仮題名『ラクガキ王国 ― Delete』   作:蜜柑ブタ

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前々に活動報告で書いた、ラクガキ王国ネタです。



オリ主は、ラクガキ王国で空気なプレイヤー位置です。


原作ではプレイヤーは喋れないけど、ここではガンガン喋ってます。


プロローグ  目覚め

 

 創色紀。

 それは、人々の間で語られる世界の始まりの物語。

 

 

 色のなかった世界に、神が四つの色を付け。

 その色は、海と風と大地と太陽になった。

 その世界に、神は二つのカタチを描いた。

 ひとつは、心を自由に持つ人と。

 体を自由に持つラクガキになった。

 人はラクガキを生み出し、ラクガキは色を生んだ。

 そうして世界は、さらに多くの色に恵まれた。

 やがて、人の中に王が生まれ、より多くの色を得るためにラクガキを支配した。

 そこでラクガキを治めていたラクガキの王は、人から逃れるために世界を生み出した神と契約した。

 『神よ、貧しい心を持つ人間には、私達を生み出すことができないようにしてください。願いが叶うのなら、私の身と、私が治める色を、あなたに捧げます。』

 やがてラクガキは、豊かな心の元にしか現れなくなったので、人の王に支配されなくなったが…。

 世界からラクガキの王と、色の半分は無くなったしまった。

 こうして、世界は人の王が治めることになったが。

 やがて人は、人を支配するようなった。

 

 

 

 しかし、人々は知らない。

 その伝承の中に、忘れられてしまった存在がいたことを。

 その存在が、世界の命運を握っていることを。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

『……起きなさい。』

「………ふがっ?」

 不思議な響きを持つ、女性のような声が聞こえた。

 目を開けると、そこは、見たこともない場所だった。

 青と白、緑、茶色。“彼”にとって眩しい色が溢れていた。

『…そのペンジェルを使って、自由に形を描いてみなさい。』

 “黒い”……、小さな天使のような筆のような物が目の前に来た。

 言われるまま、そのペンジェルという物を手に取り、中空に適当に丸を描いた。

 その丸は、赤い形となって飛び跳ね、薄い緑と濃い緑の草むらを飛び跳ねまわった。

 自由に飛び跳ねる丸い形は、やがてハコイヌという箱みたいな形の犬の上を踏んでしまい、ハコイヌに追いかけられた。

 それをジッと見ていたら、丸い形とハコイヌが、誰かの足元に行き、その誰かは戸惑っていた。

 やがて逃げ回っていた丸い形は、海の方へ飛んでいってしまった。

 それを追いかけて誰かが…、いや少女が走って丸い形を掴もうと手を伸ばし、飛び出した。

 丸い形は少女の手に収まり、海に落ちずにすんだが、バランスを崩した少女は、丸い形を陸地に投げて代わりに海に落ちてしまった。

 しばらくして、ビショビショに濡れた少女が、サンダルを両手に持った状態で戻ってきた。

 眉間に眉を寄せた怒った顔をした少女が、“彼”に向かってサンダルの一つを投げつけた。“彼”は、顔にもろにサンダルを受けてしまい倒れた。

「イテー!」

 少女は、悶絶する“彼”を無視してずっと吠えているハコイヌの方を睨み、もう片方のサンダルを投げつけ。

 それから。

「ウガー!」

 っと、吠え、臆したハコイヌは、どこかへ走り去ってしまった。

「あんたのラクガキでしょ。だったら自分で守りなさい。」

 濡れた髪の毛を振り水を飛ばした少女は、そう怒り、横を見た。

「らくがき?」

 そちらを見ると、あの丸い形は、どこかへ飛び跳ねて去ってしまっていた。

「ほら見なさい。あんたみたいなクロッカーには、愛想が尽きたってよ。」

 っということらしい。

「…くろっかー?」

 “彼”は、そう呟いた。

「あんたどこから来たの? 町の子じゃないみたいだけど…。」

 少女は不思議そうにこちらを見ていた。

 すると、どこからか男の子が泣く声が聞こえた。

 黄色い髪の毛の、大きなリュックを背負った男の子が泣きながら走ってきた。

「ウェ~~~ン。ヒバナ~~~。」

「タロー。何それ。アハハハ。」

 見ると、リュックから出ている何かにハコイヌが噛みついていた。

 ヒバナという少女に笑われ、タローという少年はますます泣いた。

 だがタローの周りに、黒いペンジェルがゆっくりと飛び回ると、タローは、ピクリッと反応し、泣き止んだ。

「あっ、ペンジェルだ。あれ? …でも…。」

「それ、あんたのペンジェルなの?」

「あー…、うん。たぶん。」

「なによ。ハッキリしなさいよね。」

「よく分からなくて…。」

「どういうこと?」

「…覚えてない。」

「えっ?」

 “彼”は、ようやく、自分自身が何者であるか。そしてどこから来たのかを覚えていないことを思い出した。

「名前も覚えてないわけ?」

「…デリト。」

「えっ?」

「デリト。それが名前だ。」

「ふーん。変な名前。」

「そうか?」

 “彼”、改め、デリトは、頭をかいた。

「真っ黒いペンジェルなんて聞いたことも見たこともないわよ。でも、ペンジェル持ってるってことは、帝国の人間じゃないってことよね。」

「ていこく?」

「町で偉そうにしてる連中よ。」

「まち?」

「あんた、ほんと何も知らないのね。」

「悪かったな。」

「その黒いペンジェルで、ちゃんとラクガキできるの?」

「さあ?」

「じゃあ、あたしのノート貸してあげるから、描いてみたら?」

「いいのか?」

「いいわよ。これくらい。」

 デリトは、ヒバナからラクガキノートを借り、そこに今描ける範囲でラクガキを描いた。

「変なの。」

「悪かったな。」

 笑われてデリトは、そっぷを向いた。

「そうだわ!」

「はっ?」

 ヒバナは、何か思いついたように顔を輝かせた。

「ギャラリーに行きましょう! 出場するにはあんたが必要なの。来て。」

「はっ? えっ?」

「待ってよー。」

 ヒバナとタローが足早にどこかへ行ってしまった。

 仕方なくデリトは、二人を追いかけた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 横に木々が並ぶ道を進んでいくと、町に出た。

 あちこちから、人の声が聞こえる。色んな音が聞こえる、匂いがする。

 ヒバナとタローを探して進んでいくと、二人を見つけた。デリトが来るのを待っていたらしい。

「大会に出るにはあんたが必要なの。こっちよ。」

 ヒバナは、そう言ってまた走って行ってしまった。タローもそれに続いた。

「あっ。新しいお友達?」

 道の横にいた小さな女の子がそう言った。

「ともだち…?」

「ほら、早く!」

 ヒバナに急かされ、デリトは渋々追いかけた。

「ちょっと、ミソラばあのところに寄るわ。」

 そう言ってまた走って行った先にある店のような場所にヒバナは行った。

 そこで石のような色のついた物を置き、あとでゴールドを取りに行くからと言い残してまた別の方向へ走って行ってしまった。

 その時。

『………いない……。』

「!」

 見上げると、そこには大きな塔のようなものがあった。声はそこから聞こえているようだった。

 低く、不気味な、男のような声だった。

『………王など…、……ない。』

「?」

『ラクガキの王など、……いない!』

「らくがきの、王…。」

 その言葉を聞くと、酷く懐かしく感じた。

「何やってんの!」

 ヒバナの声でデリトは、我に返り、ヒバナ達を追いかけた。

 デリトが追いかけて行くと、大きな門のようなものの左右に二人の兵士が立っていて、ヒバナとタローが兵士の一人に話しかけていた。

「だから、あいつが持ってるって言ってるでしょ!」

「何度言われてもペンジェル無しでは通せません。規則ですから。」

 そんな会話が聞こえた。

 デリトが近づき、彼の黒いペンジェルが彼らの周りを飛ぶ。

「これで文句ないでしょ?」

「……どうぞ。」

 どこか不満げに兵士は通行を許可した。

「ほら、急いで。出場するのはあんたなんだから!」

「はあ!?」

 なぜか話がおかしい方向に行っていることに気付いたデリトは素っ頓狂な声を上げたが、ヒバナはそれを無視してタローと共に先に進んでしまった。

「ああ、もう!」

 デリトは、もうやけくそだと言わんばかりに叫んで後を追いかけた。

 やがて大きな建物に辿り着き、ぽっかりと開いた出入口に入って行くと、その先に木の門があり、その横に一人兵士が立っていた。

「現在、ギャラリーでは、帝国ラクガキ大会予選を行っている。要件は?」

「ヒバナ達先に行ったか…。ま、いいや、大会に出るから入れて。」

「出場者か。開門する。」

 兵士がそう言うと、門が開いた。デリトは、その先に行った。

 

 

 




よく考えたら、出会ったばかりの人間に大会に出場するから着いて来いって……、ヒバナ…。



次回は、頑張って書いたラクガキファイト。
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