2人目のIS人生   作:ゴリラの天使

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ガンダムブレイカー3を今更買いました。


第6話

クラス対抗戦第一試合、1組VS2組の試合は決着寸前だった。

 

「はあぁぁぁぁぁ!!」

「しまっ…」

 

最初の男性操縦者の織斑一夏が白式の零落白夜を発動させ、中国代表候補生の凰鈴音を今まさに切り裂こうとした瞬間だった。

上空から高出力のビーム砲が降り注ぎ一夏と鈴は慌てて回避を行った。

 

「なんなんだ!?」

 

一夏と鈴は上空を見上げる。

そこには両腕が肥大化した黒色の全身装甲のIS、無人機が4機いた。

 

「一夏、あんたシールドエネルギーはどのくらい残ってる?」

「零落白夜のせいであまり残ってない…」

「ならあんたは撤退しなさい…あのビームを今くらえば下手したら絶対防御を抜いてくるわよ」

「鈴はどうするんだよ!?」

「あたしは回避優先で相手の注意を引く、教師陣が来るまで観客の生徒を守らなきゃ…」

『織斑、凰、聞こえるか?』

 

そこに織斑先生から通信がはいる。

 

『あの正体不明機が攻撃を仕掛けたと同時に学園にハッキングがかけられアリーナ内の全てのロックが掛けられた。観客の避難と教師陣の突入ができない状況だ』

「そんな…」

「マジかよ…」

『…お前達生徒にこんな事を頼むのは教師失格だろう…だが頼む。ハッキングを解除し教師陣の突入まで持ち堪えてくれないか……?』

 

織斑先生の頼み、いつもの威厳たっぷりの態度はなく申し訳なさがヒシヒシと伝わる通信だった。

姉を慕ってる弟と弟の幼馴染、そんな2人にはこの頼みを断るなんて選択肢はなかった。

 

「任せてくれ、千冬姉。やってみせる」

「一夏、あんたは気をつけなさい。フォローしてあげるから、千冬さん任せてください」

『すまない2人とも…』

 

無人機の2機がこっちに降りてくる、1機は観客席に向かおうとしてブルーティアーズを纏ったセシリアに狙撃されて戦闘開始、もう1機はアリーナのピット内に突っ込んでいった。

 

「あっちには千冬姉達が!!」

『今待機中の4組のクラス代表から連絡があった。迎撃するそうだ』

「大丈夫なのか!?4組の人って専用機じゃないんだろ?!」

「4組のクラス代表も代表候補生らしいから信じるしかないわ…今はそれより…こっちの対処よ」

「鈴どうすればいい?」

「普通なら各個撃破が定石なんだけどあんたのSEがね…。相手の武装もあれだけとは限らないし…あたしが前で2機の相手をするから相手の武装を把握しなさい、攻めるならその後よ。いい?ワンミスで落とされるから気をつけなさいよ」

「わかった、鈴こそ気をつけろよ」

「あたしは代表候補生よそう簡単に落ちないわ!」

 

そう言って鈴は2機の無人機に向かっていく、その後ろを付いていくように一夏が向かう。

無人機達との戦いが始まった。

 

 

 

 

医療ポッドから出た俺が最初に見たのは束とクロエが灰色の全身装甲のISを弄っているところだった。手元のコンソールにはグレイゴーストの待機形態のチョーカーが接続してある。

 

「何をしているんだ?」

「グレイゴーストの強化だよ、前々からグレイゴースト自身から強化のお願いがあってねそれを今してるんだ」

「じゃあなんで今なんですか?その様子だと既に完成していたみたいですが…」

「それはね…この子は戦闘用なんだ…」

「戦闘用…」

「そう、既存のISはまだ私の理想のパワードスーツの範疇だった。でもあの無人機は戦闘のことしか考えてないからこっちも本気で対処しなくちゃいけないの、本当は使いたくなかったんだけどね」

 

確かに今のままのグレイだときつい、1体相手にあそこまで消耗したのだから4体だと恐らく負ける、IS学園と共同戦線で勝てるというところだろう。

 

「束様、終わりました」

「ありがとうくーちゃん」

 

インストールが終わったようでクロエが束に報告する。

 

「さぁみっくん!グレイゴーストに乗って、後は細かな調整だけだから!」

 

一旦量子化しグレイを纏う。

そのまま束博士が調整する、グレイも手伝っているようですぐに終わりそうだ。

 

ー湊、勝手に頼んでいたのはすみませんでしたー

「気にするな、いつかは必要だっただろうしな。というか話すの上手くなった?」

ー束様が調整してくれましたー

「流石だな」

 

そんな話をしてると作業も終わり、グレイを一旦解除したのだが…。

 

「どうしました?」

「グレイ?」

「はい」

 

俺の肩に20cmくらいの大きさのISを纏ったような女の子がいた。

灰色髪のロング、黒の軍服のようなものを着込み頭にヘッドギア背中に機械の翼が付いている。

 

「おー!まるで人間みたいだー!」

 

束博士はそう言ってグレイの頭を撫でている。

 

「なんでこうなったんですか?」

「コア2つあるから待機形態もでかくなるかなーって思ってたんだけどね。まさか人間と似たような待機形態になるとは思わなかったよー」

「コアが2つ?」

「うん、2つ」

 

グレイを見るとコクリと頷いている。

 

「…あー」

 

大変な事になった。

 

「そうでもしないとエネルギー足りなくなるからね、さぁ早速IS学園に向けて出撃だ!」

「まだ距離あるよな?どうする気なんだ?」

「それはこの人参ロケットで!」

「湊様を打ち出して」

「弾道ミサイルの如くIS学園に行きます」

「あたまわるい」

 

作戦名人間ミサイル。

 

 

 

 

「山田先生!アリーナのロックはまだ解けないのか!」

「ダメです!全然間に合いません!」

 

あれからハッキングを止めようと試みているが成果は芳しくない、このままではまだ時間がかかるだろう。

 

「クソ!」

 

自分の不甲斐なさに目の前のコンソールを叩く、現場指揮を取らなくてはいけない都合上この場を離れることができず、そのせいで生徒達に時間稼ぎを頼んでしまっている。

モニターには正体不明機と戦う一夏達が映っているが戦況押され気味でこのままでは敗北するのが目に見えている。しかもあれから通信が繋がらなくなってしまっている。

 

「何か手はないのか…」

 

そんな時だった。

 

『IS学園、聞こえますか』

 

男の声で通信が入った。

 

『20秒後アリーナのシールドを一瞬解除して下さい、戦線に加わります』

「誰ですか?!何故通信ができるんですか?!」

『頼みます』

 

その言葉を最後に通信が切れてしまった。

 

「山田先生20秒後アリーナのシールドを一瞬解除、その後すぐに再展開だ」

「いいんですか??!!誰かもわからないんですよ?!」

「私が責任をとる、それにおそらくやつは山田先生も知っている人物だ」

「私も知ってる…まさか!?」

「ああ…」

 

頼むぞ、グレイゴースト…いや高見沢。

 

 

 

 

「たあぁぁぁ!!!」

 

打鉄のブレードで正体不明機に斬りかかる。だけど身体を捻って難なく避けられてしまい腕で叩かれ壁に衝突してしまう。

 

「あぐっ……」

 

更に腕の殴打の追撃でアリーナとピットの間まで吹っ飛ばされてしまった。

 

「この!!」

 

倒れたままライフルを展開して攻撃、だけどダメージが入ってる様子はない。

おそらく今の打鉄じゃ倒せない、追加パッケージの大火力があれば倒せるかもしれないけど…。

 

「時間稼ぎをしなくちゃ」

 

教師陣が来るまでの時間を稼がなくてはいけない。いつ来るかわからないけれど…。

正体不明機が両腕を上げてこちらに照準を向けてきた、やばい。

アリーナとピットの間なので横幅が狭い、つまり…。

 

「っ!!」

 

私は咄嗟に後ろに逃げた、けどあと1歩遅かった。

 

「きぁあああぁぁぁぁ!!!」

 

背中をビームが焼く、私はそのままアリーナに落下してしまう。

アリーナには織斑一夏と凰鈴音とセシリア・オルコットが同様に落とされて倒れていた。

私が相手していた正体不明機が降りてくる、立ち上がってブレードを構えて最後の抵抗を試みるが数は4機しかもほぼ健在、勝ち目や時間稼ぎも出来る状況ではなかった…。

 

「湊…」

 

もう一度でいいから会いたかった。時間が少なすぎる。返事もしてない…。

正体不明機がビーム砲を向けてくる。

 

「助けて…湊…!!」

 

その時アリーナのシールドが一瞬解除されそれと同時に何かがアリーナ内に侵入してきて正体不明機4機にビームによる攻撃をした。正確に腕を狙って。

そしてそれは私の前に降りてきた。灰色の全身装甲、右手にさっきのビーム攻撃であろうロングライフル、右腰にコンバットナイフ、背中には大型のビーム砲を装備したISでした。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「無事か!簪!」

 

その声は私が今、最も聞きたかった声でした。

 

「湊…!」

「すぐ片付ける、待っててくれ」

 

そう言って目の前の正体不明機に向かって圧倒的な加速力で迫っていく。

やっぱり私にとってのヒーローでした。

 

 

 

 

「ぶっ潰す」

 

まずは近くにいた無人機Aにロングライフルを撃つ、相手はビームを撃ってくるが全て最低限身体を動かして回避、こっちの攻撃は全て当てる。

新しくなったグレイはとても扱いやすい戦闘用というだけある。

連続で攻撃を当てよろけたところに瞬間加速で一気に近づき右手に前のグレイでも使ってた大剣を呼び出し首付近に突き刺す、引き抜きバックパックのブラスターを一つ左脇の下から通して展開、2発放ち無人機を爆散させる。

威力がヤバいなあの防御力のうえからぶち抜くか、あとで束博士にお礼を言っておこう。

 

「次!」

 

後方からのビームを回避しつつ無人機Bに近づく無論個別瞬間加速で不規則に曲がりながらでだ。

コンバットナイフを引き抜き、右の大剣と左のナイフで縦横無尽に切り刻む、無人機CDがこっちにビームを放ってくるが無人機Bを蹴っ飛ばして盾にする。更に後ろから背面ブラスター2門を脇下から通して展開こっちも無人機Bを狙う、無人機Bはビームの本流に耐え切れず爆散、俺は爆煙に突っ込み無人機Cに不意打ちを仕掛ける。

無人機Cは右腕を振り下ろして迎撃してくるが大剣で受け流してその勢いを利用して回転、勢いに乗せたまま大剣を振り下ろし右腕を切断する。そのまま切り返し首を切り落とす。首の断面に剣を突き立て内部のコアを破壊する。

残りは無人機Dだけとなった。

 

「ラスト」

 

無人機Dを倒そうとしたら無人機Dはアリーナ内に倒れている簪達にビーム砲を向けた。

 

「ふざけんなぁ!!」

 

簪達の前に割り込みビームを防ぐために大剣を盾にして誘爆を防ぐために後ろのブラスターもパージする。

無人機Dは最大出力でビームを放った。

 

「がああああああ!!」

「湊!!」

 

大剣はすぐに融解し腕の装甲も融解を始める、グレイからもアラートが鳴り止まずSEがゴリゴリ削られていく。

ビーム砲の砲撃が終わりそこにいたのは両腕が焼けただれ頭部のパーツは吹き飛び顔が露出、そのほかも全身ズタボロのグレイゴーストがいた。

無人機Dも高出力で撃ったため腕からはスパークが発生しゆっくりとこちらに歩いてくるのがやっとの状態だった。

 

(マッズい)

 

身体が動かない、搭乗者保護機能で痛みは和らいでいるとしてもおそらく神経がやられてるのが腕が動かない、バックパックのスラスターも誘爆しておりPICを使ってギリギリ浮ける程度しか出来ないだろう。

やがて無人機Dが目の前まで接近し腕を振り上げる、どうにかして動こうとするが身体が言うことを聞かない。

 

(ごめん、簪)

 

目を閉じて諦めた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつまで経っても痛みが来ない?

 

 

 

目を開けると目の前には白いISと赤いISに両腕を抑えられている無人機Dだった。

 

「大丈夫か!?」

「あとはあたし達に任せなさい!!」

 

データ照合、織斑一夏と凰鈴音か、後方にはスナイパーライフルを構えたブルーティアーズ、セシリア・オルコットとパージしたブラスター1門を拾って構えている簪がいた。今できる最適な行動は…。

 

「そいつは無人機だ、思い切りやれ!!」

「それなら!」

「遠慮はいらないわね!!」

 

一夏と鈴は背負い投げの要領でセシリアと簪さんに向けて投げる。

 

「狙い撃ちですわ!!」

「これで!!」

「衝撃砲も持っていきなさい!!」

 

3人の砲撃が全て当たり無人機Dは木っ端微塵に爆発した。

簪がブラスターを置いてこっちに飛んでくる。

 

「よかった…」

 

そう言っているがさっきの叫びで力を使い果たしたのか俺は前のめりに倒れた。

 

 

 

 

「湊!!」

 

私は慌てて湊の身体を支える。

 

「湊!!湊!!お願い返事して!!」

「大丈夫よ更識さん、呼吸はしてる気絶してるだけみたいだから安静にしてあげましょ」

「本当…?」

「そのようです、呼吸の乱れもあまりありませんし搭乗者保護機能でなんとかなっているようですわ」

「俺、千冬姉を呼んでくるよ!」

 

3人とも湊を心配してくれている、織斑君については織斑先生を呼びに行ってくれた。

 

「なんで…みんな…」

「なんでってこいつはあたし達を助けてくれたでしょ?こんなにボロボロになってまでね」

「助けるのは当然ですわ、貴族としてではなく人としてですわ」

「ありがとう…」

 

私は湊を抱きしめて織斑先生の到着を待った。

 

その後湊は医療班に運ばれてこの事件に関して後日改めて事情聴取するとして幕を閉じた。


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