これまでの旅路を記録に残しますか?   作:サンドピット

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めっちゃ視点変更挟んだ上に文字数嵩んだし切りの良い所までいけなかったし、散々である。すまなんだ。


第二十三話 アムニール防衛戦線①北東、開戦の狼煙。

 

◇【旅人】ネビロス

 

 幾度と無く行われた会議と入念な準備、そして気を引き締める為にテルモピュライにより送られた激励により、北東担当のマスター組は全員霊都の外で配置に付く事が出来た。

 まずはモンスターの波濤を受け止め、全てを殺害する為に「迎撃」という形を取る。北東組が【UBM】の下へ「突撃」をかますのは第一ウェーブが収まってからである。

 

「開戦だ! 派手に自由にやってやれェ!!」

 

 この場を取り仕切る【司令官】の内一人が声高々と叫ぶ。

 

 その声を聞くと同時に多くのマスターが襲い掛かるモンスターの大群に向けて各々の攻撃スキルを使用する。

 

 炎が、水が、岩が、氷が、雷が、飛ぶ斬撃が、衝撃波が、まるで防波堤の様に迫り来る荒波を散り散りに引き裂いた。

 

「あと、十三秒くらいか?」

 

「どうですかねー」

 

 その様子を俺とグラシャラボラスの様に自前で空を飛べるグループで眺めていた。序盤の俺の役割は空からの状況把握、得た情報を各グループのリーダーに伝えるというもの。

 俺達のグループのリーダーはテルモピュライのパーティーメンバーであるプラタイア、今も俺の近くで青い鳥――【蒼天睥睨 フィロソフィア】がその場で旋回している。

 

「プラタイア、後十秒程度で一発目の波が途切れる。伝えてくれ」

 

「『承知した』」

 

 【蒼天睥睨 フィロソフィア】がプラタイアの声で了承の意を示す。現在この青い鳥にはプラタイアの意識が宿っている、わざわざプラタイアに頼る必要は無いが序盤も序盤のこの状況でマジックアイテムの様なリソースを使う余裕も無い。

 

「さぁて、俺達も仕事をしよう。後続が楽に道を辿れる様に」

 

 そんな俺の言葉に皆は応じ、各々の騎獣やエンブリオを駆り始めた。

 

 

 

 

◇【剣聖】テルモピュライ

 

「ウェーブ終了まで後十秒だ」

 

「よし来た」

 

 プラタイアからの報告に笑みを浮かべ、相棒である【乾坤一擲 ユースティティア】を構え直す。

 エンブリオの特性上マスターのリソースをもろに消費する俺の相棒は今回の様な持久戦や総力戦には適さない。その為今回俺には幾つかの場面でのみスキルを使う事を強いられている。

 

 早速俺のスキルを使う場面が来たようだ。

 

「これより一部隊目は前進する! 消し飛びたくなきゃ下がれェ!!」

 

 前衛職の連中がクモの子を散らす様に後退するのを確認し、俺はグレートソードに姿を変えた相棒を大きく振りかぶる。

 

 捧げるは我が魔力、求むるは魔を昇華せし破壊也。

 

「《妖天昇華》ァアアアアアア!!」

 

 相棒を振り払った直線上に出現した破壊を齎す衝撃波が前方を埋め尽くし、進路上のモンスターを例外無く葬り去った。

 70点かな、と心の中で評価点を出して後ろのマスター達に前進の旨を伝える。

 

 直後、雷鳴の様な壮絶な音が霊都を跨いで俺の耳に入ってきた。ここは北東、反対は――南西か。

 

(流石だな、我らが女王陛下は)

 

「行くぞ!」

 

 【妖精女王】に負けぬよう、俺達は盛大な雄叫びを上げた。

 

 

 

 

◇【旅人】ネビロス

 

「キャイン!?」

 

 爆音と熱波がこちらまで届き、グラシャラボラスが体勢を崩す。

 

「うぉびっくりした!」

 

「『すまない、バランスを崩した』」

 

「構いやしないよ、墜ちなきゃ平気さ。しかし凄い爆発だったな、どっちのだ?」

 

 敵か味方か、眼下のテルモピュライがうろたえておらずプラタイアから連絡も来てないので十中八九味方なんだろうけど。

 

「『恐らく【妖精女王】のものではないか? 燃える血と燻る灰の匂いに紛れてあの女の匂いがする』」

 

 へぇ、それはそれは。

 彼女一人で一つの区画を防衛する、最初聞いたときはあまりに荒唐無稽過ぎやしないかと考えていたが、その心配はするだけ無駄だった様だ。

 

(するだけ無駄どころか他の奴がいたら巻き添え喰らって死にかねないな、俺らは勿論テルモピュライでもどうだろう)

 

 まぁあいつは熱をリソースに変換できるから巻き添え喰らっても大丈夫そうだけど、っと。

 

「よし、援護行くぞ!」

 

 俺達と同じ様に空を飛んでいたマスターの一人がそう言った。その言葉に意識を現実に戻し眼下に目を向けると、およそ100人程のマスターの部隊が前進し始めていた。

 

 今回、テルモピュライが【魔竜王】との戦いと道をこじ開ける為にスキルを使ったのと同じ様に、空を飛んでいる俺達にも仕事はある。

 一つは上空から戦況を俯瞰し、得た情報を逐一報告する。臨機応変は地上組の仕事なので俺達は見たものをそのまま伝えればいい。

 

 もう一つは前進する部隊の援護、正確に言えばテルモピュライが切り開いた道を進んでくるモンスターを排除し地上組のリソースを消費させない事に尽力するというもの。

 これが、俺が空を飛ぶ部隊に組み込まれた最大の理由である。

 

 この援護で求められるのは相手を確実に仕留め切る火力、では無く全体にある程度の大ダメージを与える事だ。俗に言う広域殲滅の手段が求められる。

 他の飛行部隊の面々は上級エンブリオを持っていたり上級職に就いていたりと火力面では問題無いのだが如何せん個人戦闘に特化している節がある。

 

 はっきりと言おう、まだ上級職を持っていないしエンブリオも第二形態ではあるがこの飛行部隊の中で最も広域殲滅に適しているのが俺のグラシャラボラスだ。

 

「来たぞグラシャラボラス」

 

 テルモピュライ達の先には常軌を逸した量で襲い来るモンスターの群れ。

 さぁ、蹴散らしてくれよう。

 

「打ち漏らしの処理、頼んでもいいですか?」

 

「あぁ、任せろ」

 

 俺の作戦を聞いて事後処理を軽く請け負ってくれた飛行部隊のマスターがそう言った。デンドロ歴は向こうの方が長いのに俺達の事を信じてくれるのは嬉しいね。

 浅く息を吐き、命令する。

 

「《茜色の群火》」

 

「グルゥアアアアアアア!!!」

 

 《茜色の群火》、俺の相棒である【群幽渇虚 グラシャラボラス】が生まれた時から使える固有スキルであり、吐き出す火球の数をパーティーメンバーの総数に依存し、威力を全パーティーメンバーの合計レベルに依存するという他者の協力を得て強くなるスキルだ。

 だから俺は開戦直前に【司令官】のヒルクリームに頼んだ。「できるだけ高レベルのマスターでパーティー枠を埋めてくれ」と。

 

(頼んだ甲斐があったよ)

 

 グラシャラボラスが30を優に超える巨大な火球を地に向けて撃ち出す。打ち出された火球は大地を舐めモンスターの群れの全てを火球の爆発に取り込んだ。

 殆どのモンスターは《茜色の群火》によって焼き尽くされ、そうでなくとも業火に身を包まれて自由に動く事すら侭ならなくなった。

 

「絨毯爆撃かよ……」

 

 背後で呆然と呟く声が聞こえるがそれよりも気になる事があった。

 

(逃げる様子が微塵も無かった……)

 

 幾ら《インビジブル・マーチ》を使っての奇襲とはいえ上空から大量の火球が降ってくるとなれば逃げる素振りの一つくらい見せる筈だ。

 確かに相手は団子状態で密集して動いていたから逃げるに逃げられないのは理解できる。だが焦りすら見えなかったのはどういう事だ?

 

 今だってそうだ、グラシャラボラスの火球に直撃して尚生き残っている一部のモンスターも、身を焼かれて動きは鈍っているものの苦悶の表情を一切浮かべず依然として前へ進もうとしている。

 

「まぁ後で考えるか。よろしくお願いします」

 

「よし来た」

 

 飛行部隊の隊長の一人である巨大な鳥に乗った男性が急降下し、生き残ったモンスター達を狩り始める。残りの飛行部隊も彼に続いて降下していく。

 目の前の敵に夢中で背後から襲い掛かるモンスターに気付かないマスターとかがいるのでグラシャラボラスに頼んで《アンノウン・シャドウ》でモンスターの体を縛る。

 

 グラシャラボラスのスキルもかなりレベルを上げているので上空から己の影を縄の様に操作し敵を捕縛したら影を金属変質させ動きを止めるといった芸当も可能となったのだ。

 まぁ相変わらず《インビジブル・マーチ》を解除しないと操作する影が生まれない訳だが……。

 

 ともあれ殲滅は完了した。このまま先へ――

 

 ――へぇ、中々に便利な視界じゃないか。

 

 ゾワリ、と怖気が走る。これは、かつて遭遇した【静界蜂針 サイレンサー】と同等かそれ以上の。

 

「逃げろッ――!」

 

 口に出す余裕は無く、心の中でグラシャラボラスに緊急離脱を命じ、何とか捻り出した三文字を聞き届ける者が一人でも多い事を祈る。

 

 直後、空が焼けた。

 

 

 

 

◇【兇手】ペルシア

 

 ネビロスの警告が耳に届くよりも早く俺は空を見上げていた。

 

 視界の先では先程のネビロスのエンブリオのスキルで放たれた火球よりも尚巨大な火球が一度に何十個も俺達の場所に降り注ぐ光景が、気付いているのは俺含めて5、6人。100人もの部隊の中で絶対数があまりにも少なすぎる。

 

「テルモピュライ!」

 

「気付いているさ、頼んだサラミス」

 

 その言葉に既に盾を構えていたサラミスが己のエンブリオのスキルを使用する。

 

「《堅牢要塞》!ついでに《騎軍大盾》!」

 

 サラミスが構えた盾が人三人は覆えるほどの大盾となり、その盾が未だ頭上の脅威に気付いていなかった者達の傘となるように多重展開される。

 直後に大火球の奔流が避け切れなかった飛行部隊の数名を巻き込んで地へ直撃せんと差し迫っていた。

 

「――さぁて、頂こうか」

 

 その直前、テルモピュライが呟いて【乾坤一擲 ユースティティア】がフランベルジュへと姿を変えて直上へとその刃を差し向けた。

 

 隕石と見紛う程の業火が辺り一面を焼き尽くすかに思えた炎の嵐は、八割方をたった一振りの剣に吸収され、残りの二割を小さな火に変えて周囲に飛散させた。

 その火の粉も全てサラミスによる大盾の傘によって防がれる。

 

「なっ、嘘だろ!?」

 

 ここで漸く事情を察知した者達が動き出す。中には腰を抜かす者も出るほどだ。

 

「《クリムゾン・スフィア》が30発以上!? どんなMP量だクソ!」

 

 だがそれも盲目的な恐怖ではなく現状を正しく認識しているが故の狼狽であった。

 そして誰もが上空へと目を向ける。

 

「防がれてしまったか、初撃で半壊は行くだろうと踏んでいたのだが」

 

「そいつは残念だったな、お前は俺達を舐め過ぎた」

 

 何も無い所から、笑いを含んだ声と共に光の柱が出現し、そこから鮮やかな紫色の竜鱗を持ったドラゴンが現れる。

 事前情報通りの容姿、間違いない。【魔竜王 ドラグマギア】だ。

 

「しかし何だって森の奥に引き篭もらずに出張ってきたのかね」

 

「ククク、面白いスキルを見つけてな? 少し借りて有用性を試したかったのだよ。なぁに実験は終了だ、貴様らはここで死ぬ。その事実さえあればいい」

 

 微妙に話が通らない。わざわざ姿を見せた理由がスキルの実験? 新しい魔法でも作ったのかと思ったが今あいつは「借りた」と言っていた。

 

(……分からない、いや、今はこんな事をしている暇は無いか)

 

 テルモピュライが【魔竜王 ドラグマギア】を相手に時間稼ぎを行っている間に俺は上空で透明化していると思われるネビロスに作戦の開始を合図で伝える。

 

「おや、この先に用でもあるのかい?」

 

 ここで【魔竜王 ドラグマギア】の顔がこちらに向かう。ばれた? にしても面倒な、わざわざ口に出さなくとも良いだろうに。

 

「さてな、貴様の相手はここにいる者達で十分だ。……ペルシア、ネビロスを連れて先に進め」

 

 小声で俺に向けてそうテルモピュライは言った。

 

「はて妙だな? 君達の目的は私の討伐だと思い込んでいた。現にこのスタンピードを引き起こしたのは私だ」

 

 テルモピュライの言葉を遮るように、【魔竜王 ドラグマギア】は言った。

 

「しかしながら君達の内幾人かは私の事を放置してこの先へ向かおうとしている。まるで私の討伐と同じくらい重要な目的を持っているかのように」

 

 とぼけた声で、未だ混乱の最中にいるマスター達に聞こえる様に。

 

「うぅむ、この森の先に何かあっただろうか」

 

 理解力に乏しい者達にも、良く分かるように。

 

「あぁ! 思い出した! この先には私と同じく【UBM】と呼ばれるものがいたな! 確か名前は――」

 

 欲が恐怖を上回るように。

 

「――【餓鬼王 グレイロード】、とか言ったかな?」

 

 ニタリ、と【魔竜王 ドラグマギア】は口角を歪め、紫水晶を思わせる翼を広げる。

 

「その様子を見ると全員にはこの事は伝えていなかったのかな? 薄情な隊長もいたものだね。独占でもさせるつもりだったんだろうか」

 

 悪辣なりし竜王は嗤う。種は既に植え付けた。

 

 

 

 

 

◇【旅人】ネビロス

 

 寿命が半年は縮んだんじゃないかと錯覚するほど煩く鳴る心臓を落ち着かせ、《インビジブル・マーチ》はそのままにグラシャラボラスにペルシアの近くに降り立つように伝える。

 

(こうも速く看破されるなんて思わなかった……)

 

 上空からでも【魔竜王 ドラグマギア】の話は聞こえていた。想定以上に頭が回る、こちらの事情は見透かし、その上で嘘は吐かず持っている情報を上手く開示した。

 向こうは嘘は言っていない、であればこちらも否定は出来ない。それは《真偽判定》持ちに正解を伝える事に他ならないからだ。そうなれば他の者達が悪感情をこちらに向ける事は想像に難くない。

 だからはぐらかさざるを得ない。結果的に答えを求める者達が疑心暗鬼になろうとも。

 

 このような状況を作るためには前提条件として相手の目的と内部状況を把握、とまでは行かなくとも高い精度での推測を行わなければならない。

 考えれば分かること? 人間の集団心理を理解し、その上で俺達の事を把握して漸く言える事だ。少なくとも一度たりとてこちらに接触していない筈の【魔竜王 ドラグマギア】にそれを知る時間は無かった筈。

 

(どこで……!)

 

「『着いたぞ』」

 

 グラシャラボラスの声に思考を切り上げ、ペルシアの隣に立ったグラシャラボラスを撫でてやる。

 《インビジブル・マーチ》を解除し、ペルシアにどのタイミングで離脱するのかを窺おうとした。

 

「ペルシア、いつ――」

 

「――ッ、てめェ!」

 

 瞬間、ペルシアが血相を変えて武器を構えこちらに向かってきた。

 何を、と問いただす間も無くペルシアの両刃鋸の刃は俺のすぐ側にまで差し迫り――

 

 ――そのまま俺の頭をすり抜けて甲高い金属音を立てた。

 

「どういうつもりだ、お前」

 

 ペルシアが俺の後ろにいた人物、――俺を殺す気で武器を振るったマスターに問い質す。

 

「聞きたいのは俺の方だ、何故皆に黙ってた?」

 

 武器を構える彼の目が欲と憎しみに淀んでいた。

 この目と似た様な物をどこかで見た気が……。

 

「何の話だ!」

 

「【UBM】の話を何で黙っていやがった!」

 

「まて、あの【魔竜王 ドラグマギア】の話を信じるのか?」

 

「うるせぇ! お前らが嘘を吐いてるかどうかの方が重要だ! 答えろ! それで全て分かる!」

 

 ペルシアの目が苛立ちで細められた頃、剣を向けてきたマスターの目が俺に向けられる。

 ここで彼が開戦直前にテルモピュライに難癖を付けていたマスターの一人だと気付いた。

 

「そういやお前、テルモピュライの友人らしいな? お前がこのスタンピードに乗じて【UBM】を倒すつもりだったんだな?」

 

「そうさ、君達が決死の思いでここに来たと言うのに彼らは私と戦うつもりは無かったんだ。裏切られたんだよ君達は」

 

 こんな事が許せるだろうか、と【魔竜王 ドラグマギア】は言った。【ドラグマギア】が口を開くたびに彼の目は黒く淀んでいき、傍から見てすぐに分かるほどに濁っていった。

 それはまるで先程に見た正気を失ったモンスター達の眼と酷似していて。

 

 ここで漸く彼らが何らかの魔法に掛かっている事に気付く。そして今まで気付かなかったという事は俺には魔法は掛かっていなかったという事。

 条件は何だ? 周りを見渡し、テルモピュライやテルモピュライのパーティーメンバーは元より、俺達と共に【餓鬼王 グレイロード】と戦う予定のマスターにも掛かった様子は無く、魔法に掛かったマスター達と同士討ちを繰り広げていた。

 

「……ダメだな、もう話も通じない。こりゃさっきの《クリムゾン・スフィア》で半壊した方が良かったんじゃないか?」

 

 ペルシアが舌打ちを一つ零し、テルモピュライに問い掛ける。

 

「どうするテルモピュライ、俺達はどうすればいい?」

 

 それは、このまま戦力とすらカウント出来なくなった者達を切り捨てて本来の想定通り【餓鬼王 グレイロード】の討伐に向かうか、若しくは【餓鬼王 グレイロード】の討伐を諦めてここにいる全員で暴徒の鎮圧及び【魔竜王 ドラグマギア】との戦闘を行うか。

 

「――お前達は先に行け、ここは俺達だけで十分だ」

 

 テルモピュライが自身のエンブリオの姿をエストックへと変え、高らかに宣言する。宣言した内容は完全に死亡フラグのそれであったが、テルモピュライが断言したのだ、万に一つもテルモピュライの敗北はあり得ないだろう。……あれ、これも死亡フラグなんじゃ。

 

 ともあれその言葉を聞き、俺とペルシアはすぐに行動に移った。

 

「走れ! 目的を優先させろ!」

 

 その言葉に暴徒と戦っていた【餓鬼王 グレイロード】と戦う三十人のマスターが戦線の離脱を試みた。

 懸念していた【魔竜王 ドラグマギア】からの妨害も無く、俺達はここから更に東北東へと向かう。

 

「勝てよ! テルモピュライ!」

 

 ペルシアの声にテルモピュライは拳を掲げる事で答えた。

 

 




試験的に視点変更時、誰の地の文か判別可能なように文頭に名前を記載しました。
気が向いたらこれ続けていきます。
時間稼ぎの為にネタバレでお茶濁し。

【魔竜王 ドラグマギア】
・本来であれば如何に【魔竜王】であろうとも複数の《クリムゾン・スフィア》を正確にマスター集団の中心に当てるなんて芸当は不可能。
・それが出来る手段を手に入れたのは【餓鬼王 グレイロード】と邂逅を果たしてから後の事。
・何時だったか【餓鬼王 グレイロード】は何の前触れも無くネビロスやエイラの前に現れ、言った。
・「――貴様ラカ? 俺ノ配下ヲ殺シタノハ」【餓鬼王 グレイロード】には何が見えていたのだろう。
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