉しかった。一瞬でも、お前の見ている世界が見えたからな…身体、治ったら…またサッカー、一緒に…やろうぜ…」
「あぁ…待ってる」
鬼道の返事を聞いた後に、救急車に乗せられる佐久間。 そして源田も救急車に乗り、2人の乗った救急車は去っていく。俺達は見えなくなるまで、佐久間と源田の乗った救急車を見つめる事しか出来なかった…
そこでキャラバンへと戻ろうとした際、瞳子監督と響木監督の声が聞こえたのでその場所へと近づいた
「瞳子監督…君は間違っている。監督の仕事は選手を守る事だ。それが、相手チームの選手だったとしても」
「選手の身に起こった事は、全て私が責任を負います」
「だが佐久間と源田はああなった。同じような事が起こらないと約束出来るか?」
「では、他の方法があったとでも言うんですか!?私は勝たなければならないんです、どんな事をしても!これは、そういう戦いのはずです!!」
普段の瞳子監督からは聞かない、感情的な言葉が聞こえる。それに驚きながらも、俺は静かに2人の会話を聞き続ける
「俺は、この戦いは何かを守る為の物だと思っていたのだがな…本当にこれが望んだ結末なのかね?何が君を動かしている?」
「…失礼します」
瞳子監督がこちらに向かってくるのを見て俺はすぐさまみんなの方へと戻ったのだ。
真・帝国学園との試合を終えた俺達雷門中サッカー部は、キャラバンに乗って東京に向かっていた。元々、イプシロンとの試合後に調整の為一旦戻る予定だったのだが、影山の脱走で遅れてしまったのだ
「皆、見えて来たぞ!稲妻町だ!」
古株さんの言葉に、久しぶりの稲妻町の町並みを皆で嬉しげに眺める
「戻って来たなぁ!」
「ああっ!」
「久しぶりっス!」
「なんか懐かしい感じがするでヤンス!」
「何々?皆感動しちゃって?」
「お、あの馬鹿でかい、稲妻の付いた鉄塔はなんだ?」
稲妻町に来たのが初めての塔子さんは皆の反応に少し驚いているようだ。窓から外を眺めていた木暮が鉄塔に気付くと、円堂が木暮に教える
「あれが稲妻町のシンボルなんだ!」
「へぇ~」
少し興味を持ったのか、じっと鉄塔を眺める木暮を見て軽く笑い、円堂は皆に告げた
「イプシロンとの次の試合まで1週間だ!皆!バッチリ調整して、レベルアップしていこうぜ!!」
『おおーっ!』
そうしている間にキャラバンが河川敷を通りかかると、河川敷のグラウンドを見て円堂が急に声を上げた
「古株さん!止めて下さい!!」
円堂の言葉に、古株さんがキャラバンを止める。すると円堂はバスを降りて河川敷を見やる。その直後、雷門サッカー部のジャージを着た白い髪の男がボールを蹴り上げて俺達のいる高さまで跳び上がって姿を現すと、空中で右に回転。足に黒い炎を纏わせてシュートを放った
「ダークトルネード!」
放たれたシュートは、一直線にゴール前に構える男に向かっていって…って、特徴的な頭にあのユニフォームは!?
「杉森!?」
「ロケット拳!」
ゴール前で構えていた男…御影専農中のGKである杉森が、右手を前に突き出して右拳の形をした気の塊が発射し、白髪の男が放ったシュートと激突。暫く拮抗するも、右拳を押し返してシュートが打ち勝った
「ぐうっ!?」
迫るシュートを止めるべく両手で受け止めようとした杉森だったが、シュートの威力に負けて両手を弾かれて体の横をシュートが通過。そのままボールはゴールネットを揺らした。その光景を見て、円堂が目を輝かせる
「今のシュートすげー!」
「あいつ、雷門中のジャージ着てるけど誰だ?」
「杉森と練習してるみたいだけど…」
「杉森!」
風丸と俺が白髪の男について考ている間に円堂がグラウンドに向かって走り出し、次いで風丸と俺もキャラバンを降りて円堂の後を追う。駆け寄りながら円堂が杉森を呼ぶと、杉森と白髪の男がこちらに気付いた
「おぉ、円堂!」
「久しぶりだな!」
「帰って来てたのか」
「あぁ。皆で今、雷門中に戻るところなんだ!」
「そうか」
円堂の話を聞いて、キャラバンを見やる杉森。
「それで、そっちの雷門のジャージを着てる人は?」
「あぁ、こいつの名前は闇野カゲト。皆、シャドウって呼んでいる」
「シャドウ?」
「宜しくな、シャドウ!なぁ、なんでうちのジャージ着てるんだ?」
「雷門の転校生だそうだが…」
『転校生?』
杉森の言葉に3人で入部希望の転校生なんて、一之瀬以外いたかなと首を傾げていると、先程まで黙っていた白髪の男…シャドウが口を開いた
「学校が壊された日にな」
「エイリア学園が来た、あの日か…」
「俺は強い奴が好きだ。だから雷門に来た。ところがお前達はもう、旅立った後だった」
「それは…悪かったな」
「お前達の所為じゃない」
シャドウからしたらせっかく雷門に転校したのに学校は破壊されていて俺達はおらず、1人放置されていたようなものだ。流石に同情してしまうな…
「だから、うちにスカウトしたんだ」
「スカウトって…?」
「対エイリア学園の、バックアップチームだ」
『ええっ!?』
「実はお前達がエイリア学園と戦っていると聞いて、じっとしていられなくなってな。強い奴を集めている所なんだ」
「そうだったのか…」
「日本一になったお前達でも、何度も挑戦しなければ倒せなかった相手なんだろう?噂では、次の敵は更に強いと言うじゃないか。だからな、俺達がバックに控えてるんだと思って、安心して戦ってほしいんだ」
「杉森…」
杉森の言葉に感動したのか、円堂が目を潤ませて喜びの涙を流す。円堂はそれを手で拭うとシャドウに尋ねた
「シャドウ、お前も?」
「あぁ。だが、俺の今のシュートでは宇宙人に勝てない。完成したその時に、チームに加えてもらおう」
「円堂、皆応援している。絶対、負けるなよ!」
「あぁ…ありがとう。ありがとう、杉森!すげー元気もらったぜ!!」
笑みを浮かべて右手を握り合う円堂と杉森。それからキャラバンでの移動を再開し、俺達は雷門中に到着。理事長が新しい雷門の校舎の建設を見守っており、俺達の姿を見てこれまでの戦いを労ってくれた。理事長は瞳子監督とこれからについて話し合うらしく、俺達はつかの間の休息を頂く事となった
自分の家族に顔を見せたい者もおり、一旦解散する事にした俺達。皆がそれぞれ動く中、稲妻町に来るのが始めての者達はというと、木暮は音無さんに何処かに連れていかれ、塔子さんは父である財前総理に色々連絡をするらしい。
そして俺と士郎は円堂の家の元へと向かったのだ。
今回はシャドウと出会うまでです。
次回は大阪へと向かいます