アズールレーン ―あの素晴らしい海をもう一度、です― 作:ブロックONE
加賀さんの疑問シリーズ単体では、このお話が2019年内における最後の回です。
母港・重桜寮舎。
クリスマスの片付けやら任務を終え、いよいよ今年も残すところ三日に迫るこの頃。
スケジュール的に其々が自分達の住まう寮舎にて大掃除に取り掛かるなどの動きが行われつつある。
が、いつ出撃や襲撃に逢っても良いように日頃からの整理整頓は欠かせず、殆どが綺麗になっている。
ぶっちゃけそこまでやることはない。年賀状は殆ど同じ寮舎に居るため書くことがない。
すると、加賀はふと思い、赤城を呼ぶ。
「姉様姉様(届かぬ想い)」
「めっちゃ届いてるわよ…それでどうしたの?」
「年越し云々って、一体何なのでしょうかね…」
赤城はその問いに対して、思わずポカーンとした。
「あれ?あの、姉様…?」
「あ、いえ、その…哲学的な事聞かれたもんだからね…」
何時もはどうでもいいような事を訪ねてきた事もあってか、
「そういう哲学♂的なではないのです。年末にやる行いについてですよ。ほら、大掃除やら年越しそばとか…」
「そりゃあ1年の溜まったものをしっかりと払い落とすために大掃除をするじゃないの。有事に備えて普段から綺麗にしてるから、殆どやること無かったけどね?明石の倉庫は凄かったみたいだけど…」
実は明石たちが作業しているところを艦載機越しに見ていた。倉庫は綾波たちが明石を手伝っていた。
「では、なぜ年越しそばを食べるのですかね?べつにうどんでもいいと思うんですけど」
「あーそれは確かに言えるわね…好みとか、もしくはご病気やアレルギーとか…色んな要因でお蕎麦がダメって方はうどんを選ぶ方もいるわよね」
赤城が言っているのは、持病等でそば粉が残留して腸にダメージを与えるため、食すのは控えろと医師から言われたりする場合。特にIBDやお腹回りだとそうである。
「でしょう?おまけに言い伝えでは、細く長くってありますよね、これは意味がわかりません。ぶっとくて長くて堅牢な方が良いなって願掛けにしては思うわけですよ」
「それはっ…か、加賀?どういう意味合いよそれ…」
「え?あっ…(察し)…姉様の創造力は果てしないな…これは…」
「やかましいわっ」
「では、大掃除が終わったそうだし、皆に聞いて参りましょう。ほらいくどー」
「え?あ、今行くわ!」
慌てて後を追う赤城。
……………
二航戦の部屋。
「そんな大掛かりなものは無かったですね~」
「そうね。埃を払うくらいかしら?」
「全ての和室で畳も新しく張り替えて、古いのは処分いたしましたから…」
イグサの香りがほとばしる。
「という訳で、その新しい畳でお送りする加賀さんの疑問、年内分最終回だぞ」
「お邪魔します~」
加賀と赤城がやって来た。
「この畳では最初で最後の、2019年最終回…」
「すごい記念よこれは!」
「あの…出直すわよ?このあたりでとっくに1000文字以上越えてるし…」
「ね、姉様!?ここで強制終了するんですか…!?」
「新しい畳をあんたの疑問で吹っ飛ばすわけにはいかないでしょ…!!」
「「いえ、是非っ」」
「良いってさ、姉様」
「ホントに?」
「「どうぞどうぞ!」」
「このあたり、落とし穴あったりして…」
「急に疑り深くなったわね…」
と冗談をまじらせつつ、かくかくしかじかと伝える。
「あー確かにそうですよね!長くは良いですけど、どうして細くする必要があるのかなって…」
「細い方が良い理由があるのでしょうか…」
「細くたって細いは細いで良いことだってあるわよ…」
「赤城姉様、貴女がいくら指揮官に対してフルスペ全開スケベなのは仕方ないでしょうけど、限度がありますよ?」
「誰が全開スケベよ!!?あんただってケダモノじゃないの!?つーか "フルスペ" って何よ!?」
「フルスペックの略です」
「何処がフルスペックよ!?」
「まぁまぁお二方…では、薄小さいのはどうなるのでしょうね?」
蒼龍の提案。
「軽くて持ち運びしやすそうですね?」
「願掛けがPSP並みのスケールっていうのも、中々質素だな…」
「スマホにぶっちぎりで負けてるわよ!?」
「持ち運びしやすくても、あれ無くすと中々見つからんよな…」
「利便性の話してないからね!?」
「ではでは、あえて細く短くっていうのはどうでしょう?長いと扱いに困る、無用の長物予防で!」
「短命で細いって、もうそれオワタ式よ!?むしろ生きるの諦めてないそれ!?」
赤城が鋭く突っ込む。
「あらぁ~?大掃除後に元気ですわねぇ先輩?」
「翔鶴と瑞鶴か…ちょうど良い。お前たちの方にも向かおうとしたところだ」
「掃除は終わらせた?」
「ええ、終わりましたよ~」
「事前にやっとくって良いですね~」
そして五航戦も交える。
「細く長くの意味ですか?私にはよくわからないですね…翔鶴姉はどう思う?」
「そうですねぇ…細く長く…うーん…でも、普通くらいの太さが一番良いかなーって細くてもすぐ途切れちゃうし…太過ぎても亀裂入ってボロボロになっちゃいますもの」
「ふむ…」
「確かにそうよね…うん…(意味合いがマトモなのか否かまではわからないけどね…)」
(ほっ…)
頷く加賀に胸を撫で下ろす翔鶴。
(脱がされずに済……………)
と赤城が安心したその次の瞬間。
「ぬうううん!!!」
加賀が翔鶴に飛び掛かった
「ええええ!?」
「翔鶴姉!!?」
「きゃっ…や、やめてください加賀先輩っ!?ぽ、ポロリと行っちゃいますから!?」
「年末でも脱がされちゃうの!?」
「スタッフ!急いで!ボカして!」
赤城が慌てて止めに入る。
…しばらくお待ち下さい…
「Oyomeni…ikenai…」
「翔鶴姉…」
翔鶴のTシャツには『緑のたぬき』と掛かれている
「何を騒いでおるのだ?」
長門と陸奥に江風がやって来た。どうやら大掃除が終わった後に翔鶴の悲鳴が聞こえてきたという。
『長門様…!』
「長門様…今年最後の脱がしが決まりました」
「決められちゃいましたぁ…oh…」
加賀がドヤる。
「そ、そうか…っていうか何の話だ?」
「はい、年越しそばの細く長くっていう意味についてです…」
「ふむ、細く長く…願掛けよのう。」
「なんで?なんで細く長くなの?」
陸奥はそう訊ねた。
「細く長くというのは、物事を地道に持続させる様を表しておる…反対語は太く短く…だ」
「短小で太いとどうなるのですか?」
「おい愚妹」
加賀が訊ねると、言葉運びに突っ込む赤城。
長門は顔を真っ赤にした。
「な…な…なんと…!?」
「長門姉、顔真っ赤~」
「加賀さん、どうかそこまでに…」
「何を想像したのです?あ、長門様も思春期…」
「年越し前になんてことを余に聞くのだ!?」
「ご安心下さい長門様、要約いたしますと、太く短くの意味を加賀は訊ねておりますので…」
「へ?そうか…」
赤城のフォローで心を落ち着ける。
「太く短く…やりたいことをして楽しく人生を過ごせるならば、長生きをしなくても良いという態度を表すのだ」
「つまり…ライフポイントを払って良いモンスターを召喚していくスタイルって事か…戦況弁えずやらかすと相手からの不測の一撃で命取りになりそうだ…」
「むしろ、風邪引いてるのに無理してカード屋で勝負に挑んで死にかけるデュエリストっていう方がイメージしやすいような気がするわね?」
『デュ、デュエルだぁ…ゲッホゲホッ…!』
『ハーミーズ、先ずはゆっくり休むの~!? 』
何故かハーミーズとロングアイランドに置き換えて想像する赤城。
「う、うむ…そういう考え方が近いかものう…」
「ねぇねぇ!お財布轟沈させて食を切り詰めるの覚悟で明石にダイヤとか買いにいく指揮官も太く短くっていうのかな?」
「太く短くというより、明石の押し売りに負けてる感じがするぞ、陸奥よ…」
………………
「では、除夜の鐘ってあるだろ?」
「あるわね。大晦日の夜ね」
「108回鳴らす意味ってあるのかって思うのだが」
「108回は、煩悩の数だって言われるわね」
「108も煩悩ってどんだけ入り交じってんだよって思うぞ…」
加賀の次なる疑問。
二航戦と五航戦、そして長門たちは、意味や言い伝えは知っていても、よく考えればどんなだよ…と思う点を感じていた。
諸説ありだが、仏教では、人間には『眼(げん)、耳(に)、鼻(び)、舌(ぜつ)、身(しん)』、そして第六感の『意(い)』という6つの感覚がある。『好(良)、悪、平』の3つ。さらには『浄(きれい)、染(きたない)』の2つに分類され、これをかけて、6×3×2=36個。
加えてこの営みが、「前世・今世・来世」。
つまりは『過去』『現在』『未来』の3つの時間軸に分けられるということで「36×3=108」。すなわち、108の煩悩。
「解説乙」
「加賀?壁を破るのはお止めなさいね…?」
「嫌らしい目で見て、鼻を利かせ、舌で舐め回し、体を束縛し…あっ、これ指揮官を前にした時の姉様じゃ!?」
「やかましいわっ!!要素が全部マイナスに作用してるじゃないの!!?」
「赤城…変な育ち方しちゃいましたね…」
「天城姉様!?またしれっと甦りましたの!?」
「いやほら、姉妹ではないですか…年末に備えて、ね?」
「天城…赤城たちが心配で来たのではなかろうな?」
「それもありますわね~」
「それって、死にきれないってやつ?」
「陸奥様…ズバリ仰有られましたか…」
「それも…ええ…」
「認めちゃったわね、天城姉様…」
「赤城…」
「あ、はい…」
「進展はありましたか?ん?」
『ええええ!?』
「天城さんが赤城姉様と指揮官の間柄を心配し出した!?」
「(進展は)ないです…」
「あらぁ…」
口許に手を当てる天城。
「そんな悲しいお顔なされないでくださいませ…」
「では私が」
「おいおい!?」
「冗談です♪」
胸を撫で下ろす赤城。
「そう言えば、天城からの疑問が一つ…」
「ふむ、申してみるがよい」
「それでは…」
天城は一呼吸置き…
「来年もやれるのですかね?『あの海』は…?」
その率直な疑問に全員真顔になる。
「確かに…そうだな」
「アニメは来年に持ち越しですし…」
二航戦と五航戦も頷いた。
「でしょ?」
「筆者にもリアルの都合上難しいこともあろうしな」
「更新はしてなくても、他の作品もちょこちょこ編集してるらしいね~」
「陸奥よ、ここでその言及は止しておくのだぞ…?世界戦吹き飛ぶからな…」
「あ、うん、そうだね!」
「アズールレーンの長編とかやらないのかしら?天城最強伝説!とか!」
「天城姉様…」
「加賀さんの疑問単体で連載とかな?」
「筆者のスケジュール次第によるでしょそれ…」
今のところ来年については未定です。 by筆者
「では、まぁ年の瀬を楽しく生きるとしよう」
長門が締め括る。
「来年も縁があれば加賀さんの疑問をよろしく頼むぞ!」
『よいお年を』
カメラに向かって声を揃える艦船たち。
重桜寮舎は平和であったとさ。
……………
『来年もやるか、もしくはやらないかってのが、先ず先決だと思うんですけど…(名推理)』
カミはそう突っ込んだとかなかったとか…
To be continued………?
閲覧ありがとうございました。
今年最後の加賀さんの疑問シリーズでした。
来年は未定です(オイ
また閃けば筆を執るかもしれません。
それでは、このお話をお読みになられた後、レア艦ドロップした指揮官様や、重桜の寮舎に癒しを感じた指揮官様、そして、コミケへお行きになられたり、大掃除を済まされた指揮官様がいらっしゃいましたら、是非ともお気に入り登録やご感想、ご投票をよろしくお願い申し上げます。
では、また筆が走り終えた頃に。
by筆者。
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