Lost Belt No.8 完了形極刀国 日の本 ※凍結中 作:冥土のメイド
2部の序章と本編の間の話、緋華さん異聞帯にIN
カルデアがこの異聞帯に来るのは4章と5章の間ですかね。そのうち、ナチュラルにネタバレもあるかもなので、未プレイの方はお気をつけて。
世界について何も聴かされず任された。
異星の神によって私に与えられた異聞帯は日本だった。
「ここが、歴史から淘汰された日本」
とにかく緑が多かった。凡人類史のような高度な文明は何処にも見当たらない。おそらく文明開化も起きていないのだろう。
私は、未来を視た。父によって封じられていた未来視の制限は、一度死んだからなのかもうなかった。この異聞帯の王に会うべく最適な未来を算出し、行動を起こす。どうやらまだサーヴァントは召喚しない方が良いようだ。目的地へ向かう中、その方角に真っ白な木が天を貫くように伸びていた。
私は東京にいた。いや、正確には東京だった場所だ。この世界における呼称は「江戸」、誰もが想像しそうな江戸が、侍の世界がそこにあった。城下町を進む。和服姿の住民たちが楽しそうに日々を送っている。やはり私の格好はもの珍しいのか、やたらと視線を感じる。身だしなみには気を使っているが、ここでの常識に合わないならそれも意味がないのかもしれないし合わせるべきなのか。母さん譲りの栗色の髪が風に吹かれる。やっぱり黒にはしたくはない。
そんな中私は、この異聞帯は凡人類史に比べて弱すぎると思ってしまった。明らかな文明発達の遅れ、他の異聞帯と戦争すれば一発でやられる。間違いない。別に私は世界の覇権を勝ち取りたいわけでもない。私が死ななければそれだけでいい。だからこんな異聞帯だってどうでもいいのだが、私はようやく得た人生の刺激に酔っていた。今を生きることが楽しくて仕方がない。
城についた。かなり歩いたので辛い。さっさと要件を済ませよう。
「待て!そこの女、ここを何処と心得る。我らが将軍の城であるぞ」
「その将軍様に呼び出されてるの、通して」
「ならん、貴様のような怪しい格好の者をそう易々と通せん」
「あーもう面倒ね、おやすみなさーい」
「何を言っ…」
ちゃんと寝てる。大した魔術ではないちょっとした呪詛返しみたいなものだ。うん、魔術行使も特に問題なし。未来も確認済み。さぁ、天守閣へ参りましょう。
でも、出会う人みんな眠らせるのはやり過ぎかしら。幸い私を殺せる人はいないみたいだし、ぐんぐん進んでるけど、やっぱりこの異聞帯弱すぎないかしら。このままだと将軍暗殺出来そうなんだけど。
天守閣、遠い。
やっと着いた。既に疲れてるけど、ここから色々説明しなければならない。気を引き締めて…
「入られよ、異邦の者よ」
「…っ!」
襖の向こうから突然かけられる声、驚きを隠せない。私の未来視にないことが起きたからだ。私は意識を切り替えた。ここから先は何が起こるかわからない。戸を開けた。
「ほう、格好は渡来人とさして変わらんのだな」
さっき私にかけた声とは違うものだった。
部屋には綺麗に両脇に並らんだ侍たちが十数人いた。奥にいる顔の見えない人が将軍なのだろう。
「よいぞ、楽にせい。お主には多くのことを説明してもらわねばいけんのだから」
将軍らしき人が言う。私は立ったまま言葉を返した。
「あなたが将軍様?」
「如何にも」
「じゃあ、説明させてもらうわ。あなたたちの世界に起こったことについて」
私はまた驚いていた。ここのやりとりは既に視ていたのだ。この後、将軍に対しての口調を一人の侍にキレられて、将軍が諫める。一ミリのずれもない未来。さっきまであった未知という驚異はどこかに消え失せていた。だが、ある男の笑みに嫌悪感を抱いていた。
「なるほど、気になる点はいくつもあるが、ともかくその他の世界に勝利すれば、我々の世界が今後も続いて行くということで相違ないか?」
「えぇ、その通りよ」
「うむ、ではこれより戦の準備を始めよう。お主は客人としてもてなす。部屋を用意させよう。胡蝶、任せた」
「はい、承りました」
さっきの気に障る笑顔を浮かべる男だった。
とにかくこれでいい、後は私がサーヴァントを召喚して自身の安全を確保する。戦う時は戦う。それでいい。この異聞帯に期待は一切ない。元々ない世界だ気にかける必要もないだろう
「では、こちらに」
私はその場をあとにした。
胡蝶という男に案内される。長い腰までありそうな黒髪、顔つきは中性的、それでも不思議と男とわかる。理路整然とした佇まいの人だ。腰に下げている刀は何だか気味が悪い。廊下を歩く。それにしてもこんなにもこの男が嫌なのは何故だろうか。
「それは、未知という恐怖に出逢っているからでは?」
「え?」
今思考を読まれた?どういうことなのか。訳がわからない。
「あぁ、口調面倒くさぇな。あーあーよし、サーヴァントを召喚するは必要ないぜ。この世界には最高の刀が多くあるんだからな」
「なんで…さっきサーヴァントなんて一言も言ってない」
私があの場で話したのは、自身がクリプターという異邦人であることと、世界の覇権を奪いあう戦いに参加していること、あの空想樹を守ることだけだ。私の魔術もこの世界においては妖術のような認識で理解はないはず、ただの侍がサーヴァントなんて知っているはずがない。
「おぉ~良いね~その反応」
さっきまでの佇まいの様子はもうない。がさつな口調で私の顔を覗き込んでくる。
「なるほどな、生まれたての赤ちゃんみたいじゃねぇか。最近人間になったのかい?」
駄目だ。怖い。その存在を視ることが出来ない。
「あなたは誰なの」
「初めましてだな緋華。俺の子孫よ。そしてようこそ
「そして俺は、四季崎記紀だ」
-----interlude-----
突如として嵐に覆われ、江戸には未知の巨大な木が生えた。ようやくだ。やっと俺の目的が果たせる。ここまではとんでもない博打だったが、うまくいった。勝負はここからだ。
はい、今回はちょっと短めでした。
書きたいこといっぱいあるので、この辺りは巻きで行こうかなと。
読んでいただきありがとうございます。これらも頑張って書きます。