これがヤンデレだという事を僕は知らない   作:Finalブライス

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友希那との帰り道

「....鈴、行くわよ」

一切表情が変わらない人形みたいな少女...彼女は僕の事をバンドの練習に連れて行こうとするために、下駄箱の前で待っていたようだ。

 

いつもなら断る理由もない...いや、断ると後が怖いので一緒にスタジオまで向かうのだが...

「...ごめん。今日は家に帰って勉強しときたくて。埋め合わせはするから....」

 

目を合わせていないし、少し声が震えているかもしれない。けど、きちんと言葉にした。そんな些細な反抗の言葉を口にしただけで僕の体からは汗が出てくる。

 

「そう...そうなの....」

 

声のトーンが少し下がったような気がする。

そう思い、様子を見るために顔を見てみると...

 

「ヒッ」

目に光は無く、少し笑っている...この表情は...

 

「....?どうしたの?」

 

少しずつ..近づいてくる。

 

「あなたは私のお兄ちゃんでしょう?」

「あぁ...」

「妹のお願いが....聞けないの?」

 

確かに...目の前の少女は僕の妹だ。けど、血がつながっていない、形だけの兄弟

 

「分かったよ...行くよ..」

目に光が戻った...いつもの友希那だ。

 

「分かってもらえて良かった...じゃあ行きましょうか」

 

僕は妹の友希那を追いかける。

 

こうやってほぼ毎日友希那の背中を見ている気がする。

 

 

(いつからこうなったんだっけ...)

 

 

最初に僕がこの家に来たのは...両親が死んで、お母さんの妹の家にお世話になる事になって...その時に初めて友希那に会ったんだ。

 

友希那はあまり喋らなかったけど、すごく綺麗で..もしかしたらあれが”一目惚れ”って奴かもしれない。

 

って、本題からズレてしまってるな。ころころ考えがズレるのは僕の悪い癖だ、反省しよう。

 

(あぁ...でも、やっぱりあれが原因だよな..)

 

友希那のお父さんが音楽を辞めた時だ。友希那は音楽をしているお父さんが大好きだったので、凄い落ち込みようだった。

あの時の湊家の雰囲気は異常な程に重く、苦しかった。

 

その時、友希那の近くにいたのは間違いなく僕だっただろう。

お母さんはお父さんを、僕は友希那を支える事をお母さんと話して決めたのだ。

 

お母さんのおかげでお父さんは元に戻った。

 

その一方で友希那は....僕のせいだ。僕が不甲斐ないせいで...友希那は歪んでしまった。

 

同じ部屋で寝て、ずっと一緒にいる。それがあの頃の僕には最善の行動だと思えていた。

 

(皮肉なものだ...あの頃最善だと思っていた行動は最悪の結果を作り出してしまった,,,,友希那は僕に”依存”をしているようなのだ)

 

「鈴、そろそろあなたの誕生日よね?」

「........」

 

(再認識すると事の重大さが分かるな、何とかしないと...)

「....鈴?」

 

(でも....どうすればいいんだ?友希那に酷いことは出来ないし...)

 

必死に考えていると、何かとぶつかった。

 

「あっ、ごめんなさい....って友希那。ごめ...」

 

パァン!

 

ビンタだ、手加減無しの最高の一発..思わず蹲ってしまう。

 

「うっ...痛ぁ。ぶつかったのは謝るよ、ごめん..」

「そう...じゃあ今から鈴に質問をするわ」

 

制服のネクタイを引っ張られる。

 

(...!周りに人は...いないか。良かった..)

 

「さっきまで何を考えていたの?私が止まった事にすら気づかなかったようだけど」

 

(正直に言える訳が無い。適当に嘘をつくべきだな)

 

「いや、今日の夜ご飯はなんだろうなぁ?って考えていたんだよ」

 

男子高校生がこんな事を考えるのはよくあるって前に読んだ小説に書いてあった、これで誤魔化してみよう。

 

「そう....」

友希那はネクタイから手を放す。

 

「ありがと....っっ!」

 

膝を蹴られる、なんで...そう思い顔を見ると...目から光が消えている、それに..怒ってる?

 

「くだらない嘘をついて怒らせないで、正直に言いなさい、最終通告よ」

「嘘なんてついてない、本当だ」

「.....」

 

無言で蹴り続けられる。これくらいなら別に構わない。これで友希那の気がすむなら。

 

「.....」

「友希那..そろそら止めてくれ..」

 

友希那は容赦なく僕の事を蹴る。顔を蹴られると跡ができ、周りからの目が痛くなるのは経験ずみなので顔を庇うために丸まっているのだが...

 

 

バン

「....」

「〜〜〜!」

 

足を踏まれた。友希那の体重はとても軽いのだが、セメントに向かって踏みつけられると....

 

「友希....那、もう....やめよう」

「....」

 

まだ足が動かない...動かそうとすると激痛がはしる。そんな足にトドメを刺すように友希那は足を上げる。

 

「ーー!分かった、言う、言うから止めてくれ!」

「.....」

 

そんな...

 

バァン!

「.....」

「あぁぁぁ!!?!,?」

 

痛い...折れてるんじゃないか?逆に痛すぎて冷静になってきた...ここは言った方がいい。でなきゃ僕の命はないと思う。

 

「...友希那の事を考えてたんだ」

「....」

「本人の前じゃ恥ずかしくて言えなかったんだよ...ごめん」

 

嘘はついていない、友希那の事を考えていたのは本当なんだから。

 

「そう、それなら良かった、何か隠してる事があるようだけど...私の事で隠しているなら許すわ」

「えっ....」

 

(どうしてここまでバレるんだ?友希那に隠し事をするのが最近難しくなっている気がする)

 

「ごめんなさいね、酷いことして。歩けるかしら?」

「少し...いや、かなり足が痛い」

「肩を貸すから頑張って家まで歩きましょう、今日は個人で練習するためにスタジオに向かっていたのだけれども....家で練習する事にしたわ」

 

「友希那。僕に遠慮しなくてもいい、1人で帰るから友希那は練習してきてもいいんだ」

「家で練習する事にしたんだから別に構わないわ、早く行きましょう」

 

友希那に肩を貸してもらって家に戻る。ここまで酷い怪我をしたのは久しぶりかもな...

 

(これは...病院行きかな、折れてるかもしれないし....)

 

「鈴、本当にごめんなさい、やりすぎてしまったわ...」

「いいよ、別に..その代わり.次からは気をつけてくれよ?」

 

こうして僕の一日は終わる、明日から友希那には僕から離れる訓練をしてもらおう。たとえ、それで僕が友希那にいくら蹴られるても、友希那のためなら僕は構わない。それが僕に出来る償いなのだろうから...

 

 

 




1話目はヤンデレがだせてない気がする...ヤンデレ系は初めてです、何か感想をくれるとありがたいです。
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