これがヤンデレだという事を僕は知らない 作:Finalブライス
「骨折...ですね」
昨日の足の怪我があまりにも痛く、病院に行くことにし、その日は夜も遅かったので明日学校の前に行くことにしたのだが...
「どれくらいで治るのかしら?」
「まぁ...普通に歩くのには3週間ぐらいかかるかな?」
友希那まで着いてきてしまった、最初はお母さんについて来てもらうはずだったのだが....きっと友希那が「私が行くわ」なんて言ったんだろうな。
「それにしても...何をしてこんな怪我をしたの?」
「えぇっとそれは....」
正直に言ったら...警察案件かもしれないしな、どうしよう。
「私が寝っ転がっている鈴の足に石を落としてしまったの」
「えっ?石...?」
(友希那..無理があるって、爺ちゃん先生もキョトンとしてるもん)
「漬物の石よ、それを思いっきり落としたの」
「あぁ、漬物の石か...そんな重いものは男が持つべきだねぇ、次からは君が持ってあげるんだよ?」
「へっ?あぁ...はい、すみません」
(えぇぇ、爺ちゃん先生...こんなんで騙されるのかよ..)
「松葉杖を貸すからそれを使ってね、お大事に」
松葉杖...使うの初めてかも....
「ありがとうございました...」
後は会計を済まして、学校へ向かう。
「.....」
「どうした?友希那....っておい!」
松葉杖を奪われ、怪我をした足で立つことになる。なので急いで近くの壁によっかかる。
「痛...!何すんだよ...」
それでも足を壁にぶつけてしまい、鈍い痛みが襲ってくる。
「私が隣にいる時は私を頼りなさい、こんな物よりも鈴を上手に支える事が出来るわ」
そう言って友希那は僕に肩を貸してくれる。
「鈴は身長が低くて助かるわ...」
「いやいや、松葉杖を返してくれたらそれでいいのに....」
全く...変な所で家族思いなんだから...あれ?こっちの道は遠回りなんだけどな..
「友希那、こっちの道は遠回りだぞ?」
「......今日はこっちの方がいいと思っただけよ」
「そっか...」
友希那は何考えてるのか分からない時があるしな...まぁ、きちんと何かしらの意味があるんだと思うけど。
「念の為....忠告するわ」
少し...空気が変わった気がする。この空気..返答を間違えると何をされるか分からない。気を引き締めていこう...
「私以外の人には肩を貸して貰わない事。リサにも、最近鈴を慕っている後輩達にも...」
僕の腕を掴んでいた友希那の手に力が入る。次は腕を折られるのかな...まぁ
そんな所で、次の言葉は絶対に間違えられない、けど...言葉を考える時間なんてない。僕が心の中から思っていることを言おう。
「大丈夫、僕が頼れるのは友希那だけだからね、頼りにしてるよ..友希那」
片手で友希那の頭を優しく叩く、昔からよくやっていたのだが最近は全然していなかった。理由は簡単、叩いた後は友希那に話しかけても無視されるからだ。
「....」
「あっ、ごめん。嫌だったよな?次からは気をつけるよ...」
友希那の歩くペースが速くなる。怪我をした足が引きずられて痛い....
「友希那?!もう少し...ゆっくりで...痛い...痛いからゆっくり歩こう!」
「......」
(これは諦めるしかないな...こうなったら友希那に話しかけても無駄だろうし....)
「鈴、着いた」
「あぁ、ありがとうな友希那」
痛みを我慢していたらいつの間にか学校についていたみたいだ。
「ここからは松葉杖を使って歩いて」
松葉杖を渡される。
「最初から松葉杖の方が良かったな...」
これ使ってたら痛い思いしなかっただろうし...
「何か言ったかしら....?」
頬を引っ張られる。
「ひぇ、なんでないです」
「なら良かったわ、何かあったら私のクラスに来るのよ?2ーB組よ、覚えてる?」
「心配しすぎだよ、じゃあまたね」
今の時間は休み時間、教室から楽しそうな声が聞こえてくる。
「おはよ〜」
教室の扉を開けながら挨拶をする、時間的には少し遅いおはようなのだが。
「鈴!大丈夫なの?!」
「ん...大丈夫っ。て言いたい所だけど...軽い骨折みたいだ、3週間は動かすなだってさ、って!突っつくなよなリサ!」
目の前で僕の足を突ついて遊んでいたのは友希那と僕の昔からの友人、リサだ。
「あはは....ところで何で怪我をしたの?」
「......」
「えっ、なんで黙るの....」
「なんか...石が落ちてきたんだってさ...」
「えっ...それってどう言う意味....?それになんでそんな遠い目してるの...」
「だよな、それが正常な反応だよな...」
爺ちゃん先生と友希那の会話聞いていたら僕が普通じゃないように感じていたのだが、リサのおかげで普通なのは僕だと確認できた。あぁ良かった良かった...さぁて、次の授業のために予習でもしようかな....ぁ
「鈴ーー!」
僕の名前を呼びながらこちらに向かって走ってくる、水色の髪の同級生が見える。幻覚だな、あいつが来たら話が面倒臭い。
「鈴!足大丈夫?」
(本物だ....はぁ...)
「あぁ、大丈夫だよ....」
「なら良かった!それじゃあ、返事をお願いします!」
(子供みたいな笑顔だな...それと、まだ繰り返すのか、何度やっても無駄なのに...)
「ヒナ...またこの会話を繰り返すの?」
リサも僕の気持ちに気づいてカバーに入ってくれる。本当にありがたい。
日菜の明るい笑顔が僅かに曇った気がする。怒り、軽蔑を少し含んでいる様にも捉えられる。友希那が僕を叱る3秒前みたいな雰囲気だ。少し恐ろしいな...
「いくらリサちーでも邪魔は許さないよ、あたしは絶対に諦めないんだから」
日菜の目から光が消えると同時に、自分の背中に汗が出てきている事に気づく。
(友希那に似たこの雰囲気...なんなんだ?!この2人の共通点....)
「これで何回目かな...?覚えてる?鈴」
「....記念すべき15回目だよ」
「うん、正解!やっぱり鈴は るん♪ってくるな〜」
周りは賑やかな話し声ばかりなはずなのだが...まるで今は3人...いや、僕と日菜の2人だけの空間に感じられる。そんな中2人だけの空間で日菜が僕に言う15回も繰り返される言葉とは...
「あたしと付き合って、鈴」
高校生らしい、シンプルな愛の言葉なのだ。
終わりです!次回も1週間以内には投稿します!
皆さんもこれからよろしくお願いします!