てんこもり平成怪人で行くハイスクールD×D 作:しゃしゃしゃ
☆前回のあらすじ☆
サイラオーグくんとゼファードルくんのゲーム!
乱心したゼファードルくんが知らない機械で変身した!
リンゴとザクロだって! 救世主だって!
ゼファードルくんを操ってなんかしようとしてるやつがいるみたいだよ!
「クソッ! 」
ガシャンッ!
と大きな音を立て、それなりに高級な家具が壊れる。
誰も入ってこないよう人払いをしてある。使用人も眷属もいない、部屋にいるのは自分一人だ。
「クソクソクソッ‼ あの野郎…ッ! バアルの無能がッ……クソッ! 」
メキッ!
と兄貴の大切にしていた、ヴィル……なんとかという芸術家の絵が破れる。
無残に破壊されたそれを見てほんのわずかに冷静さを取り戻す。
俺が「そんな絵のどこがいいんだ」と言ったら、「こういう芸術品を見極める目を持つことも貴族には大事なことだ」と教えてくれたっけか。
後でこの絵が贋作と知って、からかいに行った時も「私はこの絵がいいと思った」と言って微笑み、数年後
懐かしい思い出についにやりと笑みがこぼれる。
――これは最後通告だ。次の言動次第で俺は拳を容赦なく放つ。
瞬間、頭が沸騰する。
「クソガアアアぁぁぁぁぁ‼ 」
魔力をほとばしらせ、罵倒とともに拳が空を切る。
既にここ――次期当主に与えられた執務室――はボロボロだ。
だが、だが、怒りは収まらない。恨みは収まらない。憎しみは収まらない。
……………………悔しさは収まらない。
「~~~‼ ……、……ッハ、……ハァ……ハァ……」
部屋の惨状を目にし笑う。
どうだ、見たか。と誰ともなく心で唱える。
お前とは違うのだ。俺には魔力がある。
上級悪魔にふさわしい、膨大な魔力がある。
純血の貴族の名家の次期当主としてふさわしい魔力がある。
お前とは違うのだ。お前のような、序列一位の、偉大な
違う、違うはずなのに。
「くそがっ……」
吐き出された言葉は小さく、弱弱しかった。
いくら自分を慰めても、奴は無能だと罵っても、ぶん殴られて気絶させられたという事実が自分が劣っている証明として立ちはだかる。
そんなはずはないのに、自分のほうが優れているはずなのに、そうでなければならないのに。
古参の悪魔たちが向けてきた目を思い出す。
シーグヴァイラたちが向けてきた目を思い出す。
あれは『無能』を見る目だった。
合理主義の悪魔が、必要のないものを見るときの目だった。
俺が奴に打倒されて傷ついたのは俺の肉体だけじゃない。俺のメンツも傷つけられた。傷つけられてしまった。
―伯爵家の次期当主が揉め事を起こして、大王家の次期当主にたったの一撃で殴り倒され気絶させられてしまった―
とんでもないスキャンダルだ、醜聞だ。
貴族社会は横の繋がりが太く、このような話題は瞬く間に広まってしまう。
しかもあの場には貴族派も魔王派もすべての派閥の者がいた。
なんて悪夢だろう。
あの様子では俺はどうあっても軽んじられてしまう。
これからグラシャラボラス家を継いで、貴族社会に出ていってもまともに対応してくれる家が果たしてどれだけあるだろうか。
確かにうちは名家だ。分家だっているし親戚になっている家も多くある。
だが、……だが、こんな、スタートの前段階から躓くような次期当主についてきてくれる家がどれだけあるだろうか。
「くそっ……」
本気じゃなかった。本気で罵詈雑言をまき散らしたわけじゃなかった。
俺は舐められちゃいけないと思って、兄貴の代わりに、グラシャラボラス家の次期当主になったんだから、ここは一発カマシて、連中に俺っていう存在をアピールするつもりだった。
侮られるのも、舐められるのも多少なら覚悟していた。死んだ兄貴の代わりである以上、俺はやれるってことを見せつけなきゃいけなかった。
奴を罵ったのだって、俺は大王家でも啖呵を切れる奴だと、そう思わせるために……。
なのに、奴は躊躇なく俺を殴った。
本当にあれが最後通告だった。
信じられなかった。今も信じられない。
あんな場で、あんな面子がそろった場で、暴力行為を働いた奴の頭が信じられない。
貴族なら、まずは話し合いで解決しようとするはずだ。
普通は話し合って、譲歩を引き出して、和解させるはずだ。
なのにあいつはまず最初に最後の手段であるはずの直接攻撃を行った。
「どうかしてる……」
俺はあいつの敵じゃないんだぜ? 俺はまっとうな貴族の次男坊で、これからの冥界を担うって言われるような6人の一人だ。
俺の後ろにはグラシャラボラス家がいるし、バアル家との関係だって悪くない。俺の父である現当主だって向こうの初代様とはそれなりの付き合いをさせてもらっているという。
なのに、なんで。
「なんであんな、殴れるんだよ…わけわかんねぇよッ! 」
迫る拳を、捉えることさえできなかった。
気づいた時にはもう遅かった。いや、気づいたのは殴られ気絶し目を覚ました時だ。
気づいた時には、ただひたすらに顔が痛かった。
「ぐ……ッ! ううう……! 」
奴の顔を、声を、拳の強さを思い出し、治療されたはずの傷が痛みだす。
痛みで体が震える。
痛みで、
痛みで、
痛みで、
(そうだ…そうだ…これは、痛みだ。痛みで、震えているんだ。そうでなければならないんだ)
震えが止まらない。
殴られたのは初めてだった。
あんな痛みは初めてだった。
あんな目は、初めてだった。
ズキズキと、治ったはずの傷が痛む。心が、体が震える。
奴を思い出して、怒りと恨みを湧き上がらせるべきなのに、俺の心は震えて、そんな感情はこれっぽっちも湧いてこない。
(違う、違う、違う! そんなことがあるはずがない。俺が、俺が奴に恐怖を! ああ、駄目だ。間違っている! 俺は上級悪魔で、次期当主で! )
考えれば考えるほどに萎えていく。
思い出せば思い出すほどに萎んでいく。
認められない認めない。認めたくないはずなのに、俺の心はとっくに答えを出してしまっている。
(…………………俺はサイラオーグ・バアルに恐怖している)
震えは、痛みからくるものでも、ましてや戦意によるものでもなかった。
ただ俺は、奴に与えられた傷の痛みに、奴の拳に怯え、恐れ、震えていただけだった。
(こんなザマで、奴と相対することができるのか……? )
自問。
魔王様がおっしゃった若手悪魔同士のレーティングゲーム開催の件。俺が対するのは奴――サイラオーグ・バアルだった。
近いうちに奴と奴の眷属と戦わなければならない。
奴と戦う……。
俺にとっても奴にとっても初めてのゲーム。ルールは複雑なものにはならない。おそらく大した仕掛けのないガチンコのゲームになるはずだ。
奴の拳をまた受けることになるかもしれない。
ああ、だめだ、震えてきた。
「クソッ! クソッ! クソッッッ!
ブルってんじゃねぇぞゼファードル! 情けねえ! 情けねえ! ナメられていいのか! いいわけねぇだろうがクソがっっっ! 」
声を出す。
膝を叩く。
胸を張る。
上ずった声は聞こえないふり、
震える膝は見ないふり、
せめてめいっぱいの虚勢を張って叱咤する。
そうして誤魔化しても、頭の中の冷静な自分が弱音を吐く。
――どうせまた殴られる。
――どうせまた笑われる。
――俺じゃ当主なんて無理だ。
――分家の連中も親父も眷属もみんなそう思っている。
「うるさいうるさいうるさい!
……畜生。なんで死んじまったんだよ、兄貴…」
生まれた時から、俺には兄貴がいた。
出生率の低い悪魔では比較的珍しい十数年の年の差しかない兄弟だった。とはいっても年が離れていることに違いはなく、俺が生まれた時には兄貴はもう次期当主としての教育を受け、グラシャラボラス家を継ぐことが決まっていた。
子どもの頃の俺は兄貴を尊敬していた。兄貴は何でもできて、立派で……だから俺は兄貴にあこがれた。兄貴のようになりたかった。
だから俺は、頑張って頑張って頑張って。兄貴みたいになりたいと思って
。
「当主になる」と言ってしまった。子供心の、憧れから出た戯言だった。
親父は言った「お家騒動でも起こす気か」
兄貴は言った「ゼファードルはゼファードルのままでいればいい」
それから親父が教育係の類を俺からすべて取り上げた。
俺はグレた。
苛立ちのまま暴れ、怒りと本能のままに行動しグラシャラボラスの『凶児』と呼ばれたりもした。
親父は俺を完全にいないものとして扱った。
兄貴は何も言ってこなかった。
上級悪魔になって眷属を持てるようになった。
兄貴は有能な人間や神器所有者、異種族を眷属に迎えていた。
俺は兄貴の眷属が嫌いだった。俺と兄貴を見比べ比較するような気配が嫌いだった。奴らへの嫌悪感は俺の中でそのまま悪魔以外の種族への嫌悪感へと変わり、反発から俺はただ見目のいい下級・中級の悪魔を眷属に迎えた。
眷属たちを引き連れて領地を爆走したり酒を飲んだり女を呼んだり。月日は流れ、そろそろ家督を兄貴に譲るという話が出てきたころだった。
兄貴が死んだのは。
兄貴は「禍の団」とかいうテロリスト集団の、魔王様たちに負けて追いやられたという先代魔王の血を引くクズ共のせいで事故死したと、そう聞いた。
「ハァ? 」
それを聞いて、俺は訳が分からなくなった。
兄貴は俺が生まれた時からずっといた。兄貴は兄貴だった。
いつまでも兄貴は兄貴で、俺の前を歩き続けるものだと思っていた。
いなくなるなんて、死ぬなんて、そんなこと一度だって考えたことなかった。
――ゼファードル、お前が次期グラシャラボラス家当主だ。
久々に会った親父はそれだけ言うと目も合わせず足早に去っていった。
マナーだの教養だの今まで学ぶことも許されなかった貴族としての教育を諸々全部詰め込まれた。
俺は必死で頑張った。
でも、頑張れば頑張るほどに、兄貴との差に心が折れそうになった。兄貴はすごかった。そりゃあ上を見上げれば限りがないが、それでも学び始めの俺よりも、今の俺よりもよっぽど当主として仕事ができていた。
情けなさと焦燥と妬みが積もり積もっていった。
そして今日の失態。
「どうしてこうなるんだ……」
俺が悪い。そんなことはわかってる。でも、だからってあそこまですることないじゃないか。
あんなことをされてどうしろっていうんだ。
ああ、だめだ。また思考が巻き戻ってる。どんどん思考がネガティブになっていく。
グラシャラボラスの『凶児』なんて名ももはや何の意味もない。
そんな奴はどこにもいない。
「兄貴……俺じゃ無理だ……」
しゃくりあげそうになるのを必死でこらえる。
そんな情けない姿を、家の者に…眷属どもに見せるわけにはいかない。
「俺は、ナメられるわけにはいかないんだ」
どんなになっても俺はグラシャラボラス家の次期当主。
俺が舐められたらグラシャラボラス家が舐められる。
そうなればそれは他家の介入を許すことにつながる。
だから、ハリボテでも権威を示さなければならない。
胸を張れ、不敵な笑みで相手を威嚇しろ。
恐怖を、屈辱を、後悔を、涙を、怒りの仮面で蓋をしろ。
「やぁ」
そう決意を新たに、前を向いた俺の前にそいつは突然現れた。
「こんばんは、いい夜だね」
正体不明のそいつは安っぽい蛾のマスクで顔を隠し、にやにやとした笑みで俺を見下していた。
「自分は『藤代九朗』今日は君にイイ話を持ってきたんだ。聞いてくれるかな? 」
俺はむかつく笑みの蛾男に一切の躊躇なく拳を叩き込んだ。
「今よ! 」
「――ハァッ! 」
私――サイラオーグ眷属『女王』クイーシャ・アバドン――が生み出した『
「――! 」
引き裂かれたような断末魔とともに怪物は絶命し小規模の爆発とともに消滅する。
「これで何体目だ」
「少なくとも二十体は…眷属全員が倒した数を足せばいくらになるのでしょうね」
ベルーガの問いにため息とともに答え、残りの怪物と今なお戦っている仲間たちの様子をうかがう。
「どうする。サイラオーグ様に万が一があるとは思えんがこの異常事態だ。すぐにでも加勢に向かいたいところだが――ッ! 」
「ええ、そうですね」
ベルーガが弾き飛ばした怪物を『
「強さはさほどではないがやはり数が問題だ。我らが束になっても殲滅には時間がかかる」
「わかっています。ですがこの数を消し飛ばし突破すれば消耗も大きなものとなるでしょう。力をなくした援軍など何の役にも立ちません」
むしろ足手まといに――と考えたところで頭を振って小心を追い出す。
「サイラオーグなら問題はありません。映像でも傷一つつけられてはいなかったでしょう」
「それはそうだがな」
「運営がこのまま手をこまねいているとも思えません。リタイアシステムが復旧すればこの騒動も終わるでしょう」
そう口に出しては見たものの、私もことはそう簡単に進んではいないと思い始めていた。
私たちがフィールドの控室でゼファードル・グラシャラボラスの狂態を目撃し、サイラオーグの元へ向かおうとした私たちの前に突然現れた怪物たちの群れ。
怪物とはいえこれだけの数をゼファードル一人が用意できるとは思えないし、むしろあの様子からゼファードルは洗脳され利用されているだけと考えられる。
この事件の裏には仮にも上級悪魔であるゼファードルを操り、冥界に攻撃を仕掛ける何者かがいる。その何者かは現ベルゼブブであるアジュカ様の構築したシステムに介入し、一時でもそれを機能不全にするだけの技術を持ち合わせている。
戦い始めて十数分、状況が好転することもなく、また敵を打倒したサイラオーグがやってくることもない。
敵を倒したなら、我らが主はすぐにでも私たちのもとに駆け付けるはずだ。サイラオーグはそういう男だ。
それがないということはまだ戦いは終わっていないということ。
「………」
考えながら戦っている内に敵――白くて丸っこい怪物――の数が随分と減った。初め広大なフィールドの一区画を埋め尽くさんばかりにうじゃうじゃとひしめいていた彼らだったが今はもう数十体まで数を減らしていた。
ちら、といつの間にか広範囲に散ってしまった仲間たちの戦況に思いをはせる。
(皆は無事かしら……いえ、今はそれよりも)
「…………」
『兵士』として登録されている自立稼働する神滅具、少年としての姿を保ったまま拳撃や蹴りで敵を狩るレグルス。
「レグルス! 」
『なんだ』
「ここは私たちが引き受けるわ。だからあなたはサイラオーグ様のもとに行って」
私の要求にレグルスは大丈夫かというような目を向けてきたのでベルーガと私は心配いらないと頷いてみせる。
『敵を倒し、すぐに戻る! 』
そう言い残して敵の群れを吹き飛ばし彼はサイラオーグの元へ駆けていった。
「……よかったのか」
「なんのことかしら? 」
「お前のほうがサイラオーグ様の救援に――」
「そんなことよりも」
ベルーガの言葉を遮り、『
「敵の殲滅が先です」
「ああ、わかった。怪物共にサイラオーグ・バアルの眷属の力を思い知らせてやるとしよう!」
激突。断末魔。爆発。
怪物退治はまだ終わらない。
「もう止せ」
ガシャンという音。
「う、るせ…ぇ……! 」
男が二人。
一人は鎧を着て剣を杖代わりに、なんとか立ち上がろうともがいてる。
一人は寸鉄を帯びぬ拳士の装いで、油断なく佇みつつ、眼前の鎧武者に憐みの視線を送っている。
「うぐっ……! ガァァァッ……! 」
ガシャンという音。
片手
彼は地に伏せもがき苦しんでいる。
「勝負はついた。早くその鎧を脱げ」
「……っ! ふざっ…けるな! 俺はまだ負けてねぇ! 俺はおまえを倒して……テロリストどもを全員ぶっ潰して、俺は冥界の悪魔たちの救世主になるんだ! 」
二人の戦いは、最初はセファードルが変身したアーマードライダーセイヴァー有利に進んでいた。未知の力を警戒するサイラオーグは防御に徹し、その隙を突きセイヴァーが攻めに攻めていたのである。
しかししばらくすると、セイヴァーの様子がおかしくなった。苦しみだし、動きに勢いがなくなったのだ。そうして攻守は逆転し、そして現在。
「うぁ……ああ……ぐっ……」
「……わかった。そのままでいい。俺が脱がしてやる」
ゆっくり屈み、ベルトに触れようとするサイラオーグ。
「おおお俺に近づくなァッ! うぐッ! …アァア! ぐぎっガァ! 」
すでに動く体力が残っていない体で、無理やり飛び起き距離をとるセイヴァー。
ぐらぐら揺れ、片膝をついて、それでも。
「負けない、負けてない。俺はまだたっ! 戦え、るっ! 」
不屈とはいいがたい、見苦しさでサイラオーグを見上げる。
しかし、その諦めの悪さとは関係なく、タイムリミットが迫っていた。
「ゼファードル……」
「うぉおおおおおお!! 」
咆哮とともにカッティングブレードを操作。
「…………」
「は? おい、くそ、おい! 」
硬直し、視線を落として腰に巻かれた戦極ドライバーをガシャガシャといじくるセイヴァー。
しかしベルトが反応しない。
「くそっ! どうなってんだ! 」
「ゼファードル、もう止めにするんだ。その武器がなんなのかはわからないが、それが壊れてしまっては……もう戦いにならない。お前もわかっているだろう」
「うるせぇ! ――くそっ!くそっ!くそっ! 倒さなきゃならない奴が、目の前にいるのに! 俺が倒さなきゃならねぇのに! 」
諦めきれないセイヴァーが遂にはベルトを叩き始めるもののうんともすんとも反応しない。
サイラオーグがもう終わりにしようと、近づき始めた瞬間、ベルトから――正確には禁断のリンゴロックシードから――稲妻が走る。
「ぐぁ! ――――。あぁ、あああ、ああ」
「ゼファードル! ……っく! 」
セイヴァーから膨大な魔力の波動が放たれた。それは鍛え上げたサイラオーグの筋肉をもってしても近づくことができないほどの強さであり、その勢いはまるで消える寸前の蝋燭の炎のようだった。
「あ、あ、あ―――――サイラ、オーグ。俺を、助け 」
「ゼファードルッッ!! 」
――――バチィ!
白い閃光とともにアーマードライダーセイヴァーは消滅した。
残されたのは戦極ドライバーと、ザクロロックシード・禁断のリンゴロックシード。
グラシャラボラス家次期当主ゼファードル・グラシャラボラスの肉体は消滅し、魂は昇天した。
しかし彼に死は訪れることはない。
一度死に、死を超越し、再び現世に舞い戻る。
それが救世主。
たとえそれが、操り人形であったとしても。
原作:DX.4のサイラオーグvs曹操で「スタミナが」とか「足腰が」とか言ってるのがありましたが―――「いや、そりゃ悪魔と人間の種族差でそりゃそうでは? 」と野暮なことを考えてしまう私です。昔、11巻ラストの『最高の赤龍帝』では涙をガチで流してたんだけどなぁ……いつから細かいことはいいんだよで読めなくなったのか……(二次創作のアンチ系で納得&共感することが多くてなぁ)
書きたいことはかけたかな。満足!
☆『藤代九朗』
本作品の裏主人公(?)
その正体は人工
現在は融合を解き“禍の団”で一派閥の頭目をしている。身を寄せている理由は武装製作用の資金と資材確保のため。
兵藤一誠に擬態している“現実世界の藤代九朗”とは違い、いい人を演じる理由がないため、思う存分本性を発散している。
偶に入れ替わっているが同一人物であり融合により記憶の継承は行っているため誰からも気づかれてはいない。(連れ去ったのは“鏡の”。改造したのは“現実の”)
力をふるうのは楽しい。
他人を怯えさせ、嬲るのは楽しい。
さっきまで笑っていた奴が絶望に顔を歪ませるのは楽しい。
愛情とか友情とか努力とか決意とか、そういうものを踏みにじってめちゃくちゃにするのは楽しい。
楽しいことだけやって生きたい。我慢をしたくない。衝動と欲望に忠実な怪物でいたい。
そんなとても迷惑な存在なのだ。