Lost Belt No.8 完了形極刀国 日の本 ※凍結中 作:冥土のメイド
初めて書くので至らない点も多いと思いますが、精進していきます。何卒よろしくお願いします
2015年、人理保証機関カルデアに所属する私、四季崎緋華含めたAチーム8人がレフ・ライノールによる爆弾で死んだ。凍結保存されたものの絶命していた私達に意味はなかった。
その後、異星の神とやらに蘇生されて選択を迫られた。生きるか死ぬか。
訳が分からなかった。自身が死んだこともそうだが、何よりも
私の人生は酷く平坦であった。歩んでいく道のりには一切邪魔なものはなく、躓くような凹凸もない。見渡すかぎりの予定調和。生きてきた17年間は大方
生まれは首までどっぷりと浸かった魔術師の家系。父が魔術師で母は普通の人だった。専門的な魔術は「未来を視る」といった限定的で、根源へのアプローチもあまりにも曖昧だった。父なんて「根源に至りたいなら未来で至った人の方法でもパクれば?」なんて言い出す始末。血の濃さは戦国時代初期からつづく600年そこそこらしいのだが、これでは何のために魔術を探究しているのかわからなかった。父は根源に興味がなかった。
そんな家に生まれた私は皮肉というべきか、生まれながらにして未来を視る目を備えていた。「予測の未来視」魔眼であり、超能力、異能に分類されている人類が捨てた機能の一つ。周りの環境を観測してそれらを元に未来を弾きだす力。私はこの力を意図的に使うことができた。勿論先の未来になればなるほど体への負担は大きくなるものだったが、こと未来視においては他の者に追随を許さないほどの家でもあったので父は嬉しそうに私に様々な魔術を施し、与えた。
そんな私は父にひとつの誓約をかけられた。それは「2016年以降の未来を視てはならない。」といったものだった。ゆえに、私は2016年以降の未来は見えない。理由は不明だったので疑問が残っていたが、父は「いつか分かるよ」といつも優しく私に微笑んだ。
母は本当に普通の人だった。父曰く運命だそうだ。心から母を愛したそうだが、確かに父と母は仲が良かった。母は私が小学生のころに不治の病で亡くなった。父は悲しみこそしたがそれだけだった、母の死ですら父には予定調和だった。未来を視る者はそうなる。と父は諦めを浮かべながら笑った。
母との思い出は多くない、元より体が悪かった母に病院へと会いに行く事が多かった。そんな中、私は母と一つだけ約束をした。でも今となっては思い出せない。
そして私が16歳のころ、その日また予定調和だった。
私は父の書斎へと向かう。呼ばれていたわけではないが、今日はそういう日だ。部屋は暖炉が焚かれいて暖かい。
「ほら、緋華。天体科のロードからの招待状だよ」
笑いつつ、手紙の中身も、差出人の名前も見ずに父は私にそれ放り投げた。仮にも時計塔のロードからの手紙なのだがぞんざいな扱いだ。
「お父さん、やっぱり私行かないと駄目なの?私、まだ研究を続けたいわ」
投げられた手紙を暖炉の火にくべながら、私は父に尋ねた。内容なんて数年前から知ってる。手紙を開く意味はない。
「仮にもロードの手紙なんだから開けなよ。扱いが雑だね。それにわかってるだろう緋華、大丈夫。大したことはないよ。死ぬことはまぁ、ないだろうし」
わかってはいたことだった。人理保証機関カルデア、端的に言えば人類の未来の保証をする場所。そこでこき使われる未来をとうに視ていた。
「何なら向こうで研究を続ければいいさ」
父は続けて言った。私は諦めながら、そのまま部屋を後にし、まとめていた荷物のチェックを始めた。どれだけあがいても行くことは避けられない。
うんざりするほど寒い中へと私は家から出る。
「じゃあ、行ってきます」
「あぁ、行ってらっしゃい。たまには帰っておいで」
「そんな未来、視てないくせによく言うわ」
冗談を交えながら、父に別れの挨拶をする。少なくとも、現時点で見えている未来において、これ以降父と会うことはない。
「いやいや、僕はいつでも君を見てるよ」
「はいはい、行ってきますね」
家を出る。さぁ、ここからが長い。頑張ろう。
「これ………の……か、………てるよ緋華」
ふと微かに聞こえた父の声に振り返る。そこにはいつもの優しく笑った父が変わらずいただけだった。
------interlude------
1998年8月07日、僕に娘が産まれた。こんな嬉しいことはない。僕と佳奈の娘、名前はひばな。漢字は佳奈が決める約束だ。名前に深い理由はない。ただ産まれたばかりの姿を見た時、そう娘を呼びたいと思ったのだ。ありがとう佳奈、今はゆっくり休んでね。
ひばなは、僕たち四季崎の大願を成就させる子だ。でも、そんなことはどうでもいい。ただささやかな幸せの中で生きてほしいと親として祈る。彼女の人生は彼女のものなのだから。
さすがは僕の娘だ!生まれながらにして、未来視の魔眼を持っている!それもわかってはいたが、やはり嬉しく思ってしまうのは親の性なのだろう。なによりたまらなく可愛い。天使のようだ!魔術についても多くのことを教えなければならないが今はまだいいだろう。娘といられる時間はそう長くない。家族の思い出をたくさん作りたいな、うん、こうしてはいられない!早速出掛けよう!
あっという間に緋華は6歳だ。明日は小学校の入学式、誰よりもかっこいい父でなければ!でもやっぱり佳奈と一緒に行きたかったな、体調はやはり優れないみたいだ。後2年と172日、それが佳奈といられる時間だ。もっと彼女の傍にいよう。
佳奈が死んだ。
君は、僕にとって光だった。未来が見える僕にとって、生きることはただの作業でしかなかった。決められた行動を繰り返すだけのロボットだった。けれど、今も覚えてる。高校2年の夏、終業式。君が僕にぶつかった時のことを。あり得なかった。その日も予定調和の未来を視ていた。誰かとぶつかる未来は何処にもなかったんだ。けれども僕たちはぶつかった。久しぶりの人とのふれあい。急いでいた君が恥ずかしそうにする姿を見て、運命だと思った。君が、君だけが、僕を人でいさせてくれるのだと。
それからは必死だったよ。君にアプローチし続けた。未来を視ることは決してしなかった。君に対しては人間でいたかったからね。君と結ばれて本当嬉しかった。どんなことをしてでも君を守ろうと誓った。その時だ。君との行く末を少しだけ覗き見した時、未来の僕の隣に君はいなかった。絶望した。君が死ぬ理由は訳のわからない病。納得できるわけがなかった。あらゆる可能性を模索した。色んな医学、科学、魔術ありとあらゆるコネも使った。厄介事もかかえこんだりもした。それでも君の死を覆す未来を視ることはできなかった。
僕が全てを打ちあけた時、君は言ったね。「世界一の幸せ者で死にたい」って。僕は君のその願いを全力で叶えようと思った。緋華と3人で思い出もいっぱい作ったね。遊園地でも公園でも家でも病院でもどんな場所でも。最後の時君は笑っていた。僕はうまく笑えなくて、くしゃくしゃな顔だった。君の願いを叶えることができただろうか?そうだといいな。ありがとう佳奈。僕と出会ってくれて、人間にしてくれて、愛してくれて、緋華を生んでくれて、君は多くの感情と感動くれた。いつまでも君を愛してる。緋華のことは任せて。
ごめん、佳奈。緋華の育て方ミスった。まるであれじゃあ君に出会う前の僕だ。娘をロボットにする親ってどうなのかな…。いっぱい愛情注いだのに…。でも、見た目は君にそっくりだ。本当に綺麗だよ。
…で、わざわざ何の用?いや、答えなくていいよ。大体は把握してる。僕に手伝えっていうことだろう。でも、ごめんマリスビリー。佳奈の時の散々貸しがあるのはわかってるけど、僕は行けない。ただしその代わりに僕の娘が行こう。え?僕の娘だよ。優秀に決まってるじゃないか。性格に難はあるけどね。
あぁ、遂にこの日が来たか。四季崎の大願成就のための。
こればかりはもう、どうしようもない。背に腹はかえられない。ここで緋華を送り出さねば、緋華も死ぬことになる。それは駄目だ。人理焼却後の人理再編、この未来は避けられない。僕は娘を守らなければならない。助けた後、どれほどの苦行が待っていようと。ごめんね緋華、君に四季崎の業を背負わせることになる。ご先祖は諸手を挙げて喜ぶだろうな。クソッタレ。
うんざりするほど寒い中、旅立つ娘を見送る。徐々に遠くなる姿。佳奈そっくりな姿。嫌だな、本当にこれで…
「これが親子の最後の会話か…愛してるよ緋華」
言葉は白い吐息となって空に溶けた。緋華がこちらに振り向く。ねぇ佳奈、僕は今うまく笑えているかい。
・四季崎 緋華 シキザキ ヒバナ
本作主人公、一回死んでから人間性獲得。一応魔術師。
四季崎の大願成就をなす巫女。
父から四季崎については一切聴かされてない。
・四季崎 掛 シキザキ カケル
緋華の父。家族が第一なお父さん。
魔術師とは到底いえない感性と考えと行動だが腕は一流。特に未来を視ることにおいては、どこぞの近未来観測レンズより上である。
・四季崎 佳奈 シキザキ カナ
緋華の母。
書いててパパが主人公な気がしてきた。
と言っても、彼が今後出る予定は一切ないです。