ジェネシス ~陸奥の冒険~   作:雷電Ⅱ

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敷波を育てていれば……と思う私です
一式徹甲弾改は欲しかった。上位改修すれば出来なくもないですが、ネジが圧倒的に足りません
忙しい時期にランカー報酬なんて無理……


第22話 通信

 吉村海将が怜人達に付いてくるよう促した。何故かと聞かれても、後で分かると言うだけである

 

 特殊作戦群である草野1等陸尉と部下の一人、後は海自の隊員である。武器は無いが、拳銃は携行している。スマホなど電子機器は取り上げられられた。怜人が持っていたスマートウォッチもである。下園は抵抗したが、草野1等陸尉の部下である女性自衛官に説教を受けて取り上げらた。機密の場所へ行かされるというのだから、怜人達は仕方ないと割れきっていたが

 

 廊下を歩き、すれ違う自衛官と挨拶し、幾つもの扉をくぐり抜けて、ようやく止まった。ある扉の前には歩哨である自衛官が二人立っていたが、吉村海将を見るなら敬礼して扉を開けてくれた

 

 中は薄暗かったが、幾つものディスプレイや機器が立ち並んでおり、自衛官達が作業をしていた。吉村海将を見ると作業を中断し不動の姿勢をして敬礼したが、すぐに作業を開始した

 

「艦長、さっきの報告は本当か? ここから繋げるか?」

 

「相手はお利口に待っています。回線に割り込んでいるのですが、暗号ではないため傍受される恐れが」

 

「構わん。モニターに出せ。録画もやっておけ」

 

 木村一等海佐である艦長は短く報告すると、吉村海将は命令をする

 

 部下が操作している間、一向は待っていたが、長谷川は違っていた

 

「ここ、CDCです。ここで全て指揮する場所です。立ち入り制限のはずですが」

 

「って事は僕らを中にいれたのはよっぽどの事なのか?」

 

 長谷川の説明に怜人は顔をしかめた。ここは、多くの機密情報を扱う部署らしい。そんな所に一般人を入れるとは考えられないからだ

 

 何があるのだろうとヒソヒソ話をしていた、その時。目の前の大型モニターの画面が変わった

 

 よく分からないレーダーの表示がテレビ画面になった。映ったのは、石川美恵子が創ったAI搭載ロボット『リリ』だった。しかし、空港で別れた時の姿よりも酷い状態だった。顔がひび割れ、電線や機器がはみ出ている

 

 確か自己修復機能はあるのに、直さなかったのか? そのため、リリに会ったことがある怜人達は、リリの姿に驚いた。まるで、ゾンビのようにも見える

 

 しかし、ボロボロにもなっているにも拘わらず、リリの声は空港で別れた時と変わらない

 

『柳田教授。そして、海上自衛隊の皆様。私はリリ。あなた達が喜ぶことを提供します。海路は既に用意しました。これで、あなた達は私のところへ行けます』

 

「リリ、石塚美恵子はどうした!」

 

 リリの爆弾発言に吉村海将を初めとする幹部自衛官は硬直し、曹士も自らの仕事を手に止め唖然としていた。てっきり、脅迫か交渉かと思いきや、招待されたのだ

 

 しかし、怜人はどうやら予想していたらしく、呆然とモニターを眺めている陸奥達を無視して叫んだ

 

「石塚博士は殺されました。子供達も」

 

「こ、殺された? 何があった!?」

 

 怜人の信じられない反応にリリは何も言わない。しかし、モニターが再び変わり石塚理恵子に何があったのかを伝える映像を流したのだ

 

 某国で石塚博士と孤児達との暖かい暮らし、そして武装勢力との戦闘に巻き込まれ全員が命を落とした映像、そして海外にある三浦会社の工場を使って深海棲艦を生み出した事

 

 その国の正規軍も武装勢力も排除したらしい

 

 映像が流れている間、CDC内は静かだった。誰も声をあげない

 

『人類は闘争を望んでいます。争う理由も多用です。私が人類の敵になる事で人間は互いに争いを止めるのです』

 

「それは違う! 絶対人間は争いを望んでない!」

 

 下園は声をあげたが、リリは淡々と説明する

 

『いいえ。人間は争うことが大好きなのです』

 

「違う! 日本は太平洋戦争を経験して大きな過ちを犯したから平和を築くことが出来た。戦争を仕掛けるなんておかしい!」

 

 下園は反論したが、リリは意外な事を述べた

 

『それは違います。闘争は日本でもあります。太平洋戦争を経験しても人々は争っています』

 

 下園は熱く語るが、リリはテキパキと答える。しかも、考えが違うらしく話が噛み合わない

 

 議論を中断するように陸奥は遮った

 

「黙って! ──リリ、世界をどうしたいの?」

 

『人類に平和をもたらすことです』

 

「どういう意味?」

 

 陸奥の質問にリリは答えない。しかし、リリはある映像を流した

 

『人類は変わらなければなりません。しかし、人類は争いを好みます。そのため、私が人類共通の敵となることで人は争いを止めます』

 

「争いを好む?」

 

『そうです。人類が誕生してから幾度と無く争いが行われていました。戦争でなくても、形を変えながら争っています。下園のいう平和の訴えも現実的ではありません』

 

「証拠はあるの?」

 

 下園がまた口を挟みそうになったので陸奥は手で制しながら質問を続ける

 

 リリはある映像を流した。それは──

 

「これ、数週間前にやっていた反戦運動ですよ? 確かその日は終戦記念日でしたから」

 

 長谷川は何気なく言った。それは街頭で過去の悔恨のために平和を訴えるものであった。しかし、拡声器を使ってワメき散らしたり、警官隊と衝突したりと平和的ではない。取っ組み合いの映像まである

 

『この平和運動は現実的ではありません。見れば分かるように警察や自衛隊、そして政府を敵として戦っています。このような行き過ぎた『正義』は、暴走しています。彼等も闘争を望んでいるのです』

 

「違う。独裁政権に対して戦う人々の意志なの。侵略戦争と植民地支配の歴史を反省し、アジア諸国と真に和解し信頼関係を築くことができれば、軍事への依存を減らし、軍拡から軍縮へと転じることができる。そのためのデモ」

 

『その考えや行動は否定します。アジア諸国でも日本以上の軍事力を持つ国は複数存在します。現段階では、それらの考えは得策ではありません。権力争いという闘争しかありません。アジア諸国も闘争を望んでいます。話し合いは弱者を搾取するための第一段階でしかありません』

 

 リリはアジア諸国の軍事パレードや軍事演習を映像に見せながら下園に反論した。こういうのを見せられては、平和を語るのは愚かではあろう

 

「貴方は人類を滅ぼそうとしているの?」

 

『いいえ。私は人類が好きです。しかし、闘争を終わらせるためには、これしかありません。人類共通の敵という手段を。武器を放棄させるという法的措置など曖昧な手段よりも確実な方法です』

 

「人々が争う理由は、政府の陰謀よ。人間は争いなんて望んでない」

 

『いいえ。その答えは不正解です。なぜ人が争うのか? 答えは『人類の敵が居ないから』です』

 

 予想外の回答に下園は思考停止状態に陥った。まだ、『人類を滅ぼしてやる』といった方が良いかも知れない。悪意あるのは明白だし、自分の命まで奪われるかも知れない。しかし、リリは人類が好きだという。戦争被害者で戦争根絶を訴えるならいざ知らず、まさか戦争根絶のために自ら人類共通の敵として君臨するなんて考えもしなかった

 

 下園はだんまりしている所、陸奥は聞いた

 

「人類共通の敵ってそんな簡単に上手く行く訳ないわ」

 

『既に中国空軍による爆撃機や米海軍から発射された巡航ミサイルによる空爆を受けました。しかし、彼等の攻撃は失敗に終わっています。遠距離攻撃や無人攻撃機は既に無力化しています』

 

「どういう事だ?」

 

 吉村海将が話を割り込んで来た。遠距離攻撃を無力化した? 

 

『G元素や賢者の石のデータ解析し、私は新発見をしました。使い方次第では、軍事バランスも崩せる程の力を持つことです。私はG元素を特殊な方法で加工し、拠点付近の海域にばら撒きました。海が赤くなりましたが、赤色海域は強力な電磁気が発生しました。更に天候も悪化した事でここの本拠地はそう簡単には攻めてこられません』

 

「で、電磁メタマテリアルに近い特性まで持っているのか?」

 

 吉村海将は絶句した。つまり、リリが拠点としてる一定範囲は、電磁パルスのような空間になっているようなものだ。EMP防御が施された兵器しか行けないというのだ。潜入も難しいだろう。天候悪化であれば、HALO降下による潜入も難しい

 

 リリが居る所は某国の島だからだ

 

「リリ、幾ら何でもこれは僕でも認められない。死んだからってこんな事は許される訳がない」

 

『それは違います。貴方も私と同じです。親しい人が亡くなった事で、何をすべきか、という答えを見つけました。死んだ人は戻って来ません。ならば、石塚博士の死は無駄にはしない事です』

 

「誰かの英雄がリリを倒した後は? 人間はまた争いを始めるというのがオチだ」

 

『ええ。ですから、私は深海棲艦を造り続ける。奪われても解析困難で拷問すら屈服しない生命体の軍隊は強力です。私が倒された時は、深海棲艦は全滅し、人類は一致団結しているでしょう』

 

 リリは怜人の反論すら的確に言った。リリが自立型無人攻撃機などを量産しない理由が分かったような気がした。無人機だとハッキングされてしまう。だから、未知の生命体を兵器化したのだ。しかも、リリは改良をし続けるだろう。何処かの国が解析してもリリは更に上を行く

 

「何故だ? 僕は人類共通の敵のために理恵子と一緒にリリを作り上げたのではない」

 

『いいえ、柳田教授。貴方は人類が生み出す人工生命体の誕生は、生命進化戦略の1つと言っていました。地球と生命進化の物語を』

 

 周りは何を言っているのか、理解出来なかったが、怜人は驚愕した。まさか、あれを作ったのをリリは突き止めたのか? 

 

『我らに平和を。そうです。平和は大事です。生命は形を変え、未来へ突き進まなければなりません。だから、艦娘が現れても拒否しなかった』

 

 怜人は狼狽しているのを見て陸奥だけでなく優子も長谷川も驚いた。彼が動揺する姿を見たのは、妻が殺され死体安置所と面談したくらいだろう

 

『それでは、護衛艦隊司令官である海将、吉村直人さん。この島へ向かうルートを教えます』

 

「どういうつもりだ?」

 

『私は人類共通の敵。よって、海上自衛隊も私を攻撃しなければなりません。私は貴方達の味方ではないのですから』

 

 リリは吉村海将にそう伝えると同時に、モニターが真っ暗になった。向こうが通信を切ったのだ

 

「通信が途切れました。……待って下さい、戦術データリンク経由で何者かがこちらに何かのデータを送信しています! ハッキングの可能性が──」

 

「通信士、待て。これは敵本拠地の航路経由だ」

 

 モニターを弄っていた自衛官が悲鳴を上げたが、画面を見た幹部は冷静に判断し操作を止めるよう命じた。内心では驚いているだろう

 

「個室はあります? ちょっと考えたい事があって……」

 

 怜人は吉村海将に聞いた。これ以上、いても仕方ない。周りは心配したが、吉村海将は了承した

 

 

 

「送信されたデータですが、いくつもの衛星経由であるため特定は不可能です。また、送信内容も敵本拠地へ叩く航路ですが、防衛省は罠という見方を──」

 

「いや、罠の可能性はない。敵は人間ではない。リリは我々の感覚で考えるのは愚策だ。それにしても、人々の争いを無くすために人類共通の敵になったAIロボットか。人工知能だからこそ、そういう結論を出せるのだろう」

 

 側近の報告に吉村海将はため息をついた。怜人達を帰した後、CDCでは海上幕僚長とやりとりがあったが、あまり芳しくなかった。彼は幼い頃、軍艦に興味を持っていたため、海上自衛隊に入隊した。幾度の訓練や海外派遣に参加した。リムパックも参加した事もある。有事の際は、死ぬ覚悟はとうに出来ていたが、まさかこんな事態になるとは思いもしなかった

 

「日本は大パニックです。国会では深海棲艦を倒せ! と主張するデモ隊と保護を求めるデモ隊が押し寄せ、国会審議も全く進まない状況で」

 

「どうせ、G元素発見したからこんな事に成った、責任取れ! というものだろう。ちょっと前までは日本はG元素は神の贈り物だとか持ち上げていた癖にな」

 

 出港してから電波が届かない所まで吉村海将はスマホでネットを見ていたが、内容は大したものでは無かった。いつもの日本である。災害が起きても対応は鈍い。マスコミが政府批判。デモ隊が国会議事堂へ居座り、被災者は救援物資待ちという有様である

 

 普通の災害との違いは、敵がいたからであろう。仮想敵国はある程度は上がっていたが、まさか人工知能と未知の生命体が敵になるとは思いもしなかった

 

 確かにG元素による怪物が日本を襲われたら、というのを基づいたシミュレートはあるものの、まさか役に立つことになろうとは

 

 吉村海将は指揮を艦長達に任せると、再び待機室へ向かった。そこには陸奥達もいるはずだ。だが、部屋の中には怜人の姿は居なかった。陸奥達は椅子に座り、出されたコーヒーを飲んでいた

 

「君のお父さんは?」

 

「パパはまだ、部屋から出て来ない」

 

 娘である優子は使われていない個室の扉に指を指した。そこは使われていない部屋だったが、怜人は1人になりたいと言って入ったらしい。草野1尉が度々顔をのぞかせたが、彼は何やらノートに何かを書いているらしい

 

「時間は無い。直接、聞こう。私以外は入るな」

 

 吉村海将は歩こうとしたが、陸奥が立ち上がって前へ躍り出た

 

「どうした?」

 

「私も付いていっていい?」

 

 陸奥の提案に周りは驚いたが、吉村海将は眉を吊り上げただけだ

 

「理由を聞かせてもらおう」

 

「彼と長く付き合って来た。その、同居人として。でも、あんなに動揺したのは初めて。それに気になった事があるの。私が戦ったあの怪物と一緒に居た角の生えた女について」

 

 陸奥は嘘偽りなく答えた。角の生えた女とは、先ほど戦った戦艦棲姫と呼ばれる怪物だった

 

「彼は敵じゃない。でも──」

 

「分かっている。私は差別主義者ではない。そこは安心していい。教授の責任ではない。だが、彼は何かを見落としているのを見つけたらしい」

 

 吉村海将は頷くと陸奥と一緒に入るよう促した。優子や長谷川は付いていこうとしたが、彼は手で制した

 

「悪いが、彼と話がしたいだけだ。重要な事で」

 

「何を──」

 

「信じてくれ」

 

 吉村海将は個室の扉を叩くと陸奥と一緒に部屋に入った

 

 元々は倉庫だったのだろう。部屋は狭い。机と椅子があるだけだ。だが、怜人はそんなのをお構いなしに座り、机にノートを広げて何かに取り憑かれたかのように計算式を書いていた。2人が入って来ても、顔を上げただけでノートに数式を書き込んでいく

 

「君は元帝国大学の数学者の主人公に憧れているのか?」

 

「何です、それは?」

 

「ある漫画のキャラだ。映画化にもなったのに、知らないのか?」

 

「あれはフィクションでしょう。長谷川も似たような事を言っていましたよ」

 

 陸奥は何なのかを聞きたがっていたが、吉村海将は小さなため息をついた。どうやら、長谷川が入って来たらしく、ネタを挟んだらしい

 

「何しに来た? 邪魔しないで貰えます?」

 

「本題に入ろう。君は重要人物だ。何しろ、G元素に関わった科学者だからな。艦娘と呼ばれる陸奥を生み出しても、なぜ受け入れられるか気になってね」

 

「気のせいです。言って見れば趣味のようなものです」

 

 怜人は見向きもせずに手を動かしていたが、吉村海将は構わず話し続ける

 

「AIロボットであるリリを手伝った事も。君は新たな生命体を作り出そうとしていないか? 君の資料を読ませてもらった。過去に妻を蘇らすという神の領域を犯しているのに抵抗感が全くない。倫理がないかと思ったが、違うらしい。ロボットがSF作品のように人間と話せるなら戦争にもなる可能性もある。なぜ、そうした危機感を持たなかった?」

 

「吉村海将、ちょっと失望しましたよ。空想は空想です。それに、優奈は望んでいなかったと思っただけです。陸奥に気づかされた」

 

 陸奥は思い当たる節があった。それは彼女が説得したことで彼は蘇生実験を取りやめたことである

 

「何があったかは知らない。だけど、それだけはないはず」

 

「刑事さんですか? いいでしょう」

 

 怜人は動かしていた手を止めて、鉛筆を放り投げた

 

「僕はデザイナーベイビーというのが分かってから生命工学は専攻した。他の分野にも手を出した。研究するにつれて気付いたんだ。地球生命はそういうものだって」

 

「私が生きているのも地球生命の1つって事?」

 

「そうだ」

 

 疑問を口にした陸奥は、即答した怜人に驚いた。彼は生命体とはっきり言ったのだ

 

「どうした?」

 

「てっきり兵器か何かだと」

 

「兵器も進化したって事だ。G元素は、進化を手助けしたに過ぎない。深海棲艦もだ。まさか、人型になるなんてな。僕も驚いた」

 

 怜人の暗い声に陸奥は首を傾げた。彼が暗い声を出したのは久しぶりかも知れない

 

「人型……リリがネットで公開した戦艦級と空母級などはそうだな。それがどうした?」

 

「その前に人間はどういった生き物なのか、知っているか?」

 

 まさかの質問の返しに吉村海将は言葉を詰まらせた。本来なら質問を質問で返すな、と言いたい所だが、彼は黙った。なぜなら、聞きたかった事だから

 

「ええっと。人間は良い面もあるし、悪い面もあるわ」

 

「陸奥。必死になって一緒に考えてくれるのは嬉しい。だけど、それは違う。善悪の話をしているのではない。人類は形態学的には動物の中の一種族に過ぎない。しかし、他の動物とは違い『意識』を持った生き物だ」

 

 怜人は簡潔明瞭に答えた。恐らく、陸奥に配慮して答えているのだろう

 

「あのG元素は、詳しい事は知らないが、進化を早める手段も持っているらしい。陸奥……お前も『意識』を持った生き物だ。だから、僕は艦娘が人間だと言える根拠でもある」

 

「止めて。まるで、嫌味に聞こえるわ。私だって、貴方と違って優子ちゃんと一緒に過ごした。色んな事を学んだわ。こんな感覚は、今までなかった。それに……え? ……ちょっと待って……嘘でしょ?」

 

 陸奥は思い出しながら笑顔で答えたが、何か思いついたかのように固まった。陸奥は吉村海将に目を向けたが、彼は無表情だった

 

 そんな彼等を他所に怜人は説明していく

 

「リリには、人間のように学ばせるために石塚が造り上げた。プログラムを書き込むという従来のやり方では遅れは取り戻せない。まあ、元はと言えばAI開発の遅れを取り戻すためもあるが。それにAIロボットは少子化対策でもあった。労働者不足を補うためもある。外国人の労働者の人件費も上がって来ていたから。だから、国は国産の人工知能の技術やロボット工学を欲していた」

 

「でも、人工知能の能力が人間を超えたらどうするの? リリのようなロボットが現れるかも」

 

「シンギュラリティの事か? 技術的特異点の現象は過去で既に言われている。仕方ない」

 

 陸奥は質問したが、答えは既にあったらしい

 

「だが、リリは未知の生命体を短時間で改良、いや進化させた。恐らく、スパコンを使っているのだろう。陸奥と戦っている相手を観察していた。機械のような動きが、人間のように滑らかになっているのを」

 

「撤退する前に私に話しかけていた。それを聞きたかった」

 

 陸奥は、撤退する戦艦棲姫がなぜ話せるのは、疑問に思った。怜人からは未知の生命体に付いて聞いていたが、まさか人の形をしているとは思わなかったからだ

 

「人工知能は基本的にプログラムで動く。だから、書き変えれば済む話だ。人類共通の敵という答えを出したのも、コンピュータが導き出した答えの1つに過ぎない。だが──」

 

「生命体は違う。確かに人の形をしている者もいた。まさか──」

 

 吉村海将が次の言葉を言おうとした時、激しく扉が鳴った。誰かが扉を叩いているのだ。しかも、了承も得ずに扉が開いたのだ

 

「吉村海将! 直ぐにCDCへ来てください!」

 

「どうした!?」

 

「誰かが全チャンネルで衛星放送を──その映像が……上陸した米中両軍が……」

 

 幹部自衛官が言っている事は支離滅裂だったが、何か伝えている事は確かだった

 

 リリが通信を入れてから数時間の間、何があった? 

 

「分かった、行こう。お前達も来てくれ」

 

 吉村海将は促す。外で待っていた長谷川達も不安そうだ

 

 恐れた事が起きなければいいが




エレン・イェーガー「総人類の敵になるのも悪くない」
ミカサ・アッカーマン(主人公がラスボスって……)


人類共通の敵が現れ人類が団結しても、倒した後は人間同士の争いが起こる確率は高いでしょう
櫂 直のように計画を立てて行動すべきですね
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