ラクガキを描くためには、カラー石が必要だ。
カラー石を得るには、ラクガキファイトをしてラクガキにカラー石を作ってもらうしかない。
また、カラー石は、帝国が発行している銀行券(お金のこと)と交換ができ、物を売り買いするのに必要でそれで社会が回っているらしい。
ヒバナから教わったことだ。
「じゃあ、ペンジェルがない奴はどうすんだよ?」
「それは…、別に働いたりしてお金を稼ぐとかするわよ。」
「ふーん。」
「まっ、私達は町の人にペンジェルを借りて、それでラクガキ描いてるの。それで生活費稼いでるわけ。」
「そうだろうな。ガキが働けるわけねーもんな。」
「ガキって言うな。あんただってそんな歳変わんないじゃない。」
「覚えてねー。」
デリトは、耳を指でかっぽじりながらとぼけた。
「喧嘩しないで。」
「別に喧嘩なんかしてない。」
「コイツが口悪いのよ。」
心配するタローに、デリトはヒバナを、ヒバナは、デリトを指さしあった。
「ねえ、デリト。次の予選大会じゃ、2対2だけど、新しいラクガキ描くの?」
「カラー石が足りねぇ。」
「じゃあ、海ギャラリーに行こうよ。あそこなら、税金が安いし、色んな人達がファイトしてるよ。」
「そうか。どこにあるんだ?」
「そこの階段を降りたところだよ。
「案内してあげようか?」
「じゃあ、頼む。」
タローとヒバナの案内で、空き地の近くの階段から海ギャラリーへ向かった。
フリーバトルが毎日開催されており、誰と当たるかはランダムだ。
基本的にここでラクガキファイトをして、カラー石を稼ぐのが普通なようだ。
「町の人に、ファイトを申し込んでここで戦うことも出来るわよ。でも、相手にも予定とかあるから応じてくれないときもあるけどね。」
「ふーん。」
「デリト、順番来たよ。」
「おう。」
デリトの順番が来て、フリーバトルに参加している子供と戦いが始まった。
子供だから攻撃が読みやすく、順調に勝ち抜く。
そうやってカラー石を稼ぐ。
税金として憲兵にカラー石を持って行かれるが、予選会場での取られ方に比べれば少ないものだ。
だが、それでもカラー石を取られることには、皆あまり良い感情を持っていないらしい。
「憲兵って嫌われてんのな。」
「うん…。だってみんなに偉そうにしてる悪い奴らだもん。」
「税金さえ無ければもっとたくさんカラー石取れるのに…。」
「……人ってめんどくせぇな。」
ーーーー面倒くさいのに、そこまで人に拘るのか、お前は?
「……?」
自分が呟いた言葉に、脳裏を知らない言葉が過ぎりデリトは、頭を抑えた。
ーーーー神が作った二つの形のひとつだからさ。君は……、人が嫌いかい?
「…っ!」
「デリト?」
「ああ!」
「タロー?」
ギャラリーの試合ステージでキラキラと輝いていたカラー石が3分の1ほど、突如ひび割れ、砕け散って消えた。
「カラー石が!」
「なに? なにが起こったの!?」
だが、デリトはそれどころではなく、頭を抱えて、膝をついた。
ステージに出ていたデリトのラクガキが、黒い闇のような物を纏っているように見えた。
「…うぅ!」
「デリト! だいじょうぶ?」
「…だ、だいじょうぶだ。」
やがて頭痛が治まり、デリトが顔を上げると、ラクガキから黒い闇が消えた。
試合を見守っていた憲兵も先ほどの現象に驚いており、戸惑っている様子だった。
「ねえ、何がなんだか分からないけど、カラー石が無くなったから、税金安くしてよね。」
「……仕方ないな。」
海ギャラリーの憲兵は、そう言ってくれた。
「一旦、空き地に戻りましょう。休んだ方が良いわ。」
「だいじょうぶだって。」
「顔色悪いわよ。肩貸してあげるから、立って。だいじょうぶだから、ギャラリーは逃げないわ。」
「そうだよ。」
二人に心配され、デリトは、仕方なくヒバナの肩を借りて、立ち上がり、階段を登って空き地の大きな木の下に座った。
穏やかな潮風と、木陰の涼しさがちょうどよく、デリトは、そのまま横になった。
「それにしても…、あんたのラクガキ…ちょっと変だったわね。なんか、黒い物が…。」
「ああ…、そうだな。この黒いペンジェルのせいか?」
「それは分からないけど。ねえ、本当に名前以外覚えてないの?」
「覚えてねぇ。本当だ。」
「そう…。」
「お水持って来たよ。」
「あんがとな、タロー。」
タローが持って来た水を貰い、それを飲んでデリトは一息ついた。
その後、しばらく休み、稼いだカラー石を使ってラクガキを描いた。
次回は、デンカと戦うけど、パパッと終わる予定。
あくまでストーリー重視で行こうと思うので、ファイトとかラクガキは二の次です。