ジェネシス ~陸奥の冒険~   作:雷電Ⅱ

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あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします。というわけで、再開します


第19話 陸自が目撃した異様な戦い

 怜人達は海岸についた。勿論、怜人達が住む地域は、都市であるため、港である。但し、建物は崩壊しており、あちこちで炎が上がっているが。地震や台風のような災害ではあるが、今回は違う。攻撃を受けている

 

「よし、深海棲艦は軍隊のように部隊として行動している。あれを倒すんだ」

 

 怜人はマスコミが撮影したであろう画像を陸奥に見せた。それは、女性の人型と巨大な怪物が共に海上を歩いている異様な姿をした生き物だ。確かに、こんな生き物は見た事が無い

 

「これが深海棲艦の親玉ね」

 

「倒せば奴らは、混乱するはずだ。回収された生命体はシャチや狼と同じような生き物ではないか、とある人が言っていた」

 

「本当に合ってるの?」

 

 陸奥は半信半疑であった。確かに探査機から回収された生き物については聞かされたことはあったが

 

「論文なんてそんなものだ。仮説と実証が混じりあっている。それに、電波量から見てここの深海棲艦を率いているボスであることは間違いない」

 

 怜人は肩をすかした。確信はないのは確かだ。しかし、リリが進化させた生命体が何なのか、調べる必要がある

 

「これが探知機です。これで奴等の位置が分かる」

 

「ありがとう」

 

 陸奥は長谷川からスマートフォンを渡された。プログラミングしてるらしく、地図と通信量を示した画面となっていた

 

 画面の真ん中にポイントがあるのは自分だろう。彼曰く、カーナビのようなものと言っていた

 

「むっちゃん、あの……生きて返ってきて」

 

「心配しないで。悪い奴を倒して返ってくるわ」

 

 陸奥はウィンクした。本来なら行かすべきではない。しかし、陸奥はかつては軍艦だ。本来のやるべき仕事に戻っただけだ

 

「戦艦陸奥、出撃よ!」

 

 陸奥は海の上に立つと、スマートフォンを便りに海面を滑る

 

 1943年6月8日に爆沈してから半世紀以上、陸奥は再び海の上を航行していた

 

 

 

 数時間前

 

「撤退しましょう! コイツらは化け物です!」

 

「クソ! 交戦してから数時間経っていないというのに!」

 

 部下からの報告に立花2尉は歯軋りした。彼は対舟艇対戦車隊を率いる部隊の長である

 

 

 

 ある海岸では、戦闘が行われていた。陸自の対舟艇対戦車隊と深海棲艦との間で戦闘が行われていた

 

 テレビやネット経由の謎の声明文よりも速く、数日前にSOSUS*1から奇妙な音を探知したと米海軍から連絡があった。海上自衛隊が独自で設置していた水中固定聴音機にも異様な音を検知していた

 

 いや、1ヶ月程前から戦略原潜や攻撃型原潜が消息を絶ったというニュースがあった。ニュースでは事故か何かだろうと呑気に報道していたが、国籍関係なく全ての原潜が消息を絶った事から、ただ事ではない、とアメリカは勿論、中国やロシア等は考えたらしい

 

 あれ程、軍事活動を活発化させた中露も控えた。そして、深海潜水艇が捕えた写真からは異形の形をした謎の生命体を発見。G元素の反応があることから、国連は直ちに警告を発した。但し、混乱になることを恐れ、秘密裏に伝えられたが

 

 日本も大幅改正された自衛隊に出動準備がかかった。自衛隊の動きにメディア等は何事か、いよいよ海外派兵するのか、と言った声が上がった

 

 そんな声を他所に自衛隊は準備を始める。全ての陸自の駐屯地は動きが活発となり、海自は護衛艦隊を緊急として出港した時も彼等の表情は険しかった。何時ものように反戦平和団体はデモを行ったが、今回は違っていた。何と実力行使で封じ込められたのだ

 

 自衛隊はピリピリしていた。海外派遣でもこのような事はなかった。空自も例外ではなく、弾薬や燃料等を輸送機を使って頻繁に飛ばしている

 

 デモ達もマスコミも自衛隊のみならず、各国軍の異様な行動に困惑する中、……あの放送が流れた。そこに映っていたのはあちこち壊れた人型ロボット。何を言ってるのかさっぱりだったが、突然、海に隣接する各国の都市は攻撃を受けた。敵は映画などに登場するクリーチャーのような化け物だが、彼らの武器は威力が高く、破壊力は高性能爆薬並みという

 

 上からは、自衛隊法第76条の2に基づき、防衛出動が発令された。立花2尉が率いる対舟艇対戦車隊も出動し、海岸から湧き出る異形の化け物に向かって攻撃した

 

 対舟・対戦車ミサイルである96式多目的誘導弾を発射して敵の上陸を阻止

 

 初めは89式小銃や96式多目的誘導弾でバタバタと倒れた。隊員も呆気なく倒れる異形の化け物を見て歓声をあげていたが、敵が減る傾向がない。しかも後から湧き出てくる異形は攻撃を受け付けなくなった。いや、命中しているのはしているが、効果がない。ミサイルを受けて飛ばされる個体もあるが、飛んだだけ。体勢を立て直すと再びこちらに牙を向いた。混乱している間に敵は上陸。抵抗する者は全て殺された。但し、逃げた者は何故か追わず街を破壊している。現在、彼らは半壊したコンビニの中で身を隠している。道路には女の人の形をした化け物数体が武器を持っている。赤外線センサーはないらしく、こちらに気づくことはない。しかし、陸だけでなく、海にも奴等がいる。物陰から見てるため視野は限られているが、奴等は海の上をスケートのように滑っている。どうやったら、こんな業が出来るんだ? 忍者ではあるまいし

 

「相手はハイテク使っていないのに、負けるなんて」

 

「立花2尉、撤退しましょう! 廃墟に隠れても意味がありません。弾薬も少ないです」

 

 立花2尉の言う通り、彼らはミサイルなどのハイテク兵器は使っていない。索敵範囲も狭いらしく、遠距離攻撃も知れている。ミサイルなどの遠距離攻撃で呆気なく倒せるだろうと高を括っていたが、そんな事はない。破壊力は凄まじく、威力は戦艦並だ。それに加えてこちらの攻撃が通用しない

 

 木枯らしのような音がしたと思ったら何もかも吹っ飛んだ。部下も兵器も周りの建物も砲撃によって吹っ飛ばされた

 

 奴等は空は飛ばないが、あんな強力な攻撃があれば飛ばなくてもいいかもしれない。無線では、どうやらドローンのようなものを持ってるらしいが

 

 先程、F2改の4機が陸にいた異形の化け物に対して爆撃していたが、建物や道路を破壊しただけで終わった。土煙や爆炎が収まると、何事もなかったかのように陸の上を這いずり回っている

 

「クソ、海自と空自は何をしてるんだ! 空母やステルス戦闘機を持ってるのに! 在日米軍は!? 思いやり予算は何だったんだ!」

 

「2尉、落ち着いてください。こちらの居場所がばれてしまいます! 無線によると空爆が効かないんです」

 

「落ち着いていられるか! ……家族に何て伝えればいいんだ?」

 

 小声とは言え、敵に気づくかもしれない。曹士の隊員は気が気で無かったが、数十人いた部下達は今や7人しかいない。彼らには結婚してる人もいた。立花2尉も心が折れそうである。未知の元素に目がくらみ研究を行った人達とAIロボットを作った科学者を恨んだ

 

 これは人災ではないか! まだ、怪獣王と戦った方がマシだ。……放射能はヤバいかも知れないが

 

 その時だ。海から何かが浮上した。援軍か? 海上自衛隊の潜水艦かも知れない! 陸自の隊員は、都合がいいような事を考えていた。海上には異形の化け物がウヨウヨといるような所に浮上する事はあり得ない、といった考えも今はなかった。藁でもすがる気持ちとはこの事だろう

 

そのため、浮上してきた物が潜水艦でないのを見て彼らは絶句した

 

 それは、他の異形の化け物よりも大きく、大型トラックほどもある。猛獣のような怪物が海から姿を表した。大砲らしきものが覗かせており、とても禍々しいものである。そして、何やよりも気になったのは、それを引き連れている女性のような姿である。姿形は明らかに人間の女性であり、黒いワンピースのようなものを着ている。額にはは鬼のように一対の角が生えており、伝説に出てくる鬼のようだ

 

 その美女と野獣のペアは、両前腕に艤装を装備している全身黒づくめのスレンダーな女性と粗暴そうな巨大な怪物であった

 

 それを見た残存部隊は、呆然とした。頭部から角が出ている女性は、人間の大人の女性の平均的な身長だろう。しかし、後に従えている怪物は戦車か大型トラックほどもある。美女と野獣のペアは、環境に慣れていないのか、ゆっくりと辺りを見渡したが、地上に目を向けると前へ進んだ。傍に居た人型の異形の怪物二体は、後を付き添うように付いていく

 

「嘘だろ。何だアイツ……」

 

 立花2尉は愕然とした。リリとかいうロボットは、動物を人間に似た生き物に進化させたのか? 角がなければ、人間の女性とほぼ同じだ

 

 陸自の部隊は呆然として陸に近づく正体不明の生き物を物陰から忌々そうに眺めていたが、その時、彼女達に何者かが銃撃をした。銃声の音からして20mmバルカン砲だ。誰かが撃っているのか? 

 

 立花2尉が僅かに物陰から身を乗り出し双眼鏡で周囲を見渡したが、誰が戦っているか分かった。海自ではない。あれは巡視船だ。銃座には海保の人と思われる隊員が海の上に立っている異形の人達にバルカン砲で攻撃しているのだ

 

 その巡視船もあちこちと煙が上がっていることから何かしら攻撃を受けているのだろう。そして、乱射している隊員達を誰も止める者がいないとなると上官は……

 

(復讐目的で撃ってるのか?)

 

 立花2尉は双眼鏡を持っている手に力が入っいた。職場仲間や上官が殺されたのだ。それを平然とする人はいないだろう。しかし、復讐に燃えた20mmバルカン砲を怪物達が受けても、ケロリとしている

 

 まるでシャワーを浴びてるかのように平然としている。両手に艤装を持った女性が攻撃しようとしたが、怪物を従えて、角を持った女性は手出し無用と合図した

 

 そして、怪物を従えた角のある女性は、口を開いたが、その声はこの世とは思えない不気味な声を挙げていた

 

「沈ミナサイ」

 

 異形の人達が初めて言葉を発した。一体、どうやって言葉を学習したのか? しかも、立花2尉達が隠れている場所まで聞こえたのだ

 

 いや、脳に直接響き渡ったような感じでもあったが

 

 唖然としている立花2尉を他所に女性に従えた怪物は、背中から何かを出した。それは人間が扱っている古い大砲のようなものだ。だが、砲身からは鉄が溶けたかのように真っ赤に輝き出す。どうみても20mmバルカン砲でやられたようには見えない

 

 逃げろ、と声を出そうとした時には怪物は咆哮をあげなから大砲を発射した。特科隊の榴弾砲よりもバカデカイ砲声を辺りを響き渡り、発射した弾は赤い光を輝かせながら巡視船に突進する

 

 海保の隊員は何が起こったか分からなかっただろう。巡視船は木っ端微塵に吹っ飛び、爆炎と水飛沫が消えた時には巡視船は跡形なく無くなった

 

「おい、ウソだろ……」

 

 部下の一人が呟いた。流石に大きな声を上げなかったが、あまりにも衝撃的だった

 

 怪物が背負っているのは大砲なのか? 

 

 そんな風に考えていると、二本の角が生えた女性はこちらを向いた。

 

 そして、笑ったのだ

 

(まさか、気づかれた?)

 

 慌てて双眼鏡を離した。レンズの反射でばれたのか? それとも、人には理解できないもので探知したのか? 

 

 兎に角、奴がこちらに近づいている。クラゲのような帽子を被った女性と両手にゴツい物を持っている女性を引き連れながら

 

「逃げましょう、立花2尉!」

 

 部下が逃げるよう促したが、立花2尉は無視した。あの異形の化け物はこちらの武器が通用しない! どうなっているんだ! 襲撃した時はバタバタと倒れたのに! 

 

「無線は使うな! 電波に探知されるかも知れん!」

 

 部下が無線通信しようとしてるのを立花2尉は止めた

 

「しかし、奴等にそんな力は」

 

「いいから通信を止めろ! どうみても只の化け物ではないだろ!」

 

 立花2尉が命令し、撤退するよう促した時だ。別の場所で爆発音がした。自衛隊員は振り替えると驚愕した。何と長い髪をし両手にゴツい武器を持った女性の怪物が悲鳴をあげて沈んでいるのだ

 

 頭部に角を持った異形の女性と従えている怪物は辺りを見渡した。何かを警戒している

 

 そして、一人の角のある女性と怪物はある方向に目を向けた

 

 それは沖合い。何かが異形の化け物に向かっている。しかも……

 

「あ、あれは?」

 

「あの女がやったのか? でも、肌が奴等とは違う……人間か?」

 

 陸自の人達は唖然とした。立花2尉も同様だ。再び双眼鏡で攻撃した者を観たが、どうみても人間だ。何か機械のようなものを纏っているが。20代の女性らしいが、なぜ海の上に立っている? 攻撃してる所はみてないが、彼女が持つ大砲からは硝煙が出ている

 

 表情は険しいが、そうでない時はきっと美人だろう

 

「だ、誰でしょう?」

 

「知るか。ただ敵対していることは確かだ」

 

 部下の一人が聞いたが、立花2尉は曖昧に答えた。味方という証拠がない以上は仕方ない

 

 困惑する陸自を他所に怪物と角を持った異形の女性は、新たに来た者に対して睨んでいた

 

 殺気の凄まじく、遠く離れて見てい立花2尉達からも、その覇気と威圧に怖じ気づいた

 

 だが、新たに現れた女性は、そんな殺気を軽く受け流しているどころか、睨み返している

 

 角を持った異形の女性に従えている怪物も低い唸り声をあげながら睨んでいる

 

 周りには小さな怪物達はいない。いるのはいるが、何と退避している。クラゲのような帽子を被った女性は残っているが

 

 両者の間で緊張が生まれた。穏やかな海の上に新たな戦いが始まろうとしていた

 

 

 

 陸奥は怒っていた。海保の巡視船を奴等は躊躇なく破壊した。リリに対する怒りが増すばかりである。なぜ、こんな怪物を作ったのか? 人類団結のための軍団にしても遣りすぎだ! ボスと思われる側近の人形に砲撃を開始した。以前、起きた艤装爆発は起こらなかったことに安堵した。だが、こちらの存在に気づかれた

 

 相手も睨んでいる。あんな化け物をみても冷静でいられる自分に陸奥は驚いているが、自分が兵器だからなのだ、と言うことを認識していた

 

 半世紀以上前に陸奥は国防のために建造された。つまり、本来の仕事に戻っただけの話

 

「撃てー!」

 

「ギシャアァァ!」

 

 陸奥の砲撃の掛け声と敵の怪物の咆哮したと同時に両者は一斉射撃を行った。砲声が辺りを轟かせ、あちこちで水柱が上がった。互いに動いているせいで命中弾はなし。しかし、陸奥はそのまま突進した。装填まで時間がかかるのだが、敵が接近しているのだ。このままだと殴り合いになる

 

 怪物が大木のような腕を陸奥に目掛けて殴りかかったが、陸奥は何と片腕で受け止めたのだ

 

「殴るなんて失礼じゃない!」

 

 怪物が自慢の怪力を呆気に受け止めたことに呆然としていたが、陸奥は再装填した41cm主砲を食らわせた

 

 怪物はうめき声を上げて海面に叩きつけられたが、角を持った異形の女性が、陸奥に向けて蹴りを食らわせた

 

 時速50キロ走る車を受け止めたことはある陸奥だが、彼女の蹴りはそれよりも威力が高かった

 

 吹っ飛ばされ倒れこんだが、陸奥は素早く立ち上がる。妖精からは再装填したと報告を受けたため、素早く引き金を引いた

 

 41cm主砲は火を吹いたが、その弾は命中することはなかった。何と異形の女性と怪物は身体を傾けて陸奥の砲弾をかわしたのだ

 

 お返しに怪物は自身が搭載している主砲を陸奥に向けて発射した。流石の陸奥もこれを諸に受けてしまった。砲はひしゃげ、艤装からはあちこち煙を出し、服もあちこち破れている。しかし、まだ、沈んでもいない

 

『おい、もう戻ってこい! ボスを倒す作戦はムリだ!』

 

「断るわ。アイツ、私に攻撃してきたんだから」

 

 遠くから怜人達も見ているのだろう。撤退を促すよう無線が入ってきた

 

『むっちゃん、逃げて!』

 

「私のことは心配しないで」

 

『いいか、君が無理……し……ザザー』

 

 怜人は何か言いたそうだったが、途中で雑音が入り何も聞こえなくなった。何だろうか? 突然、無線通信が出来なくなった

 

 

 

 陸自の対舟艇対戦車隊

 

「殺し合っている……」

 

 立花2尉を始め、部下達も固唾を飲んで、戦いを見守っていた。異形の艦隊……深海棲艦を倒す者が突如として現れた。何処から来たんだ? それに、なぜ彼女が持っている武器が奴等に通用する? アイツは20mmバルカン砲を受けても効果無かったのに! 

 

「立花2尉、空自の戦闘機が再び来ます! 味方が航空支援の間に、我々を回収して貰えるらしいです」

 

「何?」

 

 その時だ。通信員から連絡があった。ようやく、増援と救援が来たらしい。今まで、何をやっていたんだ! 

 

 助かったと同時に不安が一気に襲った。深海棲艦と敵対する者まで攻撃するつもりなのか? 

 

 しかし、攻撃を中止する権限は、こちらにはない。深海棲艦と敵対する者は自衛隊ではないだろうが、こちらを味方するのであれば、今は逃げて欲しいと願うばかりだ

 

*1
SOSUSとはSound Surveillance System、つまり「音響監視システム」の略の事である




陸奥と深海棲艦が戦うが

因みに今回のイベントと迎春任務は完了。お正月なのに、忙しいって……
しかも平戸が中々来てくれないという
沼ったのは久しぶりです
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