ジェネシス ~陸奥の冒険~   作:雷電Ⅱ

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今回の秋イベントは後半がきついですね
甲では早速、心が折れそうでした

……それでも、クリアする猛者もいますから驚きです
秋霜、出てくれるかな?


それはそうと、これから語る物語は深海棲艦誕生秘話です
誰かによって創られたという形式ですが、果たして?


第4章 人類共通の敵
第17話 深海棲艦黙示録


東南アジアのある国

 

 怜人と陸奥達がリンフォンを手にして新たな研究騒動をしている時、石塚とリリは海外勤務に付いていた。とは言っても、石塚美恵子はのんびりと研究するつもりである。彼女の分野はコンピュータのプログラミングや人工知能などのIT関連の専門であった。そのため、G元素が自身が開発したアンドロイドであるリリにも使えるかと思い、妹の夫である柳田怜人に尋ねたのだ

 

 彼の研究とG元素解析のお陰で素晴らしい成果を出したが、死者蘇生の実験や人工生命体の生成に手を出したため、彼女は手を引いた

 

 同僚から聞いた話ではあるが、陸奥と呼ばれる女性と過ごしているらしい。どうなるのかは気になるが、自分達の事が精一杯だ

 

 

 

 2人(1人と1体?)はある施設で、働いていた。時間は昼時なので厨房で料理をしていた

 

「リリ、解凍まだ?」

 

「少々お待ちください……作業完了まで後10秒です」

 

アンドロイドであるリリは、自分自身の手を変形させ、電熱器に似た装置に変換すると冷凍されていた魚を解凍していた。アンドロイドであるリリの性能の凄さを見ていた子供達は目を見開いていた

 

「凄い!」

 

「どうなってるの!?」

 

「いいなぁー」

 

 子供達は騒いでいたが、どれも外国語である。言語も現地の言葉もあれば、英語、中国語と入り乱れている

 

ここは三浦会社が支援している孤児院である

 

なぜ、彼女達はここにいるのか? 

 

 

 

数週間前

 

「博士、ここは?」

 

「ここは、私が学生時代の時に働いた事があった孤児院よ。暫くの間、ここで働くことになったの」

 

 艦娘である陸奥と怜人達と別れた彼女達は、三浦会社が保有する海外のある孤児院へ向かった

 

 

 

 その国は紛争が絶えず、終わった後も未だに爪痕が残っていた。いや、まだ武装勢力と国軍のいざこざが続いていた。日本も海外派遣の時にこの孤児院は、造られた。石塚も学生時代にボランティアとして自衛官と共に活動してきた。しかし、何時までも自衛隊が海外に留まる訳には行かない

 

 孤児院の運営は、三浦会社が引き受け、戦争で親を亡くした子供達を受け入れて来た

 

 三浦会社は、この国に投資をしているが、何をやっているかなんて石塚は興味なかった。恐らく、地下資源採掘のためだろう

 

 しかし、理想だけでは何も出来ないのも事実なので、そういった事はあまり気にしなかった。それに、三浦会社は某国の政府や現地民と交流を重ねて来たので、悪事を働いてはいなさそうだ

 

 リリは石塚から説明を受けていた。人間なら頷くが、リリはロボットなので黙るだけである

 

「リリ……本来はある計画のために造られたけれど、色々あって白紙になってしまって……」

 

 石塚はため息をつきながら答えた。ある計画とは人工知能を発達させ、ロボットを人と同じように自立させるためである

 

 本来は、過酷な環境対応や宇宙活動などのために造ったが、コストがかかりすぎたためにプロジェクトは凍結になった事。更にはリリのボディの設計に関わっていた柳田怜人が暴走してしまったために、二人の間で亀裂が出来てしまった事だ

 

「柳田さんも陸奥さんもここに来たら良かったと思っています」

 

「あの人は放っておいて……妹を悲しむのはいいけど、あんな事をして……」

 

石塚は首を微かに振りながらリリに説明をした

 

「兎に角、貴方のボディは従来の二足歩行ロボットが使用している金属やワイヤーなどではないの。自身を構成している原子を意図的に操作──つまり、自在にボディを変形させて限定的ではあるものの様々な機能を発現出来る」

 

 つまり、リリはSFのロボット漫画のように自在に変形が出来る。例えば、自身の手をドライヤーや鉛筆削りのように変形出来る。尤も、何でも出来る訳でもなく、大型機械は無理である。しかし、多額の費用をかけてここまで出来たのだ。当然、三浦社長はこんなロボットは売れるわけがないと凍結されてしまった。自在に変形出来る性能のデータは提出するよう言われたが

 

「それが使えるのは、貴方自身にある『考える力』が必要なの。あなたは『命令』ではなく、自らの『意志』で活動や進化していく」

 

「そんな事をして石塚博士は怖くないのですか? 人工知能の発達は欧米ではフランケンシュタイン・コンプレックスとして恐れられています」

 

 フランケンシュタイン・コンプレックスとは、人間がロボットに支配されるのではないか? という心理である。人類は創造へのあこがれと、被創造物によって人間が滅ぼされるのではないかという恐れを抱いているのである

 

 ただ、これは主に一神教のキリスト教的道徳観があると言われ、そうでない地域や国ではそういった考えはほとんどない

 

「昔はそうだったけど、今は違うわ。海外でも、人工知能*1の研究は進んでいる。受け取り方は人それぞれよ。人工知能は悪ではないわ。それに、私は人類のためにその能力を使って欲しいの」

 

 石塚はふと、艦娘である陸奥を思い出した。彼の話では、生まれた時から大人の姿だったという。彼の研究成果なのか? それとも、G元素で創った賢者の石の力なのか? 

 

「了解しました。しかし、博士……柳田さんが創った艦娘はなぜ、容姿が素晴らしいのですか? フランケンシュタインの怪物では──」

 

「さあ……」

 

 リリの疑問に石塚は答えるのに困った。こういう場合、こういう展開では、お約束として醜い生き物となって暴れるか、強大な力を使って人類征服するかというものだ

 

しかし、現実は違った。創作のように怪物ではなかった

 

「兎に角、どんな形であれ陸奥は、立派に成長している。だから、人工知能も出来るはずよ」

 

 

 

 石塚は、ここに来る日にリリとのやり取りを思い出していた。今のところは上手くいっている。リリも食事を作るのが上手く、子供達には大人気だった

 

「リリも一緒に食べよう!」

 

「わ、私は食べる必要はありません!」

 

 食事を配るリリと抱きつく少女を眺めながら石塚は微笑んでいた。ロボットが人間のように話せる。幼い頃、ロボットアニメを見ていた彼女は、創ってみたいという微かな憧れを持っていた

 

今はこんな事が実現しようとは思わなかった

 

 ふと、電話が鳴った。石塚はリリと子供達が楽しく会話しているのを後に電話に出た

 

「石塚です。──はい、分かりました。すぐに向かいます」

 

 実は石塚とリリが海外の孤児院にいる理由は、近くに進出していた三浦会社に勤めているからである

 

 孤児院で働いているのは、あくまでサービス。本業はG元素の解析と生物実験である。G元素から産み出された生き物は巨大なオタマジャクシのような姿である。しかし、歯があるにも関わらず、食事はあまり取らない

 

 しかも、遺伝子情報が人間と同等らしい。なぜ、こんな生き物が生まれたのか? 未だに謎である

 

 しかし、怜人が発見した賢者の石のお陰で謎の解明だけでなく、革新的な技術を手に入れる

 

石塚はリリに後を任せるよう伝えると、三浦会社へ足を運んだ

 

 

 

数日後

 

リリは不法投棄されている電子機器であるスクラップの山に訪れていた

 

 リリは子供達と接している内に、ある事に気づいた。それは、日本と違って娯楽が無いことである

 

「ここって何もないでしょ? だから、手元にあるものを使って遊んでいるの」

 

 リリは一人の少女の言葉を聞いて確かに思うところがあった。日本にいたときはゲームやらネットなどで遊んでいる。しかし、不自由なこの国ではそれがない

 

「初めてでありますが、やってみる価値はあります」

 

リリはスクラップを孤児院に持ち帰った。何をするのだろうか? 

 

 

 

 リリは拾ってきたスクラップに手をかざした。手からプラズマが発生していたが、スクラップはある形へと作り替えていた

 

それは

 

「スゲー! ガラクタでテレビを作った!」

 

「魔法みたい!」

 

 リリは金属やプラスチックなどを変形させてテレビを作ったのだ。子供達はリリの能力にはしゃぎ、遠くから見ていた石塚も苦笑しながら見守っていた

 

「通信衛星や地上波から受信出来るよう設定しました」

 

「そう……」

 

 石塚は凄い能力に驚くと同時に、早急にテレビ会社の手続きしないといけないと思った。日本だとこういうのはうるさいのだ

 

……テレビが只で手に入ったのは嬉しいが

 

「実は貴方のお陰なんですよ。手元にあるのを作りました」

 

「そんなの作れないよ」

 

 子供達はリリと戯れていた。人と会話するロボットだけでも、子供達は興奮するものなのに、スクラップからテレビを造る能力を見せれば更に驚く

 

子供達は早速、テレビを付けてテレビ番組を見る。しかし、始めに映し出されたのは現地のニュースであった

 

『……ここ数日、武装勢力と正規軍との衝突は続いています。政府は──』

 

「ニュースなんかいいから、他のを見よう!」

 

男の子の叫びよりも早く、誰かがリモコンを操作して番組を切り替えた

 

スポーツ、料理、お笑い番組‥‥

 

やがて、ある番組に目を引かれたのは切替は止まる。それは近年、公開された映画を放送しているものだった

 

「映画やってる」

 

「凄い!」

 

 それは戦争映画だった。しかし、史実を題材としたノンフィクション映画ではなく、架空の戦争。要は娯楽向けであるアクション映画だった。派手に爆発する手榴弾、機関銃を抱えながらフルオートで撃ちまくる俳優達、主人公が放つロケット弾によって簡単に爆発大破する戦車や戦闘ヘリ……

 

 こういった娯楽映画に子供達は興奮していた。主人公達が悪役を倒す姿はカッコいいらしい

 

「何処の国の映画かな?」

 

「アメリカだよ。いっつも作ってるじゃん」

 

「違うね、ロシアかチャイナだね!」

 

子供達が興奮している中、リリは尋ねた

 

「貴方は……この映像は楽しいですか?」

 

「何をいってるんだよ! 面白いに──」

 

 男の子は、笑顔一杯にしてリリへ振り返ったが、リリを見て男の子は驚いた。何と、リリは涙を流しているのだ

 

「私にはよく分かりません。しかし、争いを見ると悲しくなるのです」

 

 子供達はリリに近づき心配そうに駆け寄った。しかし、リリは静かに泣くばかりである

 

「どうしたの! なんで泣いてるの?」

 

「私には説明出来ませんが、人間の感情で例えると悲しいのです。争いを見ていると何故か悲しくなります」

 

 実はリリはネットにもアクセス出来る。色んな事を学んだ。人の良し悪しも。差別や競争や戦争についても。それらを見たリリは初めは何も思わなかった。しかし、博士や子供達と触れていくにつれて自然と感情も身に付けるようになった

 

「どうして争うのですか? 仲良くしていれば、悲惨な世の中にはならないのに」

 

「大丈夫だよ。皆、仲良し!」

 

 子供達は慰めているが、純粋故のものだろう。しかし、世の中を知らないから出来る事でもある

 

そんな中、リリの姿を見て石塚は驚いた

 

(リリが泣いた? そんな機能はついていなかったのに?)

 

 リリを作った時は涙どころか感情も付けていない。そもそも、これは試作ロボットである。人形ロボットはここまで進化するのか? 

 

(……そうね。陸奥の件があるわ。だけど、ロボットも感情も持つようになるなんて。これからどんな成長を遂げていくか、楽しみだわ)

 

 初め、柳田怜人が人工的に生命体を作ったと聞かされた時は怒り狂ったが、今はそんな事は微塵も持っていない。愛着が沸いたのだろう。そして、陸奥は成長していく。彼はあんな人間でも、それなりに頑張っているのだろう

 

 軍艦に命を吹き込んだ艦娘は、成長した。では、ロボットであるリリはどのように成長するのか? 

 

 

 

数ヶ月後

 

 柳田達があの大震災に巻き込まれたらしい。無事であることは確認出来たが、見舞いには行けなかった

 

 それに、今は重要な事である。今日はリリは孤児院の女の子と一緒に散歩させている。というのは、表向きだ

 

今から子供達と一緒にサプライズをしなければならないのだから

 

 

 

「あの、私はいつまでここに居なければならないのですか?」

 

「いいから、いいから。もう少し待っててね」

 

博士からのお願いでリリは女の子と一緒に散歩していたが、今は公園のベンチに座っている。なぜ、ここで待機しているのか、と聞いても無理に笑顔を作っている

 

何か隠しているのだろうか? 隙を見て、博士と無線通信する

 

「博士、私は何故か謎の待機を命じられているのですが?」

 

『ははは……』

 

通信に出た博士も何故か笑っている。どうしたのだろう? 

 

『気づいていないかも知れないけど、この国では、今日はお祭りなの。その際に貴方のサプライズパーティーを開こう、と提案があったの。日頃の感謝も含めてね』

 

 博士の通信にリリは驚いた。自分はここまで感謝されるのか? 通信越しでは、確かにパーティーを作る音や話し声が聞こえる

 

 

 

 リリは通信を切ると暫く考えていた。自分はロボットである事は認識している。人とは違う存在なのに、子ども達は受け入れている。中には、ロボット三原則や人工知能は人類を滅ぼすなどと言っているが、リリはそんな考えなんて全くなかった

 

 生みの親である石塚が優秀だったと言えばそれまでだが、人工知能の研究は日本では大幅に遅れている。そんな遅れを取り戻すどころか発展させたのだ

 

リリは自分自身の考えを女の子に伝えた

 

「どうしたの、リリ?」

 

「私の想いを打ち明けます。私は人間が好きです。しかし、一部の人間からは、私の存在が脅威だと訴える人もいます。ですが、私は人間を滅ぼそうと考えた事がありません」

 

 リリは柳田怜人が生み出した艦娘と呼ばれる陸奥を思い出しながら答えた

 

 彼女は軍艦ではあるが、人を支配しようという考えは持ってもいない。生命体とロボットは違うのだが、それでも脅威にはならないだろう

 

「私は人間が好きです。私が喜ぶと私も喜びます。ですが、争いは嫌いです。悲しくなります。もし、未来を考えているのなら、私は全ての人間達が仲良く出来るような世界を創りたいです。争いや貧困や差別が全くない世界を──」

 

 リリは自分の夢を語っていた時だった。バンバンと乾いた音が響き渡った。そして、隣に座っていた女の子が倒れたのだ

 

血を流して

 

「え?」

 

 リリは理解出来なかった。何が起こったのか分析したが、既に完了しているにも拘わらず、全く受け入れられなかった

 

女の子が銃で撃たれたのだ

 

「何で! 早く治療を」

 

 そうしている間もトラックが近づいてくるエンジン音と銃声が大きくなる。リリも撃たれているが、彼女のボディは小銃程度の威力は貫通出来ない

 

「石塚博士! あの──」

 

女の子が撃たれ負傷したのを無線通信したが、博士からの応答がない

 

それどころか、おぞましい物音と悲鳴が聞こえてきた

 

『待って待って! ま‥‥ああアギャア──!』

 

『◯×□‥‥ダダダダダダ』

 

マイクを通じて聞こえてくるのは博士の悲鳴と知らない男性の怒号と銃声

 

 嫌な予感がして負傷している女の子を抱え、己のボディを変形させると孤児院まで飛んでいった。女の子が負担にならない速度で

 

後ろから怒号と銃声が聞こえたが、リリは無視した

 

 リリが着いた時には、孤児院は異様な光景だった。周辺は煙がいくつも上がり、かつては平和だった場所から銃声と悲鳴が聞こえてきた。そして、孤児院の周りは魔改造された軍用トラックと銃やロケット砲を持った人達が彷徨いている。相手もリリの存在に気づいたのか、こちらに撃ってくる

 

リリは銃弾を浴びながらも女の子を庇いながら孤児院の中に入る

 

そして、リリは絶叫した

 

「あああ‥‥ああああ──!」

 

 パーティーの飾り付けの部屋は、死体と血の海だった。石塚博士も倒れていた。まだ、息はあるらしくリリに気づくとしきりに叫んでいる

 

「リリ……貴方は……逃げて……」

 

「博士、どうしてこんな」

 

 リリは石塚の元に駆け寄ったが、リリはテレビが付いている事も番組が流れている事も気づかない

 

『……現在、武装勢力と正規軍との間で激しい戦闘が繰り広げられています。戦闘により、周辺住民が巻き込まれる被害が起こっています。日本企業である三浦会社も攻撃を受け……』

 

不意にテレビの画面が割れ壊れた。銃撃されて破壊されたのだ

 

「◯×□」

 

 銃を抱えた兵士達がこちらにやって来る。そして、銃を棍棒のように振り回してリリを殴り倒した

 

 リリは倒れながらも自分のボディの損傷具合やCPUの無事を確認しつつ、孤児院の状況を分析した

 

(孤児院関係者の生命反応は一体だけ‥‥博士の死亡確認。子供達の死亡確認。死亡確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認確認)

 

(何故争うの? 傷つけ合う理由は不明。この行為の必要性不明。不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明不明)

 

 

 

 リリは答えを探るべくネットを通じて検索を始めた。しかし、いくら検索しても答えは見つからない。戦う理由も争う理由も

 

 SNSでは相手への誹謗中傷の書き込みが多数あり、ある国では平和と謳いながらもある都市で市民を武力で弾圧する記事を見かけた

 

戦争であろうが無かろうが、争いばかりの内容である

 

 博士の知り合いである柳田怜人のパソコンにもハッキングしてデータを漁ったが、どれも答えは見つからない

 

それどころか、彼も陸奥を強化しようとする研究データも見つけた

 

 それは陸奥の仲間を生み出し強化する研究。リンフォンからG元素の生成方法を発見したらしい。会社では秘密にしているが。相手を牽制するための必要性という訳である

 

そして、論文の最後にはこう書かれていた

 

 

 

『これで艦娘の命が簡単に消える事は無い』

 

『我らに平和を』

 

 

 

リリはこの文を見てある結論に達した

 

 それは、とても誰もが真似できない事であった。その結論を実行する者は誰一人としていないだろう

 

「博士……私、分かりました」

 

倒れながらもリリは呟いた。ある決断をしたのた

 

「人類には敵が必要です」

 

リリは自信の手を武器に変形させると武装勢力達に攻撃を行った

 

 それは暴動鎮圧用のゴム弾だが、通常よりも強力であり相手はうめき声をあげながら倒れる

 

リリは立ち上がりながら石塚博士が勤務している三浦企業へ向かった

 

「例え平和であっても、人類は闘争を望んでいるのです。争いたくて仕方のない知的生命体なのです。でも、戦うべき外敵がいないから人間は人間同士で争うのです」

 

 リリは武装勢力が押し寄せている三浦企業に侵入した。人質となった研究員も武器を持った武装勢力も制圧したリリは、G元素の研究データを解析した

 

自身のCPUでは処理能力が足りないため、スパコンに直結して解析した

 

それは誰しもが考えなかった研究をリリは実行した。

 

 G元素から生まれた生き物や陸奥の誕生経緯を参考に未知の生命体の改造を重ねる。無機物に命を吹き込み、人の遺伝子を融合させ、知能をある程度持ち、武器を持たせる

 

 人類の敵と分かるように外見をおぞましい姿にする。外敵を正体不明にするため深海にも適合するよう遺伝子操作する。また、地球の海の割合は約7割であるのと、航路海路を封じる必要性があるため海上の戦力だけにする

 

 現代兵器を搭載して圧倒的な火力で攻撃して文明が崩壊してしまうと人類が野蛮化するため、第二次世界大戦の兵器を使う

 

 倒せそうで倒せない外敵を造る必要性がある。それがG元素から産み出された生命体。賢者の石を精製出来なくてもいい。別にクローン人間を作る必要性なんてないのだから

 

 実験室にあった可愛らしい生き物が、猛スピードでおぞましい生き物へと進化していく

 

 

 

現在‥‥

 

「どういう意味だ!」

 

 怜人は電話相手に怒鳴っていた。相手はリリであるが、電話内容がとても恐ろしい内容だった。人類の敵になるってどういう事だ? 

 

『私の所に来て下さい。人類の敵を作り出すためにはデータ不足です。石塚美恵子博士は、死亡しました。ですから、助手が必要です』

 

「僕はそんな事のために艦娘を生み出した訳でも強化する研究をしている訳ではない! 断る!」

 

『分かりました。教授が断る確率は95%なので、予期していました。人類のために艦娘である陸奥は英雄にすべきです。艦娘の研究を続行して下さい』

 

「そういう事ではない! ……おい、もしもし! クソ、切りやがった」

 

 怜人叩きつけるように受話器を置いた。周りは何を言っているのか、分からないだろう

 

「おい、直ぐにここを出るぞ」

 

「どうしたの? 何があったの?」

 

「いいから早く! 陸奥も長谷川も手伝え!」

 

 陸奥は困惑していたが、助けを求めるべく2人に顔を向けたが、長谷川も優子もスマートフォンに目が釘付けになって固まっていた

 

 2人が持っているスマートフォンの画面は同じだ。いや、違う。2人が偶然、同じものを見る訳がない。それに、なぜ地下研究室にあるテレビの画面も2人が持つスマートフォンと同じ画面なのだろう? 映し出された映像は、暗い部屋に立っているリリと呼ばれているロボット。しかし、別れた時の姿とは違って何か変だ? あちこち傷んでいる。それに、目から涙を流している? 

 

『もしもし、人間の皆さん。初めまして。私はリリ。石塚 美恵子博士によって作り出した最先端の人型ロボットです。私は貴方達が好きです。ですから、貴方達が最も喜ぶことをしたいと思います』

 

 映像は途切れたが、場面がニュースに変わった。それは、海を覆い尽くす程の異形をした黒い怪物が各都市を攻撃しているのを伝えるニュースだった

 

 あるビーチでは謎の生物が出現し手あたり次第、攻撃を始めた。海に隣接している都市は、未知の生命体が放つ砲撃と未確認飛行物体の爆撃によって火の海と化した。軍隊が出撃し反撃しているが、未知の生命体は怯まない

 

ニューヨーク、ワシントン、東京、北京、上海、モスクワ、ロンドン、パリ……

 

世界はその日、謎の生命体から攻撃を受けた

 

 

 

某国に進出した元三浦会社の施設

 

 ネットにはパニックを伝える映像や動画が投稿されているのをリリは眺めていた。彼は未知の生命体を深海から現れた化け物『深海棲艦』と名付けた。人の負の感情を纏った生き物を海に解き放ち、世界各国の都市を襲わせた

 

 会社のスパコンをアップグレードすると深海棲艦を進化させた。第二次世界大戦をモデルとした生命体を

 

 リリが深海棲艦に某国の人工衛星を使って攻撃命令を与えている時、誰か動くのを感じ取った。リリは分かっていた。手当てしたあの女の子が、意識が取り戻したのだ

 

 しかし、残念ながら出血が酷く内蔵も潰れていたため、息を引き取るのも時間の問題だ

 

リリは少女を優しく抱えながら呟いた

 

「分かっています。私も辛いのです。だからこそ、これは私の役目。G元素を最大限の活用して人類の敵を生み出しました。私が人類共通の敵となることで人間は互いに争いを止めるのです」

 

女の子はリリに伝えようとしたが、声が中々出ない。自分の命が尽きるのも時間の問題だ。しかし、リリに「そんな事は望んでいないよ」と上手く伝えることが出来ない

 

「私、頑張りますから。そのために深海棲艦を生み出したのですから」

 

 リリは女の子をベットの上に寝かすとリリは研究室へ向かった。施設は無人である。様々な工作機械やロボットアームがリリの命令に動き、深海棲艦を育成していた

 

 数年前では、あれほど騒がれて親しみをもって名付けられたおたまじゃくしの形をした生き物は、既に大きくなり、自らの肉体に武器が取り付けられている。大きくなるにつれて人に似たような姿になった種類もある

 

「さあ、人間達。闘いましょう。『人類のために』」

 

*1
AIの研究は日に日に増しており、アメリカや中国などではAIの研究が凄まじい。フランケンシュタイン・コンプレックスを気にしてAI研究を放棄する者は極一部




人類共通の敵
それが現れたら、人類は争いを止めて手を取り合うという創作は沢山あります。中には、出来ずに負ける場合もありますが
しかし、それは人類の叡智ではなく、共通の敵が現れただけ。人類共通の敵がいなくなたら、また人類同士争う可能性がありますね
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