2人目のIS人生   作:ゴリラの天使

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スマホで書くの中々しんどいですね


第2話

この夢はなんなのか?

 

 

 

 

 

最初の映像は空を埋め尽くすほどのミサイルを全て叩き切り、空を舞う夢。

次はIS試験中にトラブルで爆発し炎に飲まれる夢。

次は謎の小柄な少女に自分が連れ去られる夢。

次はISで生身の人間を潰す夢。

次は薄暗い倉庫に眠らされる夢。

次は楽しそうに自分を作る兎耳の人間の夢。

次は…

 

様々な場面の切り替わりが起こりそれが続く。

悲しみ、怒り、喜び、様々な感情が流れ込んでくる。

これは誰の見た景色なのだろうか?誰の記憶なのだろうか?それはわからない、ただその全てに自分の知らない人、自分の知らないISが写っている。

 

ーワタシタチノチシキー

「知識?」

 

知らない声だ、機械音声で始めて聞く声…。

でも、何故か安心できた。この声の主は自分に害をなすものではないとそう理解できた。

 

ーニンゲンノデーター

「人間のデータ?」

ーニンゲンノデータヲアツメテ、ワタシタチハシンカスルー

「進化?」

ーワタシタチハ、インフィニット・ストラトスー

「ISなのか!?」

ーアナタノコトヲ、オシエテー

 

ISには心のようなものがあって操縦者のことを理解しようすると聞いた事があるが、もしかしてそれか?だが、俺はISに触れてまだ数分程度、その程度で起きるのならば空論で終わることはないはずだ。どういう事なのだろうか?

だが、今は答えよう。聞かれたなら答えるのが礼儀だ。

 

「俺は高見沢湊(タカミザワ ミナト)、2人目の男性操縦者だ」

ーミナト……、モットオシエテクダサイ、アナタノコトヲー

「いいぜ、くだらないクソみたいな人生の話でよかったらな」

ーアリガトウー

「そういや、お前の名前は?教えてくれ」

ーナハアリマセン、シイテイウナラ、ウチガネデスー

「あの打鉄か、名前がないってことは専用機じゃないからか。いつか名前が貰えるといいな」

ーマッテマス、アナタニツケテモラエルトキヲー

 

それから俺は打鉄に今までの人生の全てを話した。

俺の忘れたくても忘れられない話を…。

 

 

 

 

「織斑先生、精密検査の結果が出ました。暫く安静にすれば目覚めるはずです」

「ありがとう山田先生、更識!調べはついたか!」

「バッチリですよ織斑先生、これが高見沢君の資料です」

 

何故個人情報を更識家の力を使って調べさせたのか、それには理由がある。

 

「あれを見せられてはな…」

「ええ…」

「身体中の痣…虐待の痕ですね…」

 

服に隠れるようにつけられていた全身の痣が原因だった。

 

「母は女尊男卑に染まり離婚、父はヤサグレ子供に虐待…この子もこの世界の被害者ということか…」

「織斑先生…」

「大丈夫だ山田先生、一々へこたれていられん。向き合っていかなければダメだからな」

 

こうなった責任は私にある。私と束の責任なんだ。あいつはどうでもいいと言うだろう、だから私だけでも手を差し伸べなければならない。

 

ビーーーー

 

「「「!?」」」

 

高見沢の検査機から異常を知らすサイレンが鳴り響いた。あのまま安静なら大丈夫ではなかったのか!

私達は慌てて検査室へ駆け込む。

 

「伊達先生!何があった!」

「急に脳波に乱れが出たと思ったら鼻血に痙攣まで!」

「なんだと!?」

 

脳に負荷でもかかってるのか?こんな急に悪化するなど聞いたことないぞ!

 

「高見沢!しっかりしろ!」

 

高見沢を身体に触れる。

 

ーシンパイシナイデ、チフユー

 

「!?」

 

この声…気のせいではなかったのか…。

 

「織斑先生?」

「…大丈夫だ。すぐに治る」

「そんなはず…えっ?」

 

そこには鼻血の跡以外は正常な高見沢が眠っていた。

 

「起きたら呼んでくれ。調べることが出来た」

「え…?あっはい!わかりました!」

「頼んだぞ山田先生、更識は引き続き調査を頼む」

「わかりました」

 

私は治療室を出て屋上へ向かった。

 

 

 

 

「さて…」

 

屋上へきた私は携帯を取り出しある番号にかけた。

いつもはかからず終わるのだが…。

 

「もすもすひねもす〜!みんなのアイドル篠ノ之束さんだよー!」

 

なんでこういうときはすぐに出るのだろうか…。

 

「いやー久しぶりだねーちーちゃん!」

「だな、聞いたいことがある。ISとの感応現象、ただの量産機に触れただけで起こるものなのか?」

「起こるわけないよー、専用機とは違ってその人に合わせた調整もされてないし多くの人が触れるから思考がごっちゃになってIS側が困惑しちゃうしねー。…でもその口ぶりだとあったの?」

「ああ、2人目の男性操縦者がな」

「…ふーん。じゃああの子の話は本当だったんだね」

「あの子?」

「打鉄だよ、みっくんの持ってる子。コアネットワーク経由で束さんに報告してきたよー」

「そうか、…ん?みっくん?」

「うん、みっくん。ミナトだからみっくん!」

 

明日は隕石でも落ちてくるのではないだろうか…?束が私と箒と一夏以外を認識するとは…。

 

「あの子からの報告みてワクワクしちゃった。いいパートナーを見つけたんだなって、だから束さんも応援しようと思ったの」

「明日は世界の終わりか…」

「ちーちゃん酷くない!?」

「今までのお前を見てたらこう思うだろう」

「あっそうだちーちゃん!みっくんに専用機作ろうと思うんだけどデータ頂戴!」

「このバカ兎がぁぁぁぁぁ!!!」

「はにゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

つい叫んでしまった。だが私は悪くないうん。

 

「み、耳がぁ…束さんのプリティな耳がぁ…」

「お前があいつに興味を持つのもいいが専用機をホイホイ渡すようなことはやめろ!それにあいつは私達の業の被害者だ。おそらく拒絶する」

「虐待だよね」

「そこまで知ってるなら話は早い。この世界の元凶のお前をよくは思っていないだろう、ISのこともどう思っているのか分からん」

「でも、それでもみっくんはこれから狙われることになるよ世界から」

「一夏みたいに後ろ盾があるわけじゃないからな…」

「だから私が専用機を…」

「それはあいつの意見を聞いてからだ。あいつが拒絶すれば無理矢理渡すのも酷だろう」

「わかったよちーちゃん」

「話は終わりだ、またな束」

「うん!バイバイちーちゃん!」

 

通話終了。はぁ、私の苦労は終わりそうになさそうだ。

 

 

 

 

起きたら医療器具に繋がれてベットに寝かされていた。いつもと違う、しっかり柔らかいゆったりできる寝床。

起きたら緑髪と水色髪の女性が話しかけてきた。

緑髪の人は山田真耶、水色髪は更識楯無と言った。

どうやら俺はあの後このIS学園に保護されたらしい。IS学園は一つの国として扱われてるようで日本や他国からの介入はできないから安心していいとのこと。

俺も何故かこのIS学園のこととこの2人について思い出した。勉強した記憶もないのに…。

山田真耶、元日本代表候補生。織斑千冬がいなかったら代表になってたであろう実力者、ただし極度のあがり症。

更識楯無、ロシア代表。対暗部用暗部、更識家の現当主。妹を溺愛しているシスコン。

なんでこんなことを知っているのだろうか?まぁ、俺をどうこうしようとしてないようだからいいか。

その後ブリュンヒルデこと織斑千冬も参加して今後のことについて話された。

 

1.俺はIS学園へ入学することになった。

2.持っている打鉄は専用機として日本に申請するので持っていてよい。

3.家庭の問題があるので入学まで更識家で面倒を見てくれるとのこと、ISに関する勉強も見てくれるそうだ。

 

なんだこのVIP待遇、今までの生活と違い過ぎて泣けてきた。

あのクソ親父と離れられるだけじゃなくまともな暮らしができることに嬉しくて泣いてしまった。

そうしたら山田先生は慌て出すし、更識さんは手を握って安心させてくれるし、織斑先生は頭を撫でて落ち着かせてくるから余計に泣いてしまった。こんな人ばかりならどんなにいいことか。

 

しばらく泣いてそのまま寝るように言われ寝た。

明日から俺の新しい人生が始まるのが楽しみだ。

今までで一番安心して寝れた夜だった。




AGEとのクロスオーバーが頭をよぎりました。

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