アズールレーン ―あの素晴らしい海をもう一度、です―   作:ブロックONE

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あの海カート二回目。今回は綾波、ジャベリン、ラフィーたちレギュラーが、その意地を見せられるのかにご注目。


あの海カート、です。 #2

重桜領内。

 

「さあ、今回もここ、APJ(オートパラダイス・ジュウオウ)からお送りしております。『あの海カート』!実況のZ23です!」

 

 

桜舞うAPJ。天気は快晴。

 

 

「明石にゃ。今回は晴れて解説に任命されたにゃ」

 

「よろしくお願いします!」

「よろしくお願いしますにゃ~」

 

「ということで、早速、選手たちに登場していただきましょう!どうぞ!」

 

………………………………

 

「あれれ?好みの女の子が走るってわかってどうしたらいいかわからないって顔してる!…あ…順番逆だけど、今日も元気なジャベリンですっ!」

 

「はい!幅寄せしたくなるランキングぶっちぎり、お馴染みのジャベリン選手で~す!」

 

「この前2位でした。今回は1位取ります!……って幅寄せしたくなるランキングってあんまり嬉しくないような!?…あ、がんばりまーす!」

 

………………………………

 

「ラフィー、昨日よく寝たから5馬力くらい上がってる。この前ビリだったから頑張るっ」

 

 

「これってぶっちぎり宣言でしょうか!ウサミミ界最速レーサー、ラフィー選手です!」

 

 

「いえーい」

 

 

………………………………

 

 

「綾波です。前回は作戦失敗に終りましたが、今回は小細工はしないのです。番狂わせマジ卍、です」

 

 

「前回は3位という結果でしたが、今回はサーキットの鬼神となるか?今回は大人しめの登場!綾波選手!」

 

 

「応援よろしくなのです」

 

 

 

………………………………

 

 

「という事で、今回伝説のレーサーを三名ご招待しました!」

 

「「「おおお!」」」

 

 

「マジでにゃ!?」

 

 

「それではどうぞっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっふっふ!このユキ・ラウダ様がレースに出ればどんなのが相手でもぶっちぎりなのだ!」

 

 

 

「ふふん!このシーグレ・ハントも参戦するわよ!」

 

 

 

「伝説の戦い再び!?…雪風選手、時雨選手、呉の雪風、佐世保の時雨、まさにラウダとハントを彷彿させますね!そして、もう一人!」

 

「えーっと、ユウ・ダチベルグだぞ」

 

 

「そんな二人に無理矢理合わせて登場!夕立選手です!」

 

 

拍手。

 

 

「しかし夕立、名前が無理矢理過ぎるのです」

 

「しょうがないだろ!?対応しそうな名前無かったんだからな!往年には悪いが、ここで伝説作るぞ!」

 

 

 

 

 

そんなこんなで出場者は準備に取り掛かる。

 

 

「勝負よ雪風!ここで決着つけてやるわ!」

 

「望むところなのだ!」

 

 

時雨雪風対決の火蓋が切って落とされ、それを生暖かい目で見守る夕立。

 

 

………………………………

 

えー実況のZ23です

 

タイムアタック予選結果が出ました。

 

ポールポジション:綾波

2位:ラフィー

3位:夕立

4位:ジャベリン

5位:時雨

6位:雪風

 

 

となりました。

 

レギュラーそっちのけで時雨雪風の争いです。

 

なんと時雨選手がタイムで雪風を上回りましたね?

 

「他のみんなは近差でも速いにゃ。中でも綾波はポールをゲットにゃ。時間ギリギリの最後のアタックでは確りと自己ベストを更新してラフィーと夕立を振り切ってみせたのにゃ」

 

 

ああ見えて、ちゃんと集中してやれば恐ろしく出きる子なんです…。

 

因みにですが、綾波は実は先ほど、ゲストにもレギュラーにも気心知れてる方がいる分、複雑な気持ちだと話していました。

 

「あーたしかに…どちらの肩も持てない分下手すると双方から嫌われる可能性もあるにゃ…」

 

決勝に対しては、予選の結果で察してほしいとのことです。

 

 

「なるほど…にしても、そんな心理状態でもタイムを叩き出しているにゃ。これはもう何もかも開き直って、今回は一人勝ちするっていう意思表示のつもりかにゃ?」

 

なるほど……これはレース二回目にして、鬼神の真髄を発揮してくれることを期待しましょう…!

 

「そうだにゃ…プラスに、にゃ。そうしてあげようにゃ」

 

 

………………

 

【レース開始、序盤】

 

 

さあ、綾波選手を筆頭に一斉に第一コーナーへ飛び込みました。

 

「好調なスタートにゃ。クリーンに終わることを祈るにゃ」

 

前回は途中からキックボード大会になってましたものねぇ…

 

「読んでる人きっとこう思ってるにゃ。『原動機を信じろ』って!」

 

 

その結果が、三笠大先輩の逆転勝利に繋がったわけですねwww

 

 

「三笠は最後まで信じてたということになるにゃ」

 

 

さあ、順位は不動のままコントロールライン通過。

 

 

ってあれ!?綾波選手がエンジンの方に一瞬手を回してますね?

 

 

 

 

「スローで見ると…綾波のやつ、さりげにキャブ調整用のHIニードルをいじくっていたにゃ…ルール上は問題ないにゃ。これは、LOニードルが直接触れられるやつが付いてないモデルなのが証拠にゃ。実際はLOニードルいじるとルール違反にゃ…」

 

 

 

うっわぁ…綾波選手はどこでそんなの知ったのでしょうか……。

 

 

「多分…ロングアイランドと調べたか、筆者か指揮官からの入れ知恵にゃ」

 

 

登場人物は書いてる人の影響を受けると…怖いですね…

 

 

(さあ、このままぶっちぎってやるですっ)

 

 

そして、ここで時雨選手と雪風選手がサイドバイサイド。

 

ラフィー選手、夕立選手、ジャベリン選手は様子見でしょうか?

 

 

「この状況だと下手に動けないにゃ。こうなると、トップの綾波に引っ張ってもらうのが案配にゃ」

 

 

なるほど…うしろの時雨選手と雪風選手を巻き込んでしまうと?

 

「そうにゃ。特に後ろの二人の勝負が加熱する前に綾波と並ばなきゃ、最悪前に出られたらフィニッシュまで塞がれてしまうかもしれないにゃ」

 

 

それは展開的に見てみたい気もしますが、レギュラーが簡単に負け続けては企画が台無しですもの!

 

 

 

 

 

………………………………

 

【レース中盤】

 

 

さあ、中盤戦です。タイヤと体力が今回心配されます。トップの綾波選手ペースを崩さない。しかし、タイヤが持つかどうか。

 

 

「そこはポイントにゃ。でも引っ張ってもらってる後続もかなりキツキツな感じするにゃ。雪風と時雨がそれでも食いついてるにゃ」

 

もしかしたら、追い上げてくるかも?今ジャベリン選手を雪風選手がパスしましたね。

 

「今回ペースが早いってのもあるにゃ…決してジャベリンが遅いわけではないからジャベリンファンは安心してにゃ」

 

 

現在順位がですね、綾波が1位。

 

そのすぐ後ろに二位の夕立選手。

 

更にラフィー選手が三位。

 

雪風選手が四位浮上です。

 

ジャベリン選手が更にすぐ後ろ、五位ですね。

 

6位の時雨選手はジャベリン選手のすぐ後ろです。スリップについてます。

 

 

 

(んぬぅぅ~…あああっ!?滑ったです!?)

 

(よし、もらい)

 

(悪いな綾波ぃ!)

 

 

おっと!?綾波選手がテールスライドで失速!ラフィー選手と夕立選手が前に出た!

 

 

「あらー綾波失速にゃ…でもまだわからないにゃ」

 

 

そうですね。やる時はやってくれますから。

 

 

「それが、この前みたいなキックボードみたいにならないのを祈るばかりにゃ」

 

 

それは確かに。あれはひどかったですね。最終のオチであれをやられたらレースどころじゃないですね。しかも最終ラップでですよ!?

 

 

「普通に考えたらあれは審議ものにゃ!」

 

 

 

 

(後ろ速いなぁ…そろそろペースを上げてかないとダメかも…!)

 

 

(へへん!ここはこの私、時雨が勝つわよ!あとは前方に…)

 

 

(まだ終わってないのだ!雪風様を舐めるな~!)

 

 

 

ジャベリン選手が…時雨選手のインを突きました!

 

「おお、結構綺麗に入ってるにゃ!」

 

 

そして、ジャベリン選手、綾波選手のスリップに入りました。綾波選手はまだペースが完璧に戻らない!でもしっかりとブロックラインに入る…!

 

 

 

 

(おおお、綾波ちゃん!)

 

(ジャベリンが来てるです!)

 

 

 

 

 

綾波選手、ブレーキングでラフィー選手と夕立選手に詰める!おっ、おっとインリフトだ!綾波選手、大きくインリフトしてるううう!浮いているぅぅぅ!ジャベリン選手も同タイミングで突っ込むうう!!

 

 

 

 

「一瞬だから分かりにくかったけど、よく見るとしっかりタイヤが浮いてるにゃ」

 

 

 

※インリフト※

ざっくり説明すると、コーナーに突っ込んだ時にコーナー内側のリアタイヤが浮くこと。

 

 

 

(んぬううう!!届けです~っ!)

 

(前に行きますよー!)

 

 

 

二回目にしてちゃんとレースっぽくなってますよ!

 

って…これってアズールレーンでしたよね!?

 

 

 

「これはもう、普通にレーシングカート小説にゃ!」

 

 

 

ジャベリン選手、綾波選手と並ぶ!おーっと、綾波選手が前だ!雪風選手と時雨選手もそれに続いていく!ラフィー選手と夕立選手に迫るうう!!

 

 

「めっちゃ熱いにゃ!!」

 

 

 

 

 

 

そして、レースはここから終盤戦へと向かっていきます!

 

 

 

………………………………

 

【レース終盤】

 

さあレースはついに終盤です!ここから何が起こるのか…予測つきません

 

「もう無事にレースが終わってくれてほしいにゃ」

 

 

同感ですね…。

 

おっと、雪風選手が漁夫の利か!?

 

(そこ、いただくのだ!)

 

「綾波の前に出ようとしてるにゃ!」

 

 

綾波選手、姿勢を低くしてストレートスピードを稼ぐ!

 

「これも指揮官たちからの入れ知恵かにゃ?」

 

 

 

おおーっと!綾波選手が前に出ました!現在二位に浮上!!トップのラフィー選手に迫る!あ、ならんだああ!!?

 

 

「見せてくれるにゃ!」

 

 

ジャベリン選手も続いて三位!!

 

 

「夕立、ちょっと突っ込みすぎたにゃ」

 

 

(うわーまじかー!?)

 

 

(綾波、プレッシャーすごい)

 

(今日は勝つのです…!!)

 

(負けないよー!ジャベリンは最後まで諦めませんからっ!)

 

 

 

 

おおー!やっとレギュラーが真面目にレースやっているぅぅぅ!!

 

 

「ゲストの雪風たちもすぐ後ろにゃ!KAN-SEN同士のネタレースのつもりが、本物のSAFのレースを見てるみたいにゃ!!」

 

 

 

カーターの皆さんごめんなさああい!(詫)

 

 

 

さて、レースはいよいよ!ファイナルラップ!

 

 

(ラフィーまであとちょっと…あとちょっと…です!)

 

(ラフィーはもう逃げる)

 

(ここは最終コーナーまで…!)

 

 

(これは優勝は無理なのだ…!)

 

(こうなれば雪風との勝負になるわ!)

 

(最後までわかんねえぞ!?まだ諦めてないからな!)

 

 

 

 

「皆きっとスゴい顔してるにゃ…」

 

そうですねぇ…

 

やっと、真面目にレースをやってくれてますから…えぇ…

 

 

今回は綾波選手が一位…

 

 

あれえええ!?

 

 

 

 

 

「皆煙吹いてるにゃ!?」

 

 

 

(あれ?なんか臭いのです…)

(け…煙い!?)

(モクモクしてる)

 

(くっさ!?)

(焦げ臭い?)

 

(あれ、皆どうしたのだ!?)

 

 

な、なんと!!

 

雪風選手を除く全員が失速~!煙を吹いてる~! そして、失速の末に停止したー!!綾波選手、ラフィー選手を追い抜くもエンジンから煙を吹くううう!!

 

 

 

「焼き付きかにゃ?」

 

 

(ふっふっふー!雪風様がトップでフィニッシュを飾るのだ!)

 

 

 

(うわ、まじかです!?こうなれば…)

 

 

おや、綾波選手、体を揺らして…動かしてます!

 

 

「執着心強すぎにゃ!!」

 

動かなくなったため、マシンを降りたジャベリン選手たちが笑っている

 

 

「綾波ちゃん!嘘でしょ!?」

「粘り強い」

 

 

 

雪風選手と綾波選手。差が詰まってくる!諦めるな二人とも!!

 

 

「おおおお!」

 

 

 

ここで、フィニッシュううううう!!!

 

 

 

 

 

「同着にゃ!?」

 

 

二人ともどうしたら良いかわからないって顔してます!

 

 

というわけで、スローで確認しましょう!

 

 

 

 

 

……。

 

「……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい!確認が終わりました。

 

 

二人ともカートから降りまして、コースオフィシャルの誘導で安全エリアに移動しております。

 

 

 

 

今回の第二回あの海カート、優勝は綾波選手ー!

 

 

 

 

「びくとりー、です!」

 

 

「良いレースだったのだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

………………………

 

 

 

「綾波、おめでとう」

「綾波ちゃんおめでとう!」

「二人ともすごかったわ!」

「拍手だ!感動したぞ!」

 

 

「良い最終回だったにゃ…」

「まだ最終回じゃないですからね!?」

 

「遂に、やったので…すっ…っ…」

 

(綾)嬉涙。

 

「あ~綾波ちゃん泣かないでぇ~」

 

「鬼神の目にも涙です…っ……」

 

「見事な走りでしたよ、綾波!さあ、涙を拭いて?」

 

 

「次は負けないのだ!」

 

「凄く白熱したわ!」

 

「楽しかったぜ!次こそ勝つ!」

 

「はい!雪風、時雨、夕立。また次の機会に来てくださいです…!」

 

 

 

出演者とスタッフ、全員が感動に包まれる。そこに、様子を見に来た三笠大先輩たちも出場した艦船たちに称賛を送り、大団円で第二回大会は幕を閉じたのだった……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued.

 

 




閲覧ありがとうございました。

今回は、綾波が見事レギュラーの維持を見せつけました。雪風も二位ではありますが、故障しなかった強運を見せました。



では、これを読んで、レーシングカートに興味を持たれた指揮官様や、雪風、時雨、夕立を入手した指揮官様がいらっしゃいましたら、是非ともお気に入り登録、ご感想、ご投票をよろしくお願いいたします。


※実際のレースとは異なる場合があります。実際にやる際は正しい知識を持ち、ルールとマナーを順守して走りましょう。おすすめはカートショップにて相談してみると無難です。筆者もかつてJAFライセンス取る前はそうしてました。

by筆者

突然ですが、次の中でまた見たいと思ったネタシリーズは?

  • 唐突なるオギノメヨウコ作戦
  • 加賀さんの疑問シリーズ
  • 三笠大先輩のミカラップ
  • あの海カート
  • オフニャの知らない世界

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