アズールレーン ―あの素晴らしい海をもう一度、です― 作:ブロックONE
注目ポイント:ジャベリン
ジャベリンは綾波とハロウィンパーティーの準備をしている母港を回り、ジャベリンの衣装のヒント探しを手伝う。
一通り見回った後。
それでも中々考えが定まっていかないジャベリン。そこで綾波がこう切り出した。
「衣装はどんなのが良いのです?」
「うーん、派手にアピールできてー」
「ほう…それで?」
「それで、思い出に残る様なものが、良いよねーって」
「ほほ~、です……アピール、思い出に残る…露出とかは?」
「やっぱり欲しいよね…うん…指揮官の目を釘付けに!」
すると、グナイゼナウが通り掛かる。
かなり大胆なデザインの服。
「うわーグナイゼナウさん、すごいのです…」
その出で立ちはまるでサキュバス。
きっと指揮官の皆は心と目を奪われる事だろう。
「セクシーですね…」
「あら!かわいい魔女さんですね?ロイヤルのジャベリンちゃんもご一緒?」
「そうなのです。ジャベリンの衣装をどうするか迷ってまして。あの、参考にしても良いのです?」
「あ、綾波ちゃん…グナイゼナウさんに悪いよぉ…! 」
「構いませんよ。私ので参考になるならば、是非とも。ふふふ!」
参考にする許諾は取れた。
綾波の頭の中には、『目立つ』、『思い出』、そして、グナイゼナウから貰った『セクシーさ(露出)』の三つが揃っていた。
科学部の夕張も、綾波から聞いて、一緒に相談に乗って貰っていた。きっと科学的な観点から指揮官の目を向けられる筈、と。どう見てもグナイゼナウを参考にするどころか上回るものをやろうという感が否めない気もしなくはない。
しかし、あの三つの要素でも、なにかが足りないと感じる。
そんな時である。
台風速報が食堂の備え付けのテレビに表示された。
「台風かぁ…」
「台風なのです…」
「台風…予報だとこの台風は母港に直撃することは無いみたいだけど大荒れしそう…」
その時、夕張の目からハイライトが消えた。
「…っ!」
「夕張ちゃん?」
「どうしたのです?」
「ひらめいたっ!」
その後、夕張は科学部の部屋に連れていった。
そして、来るべきハロウィンパーティーの日がやって来た。昼間は何時もの業務と共に嵐の前の静けさがあった。風は強め。
そしてそして、夜の時間がやって来た。
重桜にあるどこぞのスクランブル交差点みたいには混雑はしていないものの、お菓子が大好きな駆逐艦たちに、エディンバラが手作りのお菓子を配ったり、もしかしなくても綾波を始め指揮官にお菓子を貰おうと執務室に特殊部隊よろしくダイナミックエントリーをしようとする艦船も現れ、ニーミに阻止される等、お祭り騒ぎ。
科学部の暗躍で幽霊騒ぎが起こり、魔女に扮したベイリーと長良とネルソンの三名が巻き込まれ、アバークロンビーがフッドをおばさん呼ばわりし、フッド本人にツッコミを食らったり…
「賑やかですね~指揮官~」
Z23(ニーミ)は指揮官の執務を手伝う。おまけに、綾波と悪ノリしたラフィーたちもお菓子を渡す変わりに手伝わされていた。
「そう言えば、ジャベリンは?」
「はい、ジャベリンは準備のため、別行動なのです。」
「……手が込んでるの?」
「はい。これはきっと思い出に残るのですっ」
「へぇ、どんな衣装なんだろう…?」
指揮官は珍しいと思い、カップのコーヒーを一口。
「そろそろ始まると思うのです。講堂に集合とのことです」
「始まる?」
すると、母港の大講堂に艦船達が集結しているのが窓から見えた。どうやら今回は仮装していない艦船達もいる。指揮官たちも向かうことに。
講堂に設置された4Kのスクリーンには、カウントダウンが始まっている。
そう言えばジャベリンの姿がない事が唯一の気掛かり。ハロウィンパーティー中にジャベリンの姿を見た艦船は居ない。一部の艦船たちも足りないことに気づく。
嫌な予感が過った。
カウントダウンが終り、上映が始まる。
すると、雨はふってはいないものの、強風と波風荒れる海が映された。
画面右上には『LIVE』の四文字が出ている。それに続いて、海面が光度の高いライトに照らされた。母港が映っていることから、上空からの映像。
すると、照らされた中心に近付くと軽快な音楽が鳴り出す。中心に迫るとカメラが回っているのか、幾つかの撮影機材と、見当たらなかった機材を真剣な顔つきで使用している艦船達が映り込んだ。
その中心には……
『Yo! say!夏が胸を刺激する___』
この瞬間、艦船たちは驚愕の声を上げた。
そう、中心にはオレンジの星形の足場の上で、強風を真っ向から受けながら躍り歌う、黒いガムテープを格子状に巻いたような衣装のジャベリンの姿が大々的に映し出された…!!
「何してんのあの子!?」
「ジャベリン、大胆…」
「見事なT○Rなのですっ!」
驚くニーミ。
感心するラフィー。
ガッツポーズしている綾波。
他の艦船たちも衝撃の声を上げる者が続出。
アバークロンビーや魔女っ子仮装の艦船たちは唖然。
何故か嬉しそうにハミングするグナイゼナウ。
これでもかと言うくらいの強風の中、髪が激しく揺れても抗うかのごとく躍り歌うジャベリン。
その衝撃の光景を呆然と見ている指揮官。
『誤魔化しきかない 薄着の曲線は 確信犯のしなやかなstyle__』
それは薄着っていうレベルではない。しかも、心まで脱がされるといっても、それ脱いだら全裸だろお前、と思う艦船たち。
『___真夏は不祥事も 君次第で__』
下手すれば強風で不祥事どころかジャベリンもろとも吹っ飛び兼ねない。
止めないと下手する色々と不味いことになりそうなのだが、この場ではだれもそんな事まで考えられなかった。
こんな状態になるのは初めて生でセイレーンと対峙したとき以来だろうか。
いやセイレーンでもこれには驚きを……
「~♪」
なぜオブザーバーが撮影クルーに混じって楽しげにしているのか。
これはもしや、認識覚醒したKAN-SENの力なのだろうか。
そうであってほしくはない。
しかし、勇猛果敢かつ強風をもろともしない様を見るとそれの可能性も否めないのは何故か。
『__本物の恋ができそうかい?』
ドボーン!と、直後に海面が爆発し、足場の四方の海面に大きな水柱が上がった。
ニーミは驚いたまま。
「ワンコーラス歌いきったのです!」
「さっきの爆発、お魚さんも吹っ飛でて草」
「ジャベリンちゃん…!?」
目を見開き、ジャベリンを見詰めるユニコーン。純粋無垢な瞳に、今のジャベリンはどう映っているのだろうか。
しかし、リズムを掴んだのか他の艦船たちと体が左右に揺れている。
「夕張、これはどういうことにゃ!!?」
「ふっふっふ…これぞ、ニシカワノアニキ作戦!」
『_ネタにかまけて ハロウィンやるのも シキカン的にもオールオッケー!』
その瞬間、艦船たちが指揮官の方を見た。
いやいや、そこまでオールオッケーなんてしてないからな!?と驚き、苦笑いしながら手を横に降る指揮官。
「私もあれやりたかったなぁ…」
「アネキ…!?」
どこのクリーブランド級だろうか。
「何だこれは…たまげたなぁ…」
エンタープライズも感心している。
注目を一気にかっさらったジャベリンのLIVE映像は、突然ワケわからない所に産み落とされた小鹿みたいなポーズを取って幕を閉じた。
「ジャベリン、一気にスターの道をかけ上ったのです!」
「かっこよかった」
「こっ…っ…これはどういうことですか!?」
と、主人公組はコメント。
尚、各勢力の艦船たちもこのようにコメントしている。
流石に私でもこれは出来ないわ……!!(ロイヤル 装甲空母V)
ジャベリンさんから力<†フォース†>が伝わって、今でも竜巻<†トルネイド†>が巻き起こってます!(ロイヤル 重巡洋艦Y)
その発想はなかった。(鉄血 戦艦B)
これが正しく発想の転換ですね!(鉄血 戦艦G)
まだまだこの世界の全て憎むには早いのかもしれない(鉄血 空母G.Z)
勲章ものよ!(ロイヤル 陛下)
お待ちください陛下!?(ロイヤル 戦艦W)
私も今度やってみようと思った。(重桜 正規空母K)
私たちの世界でも追い付けないセンス(不明 セイレーンO)
翌日。
「大成功だったのです。ジャベリン」
「そう、だね……」
「すごかった」
「下手すると危険ですよこれ!?」
「さあ、次は重桜にある例のスクランブル交差点で公演なのです!」
「え、行くの!?」
「スクランブル交差点は草」
「お待ちなさーいッッ!!」
尚、ハロウィンパーティー後の母港内における仮装大賞では参加していないのにも関わらず、ぶっちぎりの優勝を果たし、新たな伝説の1ページを刻んだジャベリンだったとさ。
「あの足場みたいなの、何だったのにゃ?」
「試作の艤装。試すには良いかもと思って……」
一方で、夕張は明石の問いに対し、そう答えたそうな。
「そう言えば、『μ兵装』というのを今度実施するのにゃ…」
「へーそうですk…いっだぁ!?」
「無理してボケなくて良いにゃ…」
『ハロウィン、です』end.
閲覧ありがとうございました。
ハロウィン編は終わりです。
ジャベリンは特殊な訓練と夕張が開発した艤装により安全を確保してますので、良い子も悪い子も危険なので真似は厳禁です…やるなら安全で迷惑のかからない広いところで扇風機を使いましょう…(˘ω˘)
そんなこんなで、ジャベリンに衝撃を感じた指揮官様がいらっしゃいましたら、是非ともお気に入り登録や感想、投票をよろしくお願いしますm(__)m
では、また筆が走り終えたら投稿して参ります。
by筆者
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