2人目のIS人生   作:ゴリラの天使

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すみません
期間があいてすみません。

今回3倍近い文章を書いたのでゆっくり読んで下さい。


第3話

IS学園でお世話になって2日後、これからお世話になる更識家に来ている。

 

「凄いですね、楯無先輩の家」

「まぁね〜♪これでも名のある名家なのよ?」

「嫌ってほどわかってますよ」

 

いやもう次元が違うんだけど…。アパートと名家の豪邸だぞ?雲泥の差がある。

 

「さーて湊君の部屋はここね、必要なものがあったら言って頂戴。すぐ用意するから」

「悪いですよ、そんな」

「遠慮しないでいいーの、家に取りに行くにしても親に会わせる訳にはいかないのよ…。あの痕を見ちゃったらね」

 

世界に2人しかいない人物に危害を加える可能性があるからだそうだ。まぁ荷物もそんなないしお言葉に甘えよう。

 

「じゃあお願いします楯無先輩」

「楯無でいいわよ、これから家族みたいなものなんだしね」

「…楯無さんで」

「まぁいいでしょう」

 

慣れないからまだ呼ぶのに違和感があるからもう少し待ってください。

 

「なら早速で悪いけれど、ISの知識の勉強をしてもらうわよ!虚ちゃーん!」

「お呼びでしょうかお嬢様」

 

するとドアを開けてひとりのメイドが入ってきた。

 

「紹介するわね、彼女は布仏虚。私の従者であり来年でIS学園3年生よ」

「布仏虚と申します。以後お見知り置きを湊様」

「よろしくお願いします。あと様とかは大丈夫ですので」

「承知しました」

 

高校生で従者持ちとはまた別次元の話に思えてきた。

 

「じゃあ私は家の仕事があるから失礼するわね。虚ちゃんあとは任せた!」

「任されました。それとお嬢様…サボらないで下さいね?」

「ギクっ!」

 

駆け出そうとしてた会長が固まる。サボるな。

 

「サボるわけないじゃなーい」

「簪様を見に行くつもりですね?」

「あーいやーそのー」

「はぁ…見に行くのは構いませんが仕事は終わらせて下さい。先に仕事量みてからでお願いします」

「はい…わかりました」

 

そう言って仕事を確認に行く楯無さん、虚さんはできるメイドみたいだ。

 

「簪様って?」

「お嬢様の妹様です、湊さんと同い年で日本の代表候補生でもあります」

「姉はロシア代表、妹は代表候補、2人とも凄い人だ…ですね」

「無理に敬語を使わなくて大丈夫ですよ、私のことも虚で構いません」

「…すみません助かります、話を戻しますけど楯無さんは簪さんのこと好きなんだな」

「ええ…とても大事にしております」

 

そう言った虚さんは何処か悲しそうな目をしていた。

 

「…何かあったんですか?」

「実は…」

 

そこから虚さんは楯無さんと簪さんの事を話してくれた。

なんでも楯無さんから「何もしなくていいそのままでいい」と言われ、それ以降姉妹間に溝ができてしまった事、簪さんも元々内気な性格もあり話ができていない事、今の姉妹間での会話はほとんどなくそれが数年続いてしまっているという。

 

「楯無さんが謝らないと話になりませんね」

「そうなんですけど、お嬢様も簪様のことになると奥手になりまして…」

「無理にでも機会作らないとどうにもならないですよ」

「…お嬢様はそうすると逃げるんですよ…」

「子供かよ…」

 

まぁ正直言うと今の俺には関係ない事だ。もし俺が簪さんの立場だとしていきなり現れた俺があーだこーだ言っても何も聞く耳持たないだろう。これは姉妹の話だからあなたには関係ないとでも言われて終わりだ。

という訳で俺は何もしないそうしよう。

 

「まぁ、部外者の俺がどうこうできないんで今は勉強始めませんか?」

「…そうですね…。かしこまりました、では私についてきて下さい。道具などは揃えてあります」

 

そうして俺は虚さんについて行き勉強を開始した。

 

 

 

 

「有り得ないです…」

 

虚さんがそう呟いて俺の書いたテストの答えをみて固まっている。

虚さんがまずどの程度までの知識ならあるかを確かめるための簡単なテストをしたのだが…、一回目満点、2回目満点、3回目は急に整備関連や技術関連のマニアックなところまで出題されてたが満点をとったら虚さんが固まった。

 

「湊さん、正直に答えて下さい。小さい頃とかに英才教育やISに関する勉強などはしていましたか?」

「いや、全くしてないですが…俺の家庭環境知ってますよね?」

「はい…知ってるからこその確認なのですが…、ここまで知ってるのはおかしい事なんです」

「え?」

「1回目は基本中の基本、一般人でも耳にするような内容でした。2回目はISの基礎、PICや拡張領域、単一仕様能力に第二形態移行などの応用も含めて出題したもの、3回目に関しては整備時の部品の種類、推進力の調整の計算、システム構築の問題まで出したのに湊さんは全問正解、しかも迷った様子もなくスラスラと書いてました。答えを見ながら書いていたと言われたほうが信じれるくらいです」

 

どうやら相当やばい事をしてしまったらしい。

 

「私も3年の授業内容まで勉強してますがここまでではありません」

「そうしたら俺はどうすれば…?」

「少し待っていて下さい。お嬢様に聞いてみます」

 

虚さんはそう言って部屋を出た。

 

「俺…どうしちまったんだ?」

 

ISを起動してから聞いたり耳にしたらするたびに思い出すように湧き上がってくる知識、瞬時に理解して答えが書けた。まるで最初から知っているみたいに…。

 

「やっぱお前の仕業なのか?」

 

首のチョーカーに触れる。

あれから外せなくなった打鉄、どうやっても拒絶して離れないらしい。

 

「少し寝るか」

 

俺はそのまま仮眠に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

「どういう事なのよそれは!!!!」

 

とある情報が入って楯無は声を荒げた。その内容は…

 

「高見澤湊への打鉄弐式の譲渡、及び更識簪の専用機譲渡の先延ばし」

 

 

 

 

「……」

 

私は更識簪、今2人目の男性操縦者の部屋を覗いている。

さっき虚さんに出会って、休憩中なのでお会いになってはいかがでしょうか?と聞かれたのでどんな人かだけ見に来た。のだが…。

 

「寝てる」

 

寝てた。

 

「少しだけなら…」

 

私は確認するために部屋に入って2人目の横に移動した。

顔はこれといって普通、可もなく不可もなくといったところ。私としては別に気にしないけど。

 

「仲良くなれるかな…」

 

1人目…織斑ー夏とは弐式の事があるので仲良くできないと思ってる。彼の専用機か優先されたせいで弐式の開発が止まり、私が開発を引き継いでいる。

こんなことは普通はしないのだが、私はお姉ちゃんに認めて貰うために1人でISを完成させなきゃいけない。

2人目…高見澤湊とは1ヶ月うちで預かるのでどんな人か知っておきたい。もし仲良くなれるなら仲良くなるでそっちの方がいいと思ってる。

 

「あれ?」

 

首のチョーカーが淡く明滅してるのが見えた。確か彼の専用機ということになった打鉄だったはず。

私は少し気になってチョーカーに触れた。

 

 

 

 

思い出した、ここの空間を。

 

「なんで忘れてたんだろうな」

 

俺は頭を掻いてその場に座り込んだ。また前のように打鉄が話しかけてくるだろうと思ったからだ。

 

「え…ここ…どこ…?」

「!?」

 

打鉄ではない女の子の声が聞こえて振り返ると…。

 

「…あ」

 

楯無さんのように水色の髪、内側に跳ねた癖っ毛、つり目にメガネで内気そうな感じの女の子。

 

「君は?」

「えっと…更識簪…です…。あっあの…その…初めまして…」

「あ、あぁ…初めまして。高見澤湊です」

 

一目惚れだった。

簪さんから目が離せない。身体の奥から熱が込み上げてくる。

 

「…私に何か…?」

「ごめん!そんなつもりじゃなくて…!」

 

簪さんは恥ずかしさのあまり目を逸らしてしまった。

とりあえず気を取り直して。

 

「簪さんはなんでここに?」

「高見澤君はここわかるの?」

「湊で大丈夫だ、後名前で呼んでごめん」

「私もそっちの方がいいから大丈夫」

「それならよかった。ここは俺と打鉄の対話空間?みたいなところなんだ」

「ISとの対話空間!?」

「今回で2回目なんだけど、他の人が来るのは知らなかった」

 

簪さんはその場で固まってしまった。

 

「簪さん?」

「すごい…」

「え?」

「すごいよ!ISと対話出来るなんてまるでダブル◯ーの刹◯みたい!あれは機体とはしてないけどそれでもまるでヒーローみたい!すごいよ湊!」

「おっおう…」

 

まるでキャラが変わったように話し出した簪さんに若干押されてしまった。

 

「…あ!…ごめんなさい…私…」

「あー大丈夫だから、ちょっとびっくりしただけだから」

「変だよねこんなの…本当にごめんなさい」

「いや少し驚いただけだからそんな気にしないで」

「……うん」

 

落ち込んでしまった簪さんの肩に手を置きながら落ち着かせる。

 

ータシカニソノヒトトハチガイマスネー

「え?」

「打鉄か」

ーカンザシワハジメマシテデスネー

「私の事知ってるの?」

ーニシキカラキイテイマス、ソシテ、アナタヲヨンダノモ、ニシキノコトニツイテナノデスー

「!!弐式に何かあったの!?」

「弐式?」

「わたしの専用機…、1人目のせいで開発が止まっちゃって…」

「それで凍結状態なのね」

「ううん…私が1人で開発してる…」

「…マジ?簪さんってIS作れる技術持ってるのかすごいな」

「いや…私は…」

ーカンザシワ、タテナシニタイコウシテ、ヒトリデカイハツシテオリマスー

「あ!それは!」

「楯無さんに対抗して?」

「あのそれは…」

ーソレハカンザシガ…ー

「待って!…自分で話すから…」

 

それから簪さんは自分の事を話してくれた。

楯無さんに「無能のままでいなさい」と言われた事、楯無さんが霧纒の淑女を1人で開発したことに対抗して自分も1人で作れば姉に認めて貰えると思い1人で開発してること…。

とりあえず思ったことは、楯無さんがクソ不器用ってことだな。

 

ーソレハチガイマスネー

 

そこに最初に口を出したのは打鉄だった。

 

ータテナシワ、ヒトリデワカイハツシテオリマセンー

「え?」

ーカイハツシタノワ、アクアクリスタルブブンノミ、ソレモテツダワレナガラニヨルモノデスー

「簪さん…大丈夫?」

「うん…大丈夫」

 

今の話を聞いて簪さんはショックを受けてしまったみたいだ。

 

「お姉ちゃんはやっぱり私の事嫌いなんだ」

「それは違うと思う」

「ッ!!貴方に何がわかるの!!」

 

簪さんに睨まれるが気にしないで話を続ける。

 

「ロシアの見栄張りだと思う。印象って大事だから」

「じゃあ!無能って言ったのは!」

「簪さんをそういうのに巻き込まないためだと思う。更識家って政府との関わりもあるんだろ?それに関わらせたくないから突き放すような言い方をしたんじゃないかな?」

「私だって更識の人間だからそのくらいやれる…私が無能だから…」

「無能じゃないだろ?代表候補生になってるし、それも日本でもトップクラスなんだから」

「なんで知ってるの?」

「あー…えーと」

ーミナトワISノコアネットワークノデータヲ、スベテオシエテマス。カンザシノデータモソコニアリマスー

「それじゃあ…」

「…うん、代表候補生って事、アニメ、主にヒーロー物が好きなことを知った。さっき自己紹介したときに」

 

そう言った後簪さんは顔を真っ赤に染めて蹲ってしまった。

 

「変だよね…こんな趣味」

「いいじゃないの?人それぞれでしょ」

「…え?」

「この程度なんとも思わないよ」

「さっき引いてたのは…?」

「急にキャラが変わったからね…」

 

簪さんはまた蹲ってしまった。

 

ーホンダイニモドッテモ?ー

「ああ、いいぜ」

「そういえば弐式の事って!」

 

慌てて我に帰る簪さん。

 

ーニシキガカンザシノモノデワナクナリ、ミナトノモノニナルケイヤクガカワサレマシター

 

簪さんは膝から崩れさってしまった。

 

「弐式は簪さんのものだろ?それにお前は俺から取り外せないんじゃ」

ーニシキノブソウトソウコウヲ、コチラニイショクスルヨテイダソウデス。コノホウホウナラコウカンガデキテシマイマスー

「どうにかして弐式を簪さんのままにする方法は?」

「…湊さん?」

「折角姉の事もわかって歩み出そうとしてる子をほっとけないし、それにな…」

「それに?」

「いや…なんでもない。それより方法は?」

ーニシキノコアヲゴウダツ、ソノゴベツノISトシテカンセイサセ、カンザシサマニジョウトスルコトー

「無謀過ぎないか?」

ーカアサマニキョウリョクヲヨウセイシテイマスー

「母様?」

ータバネサマデスー

「ッ!!協力要請の可否は?」

ーショウニンサレマシタ、ワタシノカイゾウヲスルトモイッテオリマスー

 

何故篠ノ之束が俺に協力するかは知らないがこれならなんとかなるかもしれない。

 

ーデスガコレニハジョウケンガアリマスー

「言ってくれ」

ーソレハ…ー

 

条件はこうだ。

 

俺が女性権利団体の排除を手伝う事。

つまり人を殺せという事、逮捕しても結局はすぐ出てきて変わらないから消すしかないという事。

 

束様のIS開発を手伝う事。

これは何されるかわからない。

 

これだけだった。

もっと言われるかと思っていたがそうでもなかった。だが、これを聞いた簪さんは黙ってなかった。

 

「待って!なんで湊さんがそこまでするんですか!私の問題です!」

「それは…」

 

そう、正直俺にメリットはあまりない。打鉄がそのままになるというだけなのだ。

 

ーミナトガアナタヲスイテイルカラデスー

「え?」

 

この打鉄何を言った?

 

ーカンザシノコトガスキダカラデスヨー

「ええええええ!?!?」

 

簪さんは真っ赤になってへたり込んでしまった。俺は恥ずかしさで目を逸らす。

 

「え!?え!?あの!?その!?えええ!!!」

「…落ち着いて簪さん」

 

落ち着かせようとするが…。

 

「だって…!私たちさっき会ったばかりで…、お互い何も知らなくて…。そのあの…アワワワワワ」

 

むしろ落ち着かないだけだった。

こうなったら仕方ない。

 

「簪さんの事を好きになったのは見た瞬間なんだ、つまり一目惚れ。本当は黙っておくつもりだったんだ。俺は世界からも目をつけられてるし、迷惑かけると思ってたから。だけどこうなったら思いの丈を伝えるよ。…簪さん、俺は貴方の事が好きです。返事は今すぐとは言いません、簪さんの気持ちの整理がついたらその時に教えて下さい」

「…」//////

「簪さん?」

「きゅう〜」バタンッ

「簪さん?!」

 

茹でタコもびっくりの真っ赤に染まって気絶してしまった。

 

「打鉄…人の心をあまり読むんじゃない」

ースミマセンー

「まぁいい、その条件で飲むよ打鉄」

ーリョウカイシマシター

 

その会話の後視界は真っ白に染まった。

 

 

 

 

目覚めた俺は膝の上に何かが乗ってる感覚を覚えた。

膝の上で簪さんが寝ていた。

 

「さてどうするか…」

「ううん…」

 

考える間もなく簪さんは目覚めてしまった。

 

「「あ」」

 

目と目が合いしばらく膠着し…。

 

「あの空間の内容覚えてる?」

「////」コクン

 

真っ赤になりながらうなずく簪さん。

 

「あの話は嘘じゃないし、この気持ちも本物だよ」

「…返事は待って…まだ貴方のことをもっと知ってからにする…」

「それで大丈夫」

 

簪さんは立ち上がり部屋から出て行こうとする。が、出る直前で立ち止まった。

 

「あっ…あの…私の事は簪って呼び捨てでいいから…、私も湊って呼んでいい?」

「勿論、よろしく簪」

「!うん…よろしくお願いします…湊…」////

 

簪は部屋から駆け足で出て行ってしまった。

 

「さて、行きますか」

 

俺は立ち上がり打鉄に送られてきた座標に向かうことにした。

書き置きを残して

 

 

 

 

楯無と虚は湊の部屋に急いでいた。

 

「全く上の連中は何を考えてるのかしら」

「湊様に伝えてその後はどうしますか?」

「とりあえず掛け合うしかないでしょ!何がなんでも簪ちゃんを助けるわよ!」

 

そうして部屋に着き扉を開く。

 

「湊君!少し話いいかし…ら…」

「どうしました?お嬢…さ…ま…」

 

部屋を開けたら、そこに湊はいなかった。

 

「誘拐ですか!?すぐに確認を!」

「待って虚ちゃん!机の上!」

 

机の上には一枚の紙が置かれていた。

 

『楯無さんへ

 

突然居なくなってすみません。これから俺は簪さんの弐式の件をどうにかするためにこれからその為に動きます。

簡単に言うと篠ノ之博士と行動を共にし、暫くそこで仕事をするつもりです。

打鉄に届いたメールで誰にも内容を喋るのはダメだと書かれていたので仕事の詳細は書けません。ですが、弐式は必ずどうにかしますので信じて待っていて下さい。

自分勝手なのは重々承知ですがよろしくお願いします。

 

P.S.

簪さんは霧纒の淑女の開発事情と楯無さんの本心について知りました。

今なら仲直りできるはずです。頑張って下さい。

 

            湊」

 

 

これを見た楯無は…。

 

「なんなのよ全くもう!!!」

 

怒りと嬉しさでごっちゃになっていた。

 

「あははは…」

 

虚は苦笑いしてた。




区切りが分からず書いてたらこんなことに

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