誤字報告をしてくださりありがとうございます。
気を付けてはいるつもりなのですが……
これからも、誤字脱字等があるかもしれませんが、よろしくお願いします。
HUNTER×HUNTERの登場キャラは皆大好きです……よ?
走って登って追い越して、再びサトツの斜め後ろのポジションに来る。
それに気づいたサトツは、キナコに一瞬視線を送るがすぐに前を向きなおした
(ふむ。今年の新人は中々面白いですね。まあ、彼女は別枠扱いになりそうですが…)
サトツはキナコの纏を見抜いていた、キナコの使う【纏】からキナコが普通の人生を歩んできている訳でなく、かなりの経験を積んできていることを察していた。
(あの44番とも親し気に話していたところも大変興味がありますが、なにより下手したら私でも勝てないかもしれませんねぇ。)
いい意味でも悪い意味でも要注意人物。
それがサトツが抱いたキナコへの印象であり、それに対してキナコは
(なぜだ、なぜサトツも私を見てくるんだ。さっきまでは、一切眼中にないって感じだったじゃないか。やっぱりあの猫目と関わるのは失敗だったわけだ!)
サトツの視線に気づきながらも、まだ後悔していた。
その後もまだまだ走り続けていた。
(まだ到着どころか、階段すら終わらないとは…これは少し飽きてきたぞ。)
携帯で時間を確認しながらキナコは、ウンザリした表情を浮かべていた。
既に半日、地下道を走り続けていたことには予想外だった。
その時、
「あ、おい!明かりだぞ!
ふぅ、ようやくうす暗い地下からおさらばだぜ」
キナコの後ろを走るハゲ頭の男が指を差す。
その声に反応するようにキナコも顔を上げて、太陽の明かりを目に入れる。
受験者達も、最初に声を上げた男のようにホッとした表情を浮かべていた
サトツが一番に外に出て、キナコが続きその後も受験者達が外に出る。
「うわぁ」
キナコが呆れるような声を出し、その後に続くように外に出てきた者たちも、その景色をみて声にならない声を上げていく。
目の前に広がるのは、広大すぎる森と湿原だった。
「お~!」
「うわ~!」
他の受験者たちとは違い、景色に対し素直に簡単するような声を上げる猫目の少年たち。その少年たちの存在を確認したキナコは少し距離をとった。
「ここは【ヌメーレ湿原】。通称『詐欺師のねぐら』。二次試験場へはここを通っていかねばなりません」
(…泳ぎじゃなくて良かったが、こりゃあ泳ぎよりもハードになりそうだね。)
キナコは話をサトツの話を聞きながら、地平線を見渡すが、建物は一切見えなかった。
「この湿原にしかいない珍奇な動物たち。
その多くが人間をも欺いて食料にしようとする狡猾で貪欲な生き物です。十分に注意して付いて来てください。騙されると死にますよ」
サトツが言葉を言い終わると同時に、背後の出口が閉じていった。
「ああ…ま、待ってくれ…」
出口を目前に倒れたのか、倒れていた男が手を伸ばすが誰も助けない。もちろんシャッターも止まらない。
シャッターは完全に閉じた。
「それでは参ります。騙されることの無いよう、しっかりと付いて来てください。」
「はん!騙されるのがわかってて騙されるわけねぇだろ」
(チャームグラサン(チャームポイントがグラサンのオッサンの略)!雄叫びが聞こえてたが、ちゃんと間に合ったんだな)
受験者の一人が強気に言い返し、それが誰なのかキナコが気付いたときだった
「嘘だ!そいつは嘘をついている!」
「「「「!?」」」」
出口の陰から突如、ボロボロの男が何かを引きずりながら現れる。
そして、男はサトツを指差し言葉をつづける。
「そいつは偽物だ!!試験官は俺だ!俺が本物の試験官だったんだ!!」
オトコの言葉に受験者達がサトツと男を交互に見て、困惑の表情を浮かべていた。
「偽物!?どういうことなんだ!」
「じゃあ、こいつは一体…!?」
グラサンとハゲは完全に困惑している。
キナコは薄く笑みを浮かべていた。
「これをみろ!」
男は引きずっていたモノを受験者に見えるように前に出す。
それはサトツにそっくりな顔をした細身のサルだった。サルの顔を見た受験者達は衝撃を受け、サトツの方に視線を向ける。
視線のあつまるサトツは、涼しい顔をして立っているだけだ。
「こいつはヌメーレ湿原にいる人面猿!こいつは新鮮な人肉を好む。しかし、手足が細く非常に力が弱い。そこで自ら人に扮し、言葉巧みに人間を湿原に連れ込み、他の生き物と連携して獲物を生け捕りにするんだ!」
「ふっ、阿呆らしいな」
キナコは男の話を聞きながら笑っていた。
「やっと見つけたぞ、オジサン。」
「あ、さっきのお姉さん!
キルアがごめんね、俺はゴンって言うんだ。お姉さんの名前は何て言うの?」
いつの間にか後ろに立っていた少年たち。
猫目の少年はキルアと呼ばれ、黒髪を逆立てた少年はゴンと名乗った。
「はあ、私はキナコ。」
キナコは観念したように、小さくため息をつき名前を名乗った。
「何ため息ついてんだよ。よくも逃げやがって、あの後人が多すぎてここまで来るの大変だったんだからな!」
「まあまあ、落ち着いてよ、キルア。
キナコさんは悪くなかったんだし、キナコさんに当たるのは間違ってるよ。」
キルアが不機嫌そうに言い寄ってくるのをゴンが諫めているが、キナコにはキルアの気持ちがよく分かるため、何とも言えない表情を浮かべる。
「それは気持ちがよく分かるが、ゴンの言う通り私に非はなかっただろう?
それに、ゴン。私のことはキナコでいいよ」
「ありがとう!それでキナコはさっきから、あの男の人が話すことに笑ってたけどどっちが本物か分かったの?」
「分かったっていうよりも前提条件がおかしいね。試験官というのは協会から委託されたプロハンターが無償で請け負うモノ。
私たちの目標となる存在が、サル如きに遅れを取るとも思えない。なにより、サルが生きている。自分を襲ってきた相手をわざわざ生かす必要がないからな。」
「え、あのサル生きてるの?」
(あ~そこからだったのか…)
「キルアはもちろん分かってたよね?」
期待するようにキルアの方を見るキナコだったが、当のキルアはキナコと目を合わせることはしなかった。
「まあ、男が自分で言っていたように手足が細いから、キルアでも集団で襲ってきても普通に殺せるんじゃないか?」
キルアはまた不愉快な表情になったその時、トランプが空を切り、男の顔にサクッと数枚突き刺さる。
そのままは男は目を見開き、仰向けに倒れた。
「「「「!!」」」」
キナコはトランプを確認した瞬間、縮こまりヒソカから見えない位置に移動した。
ゴンとキルアは、トランプが投げられたもう一方に目を向ける。
サトツの両手指にはトランプが数枚収まっており、死んだ男同様ヒソカに攻撃されたことが分かる。
「くっく♥ なるほどなるほど♦」
ヒソカはトランプを弄りながら、楽しそうに笑う。
「試験官とは「それはさっき私が説明しました。」♧」
ヒソカの説明に横やりを入れつつ、キナコは両腕を左右に引っ張る。
「ギュエッ!?」
死んだふりをしていた人面猿が起き上がろうとしていたのを見逃す筈もなく、頭と胴体がお別れし、遅れて血飛沫を上げて男の死体の隣で息絶える。
「ん~♥ いいねぇ♦」
「照れます。」
「これからどう「お断りします。」ん~♧ けど、これで決定♠ そっちが本物だね♥」
「ああいうのが、この先も出まくるわけか」
「その通りです。
これから通る場所には更に巧妙な罠を仕掛ける動物もいます。故に私から離れないように、といったのです。」
「……なるほど」
チャームグラサンがゴクリと唾をのんで、他の受験者達もこの先の危険性を理解した。
「そしてもう一つ。次からは如何なる理由があれど、私への攻撃は試験官への反逆と見なし、即失格とします。
よろしいですね?」
「はいはい♥」
ヒソカは肩を諫め、キナコは残念そうに顔を歪める。
サトツは小さく頷いて、クルリと反転する。
「それでは参りましょうか。二次試験会場へ」
その言葉で受験者達の顔が再び引き締まる。
サトツが歩くように走り始め、受験者達もそれに続く。
第一次試験開始から12時間
残り331人